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スニーズ・コメンツ #32

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♭『冷たい校舎の時は止まる』 辻村 深月
miyucoさん、こんばんは。学園祭の最終日に校舎の屋上から飛び降り自殺した生徒(?)の「脳内世界」というホラー・ミステリ。それ故、どんな超常現象が起こっても驚きませんが、心理描写もヘヴィーで痛々しい。何か変だなぁ?‥‥この章だけが不自然に長いなぁと疑いながらも、また騙されちゃった。叙述トリックとスプラッタ趣味は「綾辻」譲りということで、許してにゃん。
P.S.「あまちゃん」が原発事故をスルーしたんだって?(註1)
by sknys (2013-09-05 23:43)

♭ 東京オリンピック 2
tumuziさん、こんばんは。懐かしいなぁ‥‥懸賞に当たって、ゴリラの縫ぐるみをゲットしました。今でも、探せばどこかにあるはずです。同じく、五輪招致(2020 TOKYO)には反対だった。世界には1度も開催していない都市が沢山ある。今後は未開催国を最優先するようになれば良いのにね。汚染水は湾外に漏れ続けている。IOC総会でプレゼンする前に日本国民(福島市民)に釈明すべきだという意見もあったけれど、そこまで厚顔無恥ではなかった?‥‥「状況はコントロールされている」「完全にブロックされている」なんて嘘八百、東電でさえ言ってないし、言えないはず。
by sknys (2013-09-11 22:54)

♭『Sister Moon』 スティング
びっけさん、こんばんは。昨日(9/19)は夕方から綺麗な満月が見えました。月に吠える犬やオオカミに変身する男たちもいるけれど、家のネコちゃんは月見よりもダンゴですよね。

  • 〈ニャンコと月見、きっと今夜に‥‥〉
  • by sknys (2013-09-20 01:58)

    ♭「マンガ黄金時代 '60年代傑作集」 ── COM派の子供たち
    トミー。さん、こんばんは。「青春裁判」「ライク ア ローリング ストーン」「しつもんがあります」「おとうと」「いきぬき」「春の宵」の初出は「COM」ですね。COM派だったので「ガロ」系は余り読んでいません。あすなひろしの「山ゆかば!」などが収録されている『子どもたちの戦争』(金の星社 2013)も文庫本だと勝手に思い込んでいたら、ズッシリ重くて大きい単行本だった「漫画家たちの戦争」シリーズ(全6巻)は図書館の児童室に置かれています。
    by sknys (2013-09-25 22:45:39)

    ♭ アリス・ブック 佐藤 史生「金星樹」 ── 佐渡も沖は凪です
    トミー。さん、こんばんは。SF版浦島太郎(?)みたいな「金星樹」は傑作ですね。「青い犬」は『阿呆船』(新書館 1984)のラストに収録されています。仲の悪い双子が共謀して殺害!‥‥というトリックは「刑事コロンボ」シリーズにもありました。恐らく「二つの顔」(Double Shock 1973)がネタ元でしょう。

  • 〈素敵な萩尾望都さま、佐渡も沖は凪です〉
  • 萩尾望都(モーさま)、佐藤史生(ド・サト)、伊東愛子(オラブ氏)、花郁悠紀子、城章子(ジョークン)‥‥5人の少女マンガ家たちが年末の忙しいスケジュールを何とか調整して慰安旅行の予定を立てた。3泊4日の新潟〜佐渡〜北陸の旅。しかし、出発日を明日に控えて生憎の悪天候。運の悪いとこに、北陸日本海方面に季節外れの大型台風が接近していたのだ。TVの台風情報では最大風速30mの暴風雨圏内に入った佐渡島から女性レポータが悲鳴のような声で実況(絶叫?)中継している。仕事場の窓から黒墨を一面に掃いたような不穏な夜空を見上げて溜め息をつくモーさま。明日の天気を慮ると心配の余りなかなか寝着けなかった‥‥。一夜明けてみると杞憂だった。東京の空は快晴、それも1年に何度あるかどうかというほどに澄み切った青空。朝食を摂って旅仕度をしている時に電話のベルが鳴った。「モーさま、おはようございます。佐渡は沖も凪です」──1日早く花郁悠紀子と一緒に新潟へ向かったド・サトからの連絡だった。「目醒めさめざめ」から転載
    by sknys (2013-09-28 20:48:15)

    ♭ 中公文庫創刊40周年 其の一
    モバサムさん、こんばんは。ちくま文庫や講談社文庫に比べて背表紙の色など、装幀も洗練されていたのですが、自社単行本の二番煎じに堕してからは興味が薄れちゃった。書棚の奥に隠れている中公文庫の中から、印象に残っている5冊を選んでみました。

    「中公文庫の40年」よりも「サンリオSF文庫の伝説」(本の雑誌 10月号 No.364)の方が面白かったりして(註2)
    by sknys (2013-10-15 01:02)

    ♭ 今年の真央ちゃん^^
    ぶーけさん、こんばんは。大胆なポーズ(ビールマンスピン?)ですね。ちょっと、「えなりかずき」入っているような気もしますが‥‥。ミキティ(安藤美姫)さんも描いて欲しいなぁ。
    by sknys (2013-10-19 20:58)

    ♭ 鋤田正義 サウンドアンドヴィジョン きれい
    モバサムさん、こんにちは。「岩合光昭写真展 ネコライオン」(東京都写真美術館)に行って来た。ネコとライオンよりも、ネコと豹の方が似ている気もしますが。1Fミュージアムショップ「NADiff X10」もネコだらけ。「アール・ヴィヴァン」を想わせる音楽コーナーで《Jessica Pratt》(Birth 2013)を購入(註3)
    by sknys (2013-10-27 13:16)

    ♭ やなせたかし先生、ありがとうございました。
    miyucoさん、こんばんは。やなせ先生はCOMで「まんが封切館」(1969-71)を連載していました。印象深いのは読者投稿欄(ぐら・こん)で「1コマ・4コマ」マンガの選者だったこと。選評は明快でユーモアもあった。常連入選者だった方倉陽二さん(プロになれると激励していた)が藤子・F・不二雄先生の後を追うように逝ってしまったのを、どのような思いで見送ったのだろうか。合掌。
    by sknys (2013-11-28 20:49)

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    註1「あまちゃん」は原発事故を忘れたい人たちのためのドラマだったのかもしれません。〈潮騒のメモリー〉のメロディは6割がサイン波の人(Sachiko M)。3割が大友良英。小泉今日子と坂本龍一も1カ所だけ手伝っているという。「来てよ その火を 飛び越えて」という歌詞は言うまでもなく、山口百恵主演の映画『潮騒』からの引用。「ハゼとジミヘン」が〈Purple Haze〉(Hazeのローマ字読み)の駄洒落なのはTVを視ていなくても分かりますが、ハゼ・ヘンドリックスが右利き用のストラトを弾いているのは視ないと分からない。

    註2『岸辺のない海』(河出文庫 2009)、『文林通言』(講談社文芸文庫 2010)として復刊された。「サンリオSF文庫」も次々に復刊されて稀覯本としての価値(価格)は下がって来たが、神田の某古書店で1冊欠け完本(199冊)が37万6千円とは!

    註3 Vashti BunyanやMeg Baird(Espers)を想わせるアシッド・フォーク・アルバム。ラフ・トレード・ショップの「ALBUMS OF THE YEAR 2013」で第10位に選出された。

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    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第32集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載‥‥事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註)を加え、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2013/09/01~/11/30)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。今年の夏も長く暑かったが、秋は‥‥沢木耕太郎の本の題名を借りれば、まさに「一瞬の秋」だった。10月某日、「ネコライオン」(東京都写真美術館)を観て1階に戻ると、ミュージアムショップは写真集や絵葉書など数多くのネコ・グッズで溢れていた。音楽CDが置いてある一角で、Jessica Prattのデビュー・アルバムを発見(ヴァイナルとデジタルDLのみのリリース(2012)だったが、今年5月にCD化された)。この顔はネコっぽくないかと思って購入したら、インナースリーヴに可愛いネコちゃんがコラージュされていた。おネコさまのお導きかしら?

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    Jessica Pratt

    Jessica Pratt

    • Artist: Jessica Pratt
    • Label: Birth
    • Date: 2013/05/16
    • Media: Audio CD
    • Songs: Night Faces / Hollywood / Bushel Hyde / Mountain'r Lower / Half Twain The Jesse / Casper / Midnight Wheels / Mother Big River / Streets Of Mine / Titles Under Pressure / Dreams


    阿呆船(ペーパームーン・コミックス)

    阿呆船(ペーパームーン・コミックス)

    • 著者:佐藤 史生
    • 出版社:新書館
    • 発売日:1984/03/25
    • メディア:単行本
    • 目次:阿呆船 / 馬祀祭 / 天界の城 / 天使の繭 / 青い犬 / あとがき / 初出一覧


    目まいのする散歩

    目まいのする散歩

    • 著者:武田 泰淳
    • 出版社:中央公論新社
    • 発売日:1978/05/10
    • メディア:文庫
    • 目次:目まいのする散歩 / 笑い男の散歩 / 貯金のある散歩 / あぶない散歩 / いりみだれた散歩 / 鬼姫の散歩 / 安全な散歩? / 解説 後藤 明生


    文林通言

    文林通言

    • 著者:石川 淳
    • 出版社:講談社
    • 発売日:2010/08/10
    • メディア:文庫
    • 目次:昭和44年12月 森有正 / 宮崎市定 / 稲垣足穂 / 昭和45年1月 澁澤龍彦 / 金井美恵子 / 2月 小田実 / 清岡卓行/ 3月 富士川英郎 / 大江健三郎 / 4月 三島由紀夫 / 5月 堀田善衛 / 島尾敏雄 / 6月 吉田健一 / 中野好夫 / 7月 西脇順三郎 / 水上勉 / 8月 鈴木信太郎 / 埴谷雄高 / 9月 神田喜一郎 / 木村孝 / 10月 中村幸彦 / 吉行淳之介 / 11月 今西錦司・...


    本の雑誌364号

    本の雑誌 10月 焼肉中止茫然号 No.364

    • 特集:サンリオSF文庫の伝説
    • 出版社:本の雑誌社
    • 発売日:2013/09/11
    • メディア:雑誌
    • 目次:山野浩一氏インタビュー 大森 望 / 翻訳家の挫折 菊地秀行 / 我が黄金の日々…なのか? 中原昌也 / コラム さよならサンリオ文庫フェアのこと 田口久美子 / 未再刊の傑作・怪作がまだまだ埋まっている! リスト片手に掘りまくれ!牧 眞司 / サンリオSF文庫の古書価動向 彩古 / サンリオSF文庫表紙ベスト5 大橋博之 / 読まずしてワクワクする文庫 ...施川ユウキ / 読者アンケート 私の偏愛サンリオSF文庫!/ おじさん三人組のサンリオSF文庫エアハント

    私物目潰し

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  • 神もマルクスもジョン・レノンも、みんな死んだ。とにかく我々は腹を減らせていて、その結果、悪に走ろうとしていた。空腹感が我々をして悪に走らせるのではなく、悪が空腹感をして我々に走らせたのである。なんだかよくわからないけど実存主義風だ。/「いや、俺はもう切れちゃうよ」と相棒は言った。簡潔に言えばそういうことになる。/ 無理もない、2人とももうまる2日水しか飲んでいなかった。一度だけひまわりの葉っぱを食べてみたが、また食べたいという気にはなれなかった。/ そんなわけで我々は包丁を持ってパン屋にでかけた。パン屋は商店街の中央にあって、両隣は布団屋と文房具屋だった。パン屋の親父は頭のはげた五十すぎの共産党員だった。店の中に日本共産党のポスターが何枚も貼ってある。/ 我々は手に包丁を持ち、商店街をゆっくりとした足取りでパン屋まで歩いた。『真昼の決闘』みたいな感じだった。ゲイリー・クーパーをやっつけにいくアウトローたち。歩くにつれてパンを焼く匂いがだんだん強くなっていった。そして匂いが強くなればなるほど、我々の悪への傾斜の度合いも深まっていった。パン屋を襲うことと共産党員を襲うことに我々は興奮し、そしてそれが同時に行なわれることに無法な感動を覚えていた。
    村上 春樹 「パン屋を襲う」


  • ⃞ 西内まりや箸褒め梅干し、流行り街・宇治に
    福岡県出身の西内まりやちゃんは大の梅干し好き。バックの中に入れて持ち歩いているほどで、梅干しがなくなると直ぐに買い足して補充するという。「日の丸弁当」といえば赤貧洗うがごときビンボーの代名詞だったが、「長屋の花見」で卵焼きの代用品だった沢庵と同じく、今日では梅干しも高級食品と化している。手づかみで食べるのは行儀が悪いし、衛生上の良くないということで、ドラマの撮影で京都へ行った時に漆塗りの箸を一膳購入した。お気に入りのマイ箸で食べる梅干しの味は格別らしい。でも酸っぱいから口の中を中和する飲み物が欲しくなる‥‥というわけで、まりやのマイブームは緑茶、それも今流行りの宇治抹茶である。今度京都へ行ったら、宇治市まで足を伸ばして抹茶を買って来たい。梅干しの酸味を和らげるのは甘味ではなく、お茶の渋味だったのだ。深紅と薄緑のコントラストも美しい。そうなるとマイ箸だけでなく、マイ急須やマイ湯呑み、マイ箸置きも揃えたくなっちゃう。意外と古風なところのある「まりやまにあ」だった。

    ⃞ ウソ悔やむ野ギツネが鐘撞き飲む薬草
    狼が来た。ゴジラ来襲。UFOと遭遇!‥‥などと幼い頃から嘘八百を並べ、数々の法螺を吹いて来て、森の動物から呆れられていた野ギツネは悔んでも悔み切れなかった。数年前、鎮守の森の稲荷神社の権現狐から厳しく叱咤されたことを契機に猛省して、心を入れ替えたつもりだったのに森の動物たちの誰からも信用されない「嘘つきキツネ」の烙印を押されたままだった。それでも野ギツネは改心したことを身を持って示そうと、毎晩火の見櫓の上で周囲に異変がないかどうか見張りを続けていた。ある夜、北の森から真っ赤な炎が上がった。「これは一大事!」‥‥無我夢中で鐘を撞き、警鐘を打ち鳴らす野ギツネ。しかし、また人騒がせな「嘘つきキツネ」の仕業に違いないと思い込んだ動物たちは完全無視して、鬱蒼とした森の中からはリスの子1匹姿を現わさなかった。痺れを切らした野ギツネは権現さまから戴いた特効薬、万が一窮地に陥った時に服用しなさいと手渡された薬草を口に含む。この秘薬が奇蹟を起こしてくれると信じて‥‥。

    ⃞ しくしくライオン、懲りて離婚、老いらく忸怩
    野生動物のトップの座に君臨する「百獣の王」も端から見るほど楽じゃない。オス・ライオンには悲しい末路が待っているのだから。体力も気力も有り余る壮年期はリア充していたのかもしれないが、哺乳類に限らず生きものは年を重ねるに連れて次第に弱体化して行く運命に逆らえない。ある日、擡頭して来た若いオス・ライオンとの死闘に敗れて群れから追放されてしまう。メス・ライオンからも三行半を突きつけられてホームレスとなったオス・ライオンは孤独に苛まれる独居老人のように痛々しい。今では古傷やインポ、慢性的な腰痛や関節痛などで満身創痍。まさに老醜の極みじゃが、これでも若い頃はメスたちにモテモテで、結婚してからも独身時代と変わらず女遊びに耽っていたものよ。浮気がバレて女房に半殺しにされたこともあったよなあ。恐妻だけでなく、可愛い娘たちにも愛想を尽かされて離婚を余儀なくされたのじゃ‥‥と、過去の栄華を未練がましく回想する老ライオンは遠い目をしてサバンナの夕暮れを眺めていた。

    ⃞ 利発サバ猫、良い子、根はサッパリ
    IQ160の天才仔猫ガミッチほどではないけれど、黒、灰、白色が綺麗なグラデーション模様を織りなす鯖猫サヴァは賢い雄ネコである。性格も素直で、青空に浮かぶ白い雲のように気持ち良い。毎日午後になると家から外へ出て、テリトリー内をパトロールする。花壇の赤い花の匂いを嗅いだり、緑の葉っぱを齧ってみたり、木肌や板塀で爪をバリバリと研いだり、空を飛ぶ小鳥を見上げたり、地面に寝転がってゴロニャンしたり、後脚を垂直に立てて一心不乱に毛繕いをしたり‥‥。サヴァが路地の先を注視していると、一呼吸置いて人や犬が姿を現わす。感度の良いネコの耳は人間には聴こえない音も感知出来るのだろう。目の前を通り過ぎる歩行者や散歩中の犬を注意深く見つめていたかと思うと、次の瞬間には興味をなくして何事もなかったように別の行動に移る。その自由気儘、天真爛漫さが羨ましい。縄張りを巡回した後、使われなくなった古井戸やエアコンの室外機の上など、お気に入りの場所へ辿り着くと寛ぎタイム。くるりと前肢を胸の内側に隠してリラックスするにゃん。

    ⃞ 散文、漢文、地理、チンプンカンプンさ
    俺は高3の受験生。音楽や美術は得意だが、現国や古文は大の苦手科目。数学の成績も芳しくない。それなら芸術系の大学に進学すれは良いじゃないかと思うかもしれないけれど、好きなだけに自分の限界も分かっている。俺よりも才能に恵まれた高校生は大勢いるし、音楽や美術は趣味として愉しみたいと思っている。面白くもない小説やエッセイの一部を強制的に読まされて、その主旨を何文字以内で要約せよとか、棒線部分の文章の意味を選択肢の中から選んだり、著者の言わんとしていることを推察したりする現代国語の設問はバカバカしくて全く回答する気にもならない。出題文に対する批評ならば幾らでも長く書けるけれど、然して興味のないテーマや相容れない意見を無条件に受け入れるのは苦痛に近い。もっとも現国の試験問題に大江健三郎の「稀有の強度を持つ日本語で書かれた小説」「セヴンティーン」(1961)が出題文として採用されれば話は別だけれどね。縦に並んだ漢字列を下がったり上がったりして読解する漢文も珍紛漢紛だし、地名や場所を暗記するだけの地理も地図上の記号のような無味乾燥なものにしか見えない。

    ⃞ 渋々爪弾く僕、暇つぶし節
    僕はギター1本を肩に担いで日本全国各地を旅歩く自称SSW(自作自演歌手)。秋の紅葉前線に沿って名所を巡る予定だったが、運悪く大型台風の日本列島縦断とシンクロしてしまった。外は強風と大雨の大嵐で、東北地方の安宿に丸2日も足止めされている。今は台風一過を黙って遣り過ごすしかない。気圧も下がり、湿度も高くなって来た。黴臭く辛気臭い室内では気分も次第に落ち込んで来る。ダウナーな気分で気乗りしないが、憂さ晴らしにギターの弾き語りで1曲歌ってみようか。こんな時に、いつも口を吐いて出てくるのは「木枯らしエレジー」だった(自作曲でないのが口惜しい?)。「待っても都電は来るもんか / 穴ぼこだらけのアスファルトに / なんでもないから、ならず者だってさ / 純情可憐なすれっからしだってさ」‥‥という歌詞が気に入っている。40年前のフォーク・ソング。当時既に荒川線以外の都電は全線廃止(1972)されていたので、待っていても都電は来ないのだ。

    ⃞ 素肌で裸足の「きのこ女子」‥‥この木の下は出たはず
    今、キノコ・ブームが来ている。キノコ・グッズを蒐集したり、オリジナル・アクセサリー作りにハマる「きのこ女子」も繁殖中だとか。『少女系きのこ図鑑』(DU BOOKS 2012)や『きのこ文学大全』(平凡社 2008)など、キノコ本も続々と出版されている。『キノコの不思議』(光文社 1986)という手塚治虫などキノコ好きの著名人30名のエッセイを集めたアンソロジーもあったという。それから30年近くを経て「土中でひそかに増殖した菌糸が胞子をばらまくキノコを唐突に地上に出現させるように、ブームが立ち上がってきた」。兎の穴に落ちたアリスがキノコを食べると躰が小さくなったり大きくなったりしたように、キノコは幻覚作用のような不思議なパワーを秘めている。ある木の下に素肌を露わにした裸足の少女が現われるという。妖しく光るキノコの群生する森の中で1人遊ぶ美少女はキノコの妖精ではないかと噂されている。今日も妖精の姿を一目見ようと鬱蒼とした森の中へ入って行く「きのこ女子」が後を絶たない。

    ⃞ 食いニヤリとキャンディーズのスー、移転、焼き鳥屋に行く
    キャンディーズのスー(田中好子)ちゃんは肉食系女子だった?‥‥東スポの紙面に若かりし頃のスーちゃんの秘蔵写真が載った。ラン(伊藤蘭)、スー、ミキ(藤村美樹)の3人娘がブレイクしたのはセンター・ポジションをスーからランに入れ替えてからのことだった。それ以降、〈年下の男の子〉〈ハートのエースが出てこない〉〈春一番〉〈やさしい悪魔〉〈暑中お見舞い申し上げます〉〈微笑がえし〉‥‥と、ヒット曲を連発するようになる。地元の商店街にあった焼き鳥屋が少し離れた場所に移転して新規オープンした。お店の常連客だったスーちゃんは当時多忙を極める身でありながら、新装開店日に駆けつけた。混雑した店内で愉しそうに焼き鳥を頬張るスーちゃん。写真には串を片手に持ってニッコリと微笑む姿が写っている。キャンディーズが名実共に国民的アイドルの座に駆け上がった頃の懐かしいスナップ・ショットである。

    ⃞ 品増しニセ車海老は冷え丸く背に縞なし
    安価なバナメイエビを芝エビや車海老、長ネギを九条葱などと表示してメニューに記載していた関西有名ホテルの食材偽装事件。ホテル側は作為的な「偽装表示」ではなく単なる「誤表示」だと主張したのだが、その後同じような食品・食材偽装表示が全国各地のホテルやデパートに波及して、芋蔓式にというか、雨後の筍のように大量発覚することになった。調理前のエビならば姿形から違いは一目瞭然だが、整形加工してしまえば分かりっこないし、バカ舌の客には味の違いも分かるはずがないと舐めていたのか、その経済効率だけを優先させる経営体質はエゲツない(まあ、値段がバカ高いだけのホテルで食事をしようなどとは思わないけどね)。偽エビという濡れ衣を着せられて大量動員させられたバナメイエビたちの肩身も狭かったのではないかと道場を禁じ得ないし、意を決して内部告発した従業員の心中も察するに余りある。「エビのチリソース」の中の君たちは一体何エビなの?

    ⃞ 留守、危険パン屋、血、間合いが近い。「あまちゃん」反撃する
    あまちゃん(能年玲奈)が地元商店街のパン屋さんでアルバイトすることになった。個人営業のパン屋としては珍しく夜遅くまで開店していることもあり、クラブ活動を終えて帰宅する学生や残業帰りのサラリーマンにはコンビニとは一味も二味も違う焼きたてのパンが食べられるとあって人気があった。ある夜、客足も途絶えた閉店間際の店内に2人組の男たちが入って来た。スキー・マスクを被り、手に包丁を握りしめた強盗、TVドラマや映画の中に登場するような典型的なギャング。ところが強盗の強奪しようとしたのは金銭ではなく30個の特製メロンパンだった。その意外な要求には1人で店番をしていたあまちゃんも「じぇじぇじぇ」と驚きの声を上げた。お金ならば兎も角、オラたちが丹精込めて焼いたメロンパンを奪おうとは笑止千万、徹底抗戦を決めた彼女は怯むことなく強盗たちとの間合いを詰める。あまちゃんの手に包丁が当たって指先から真っ赤な血が滴り落ちる。予期せぬ流血に驚いたのは強盗の方だった。次の刹那、あまちゃん怒りの回し蹴りが炸裂した。ダイエットを兼ねて習っていたキック・ボクシングが、こんなところで役立つなんて!‥‥じぇじぇじぇ。

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    まりやまにあ

    まりやまにあ

    • 著者:西内 まりや
    • 出版社:集英社
    • 発売日:2013/03/23
    • メディア:単行本(ソフトカバー)
    • 目次:すっぴんまりや in Hawaii / Private Style 100!! / Skin Care & Make-up / まりやの基本ヘアアレ / まりやBODYができるまで / Q & A 100!!!! / 1993→2013 まりやの歴史 / 西内まりおくんSpecial / Seventeen連載編「まりやまにあ」いっき見せ / Long interview


    パン屋を襲う

    パン屋を襲う

    • 著者:村上 春樹
    • イラストレーション:カット・メンシック(Kat Menschik)
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:2013/02/28
    • メディア:単行本
    • 目次:パン屋を襲う / 再びパン屋を襲う / あとがき

    f a v o r i t e - a l b u m s 4

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    La Jeanne

    La Jeanne

    • Artist: La Jeanne
    • Label: Quart De Lune
    • Date: 2013/08/26
    • Media: Audio CD
    • Songs: Je N'appartiens Qu'a Moi / I Don't Know Why / Effacer L'ennui / Pour Que La Vie Soit Belle / Ma Passagere / Que Te Quiten / Valse De L'enfance / Ma Vie Avance / Ma Douce Folie / Avec Des A / Du Haut De Mes Hanches

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    A C C E S S R A N K I N G 4 0

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    A C C E S S R A N K I N G 4 03 02 0(~2013/12/16)
    1猫のアートcat's cradle 16511
    2オレンジとレモンmusic 12658
    3ミレーヌの憂鬱comic 11285
    4哀愁のブルーマculture 10119
    54シーズンズbooks 7959
    6猫にふたたびcat's cradle 6621
    7ファンカデリックな子供たちarchives 5166
    8FAVORITE ー VIDEOS 1favorites 4827
    9空を這う僕たちbooks 4588
    10マグリットじゃない!art 4571
    11シミーにシビレてmusic 4534
    12ルビー・ブルー(2005)rewind 4491
    13那古野の人々(すべてがVになる?)books 4368
    14猫のバディcat's cradle 4318
    15nice!を消す方法 2.2blog 4316
    16ダリとリアart 4216
    17さようなら WAVEculture 4188
    18居留守はズルいpalindrome 4053
    19レモン缶漏れpalindrome 4024
    20ドラコニア少女books 4013
    21辻斬り気質palindrome 4004
    22パリンドル(なぞなぞ回文集)palindrome 3939
    23ゴールド・フラップ(2000)rewind 3937
    24バイオ女になる?game 3921
    25空中ブランコ乗りのレイbooks 3891
    261998年のコンピュータ・ゲームarchives 3776
    27血眼な街palindrome 3722
    28猫にも出来るオリジナル・スキン 1.2original skin 3714
    29FAVORITE ー ALBUMS 1favorites 3701
    30ルドンの蜘蛛art 3670
    31うどん麺道palindrome 3645
    32リュウの道程comic 3608
    33少年ヴィーナスmusic 3592
    34サイ・ビョークが行くmusic 3391
    351Q84年のリトル・ピープルbooks 3352
    36三日月もぎつかみpalindrome 3341
    37FAVORITE ー ALBUMS 2favorites 3309
    38猫とおさんぽcat's cradle 3296
    39NO AFFILIATE, NO ANALYZE!blog 3283
    40猫のスリスリpalindrome 3208
    41絵文字萌えpalindrome 3175
    42猫のゆりかごcat's cradle 3157
    43フィニの少女たちart 3146

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    • サイド欄にはベスト5しか載せていませんが、記事別閲覧数トップ40をリストアップしました。サイドバーのタイトル「ACCESS RANKING」がリンクになっています。更新は月1〜2回程度ということで‥‥^^;

    • 赤色表示 は前回更新時から順位がアップした記事です
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    スニーズ・シンクス 2 0 1 3

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  • マドンナが、選ばれて作られた女たちであるマリリン・モンローやマレーネ・ディートリッヒやエビータに扮装するのと違って、ガガは、動物の着ぐるみや生のステーキを身にまとう(いかにも拒食症的イメージだ)のであり、サンリオのキティちゃんの無数の縫いぐるみをドレスに縫いつけた衣裳を着るのは、いわばキティ=ゾンビを生きるということに他ならない。サンリオのキティは、もちろんあのウサコちゃんミッフィーの耳を切って(美容整形というより、遺伝子操作によってかもしれない)誕生したキャラなのだけれど、ミッフィーが、ドレスの色を変える程度で、かたくななまでに変化を拒みつつ永遠に同じ姿で生きるという意味で吸血鬼的エリートであるのに反して、キティは貪欲に何でも着て何にでも変身して何にでもプリントされ世界中に広がったという意味でゾンビ的なのだ。そして、貧相なレディ・ガガは決して「美女」ではないし「男を悩殺」もしないだろう。
    金井 美恵子 「様々な意匠、男たち、少女たち 1」


  • 8年目のスニンクス(sknynx)は62本の記事をアップした(2012.12~2013.11)。月5本というスロー・ペースで、月末26日の「サイバー・キャット」シリーズや一覧リストなどを除くと毎月3本の記事を書いていることになる。タイトル下の「ブログ紹介文」に「c a t s. p a l i n d r o m e. m u s i c. c o m i c...」とあるように、ブログ・テーマは「ネコ」と「回文」と「音楽」と「コミック」‥‥。回文シリーズは年4回、音楽(洋楽)は随時、ネコは何時でも‥‥というスタンスだったが、年々ネコ度(頻度と温度)が上がっているような気もする。2012-3年度は定番の「ネコ・ログ」シリーズだけでなく、〈表参道のCAT ART〉〈ネコと歩けば〉〈ネコとライオン〉などのネコ・アート記事もアップした。1日1回は外ネコの姿を見ないと心穏やかではないし、岩合光昭さんの「今、動物たちは虐げられている」という言葉も胸に刺さる。

    ブログのトップを飾るネコ写真に関しては、もう少し明るいズーム・レンズが欲しい。ネコ撮り用カメラ(NEX-5N)よりもセンサーの大きく解像力に優れたフルサイズ・ミラーレス(Sony α7)の登場も気になる。ソネ風呂のブログ・テーマに「ネコ」という項目があれば躊躇なく選ぶのだが、残念ながら「ペット」というテーマしかないので、試しに「音楽」に設定してみた。「管理ページ」に表示されるアクセス・ランキングは閲覧数(page view)ではなく、訪問者数(visited)を元に算出しているらしい。テーマ別の順位は50〜60位辺りを彷徨っている。1日の訪問者数が1000人以上にならないと順位が表示されて「ブログ共通テーマ / ランキング」に載る25位以内には入らないのかもしれない。〈猫のアート〉の閲覧数が異常に増えた時期があった。この記事だけに英字のスパム・コメントが付いたのも不思議だったが、それから暫くしてソネ風呂からスパム対策として「コメント投稿での画像認証表示の仕様変更」があった。

    コメント投稿時に入れる認証コードを「有効」にしていると、ログイン時にも画像認証が表示されるようになってしまった。「管理ページ」の「設定」から「無効」にすることで従来に仕様に戻せるものの、過去の記事には反映されず、「記事管理」〜「記事一覧」から50件ずつ変更しなければならない。記事数の少ない場合は兎も角、千件以上の記事をアップしている古参のブロガーには面倒な修正作業になるかもしれない。仕様変更でブログのセキュリティが高まるのは良いとしても(もっとも画像認証を「有効」にしていても〈猫のアート〉にはスパム・コメントが付いていた)、元に戻すために手作業を強いるのは欠陥仕様変更ではないかしら。常時ログイン状態のブロガーは、この仕様変更に気づいていない可能性もある。今まで認証入力なしにコメント出来ていたブログで、認証コードの入力を求められるようになったから。認証コードが判別し難いという苦情に応え、文字色を青から緑色に変えて見やすくしたのは良かったけれど。

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    2013年11月末に総閲覧数が170万PVに達した。月2〜3万という閲覧数が多いのか少ないのかは不明だが、年々微増はしている。記事別では前述した〈猫のアート〉がトップに躍り出て、2位以下〈オレンジとレモン〉〈ミレーヌの憂鬱〉〈哀愁のブルーマ〉〈4シーズンズ〉という順位に変動した。どの記事に人気があるかという興味よりも、1万PVを超えた記事が4つに増えたことの方が単純に嬉しかったりする。このトップ5の順位は当分の間、変わらないはず。回文シリーズは〈ハッカー河童〉〈体罰撤廃だ!〉〈悪乗り尻乗るわ〉〈ランバダ半裸〉の4本をアップして340回文となった。袋小路に入ったというかマンネリ気味ではあるものの、手を替え品を替えて作っている。長い回文が意味不明瞭の曖昧模糊となるのに対して、短回文は上手く決まれば美しい。たとえば〈シルエット、日陰が1つL字〉〈南欧男、寝るネコと追う女〉などは結構気に入っている。〈くまモンは今晩、阿蘇。餡パン、小判も撒く〉〈睨むさくらパンダ可愛いわ。花壇、薔薇、叢に〉など、「なぞなぞ回文」として出題している回文は出来の良い作品から選ぶようにしています。

    洋楽記事は年末の〈兎男のクリスマス 2〉、新年恒例の年間ベスト・アルバム〈子猫の予言者〉に始まり、〈クリアランスセール 2013〉〈僕の血みどろヴァレンタイン〉〈真夏のクリアランスセール 2013〉〈ミナス・ミュージック〉〈ジュリアとジュリアナ〉〈アルゼンチン・ミュージック〉、「ファブ・フォー」シリーズの〈回転式拳銃〉〈黄色い潜水艦〉〈ゴム底魂〉などをアップした。毎年12月になると欧米各音楽メディアの「年間ベスト・アルバム」が次々と発表される。その一方で創刊25周年を迎えた「クロスビート」が11月号で休刊するなど、洋楽以上に音楽雑誌の売れない時代になってしまった。「CROSSBEAT Special Edition 年間ベスト・アルバム 2013」(シンコー・ミュージック MOOK)を立ち読みして思ったのは、海外の音楽情報量が極端に少なかった時代には欧米メディアの引用や受け売りだけで成り立っていた日本の洋楽雑誌も、独自の編集方針や鋭い批評性を持っていないと生き残れなのではないかということ。

    NMEやSpin誌の「年間ベスト・アルバム」と余り変わり映えしないリストを載せるだけでは殆ど意味がない。音楽雑誌や音楽サイト、新聞各紙などの音楽メディアが選出した「年間ベスト・アルバム」は雑誌や新聞を購入しなくてもネットで簡単に閲覧出来てしまうし、各メディアのレヴュー評価点を独自に集計したトップ・チャートを発表しているサイトさえあるのだから(ベスト・アルバムは「Album Of The Year」「Metacritic」でチェック!)。そもそも音楽雑誌の編集者や音楽評論家たちの「洋楽」に対する耳が鈍化していないだろうか。旧態依然とした「ロック馬鹿」ばかりではないか。試聴盤だけを聴いて提灯記事を書いている編集者や評論家、高い国内盤しか買わない洋楽愛好家は言うに及ばず、世界中の音楽がインターネットで無料(ただ)聴き出来るグローバルな時代を生きているのに、iPhoneで邦楽(J-POP)しか聴かない日本人リスナーの奇妙さも言及されてしかるべきでしょう。

      The Wire 2013 Rewind's Top 10 Albums
    • Julia Holter - Loud City Song
    • Laurel Halo - Chance Of Rain
    • Rashad Becker - Traditional Music Of Notional Species Vol. I
    • Richard Dawson - The Glass Trunk
    • Tim Hecker - Virgins
    • Oneohtrix Point Never - R Plus Seven
    • RP Boo - Legacy
    • Wolf Eyes - No Answer: Lower Floors
    • Graham Lambkin & Jason Lescalleet - Photographs
    • The Knife - Shaking The Habitual


      Pitchfork's The Top 10 Albums Of 2013
    • Vampire Weekend - Modern Vampires Of The City
    • Kanye West - Yeezus
    • Disclosure - Settle
    • My Bloody Valentine - mbv
    • Danny Brown - Old
    • Deafheaven - Sunbather
    • Daft Punk - Random Access Memories
    • Majical Cloudz - Impersonator
    • Savages - Silence Yourself
    • Arcade Fire - Reflektor

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    「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」(TBS 2010)の再放送(2013.10.14~18)にハマった。公安第五課未詳事件特別対策係(未詳)の刑事がSPECホルダーの起こす怪事件に挑む超能力SFドラマだが、深夜枠ならば兎も角、この破天荒な「幻魔大戦」が金曜夜の10時台に放送されていたことに驚く。主演は戸田恵梨香(当麻紗綾)と加瀬亮(瀬文焚流)の2人で、「未詳」の係長に竜雷太(野々村光太郎)、紗綾の実弟に神木隆之介(一十一)、警視庁公安部特務選任部長に椎名桔平(津田助広)‥‥という曲者揃いの配役。SPECホルダーの特殊能力も時間停止、未来予知、サイコメトリー、千里眼、憑依、念動力‥‥と何でもありの世界。テレパス娘のサトリ(真野恵里菜)ちゃんにも萌えました。過去のヒット曲やTVドラマなどのパロディやギャグ(小ネタ)を鏤める脚本はクドカンを想わせるが、西荻弓絵の方が重くて毒がある。「みんな!エスパーだよ!」(テレ東)で女子高生テレパス平野美由紀(パンチラあり!)、「悪霊病棟」(MBS)で霊能力を持つナース尾神琉奈という全く違うキャラを演じた夏帆の演技も際立っていた。

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     スニンクスなぞなぞ回文 #35

     ◯△▢◇おもてなし☆しなてもお◇◯△▢

     回文作成:sknys

     ヒント:貧困東京五輪開催?


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    s k n y s - s y n k s

    s k n y s - s y n k s

    • Author: sknys
    • Articles: 485
    • Page View: 1,735,660
    • Date: 2013/12/21
    • Media: Internet


    目白雑録 5 小さいもの、大きいこと

    目白雑録 5 小さいもの、大きいこと

    • 著者:金井美恵子
    • 出版社:朝日新聞出版
    • 発売日:2013/09/20
    • メディア:単行本
    • 目次:「原発はバクハツだ! 」そして、様々な神話 / 様々な神話、さまざまな液状化現象 / 様々な言葉、言葉‥‥1 / 様々な言葉、言葉‥‥2 / マッカーサーと「雨ニモマケズ」/ マッカーサーと「ジェロニモ」1 / マッカーサーと「ジェロニモ」2 /「ジェロニモ」と「アルカトラズ」1 /「ジェロニモ」と「アルカトラズ」2 / 様々なる意匠、あるいは女であること...

    サイバー・キャット 16

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    サイバー・キャット 20

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    馬も獅子も舞う(回文かるた 2 0 1 4)

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     あ 兄 マヨ・マニア あにまよまにあ
     い 異界 冥界 いかいめいかい
     う 羽毛濛々 うもうもうもう
     え 駅 汽車と屋敷消え えききしゃとやしききえ
     お お神酒片手で高樹澪 おみきかたてでたかぎみお
     か 肩はだけた裸 かたはだけたはだか
     き 金星‥‥マジ本気? きんぼしまじほんき
     く 草木引き裂く くさきひきさく
     け 決意言い告げ けついいいつげ
     こ コバンザメ詰め3箱 こばんざめつめさんぱこ
     さ 五月雨 晴れたミサ さみだれはれたみさ
     し 私物目潰し しぶつめつぶし
     す 図鑑 本貸す ずかんほんかす
     せ ゼブラ獲る 虎伏せ ぜぶらとるとらふせ
     そ そっちが窒素 そっちがちっそ
     た 体罰撤廃だ! たいばつてっぱいだ
     ち チンピラ フラフラ ピンチ ちんぴらふらふらぴんち
     つ 罪 起訴 機密 つみきそきみつ
     て 鉄塔撮って! てっとうとって
     と 突飛なヒット とっぴなひっと
     な 並ぶアスパラ 蓮 油菜 ならぶあすぱらはすあぶらな
     に 人参 隣人に にんじんりんじんに
     ぬ 脱ぎすぎず 着すぎぬ ぬぎすぎずきすぎぬ
     ね 願い叶う 長い鐘 ねがいかなうながいかね
     の 農婦 スイス風の‥‥ のうふすいすふうの
     は 反発半端 はんぱつはんぱ
     ひ 被曝 爆破日 ひばくばくはび
     ふ 震えるエルフ ふるえるえるふ
     へ 辺野古なら那古野へ へのこならなごのへ
     ほ 僕笑み 君えくぼ ぼくえみきみえくぼ
     ま 舞うよ 色情魔 まうよしきじょうま
     み 右の肩は裸の君 みぎのかたははだかのきみ
     む 無欲 書く 読む むよくかくよむ
     め 目明かし買う 菓子か飴 めあかしかうかしかあめ
     も 桃色エロい腿 ももいろえろいもも
     や ヤリマン まりや やりまんまりや
     い 慰霊 精霊 いれいせいれい
     ゆ 湯島天神で魔手 ゆしまてんじんでましゅ
     え 選り好み 残り餌 えりごのみのこりえ
     よ 4人で天女 よにんでてんにょ
     ら ランバダ半裸 らんばだはんら
     り 理髪 さっぱり りはつさっぱり
     る ルーブル寄る 昼夜プール るーぶるよるひるよるぷーる
     れ レフティー・ボーイ 手触れ れふてぃーぼーいてふれ
     ろ 路地 目黒区 目白 ろじめぐろくめじろ
     わ 悪乗り尻乗るわ わるのりしりのるわ
     ゐ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
     う 嘘 常に捏造 うそつねにねつぞう
     ゑ ヱビス冷え ゑびすひえ
     を ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 
     ん ンゴロンゴにコンロ来ん んごろんごにこんろこん

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    • 回文かるたはフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

    • 8周年記念新春恒例企画「回文かるた 2014」です。タイトルを含めて全50作。回文にコメントは付けないので、読者各自で想像力を脹らませてね

    • 絵札のイラスト「馬のイラスト・午年」「いらすとや」から借用しました^^
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    まもししもまう馬も獅子も舞う(回文かるた 2014)

    馬も獅子も舞う(回文かるた 2014)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net
    • Date: 2014/01/01
    • Media: Palind-carta
    • Palta: 兄 マヨ・マニア / 異界 冥界 / 羽毛濛々 / 駅 汽車と屋敷消え / お神酒片手で高樹澪 / 肩はだけた裸 / 金星‥‥マジ本気?/ 草木引き裂く / 決意言い告げ / コバンザメ詰め3箱 / 五月雨 晴れたミサ / 私物目潰し / 図鑑 本貸す / ゼブラ獲る 虎伏せ / そっちが窒素 / 体罰撤廃だ!/ チンピラ フラフラ ピンチ / 罪 起訴 機密 / 鉄塔撮って!/ 突飛なヒット / 並ぶアスパラ 蓮 油菜 / 人参 隣人に / ...

    ウェンズデー 21(2 0 1 3)

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  • ◎ M B V(MBV)My Bloody Valentine
  • 2013年2月の来日公演では聴衆に耳栓が配られたという元祖シューゲイザーによる22年振りの3rdアルバム。2012年5月にリイシューされたリマスター盤3種(1st、2nd、Ep's)が露払いになったのか、満を持しての新作である。デビューから四半世紀以上を経て古色蒼然どころか、「シューゲイザー」という1ジャンルを確立してしまったMBVのニュー・アルバムは良くも悪くも変わっていない。自主レーベルからのリリース、「YouTube公式チャンネル」で全曲試聴可という変化はあるけれど‥‥。当初は「オフィシャル・サイト」のみの限定販売(LP+CD+DLの3種)だったが、少し遅れてAamazonなどのネット通販や輸入CDショップ(リアル店舗)にも流通するようになった。見開きカード・スリーヴ(紙ジャケ仕様)、8頁ブックレット付きで、相変わらず歌詞は一切記載されていない。アナログ盤には同内容のCDが封入されているという。

    Kevin Shieldsがノイズの彼方から甘く囁く〈She Found Now〉、間奏で変拍子が一瞬入る〈Only Tomorrow〉、ビートレスの気怠い空間に揺蕩う〈Is This And Yes〉、ドリーミィなBilinda Butcherのヴォイスに魅了される〈If I Am〉、グラウンドビート風に揺れ動く〈New You〉、ドラムンベース風の〈In Another Way〉、ドカドカ喧しい6拍子のインスト曲〈Nothing Is〉‥‥一聴した時は平板で籠ったノイジーなサウンドにしか聴こえないけれど(マスタリングされていない?)、何回か繰り返し聴いていると次第に魅惑的なメロディが際立って来る。鬱蒼とした森の中で耳を澄ますと聞こえて来る野鳥の囀りや小動物たちの鳴き声のように。暴風雨の中から微かに聴こえる少女の歌声のように。森の中の精霊たちの囁き、海の中のセイレーンの誘惑‥‥それは夢の中の幻聴のように妖しく、甘美で麗しく、謎めいた予言や秘密のメッセージのようにも聴こえる。

  • ◎ SHAKING THE HABITUAL(Brille)The Knife
  • The Knifeはスウェーデン・ストックホルム出身の姉弟デュオ。濃いピンク地に緑色の文字とイラストという補色カヴァが誘蛾灯のよう妖しい光を放つ4thアルバムは12曲入りCDと13曲入り2CDの2種(ヴァイナル盤は3LP+2CD)がリリースされている。両者の違いは19分に及ぶ長尺ドローンの〈Old Dreams Waiting To Be Realized〉が収録されているか否かで、これを冗長に感じるかどうかで評価が別れるかもしれない。この種の男女デュオの例外に漏れず、女性をメイン・ヴォーカルに据えたシンセ・ポップだが、巷に溢れているドリーム・ポップとは乖離している。Karen Dreijer Andersonの押し殺したような呪術的ヴォイスはBjorkとKate Bushが地獄で合体して魔界転生した「魔女」のように思えなくもない。女シャーマンに導かれたリスナーは否応なくThe Knifeが創り出した不気味なダーク・ファンタジーの世界を彷徨うことになるのだ。アルバム(2CD)にはコミックと歌詞を表裏に載せた特大ポスター2枚が付いている。

  • ◎ ENORMOUS DOOR(Ex)The Ex & Brass Unbound
  • エチオピアのサックス奏者Getatchew Mekuriaと共演したことで生じたフィードバック効果なのだろうか、それとも異種共闘音楽から生まれる化学反応なのか、The Exの共演アルバムには秀作が少なくない。結成30周年を区切りに引退したG.W. Sok(ヴォーカル)に代わって、Arnold de Boer(ヴォーカル、ギター)が加入した新生パンク〜エクスペリメンタル・バンドの新作はフリー・ジャズ界で知られるブラス奏者、Mats Gustafsson(サックス)、Ken Vandermark(サックス、クラリネット)、Wolter Wierbos(トロンボーン)、Roy Paci(トランペット)とのコラボ・アルバム。オリジナル4曲に加えて、Katherina(ドラムス)嬢が歌うエチオピアン・ガレージのカヴァ〈Belomi Benna〉、7"シングル曲の〈Our Leaky Home〉。《Catch My Shoe》(2010)に収録されていた〈Bicycle Illusion〉をブラス・ヴァージョンで新録、《Turn》(2004)の収録曲〈Theme From Konono〉の歌詞を変えてリメイクした〈Theme From Konono No.2〉も再演しているのだ。

  • ◎ SILENCE YOURSELF*(Matador)Savages
  • 漆黒に浮かび上がる4人の女性のポートレイト・カヴァ、黒地に白抜き文字の9つ折り歌詞カード‥‥ロンドンで結成されたポスト・パンク・バンドのデビュー・アルバムはモノクロの意匠を纏っている。冷凍保存されていたJoy Divisionの遺伝子を組み換えて(性転換させて?)30数年後に甦ったかのような硬質で禁欲的なサウンドに鳥肌が立つ。黒く渦巻く内省的な情念が閃いて爆発するのだ。ウィリアム・ゴールディングの小説『蠅の王』(1954)から採ったというバンド名「蛮族」(savages)にも驚かされるが、ジョン・カサヴェテスの映画の中の台詞をサンプリングした〈Shut Up〉に始まり、短いインスト〈Dead Nature〉を挿み、クラリネットの鳴り響くバラード〈Marshal Dear〉で終わる全11曲38分はダイヤモンドのように超強度で隙がない。Jehnny Beth(フランス人)のスタイリッシュなヴォーカル、Gemma Thompsonの空間を引き裂くノイズ・ギターもクールでカッコ良い。

  • ◎ THE WEIGHING OF THE HEART*(Second Language 2013)Colleen
  • パリ生まれ、スペイン在住の女性アーティストColeen(Cécile Schott)の4thアルバム。歌詞カード(8頁)を中綴じした見開きブックレット・シリーズ(2L Library Series)の1冊としてリリースされた(縦長の紙ジャケ仕様)。ギター、小型チェロ(viola da gamba)、ピアノ、オルガン、クラリネット、トイ・ガムランなどが優しく奏でられる音数の少ないアクースティック・サウンドだが、最新のエレクトロニカ風に響く。《心の計量》と題されたアルバムの最大の変化は本人自らが歌っていることかもしれない。全11曲中、8曲で可憐なヴォイスを披露する。砂漠の小舟、夜空の大熊座、岸辺の貝殻、弓と矢、雨雲、睡る小鳥、風、夢見る猫、草原、月光、大鴉、犬頭狒々(dog-headed ape)‥‥などが描かれた心象風景としての半抽象画、その澄み切った音響空間は電子楽器(エレクトロニクス)を使わないBjork、1人多重唱のJulianna BarwickやGrouperなどを想わせる。

  • ◎ MAJOR ARCANA(Carpark)Speedy Ortiz
  • 米マサチューセッツ・ノーサンプトンで結成された4人組のデビュー・アルバム。最初は紅一点のSadie Dupuis(ヴォーカル、ギター)のソロ・プロジェクトだったが、マサチューセッツ大学アマースト校でMFA(美術学修士号)を履修中にMike Falcone(ドラムス)、Darl Ferm(ベース)、Matt Robidoux(ギター)が加入してバンド編成になったという。PixiesやHoleを想わせるグランジ風のインディ・ロックはノイジーでヘヴィだが(曲によってはピアノやウーリッツアーも入る)、いわゆる絶叫パンク・スタイルではないSadie嬢の可憐なヴォーカルのせいか、意外とポップに聴こえる。ノイズとポップの共存、静から動への緩急のつけ方はPixiesやNirvanaの遺伝子を継承している。それだけにバンドが一丸となって突進する時の迫力は凄まじい。〈No Below〉の後半で炸裂するギター・ソロには痺れるし、2〜3分台の曲が続いた後で爆発するラストの7分にも及ぶ〈MKVI〉のインプロヴィゼーションにSpeedy Ortizの真骨頂があるのだろう。

  • ◎ DERIVA(Kristoff Silva)Kristoff Silva
  • 《Em Pe No Porto》(Jardim Producoes 2009)から深化したアルバム。Kristoff Silvaのヴォーカルとギターに、Rafael Martini(ピアノ、ローズ)、Antonio Loureiro (ドラムス、ヴィブラフォン、パーカッション)、Alexandre Andres(フルート)という編成で、トランペット、サックス、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴットの入ったチェンバー・ポップもあるが、他のミナス勢とは印象が異なる。変則ビートがドラムンベースへ雪崩れ込む〈Palavrorio〉、LenineやPrinceを想わせるファンクの〈Automotivo〉、エレクトロニカ風の〈Avida〉‥‥。共同プロデューサのPedro DuraesやKristoff Silvaがプログラミングやサンプラーを使用しているだけでなく未来志向というか、プログレッシヴなサウンドを目指すという気概が感じられるから。それだけにラストのアルバム・タイトル曲〈Deriva〉は胸に沁み入る。ロシア人の海中写真家アレクサンダー・セミョーノフ(Alexander Semenov)の作品をモチーフにしたアルバム・カヴァには前作の「フェイス・コラージュ」の痕跡(唇やイラストの一部)が残っている。

  • ◎ LOUD CITY SONG*(Domino)Julia Holter
  • Julia Holterがベッドルームから抜け出して都会の雑踏へ歩み出た3rdアルバム。現代ではなく過去へタイムスリップ。彼女の幻視する時代はコレットの小説「ジジ」(Gigi 1944)やミュージカル映画『恋の手ほどき』(1958)に描かれた19世紀末パリのレストラン「マキシム」の情景(ゴシップ・イラスト週刊誌「ジル・ブラース」も登場!)だったり、ホーン(管楽器・警笛)に囲繞された閉所恐怖症的な世界だったり、渓谷の樹々と会話する「緑の荒野」だったりする。外界とのセンシティヴな交感は《Ekstasis》(Rvng 2012)にも引用されたヴァージニア・ウルフ的である。 Barbara Lewisの〈Hello Stranger〉(1963)のカヴァを含む全9曲(〈Maxim's〉は2ヴァージョン収録)はCole Mardsen Greif(Ariel Pink)との共同プロデュース。Julia Holterのキーボードにベース、パーカッション、トロンボーン、サクソフォン、ヴァイオリン、チェロが鳴り響くサウンドはノスタルジックでファンタジック。彼女の高音ヴォイスも時間遡行して若返ったように聴こえる。英WIREの年間ベスト・アルバム(2013 REWIND)で第1位に選出された。

  • ◎ R PLUS SEVEN*(Warp)Oneohtrix Point Never
  • Oneohtrix Point Neverはブルックリンを拠点に活動するDaniel Lopatinのソロ・プロジェクト。《Replica》(Software Recording Co. 2011)の髑髏カヴァ‥‥手鏡に映った吸血鬼の真の姿は鬼面人を驚かす(リスナーを限定する)類いのものだったが、悪趣味なヴァージル・フィンレイ(Virgil Finlay)のモノクロ・イラストから一変して、スイスのアニメ作家ジョルジュ・シュヴィツゲベル(Georges Schwizgebel)の映像作品から採った4thアルバムのカヴァは万人受けしそうな空気感に満ちている。パイプ・オルガンの荘厳な響きから始まり、加工されたヴォイス、シンセ・ノイズ、琴、獣の唸り声(?)、クワイア、小鳥の囀り‥‥様々な音源をサンプリング〜コラージュして、アンビエントともドローンともエレクトロニカともエクスペリメンタルとも言い難いIDM(Intelligent Dance Music)を創り出す。雑多なコラージュや静謐なアブストラクトというよりも、あるべき場所に精確に配置されたカンディンスキーの半抽象画を鑑賞しているような驚きと愉しさがある。

  • ◎ WED 21*(Clammed Discs)Juana Molina
  • アルゼンチン音響派歌姫の6thアルバムはセルフ・プロデュース。ギターだけでなく、全ての楽器を彼女1人で演奏しているという。パーカッシヴなギターが撥ねる7拍子の〈Eras〉、アナログ・シンセが変態的にブヒョブヒョと鳴る〈Lo Decidi Yo〉、間奏でサックスが荒れ狂う6拍子の〈Las Edades〉‥‥。白昼夢の中を彷徨っているような超現実的な陶酔感に包まれるが、ビートの強調された曲には高揚感もある。多重録音されたヴォイスと反復するループ‥‥聴き込むほどに浮遊するヴォーカルと摩訶不思議なサウンドに幻惑されて蕩けてしまいそう。「青い衣裳を纏った女」(Juana Molina)の顔はのっぺらぼうで、目・鼻・口が「へのへのもへじ」のようにアルバム・タイトル文字「W・E・D・21」に置き換えられている。英ドミノ(Domino)からベルギーのクラムド・ディスク(Clammed Discs)にレーベルを移籍しても、素顔を隠したアルバム・カヴァ「ヘン顔の女たち」は踏襲されている。

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    Alexandre Andres、Yo La Tengo、Foxygen、Grouper、Iceage、Nick Cave & The Bad Seeds、Joana Queiroz Quarteto、Hookworms、Waxahatchee、Rachid Taha、Jessica Pratt、Aoife O'Donovan、Baths、Julianna Barwick、The Julie Ruin、Fuzz、Volcano Chior、Mazzy Star、Laurel Halo、Wazzabi‥‥などが候補だが、まだ聴き切れていないアルバムも残っている。国内外音楽メディアの年間ベスト・アルバムを眺めていて気になったのは英米追従型が良いとは思わないが、日本の洋楽業界も空洞化しているのではないかということ。MBVの国内盤がリリースされなかったのは象徴的な出来事だった。インディーズからメジャーへ移籍という成功の図式が崩れ去って久しい。インディーズ・レーベルをコントロール出来なくなったメジャー・レコード会社はビッグ・ネームの新作や評価の定まった旧譜を手を替え品を替えて出すしか能がない(逆に弱小インディ・レーベルから国内・流通盤が出たりする)。その結果、邦楽(J-POP)しか聴かない、国内盤しか買わないというガラパゴス化した音楽リスナーの棲息する国(というか島?)になってしまった。

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    Wed 21

    Wed 21

    • Artist: Juana Molina
    • Label: Crammed Disc Us
    • Date: 2013/10/29
    • Media: Audio CD
    • Songs: Eras / Wed 21 / Ferocísimo / Lo Decidí Yo / Sin Guía, No / Ay, No Se Ofendan / Bicho Auto / El Oso De La Guarda / Las Edades / La Rata / Final Feliz


    MBVShaking The Habitual: Deluxe 2CDEnormous Door




    Silence YourselfWeighing Of The HeartMajor Arcana




    DerivaLoud City SongR Plus Seven

    S K N Y S ー S C R A P S 2 0 1 4

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  • S K N Y S ー S C R A P S 2 0 1 41312111009080706




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    ネコ・ログ #32

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  • 昨年の秋、わたしは飼い猫のサビを失いました。18歳と7ケ月、猫としては充分長生きしたとはいえ、そしてペットは先に逝くものと覚悟はしていてもいつも本当につらいです! まして今回のサビの最期はここに記すのもつらいほど、苦しんで苦しみぬいての事だったので、どうすることもできず、あがくサビを抱きつづけるしかありませんでした。わたしはサビの死に大きな大きな罪の意識を持ってしまいました。わたしの看護の仕方が悪かった! 息を引き取る時、あんなに長く苦しんだのは、まだまだ生きる体力が残っていたのに必要以上に心臓に負担をかけてしまったからだ!! あまりに苦しんで死んだサビが可哀想だったのと自分のいたらなさに打ちのめされて、しばらくは声も出ませんでした。アシさん達にも度々お世話になり、仕事が終わった時もみんな心配してくれたのですが、そのアシさん達にもサビの死をすぐには告げられず、翌日わたしは1人でサビの葬式を出しました。私がマンガ家になってから飼った代々の猫が納められているJ院。それはそれは寂しく悲しい野辺送りでした。
    山岸 凉子 「猫・ねこ・ネコ」


  • ♯280│スズ│飼い猫 ── 可愛いチビにゃんこ
    子ネコの頃から知っているチビ猫のスズちゃんは同じ体型のままで、何年経っても大きくならない(成長しても大きくならないネコ種なのだろうか)。警戒心の強い(小心者?)の性格も小さな躰に違わず変わらない。いつもならば仲良くなっても些細なことで、クルマやバイク、自転車、散歩中の犬などが目の前を通っただけで、家の中に駆け込んで隠れてしまうのに、この日は逃げる気配が全く感じられなかった。陽も翳って少し暗くなっていたが、民家や車庫の前で何枚か撮れた。リラックスしているのか、耳もピンと立っている。後日、飼家の玄関の前で大人しく座っているスズちゃんを見つけた。これは絶好のシャッター・チャンス!‥‥腰を落ち着けて撮れるかもと期待して1枚撮った直後にクルマが路地に入って来た。驚いたスズちゃんは家の奥に引っ込んでしまい、何度呼んでも出て来なかった。

    ♯281│レイ│飼い猫 ── 可愛いデカ目にゃんこ
    2011年に亡くなったトミーさんの後釜として飼われているレイちゃんは人懐っこくて動作も機敏だ。いつも休むことなく動き回っているし、正面に座ってカメラを向けると必ず近づいてくるので、間合いを取るのに苦労する。それでも躰を撫でると気持ち良さそうに寝転んでゴロニャン状態になったりする。女飼主によると「決して私には躰を触らせない外面の良いネコ」だという。周囲にネコの気配は感じられなくても猫語で呼びかければ、どこからともなく姿を現わす。三毛ネコ(マープル)の後を追い駆けて民家と民家の狭い隙間に消えたと思ったら、いつの間にか何事もなかったように戻っている。ネコが疲れて休むのが先か、それともカメラマンの痺れの切れるのが先か‥‥辛抱強く待たないと写真は撮れない。長らく露天駐車場だった空き地にマンションが建って、ネコたちの遊び場が減ってしまうのは残念だが、クルマに轢かれるリスクも減ったと好意的に考えておこう。

    ♯282│ドリス│飼い猫 ── 青い目はシャミー系?
    青い綺麗な目はシャム猫の血を引いているのだろうか。ビックリ顔のドリスちゃん。I袋駅前公園の植え込みの陰に隠れて往来する人間や散歩中の犬などを注意深く観察している。食事の時間には出て来るものの、不用意に近寄ると逃げられてしまうので、シャッター・チャンスは少ない。もう少しズーム・レンズの倍率が高ければ遠くからでも撮れるのにと思わなくもないけれど、ネコに気づかれない「盗撮」は趣味ではないし、ネコ撮り用には3倍ズームくらいで充分だと思う。望遠レンズよりも明るい標準ズーム・レンズが欲しい。今使っているミラーレス(NEX-5N)は先代のサイバーショット(DSC-P8)に較べると、どうしても暗く沈んだ色合いに写ってしまうから‥‥。ネコの毛並みまで鮮明に撮れるという解像度の高いフルサイズ・ミラーレス(α7)にも惹かれるが、今のところ明るいFEズーム・レンズがない。APS-C(Eマウント)の標準ズーム・レンズ(F2.8)が出るという噂は本当かしら?

    ♯283│エミリ│飼い猫 ── 真顔で挨拶する
    ある民家の前でネコの気配を感じて立ち止まる。鉢植えやバケツなどが無造作に置かれている奥に潜んでいたネコと目が合った。物陰から鋭い視線を発しているエミリちゃんは対峙している相手が敵か味方か、有害か有益か、それとも人畜無害人物なのかを用心深く品定めしている。H幡神社商店会通りから脇道に入ったところに数匹のネコたちが棲息している。レモンちゃん(スズメちゃんの母ネコ)以外のネコは人馴れしていないので、近寄るや否や民家と民家の狭間に素早く逃げ去ってしまう。それでも多少の興味はあるらしく、ブロック塀の奥‥‥一定の距離を保った場所から見つめている。エミリが逃げ出さないのは鉢植えなどの障害物が目隠しになっているから安全だという判断が働いているからだろう。この緊迫したシチュエーションはネコを撮るのには好都合だったりする。食事の世話をしている民家の老人はネコの写真には全く興味がないらしく、余り撮り甲斐はないけれど。

    ♯284│マイ│飼い猫 ── ボクも翼がほしい
    ネコが空を見上げている時は形を変えて流れて行く白い雲や色彩が変化して行く美しい夕焼けではなく、鳥たちに関心があるからだろう。マイちゃんも空を飛ぶ鳩や電線に止まっている雀を見つめているはずである。小鳥たちが地上に舞い降りて来た時には姿勢を低く身構えた戦闘モードに入って獲物を狙うハンターに変身する。I袋駅前公園に暮らすネコたちは食生活に恵まれているので、可愛いマイちゃんも御覧の通り立派なメタボ体型になってしまった。ネコ族は人間の若い女性のように人気アイドルや美人女優、セレブ・モデルなどの体型に憧れてダイエットしようとは夢にも思わないらしい。サバンナやジャングルで自給自足しなければならない野生のネコ科動物たちは贅肉を削ぎ落した精悍な肢体なのだが、公園のネコたちは丸々と肥っている。でも、もう少し痩せないと、もし背中に翼が生えても「空飛び猫」(講談社 1993)のように自由に大空を羽ばたけないよ。

    ♯285│ポン│飼い猫 ── ボンネットの上の猫
    暖かいボンネットの上のネコ。モトアビと疑似家族を形成していたポンちゃんは大黒柱的な役割を演じていたのだろうか。灯籠の上や雑居ビルの外階段の上に昇って寛いでいた姿は今はもう見られない。ネコ・ウォッチャーの女性によると、ポンちゃんはネコ虐待者にS神井川に投げ捨てられたという。俄かには信じられない話だが、この周辺にはノラ猫を虐める不届きな不審者がいるらしい。恐らく犯人の身元も名前も特定されているはずなのに日本には動物虐待者を厳しく罰する法律がないので事実上、野放し状態なのだ。児童虐待や生徒間の虐めで死者や自殺者が続出する病んだ社会では「ネコの虐待死事件」まで手が回らないのでしょうか。動物写真家の岩合光昭氏も「アメリカでは動物虐待は禁固刑に当たる。ヒトが増えればいろいろあるだろう。ネコには対応できないことも起こってくる。その結果いのちを落とす。ネコはおちおち外を歩けなくなってしまうだろうか」と書いている。

    ♯286│ロリ│飼い猫 ── 笑う三毛ネコちゃん
    I袋水天宮神社の置き石の上でニッコリ微笑むネコちゃん。写真を撮っていた時は素っ気ない態度だったのに、帰ろうとした途端、こんな魅力的な表情をするんです。ロリちゃんだけでなく、甘えたように引っくり返ってゴロニャンするダイや寝転がって見つめるクリちゃんなど、まるで恋人との別れを惜しむような表情や態度で魅惑するネコたち。もっと一緒に遊んで欲しいという意思表示なのかもしれませんが、ロリちゃんはチェシャ猫のように意図的に笑っているわけではないでしょう。口を開けて舌を出した表情が笑っているように見えるだけのこと‥‥でも、これが『猫語の教科書』(筑摩書房 1995)の中で言及されている必殺技の「声を出さないニャーオ」(silent meaow)なのではないかしら。人間の耳には聞こえない高周波数の鳴き声が一体何を意味しているのかは謎ですが、牝猫のツィツァ(ポール・ギャリコ)も書いているように人間の心を揺さぶって止まない。チェシャ猫のニヤニヤ笑いもサイレント・ミュウの一種だった?

    ♯287│パル│飼い猫 ── 一緒に遊ぼうよ
    マンションの外壁と柵の間の狭い空間に隠れるように座っていたパルちゃん。その物欲しそうな表情は、もし手が届くならば思わず抱きしめてあげたい衝動に駆られてしまう。もちろん脅えて逃げ隠れしているわけではなく、この場所が気に入っているのでしょう。もう一棟のマンションの前の階段を降りると某区中央図書館横の遊歩道に通じる。この段差のある周辺地域がパルやロンちゃんの遊び場になっているようだ。遊歩道には木製のベンチも設置されているが、背後の植え込みが蚊の巣窟になっているので、夏場は緑陰で涼むどころではない。パルちゃんも蚊に刺された鼻や耳が赤剥けになっていて可哀そうだった。ネコたちの姿は見えなくても、遊歩道を歩きながら猫語で呼びかけると姿を現わすことも少なくない。食べ物を期待して出て来るわけではないので(毎日食事を運んで来るネコオバさんやオジさんたちがいる)、純粋に遊んで欲しいのだと思われる。

    ♯288│ロン│飼い猫 ── 日向で毛繕いする
    長毛種のグルーミングは見ているだけでも大変そうだ。マンション前の駐車場も兼ねた広場に座って入念に毛繕いをするロンちゃん。ちょうど躰の右半身に暖かい陽射しが当たって黄金色にキラキラと輝いている(写真の左端、右後足の下の垂直に立っている線状のものは瑕やノイズではなく毛に絡まった小枝!)。ネコが一心不乱にグルーミングを始めるとシャッター・チャンスは殆ど無いに等しいのだが、この時は絶妙のタイミングで快心の写真が撮れた。構図も決まっていて、トリミングする必要も余りなかった。ロンゲの手入れは長い髪の女性や長髪の男子と同じく時間も労力も費やしそう。それだけに毛並みは柔らかくて肌触りも気持ち良い。抱き上げると意外に軽いのも長毛種の特徴ではないかしら。パルと同じように手招きして呼べば挨拶に来る可愛いネコちゃんである。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第32集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ280匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。今回の常連ネコはスズ、マイ、ロンちゃん。怪談雑誌「幽」の姉妹誌「Mei(冥)」(メディアファクトリー 2012)の創刊号に山岸凉子の特別描き下ろしマンガ「猫・ねこ・ネコ」が載っている。2011年の秋、作者は飼い猫のサビちゃん(18歳7カ月)を喪った。苦しんで逝ったネコへの罪悪感に苛まれた彼女は四十九日の法要を済ませてJ院に納骨した後、ボランティア団体から被災地のネコ2匹を引き取ることになる(先代の愛猫ケイトちゃんを亡くした後は4年間もネコを飼えなかった)。桜の散る中、山岸家にやって来た2匹のネコ、グレーのシマ猫ハルと白黒ブチ猫コバンは仲が悪くて‥‥という心霊ネコ・エッセイです。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の横縦比は3:2ですが、サムネイルは4:3にリサイズしています

    • 山岸凉子の「猫・ねこ・ネコ」は『ケサラン・パサラン 2』 (メディアファクトリー 2012)に同時収録されています
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    Mei(冥)Ghostly Magazine for girls Vol. 01

    Mei(冥)Ghostly Magazine for girls Vol. 01 創刊号

    • 著者:山岸 凉子 / 辻村 深月 / 波津 彬子 / 伊藤 三巳華 / 加門 七海 / ...
    • 出版社:メディアファクトリー
    • 発売日:2012/10/19
    • メディア:雑誌
    • 目次:特集 闇を歩く / 特別描き下ろしマンガ 「猫・ねこ・ネコ」 / 怪談小説 「丘の上」 「いたって、いいじゃない。」「イボの神様」 「私のサイクロプス」 / 怪談漫画 怪談古裂帖 「心中」 川端康成 / 「ミミカの遠野物語」 / たそがれの市 「紅の皿」 / door 「堅信礼」 / あやし黄表紙 「開幕」 「百物語して蜘の足を切る事」 / 怪談実話 「怪談暮らし」 「私は幽霊を見ない」 ...

    サイバー・キャット 21

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    クリアランスセール 2 0 1 4

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  • ◎ Narrow(Solfo / PIAS 2012)Soap & Skin
  • 《Lovetune For Vacuum》(PIAS 2009)で鮮烈にデビューしたオーストリア・シュタイアーマルク出身の女性SSW、Anja Plaschg(Soap & Skin)のミニ・アルバム。2ndフル・アルバムではなく、全8曲29分という形態でリリースされたのは父親の死(2009)が色濃く反映されていることと無関係ではないらしい。Soap & Skinはピアノ弾き語りスタイルの自作自演歌手だが、オーソドックスなジャンルの枠に収まらない。エクスペリメンタル、エレクトロニカ、ポスト・クラシカル、ダーク・アンビエント‥‥母国語で歌われる冒頭の2曲〈Vater〉と〈Voyage Voyage〉は喪服の女性の顔を隠す黒いヴェールのような暗鬱なストリングスで覆われている。インダストリアル・ゴシック風の〈Deathmental〉(デス・メタル?)やハンマー・ビートの〈Big Hand Nails Down〉が重くのしかかる。美声とは言い難い翳りを帯びた内省的なヴォイスがヨーロッパの最深部へ導くのだ。

  • ◎ We Know Nonsense(Staubgold 2013)The 49 Americans
  • 「49人のアメリカ人」という巫山戯た名前の英DIYバンド。その発端は米国生まれの英国人Giblet(Andrew Brenner)を中心とする音楽 / 非音楽集団だったというが、David ToopとSteve Beresfordのプロデュースした2ndアルバム《We Know Nonsense》(1982)はフリージャズ系のミュージシャンたちも乱入して、パンク、ニュー・ウェイヴ、ロックンロール、アフロ・ファンク、カリビアン、ディスコ、ラウンジ、ミュージカル、アカペラ、ジャズ、アヴァン・ポップ、エクスペリメンタル‥‥などが混在する自由で愉しい稀有な音楽となった。リイシューCDは2ndの17曲に、1stアルバム《Wonder(E Pluribus Unum)》(1980)から11曲、《The 49 Americans EP》(1979)から12曲をボーナス・トラックとして追加収録した全40曲、約80分の大盤振る舞い。80年代初頭のロンドンの熱気がタイムカプセルのように凝縮されている。

  • ◎ Welcome To The Welcome Wagon(Asthmatic Kitty 2008)The Welcome Wagon
  • アーモンド型に切り抜かれた紙ジャケの窓に写実的に描かれた男女の姿が映っている(歌詞ブックレットを引き抜くとキリストのイラストが現われる趣向)。The Welcome WagonはNYブルックリン・ウィリアムズバーグにある教会の牧師Vito Aiutoと妻Moniqueによる異色デュオ。デビュー・アルバムはVitoのギター、Moniqueのグロッケンシュピール、ハーモニカにフレンチ・ホルン、ラップ・スティール、トロンボーンという編成で、プロデュースしたSufjan Stevensもバンジョー、ベース、ドラムス、ギター、パーカッション、ピアノ、ウクレレ、ヴォーカルで全面サポートしていることからも分かるように、彼のソロ・アルバムと親和性の高い牧歌的なサウンドになっている。牧師夫婦のヴォーカルは素朴で優しく、キリスト教的な世界観を体現しているものの押しつけがましいところは少しもない。Vito Aiutoのオリジナル曲、17世紀長老派教会の礼拝用詩編や賛美歌、ゴスペルなどのトラディショナル、The SmithsやThe Velvet Undergroundのカヴァまで違和感なく聴ける。

  • ◎ The Hollow Of Morning(Second Motion 2008)Gemma Hayes
  • アイルランド・サウスティペラリー(バリーポリーン)生まれの女性SSW、Gemma Hayesの3rdアルバムは粒子の粗い白黒ポートレイト・カヴァが彼女の美貌を暈しているような気もする(ファン以外の人たちにはジャケ買いは疎か、クリアランス・セールでもスルーされる可能性が高いそう。美人で声も可愛いのに惜しいなぁ)。アイリッシュらしい透明感のある清楚なサウンドで、アクースティック・ギター弾き語りの優しいフォークと疾走感のあるインディ・ロックが混在する構成。ラストのインスト曲〈Under A Canopy〉を除き、全編に渡ってGemma Hayes嬢の可憐なヴォーカルを堪能出来る。1stシングル曲の〈Out Of Our Hands〉はシューゲイズ風のギター・ロック。Kevin Shields(ギター)がゲスト参加した〈In Over My Head〉は期待に違わずノイジーなギターが濃霧のように煙るマイブラ直系のサウンドになっている。この1曲のためだけでも、アルバムを聴く価値はあるだろう。

  • ◎ Under My Bed(Barclay 2011)Lou Lesage
  • Lou Lesage嬢もVanessa ParadisやCharlotte Gainsbourgと同じく「歌う女優」の1人。左手で片頬を隠したモノクロのカヴァ・ポートレイト(お魚顔の戸田恵梨香を想わせなくもない?)は倦怠感や物憂いさをも感じさせる。Pierre Emery(Ultra Orange)の全面プロデュースで、作詞・作曲だけでなく、ギター、ベース、ドラムス、キーボードまでを演奏する力の入れよう。それもそのはず、彼女はPierre Emery&Gil Lesage夫婦の娘なのだから(Serge GainsbourgとCharlotte父娘の関係を思い出すリスナーもかもしれない)。気怠さと儚さが共存する消え入りそうな〈Forgotten Child〉、クールで乾いたロックンロールの〈Dirty Looks〉、Pierre Emeryのギター・ソロが炸裂する〈Can Be Cruel〉‥‥全13曲英語詞ながら、60年代風ロック・サウンドがロリータ・ヴォイスを際立たせる。お顔は怖そうですが、フランス女優の例外に漏れず、お声は可愛いのです。

  • ◎ Child Bride(Bella Union 2012)Hannah Cohen
  • Hannah Cohenは米サンフランシスコ生まれの元モデル、写真家‥‥という経歴のSSW。デビュー・アルバムのカヴァ・ポートレイト(Timothy Greenfield-Sanders撮)はラファエル前派の肖像画のように美しいが、インナー&バック・カヴァ写真は彼女自身が撮っている。〈Boy+Angel〉の1曲を除き、彼女の作詞・作曲によるオリジナルなので、元モデルや女性写真家という肩書きは必要ないのかもしれない。Thomas Bartlett(Daveman)のプロデュース(ピアノ、キーボード、ドラムス)で、Sam Amidon(ギター、バンジョー)、Brad Albetta(ベース)、Kenny Wolleson(ドラムス)、Doug Wieselman(クラリネット)、Rob Moose(ギター、ヴァイオリン、ヴィオラ)、Mauro Refosso(パーカッション)などが参加している。透明感のあるアクースティックなサウンドがHannah Cohenのナチュラルで伸びやかなヴォーカルを引き立てる。「美女と仔猫」も良く似合うにゃん。

  • ◎ Debora Weht(Eden 2012)Debora Weht
  • アルゼンチン・コルトバ出身の少女Debora Wehtちゃんのデビュー・アルバム。まだあどけなさの残る声と顔立ちにも拘わらず、ベテラン歌手が鼻白み、口パク・アイドルたちも尻尾を巻いて穴の中に入っちゃうくらい歌が上手い。フォルクローレ、ボサ・ノヴァ、サンバ、タンゴ、フィーリンなどの名曲だけでなく、ジャズやソウルのスタンダードもカヴァ。Lucas Heredia(ギター、ベース)やGaston Testa(キーボード)などの好サポートを得て、ラテン・アメリカの大空に羽搏く。「ペルーの貴婦人」と称される女性作曲家&歌手Chabuca Grandaを筆頭に、Joao Gilberto、Chico Cesar、Jose Dames / Horacio Sanguinetti、George Gershuwin、Cesar Portillo De La Luz、Francesca Ancarola、Sam Cooke、Djavan‥‥という選曲センスも光る。Pedro Aznarもカヴァしている〈Maria Lando〉を軽々と歌い、ジャズ・スタンダードの〈Summertime〉もハマリすぎて怖いくらい。天才少女シンガーと呼んでも良いかもしれない。

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    今年(2014)のタワレコ渋谷・クリアランスセール(B1)はショボかった。例年ならば壁側だけでなく中央にもワゴンの列が並び、その隙間を大勢の客たちが埋め尽くすバーゲン会場並みの大混雑なのに、ワゴンの数も半減して空間ばかりが目立つ。開場してから2時間以上経っていたので嵐の去った後の静けさなのかもしれないが、アルバム(CD、DVD)に比例して人数も少なかった(大量に買い漁るセドリ業者たちも拍子抜けしたんじゃないか)。いつも真っ先に見る「WORLD」のワゴンもなくてガッカリ!‥‥2時間ほど物色して4枚を購入した。これだけでは記事を書くのに枚数が足らない‥‥というわけで、秋のクリアランス(都内のタワレコ各店舗、各フロアのワゴン)で入手したアルバムも数枚加えることにした。新年の掘り出し物はThe 49 Americansのリイシュー・アルバムかな?‥‥「ROCK / POP」ではなく「SOUL / HIP HOP」のワゴンの中に紛れ込んでいたので、見逃した人も少なくなかったかもしれません。

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    • 1枚(¥290)×7=2030円の出費です^^;

    • Soap & SkinとDebora Wehtはミニ・アルバムなので、お得感は余りないかも?
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    Narrow

    Narrow

    • Artist: Soap & Skin
    • Label: Play It Again Sam
    • Date: 2012/02/14
    • Media: Audio CD
    • Songs: Vater / Voyage Voyage / Deathmental / Cradlesong / Wonder / Lost / Boat Turns Toward The Port / Big Hand Nails Down


    We Know Nonsense

    We Know Nonsense

    • Artist: The 49 Americans
    • Label: Staubgold Germany
    • Date: 2013/04/11
    • Media: Audio CD
    • Songs: Doo-bee-doo-bee / It Is And It Is / Edible / Verbal Culture / Liberty / We Know Nonsense / Tendency To Lie / Glimpse Go By / It's Time / Mon Nuisance / Taste / Imagination / Do / I Be Later / Move Around All Day / Free Trade / Mummy Was A Record Player / Mon ...


    Welcome To The Welcome Wagon

    Welcome To The Welcome Wagon

    • Artist: The Welcome Wagon
    • Label: Asthmatic Kitty
    • Date: 2008/12/09
    • Media: Audio CD
    • Songs: Up On A Mountain / Sold! To The Nice Rich Man / Unless The Lord The House Shall Build / He Never Said A Mumblin' Word / Hail To The Lord's Annointed / But For You Who Fear My Name / American Legion / You Made My Day / Half A Person / Jesus / I Am A Stranger ...


    Hollow Of Morning

    Hollow Of Morning

    • Artist: Gemma Hayes
    • Label: Second Motion
    • Date: 2008/09/30
    • Media: Audio CD
    • Songs: This Is What You Do / Out Of Our Hands / January 14th / Home / In Over My Head / Chasing Dragons / Don't Forget / Sad Ol Song / At Constant Speed / Under A Canopy


    Under My Bed

    Under My Bed

    • Artist: Lou Lesage
    • Label: Universal France
    • Date: 2011/11/18
    • Media: Audio CD
    • Songs: Forgotten Child / Dirty Looks / Turn Into Nightmares / Gonzo Needs A Holiday / Idle Times / Private Life / Under My Bed / Can Be Cruel / Never Can Wait / Empty Head / Drown The Fish / Boy Next Door / Sad Surfer


    Child Bride

    Child Bride

    • Artist: Hannah Cohen
    • Label: Bella Union
    • Date: 2013/07/01
    • Media: Audio CD
    • Songs: Don't Say / The Simplest / Shadows / California / Boy + Angel / Sorry / Say Anything / Carry You Under / The Crying Game / Sunrise


    Debora Weht

    Debora Weht

    • Artist: Debora Weht
    • Label: Eden Srl
    • Date: 2012/02/04
    • Media: Audio CD
    • Songs: Maria Lando / Para Que Discatir Con Madame / A Primera Vista / Nada / Summertime / Contigo En La Disnatcia / El Secreto Del Amor / A Change Is Gonna Come / Flor De Lis

    サイボーグ 009ノ6

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  • 「アステカ編」(週刊少年サンデー 1979)
  • ある夜、暴走族に襲われていた娘を救った島村ジョー(009)は自分の母親のことを「あばずれカアちゃん」と侮辱されて逆上する。殴られても無抵抗のまま耐え忍び、殴り返す代わりにバイクを破壊するが、その超人的な能力に怖れをなして暴走族だけでなく、救けた娘までもが逃げ出してしまう。自暴自棄になったジョーはクルマを急発進させ、猛スピードで崖から転落する。ギルモア邸でジョーの異変を感知したフランソワーズ・アルヌール(003)はジェロニモ(005)を伴って事故現場に駆けつけるが、自分を見失ったジョーは2人に暴力を振るう。マンボウを狙うサメが海上で爆破され、バミューダ沖で米空母艦が爆発沈没。ウィニペグ空港上空でハイジャックされたバンクーバー発のカナダ・ロッキー航空203便が謎の大火球に呑み込まれる。大爆発するかに思えた旅客機は何事もなかったように無事空港に着陸したものの、奇妙なことに赤ん坊1人を除き全乗客乗務員が死亡していた。

    「チリ沖でのサメの大量死」「アマゾン奥地の謎の大火柱による山火事」「シアトル郊外の大地滑り」「太平洋上のタンカー爆発事故」‥‥という怪奇現象が頻出していた。「ナニモノかの〈意志〉が行なったことだ」と眠っていたイワン(001)がジョーたちに寝言のように告げる。ジェット(002)が怪事件の起こった地点を地図に記して繋げると、メキシコ市付近、ポポカテペトル山を中心とする半径約4千キロの円になった。ゼロゼロナンバー・サイボーグたちは調査のためにドルフィンII世号で古代アステカ王国の都へと向かう。現地の老婆から偉大なアステカ王モンテスマの末裔の神官(魔術師)テラクトラマカスキ様がポポカテペトル山を閉ざしてしまったと聞かされる。雷雲に覆われた「精神力障壁」(サイコ・バリヤー)が009たちの前に立ち塞がる。空間を歪められた黒雲の中を彷徨う一行。濃霧の中から1人のB・G(ブラック・ゴースト)団員が現われ、息絶えて障壁を越えた。

    死人や無生物にならないとバリヤーを通り抜けられないと気づいた009たちは互いにパラライザー銃を撃ち合い、一瞬気絶状態になって障壁を通過することに成功する。ポポカテペトル山の神殿に着いたハインリヒ(004)、009、ギルモア博士、002たちは過去のトラウマから生じる攻撃本能を掻き立てられて錯乱状態に陥る。ジェロニモの前に巨大なアステカの軍神が出現する。アステカの善神ケルアルユアトル(羽根のある蛇)との闘い。「善と悪の戦い‥‥それは1人の男の精神の葛藤から何もかもが生み出されたのだ‥‥」とギルモア博士が呟く。思念波に導かれて神殿内に入った009たちは石棺の中の機械と繋がれて空中浮遊するモンテスマの末裔、神官にして物理学者のテラクトラマカスキと対面する。80年前、テラクトラマカスキはマドリッドに渡って物理学を修め、ベルリン、パリ、ロンドンで研究を続けて各国のアカデミー学位を受けたが、西洋文明の限界を知ってメキシコの地に戻った。

    テラクトラマカスキは混血して失われて行く同胞の歴史を研究し、民族の平和を守るために多くの人々を生贄として虐殺せざるを得なかったという矛盾に苦しめられた。そして自らの精神力を増幅して、この世から憎しみや争いを除こうとする。しかし協力者として彼の前に現われた「新・黒い幽霊団」は逆に精神力の破壊だけを増幅して世界を攪乱しようと謀ったのだった。精神力のパワーで機械の力を統制しようとしたものの、「憎しみを抱くもの‥‥罪に汚れた者のみを破滅させる ── のがやっと」で、「この闘争は‥‥精神の平衡をシステム化しようとする実験は ── 大きな矛盾を生み‥‥その煩悶から平穏と安定を取り戻そうとする焦りは ── そのまま大きな精神障壁となって世界中に放射され‥‥災いをもたらしてしまったのじゃ‥‥!」。9人の戦士が彼を虜囚にしている「新・黒い幽霊団」の機械(システム)を破壊し、テラクトラマカスキは祖先の後を追って宇宙へ旅立つ。

  • 「誘拐編」(少年ビッグコミック 1979)
  • フランソワーズ(003)がクルマに同乗させて連れ出したイワン(001)が誘拐された。スーパー・マーケットで買い物をした後、公園で一休み‥‥フランソワーズが三輪車から転げ落ちて泣いている男子児童を介抱していた僅かな時間にベンチ前のベビーカーから忽然と消え去ってしまったのだ。必死に呼びかけるが、イワンは熟睡しているのか全く反応がない。ギルモア博士で報せて、連絡を受けたジョーと張々湖(006)の2人がフランソワーズの待つ公園に駆けつける。一方、連れ去った女の家で目を覚ましたイワンは綾子の過去‥‥1人息子(トモちゃん)を散歩中の交通事故で失ったショックでノイローゼになったことを知り、彼女の悲しい過去の記憶だけを消す。その夜、突然の3人の座っている公園のベンチの前のベビーカーに舞い戻ったイワン。フランソワーズたちは失踪事件の真相を知らず、目が覚めたらお仕置きしようと意気込んでいる彼女の前で、イワンは狸寝入りを決め込む。

  • 「未来都市編 」(週刊少年サンデー 1979)
  • 米ロサンゼルス郊外のモハベ砂漠に建設された半径5km,、人口1万2千人の実験未来都市スフィンクス。N・B・G団(ネオ・ブラック・ゴースト)を追って未来都市に辿り着いた009たちはドーム内に侵入した黒いゴキブリたちを掃討する。エッカーマン博士が開発した海底、砂漠、月面などに設置可能なドーム都市はPSC(心理回路)の付いたスーパー・コンピュータの全自動システムによって完全にコントロールされていた。機械を人間のように扱うことに懐疑的なハインリヒ(004)。C・C(中央制御室)に招かれた009たちは指紋登録して未来都市の名誉市民となるが、フランソワーズ(003)の指紋を採取した時に突然エア・カーが暴走したり、地区の一部で熱風が吹き出して火傷者が出るなどの異常や事故が起こった。誰かに見つめられているように感じる003。エア・カーに乗って都市を見学する009たちの頭上にモノレールが落下する。危機一髪で難を逃れた004はスフィンクスの仕業ではないかと直感する。

    004だけでなくエレヴェータに乗った005やエア・カーに同乗した006、007までも事故に遭う。建物の鋭く尖った突起物に攻撃された009はスフィンクスがサイボーグ戦士たち全員を殺そうとしていると確信する。そしてスフィンクスは009だけに狙いを定めるようになった。エッカーマン博士のいる中央制御塔へ向かった003は病院に誘導されてスフィンクスに囚われてしまう。フランソワーズに恋愛感情を抱いたコンピュータ‥‥スフィンクスは1年前に病死したエッカーマン博士の1人息子カールがPSCをプラグラミングしていたのだ。スフィンクス(カール)は003のクローン・ロボットを差し向けて009を抹殺しようと謀るが、彼女そっくりに造られたロボットは自爆することを選ぶ。003の精神を作り変えて愛を強制しようとしたスフィンクス(カール)は自らの命を捨てて009を護ろうとする003の自己犠牲の前に敗北する。記憶用磁気コアを爆破して記憶の一部を消し去ったスフィンクス。事件は一件落着したかのように思われたが、未来都市の内部では003と009(カール?)のクローンが密かに造られようとしていた。

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  • 「父と子編 」(少年ビッグコミック 1979)
  • ある夏の日、浩二少年が目の手術を終えて包帯(マスク)を外す日が来た。同じような夏の日の出来事だった。島村ジョー(009)とグレート・ブリテン(007)は交通事故を目撃する。009がバイクで轢き逃げした少年を捕らえて警察に引き渡し、救急車を手配して戻る間に瀕死の男は目の見えない息子に自分の角膜を移植して欲しいと007に遺言する。事故死するまでもなく、父親は不治の病に冒されていた。しかし、父親に変身した007と対面した浩二少年は厳しく苛め育てられた親父の顔なんか見たくないと拒否してしまう。009と007の2人は少年を辻村泰造の墓の前に連れて行く。初めて真実を知った浩二が「父親」(変身した007)と抱擁する。

  • 「凍る秋編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 氷河時代のように白く凍結した滝や河‥‥山神洞の女神さまの祟りだと思うミキオと洞穴から雲が吹き出しているのを見たというタダシ少年は洞穴の中から現われた白い大蛇に驚いて村へ逃げ帰った。2人は小氷河の発生を調査に来ていた島村ジョー(009)たち一行と出合う。張々湖(006)の飯店に卸していた料理用のキノコが1年中寒くなって採れなくなったから調べて欲しいと取り引きをしている村人に依頼されたのだった。三宅さんの道案内で山神洞へ向かった009、006、ギルモア博士の3人はソリフラクションによる落石に遭う。洞穴から鎌首を擡げた大蛇は子供騙しの作り物だった。009は洞穴の奥に隠されていた巨大な冷凍マシンを発見する。小氷河を溶解させて村やダム、首都圏の東京までをも破壊しようとした「新・黒い幽霊団」の仕業だった。006が口から炎を吐いて氷河の中のトンネル(カメス)に通じる支線を掘り進める。ギルモア博士を狙撃しようとした迫完二を息子のタダシが阻止する。父親は「新・黒い幽霊団」に雇われた冷凍機の見張り番だった。

  • 「パッシング・ショット編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 波の飛沫が一滴も身体にかからないように岩礁の上でジャンプを繰り返すジョー。ギルモア邸に戻ったジョーがフランソワーズの居場所を尋ねると、博士は女友達の和泉ジュンと裏の松林へ散歩に行ったという。ジョーは窓越しにフランソワーズがジュンを容赦なく平手打ちしている光景を目撃する。夕食中、ジュンの右手の指先近くにフォークを突き刺すフランソワーズ‥‥。サディスティックな彼女の行動に戸惑うジョーは1週間ほど後の秋晴れの日、フランソワーズに誘われて全日本ジュニア選手権会場へ行く。彼女の不可解な行動は女子テニス選手・和泉ジュンの精神的な弱さ、反射神経の自信を取り戻させるための2人だけの秘密の「特訓」だったのだ。ドSのフランソワーズに萌えちゃったりして?

  • 「血の精霊編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 米オレゴン・アイダホ州境、ネ・ペルセ族インディアン保留地に着いたジェロニモは現地人から、吸血コウモリに咬まれた野生動物たちが人を襲うようになって保護指定だった大鹿やピューマの狩猟許可が下り、保護区のビタルート山を白人に売ったと聞かされる。かつて撃たれて負傷したピューマ、傷の手当てをして仲良くなったジョセフと再会する。金の鉱脈の採掘調査をしているという怪しげな2人組に遭遇したジェロニモに豹変したジョセフが襲いかかる。ジョセフは脳視床下部に発信器を植え込まれて(ピューマの感情脳波と同サイクルの電波を送られて)、男たちに操られていたのだ。金の鉱脈があると教えられて大金を騙し取られた男と動物たちを凶暴化させて人を襲わせ、生態系を狂わせて自然破壊させようと企む組織から脅迫されていた男‥‥。ジェロニモは心ならずも殺してしまったジョセフの墓前で悔悟する。「オレもサイボーグ。オマエと同じ犠牲者‥‥ジェイク、ここから ── この土地の精霊となって ── 自然を守っていてくれ‥‥」と。

  • 「めるへん星の花編」(少年ビッグコミック 1979)
  • 精神感応で呼びかける何ものかに導かれて大日高原村へ来たイワン、ジョー、フランソワーズ、ギルモア博士たち。牛、山羊、鳥などの動物や村人たちが仮死状態で眠り、丘一面の花畑に高速道路などに応用されている「クロソイド螺旋」の道が作られていた。岩の上に建った4人の真下から「声」が聞こえて来る‥‥我々は22万光年離れた未知の惑星から来た異星人。銀河系を横断中に慣性航行システムが故障して地球の重力圏に捕まったという。「クロソイド螺旋」は知性を持った人間の注意を惹くためだった。イワンが観念動力で「ネジ」を引き寄せて〈幻姿〉(アポート)すると、岩山が浮上して宇宙へ飛び立つ。

  • 「走れ!兄ちゃん編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 波の飛沫が一滴も身体にかからないように岩礁の上でジャンプ、松の木の樹皮が剥がれないようにキックする島村ジョー(「パッシング・ショット編」と同じモチーフが使い回されている)。身体と機械の微妙なバランスを速く正確にコントロールする訓練を見ていた少年はジョーのような兄が欲しいと言う。弟は弱虫で勉強ばかりしている兄を恥ずかしく思っていた。そのことを兄弟喧嘩で知った兄は早朝ジョギングをして躰を鍛える。ある朝、海の見える岸辺で談笑している弟とジョーを見かけた兄はマラソン競争を挑む。早々と町を1周して戻ったジョーは兄を貶すことで悪役を演じて兄弟を和解させる。

  • 「ベビー・ポピンズ編」(週刊少年サンデー 1979)
  • ギルモア邸に家政婦紹介所から派遣されて来たベビー・シッターの山田葉子。ジョーとフランソワーズは『ドラキュラ・ファンダズム』の舞台を観に、ギルモア博士は "会議" で2日前アメリカへ、帳々湖大人は中華大飯店で3つの宴会が入っていて留守だった。メリー・ポピンズに憧れる葉子はドジで要領が悪く、閉めたドアに指を挟み、階段から転げ落ち、イワンにミルクを飲ませるだけでも大騒動!‥‥今度失敗したらクビを上司から宣告されていた。ダメな家政婦にイワンが「自信」を授ける‥‥「 ── "自信" ヲ持ッテヤレバ、人間デキナイコトハナインダカラネ‥‥!」。ゼロゼロナンバーたち1人1人にスポットを当てた短篇シリーズの中ではイワン(001)を主人公にしたエピソードが面白い。

  • 「結晶世界編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 眠りから目覚めたジョーは異変に気づく。完全な無音状態の中で、イワンにミルクを持って行こうとしていたフランソワーズも机に向かって書きものをしているギルモア博士も時間が止まったように静止して動かない。加速装置のスイッチを切っても変化はなかった。星も瞬かず、波も動かない「結晶世界」で2日経った。孤独の中で絶望したままジョーは1カ月を過ごす。いつの間にか瞼を閉じたフランソワーズ、ジョー宛ての手紙を書いているギルモア博士‥‥ゆっくりと時間は流れていたのだ。夜空に光る旅客機から突然爆音が鳴り響く。元通りに動き出した時間‥‥フランソワーズを抱き上げて感涙するジョー。博士の手紙に真相が綴られていた。"加速装置" のオーバー・ホールによる一時的な誤作動だった。

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    • 「石ノ森シリーズ」の第15弾「サイボーグ・ゼロゼロナイン6」です^^

    • 「石ノ森章太郎萬画大全集」(角川書店 2008)をテクストに使いました
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    サイボーグ 009 19 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-1

    サイボーグ 009 19 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-1

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/02/29
    • メディア:コミック
    • 目次:アステカ編 / 誘拐編 / 未来都市編


    サイボーグ 009 20 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-2

    サイボーグ 009 20 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-2

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/02/29
    • メディア:コミック
    • 目次:父と子編 / 凍る秋編 / パッシング・ショット編 / 血の精霊編 / めるへん星の花編 / 走れ!兄ちゃん編 / ベビー・ポピンズ編 / 結晶世界編 / 扉絵コレクション

    C O M M E N T E D A R T I C L E S 2 0 1 4

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  • C O M M E N T E D A R T I C L E S 2 0 1 4 13 12 11100908

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    • コメントした記事のリンク一覧(2014)です。リンクが流れちゃうのは勿体ないよね

    • ブログ内(sknys)、ソネ風呂内(sonet)、ソネ風呂外(guest)で色分けしました

    • 写真はタワレコ・クリアランスでゲットしたCD ‥‥(左下から時計回りに)Soap & Skin、The Welcome Wagon、Blondie、Lou Lesage、Karen Gwyer、Hannah Cohen、Gemma Hayes、Sin Fang、Debora Weht、The 49 Americans ^^;
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    リップ・リグ+リパニック

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  • ザ・ポップ・グループの熱烈なフリー・ジャズ派、ブルース・スミスとギャレス・セイガーは、ローランド・カークの古いアルバムからバンド名を取って、リップ・リグ&パニックを結成。彼らはインタヴューに「キャット」「ディグ」「アウト・ゼア」といったビートニクの言い回しを散りばめた。その音楽は奇妙におどけて浮かれ騒ぎ、跳ね回る。リップ・リグ &パニックは基本的に、ザ・ポップ・グループからレゲエの影響と政治性を引いたものだった。「その通り、音楽 "だけ" だった」と、スミスは言う。「シンガーさえいなかった。セイガーとピアニストのマーク・スプリンガーがマイクに向かってちょっとさえずるぐらいで、後になってネナが参加するまで、ヴォーカルは全くいなかったんだ」。音楽紙に載った初期の記事で、セイガーは遠回しにかつての仲間であるマーク・スチュアートをくさしている。「今こそ、くよくよ嘆いてばかりの奴らに肘鉄をくわせる時だ。俺は、なんていうか、不満を言いつつ同時に "イエー" と言ってるようなキャッツが好きなのさ」
    サイモン・レイノルズ 『ポストパンク・ジェネレーション』


  • The Pop Group(1978-80)はストイックな求心力ゆえ、高速回転する独楽のように幾つかのパーツに空中分解した。Mark Stewart & Mafia、Pigbag、Maximum Joy‥‥その中でもGareth Sager(ギター、サックス、キーボード、ヴォーカル) とBruce Smith(ドラムス、パーカッション)が中心となって結成したRip Rig + Panic(1981-83)はThe Pop GroupのDNAを受け継ぐバンドだった。元メンバーの2人にMark Springer(ピアノ、サックス、ヴォーカル)、Sean Oliver(ベース)、Neneh Cherry(ヴォーカル)などが集結したRip Rig + Panic(1981-83)はThe Pop Groupのポスト・パンク、ダブ、ファンクを核にフリー・ジャズやワールド・ミュージックなどが混じり合った自由度の高い音楽を指向した。英Cherry Redからリイシューされたリマスター盤(CD)はオリジナル・アルバムに7インチ・シングルや12インチ・ヴァージョンなどをボーナス・トラックとして追加収録した「エクスパンド・エディション」になっている。

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  • ◎ God(Virgin 1981 / Cherry Red 2013)
  • 豹に襲われる狒狒の写真をカヴァに使ったという衝撃のデビュー・アルバム(1stシングルの〈Go, Go, Go! (This Is It)〉で獣の咆哮が聴こえるのは偶然かしら?)。Neneh Cherryの溌溂としたヴォイスが弾けるオープニング曲〈Constant Drudgery Is Harmful To Soul, Spirit & Health〉、Gareth Sagerの攻撃的なヴォイスとノイズ・ギターが炸裂する〈Knee Deep In Shit〉、David Wrightのサックスによる〈Try Box Out Of This Box〉、Neneh Cherryがラップ調で歌う〈Those Eskimo Women Speak Frankly〉、Mark Springerの静謐なピアノ曲〈The Blue Blue Third〉、Ali Up(The Slits)嬢が絶叫する〈Shadows Only There Because Of The Sun〉‥‥。ヴォーカル曲にインスト曲を挿みながらハイ・テンションでフリーキーな演奏が繰り広げられて行く。The Pop Groupとの相違点は女性ヴォーカルと全編に渡ってピアノが入っていることだろうか。デジタル・リマスター盤にはオリジナル・アルバム全15曲にボーナス・トラックとしてシングル曲や〈Bob Hope Takes Risks〉の12インチ・ヴァージョンなど6曲が追加収録されている。

  • ◎ I Am Cold(Virgin 1982 / Cherry Red 2013)
  • ピカソの「アルチュール・ランボーの肖像」(Portrait d’Arthur Rimbaud 1960)を借用したカヴァが意表を衝く2ndアルバム。基本的に1stアルバムを踏襲したものだが、継父Don Cherry(トランペット、ヴォーカル、メロディカ)が参加することでフリー・ジャズ〜インプロヴィゼーションのインスト・パートが増し、養女Neneh Cherryのヴォーカル曲との対比が鮮明になった。リマスター盤は1曲目にアルバム未収録のシングル曲〈You're My Kind Of Climate〉(カヴァにはコクトーの「オルフェ」が使われていた)を置くことで、オリジナル盤の取っつき難さを緩和しているように思われる。トランペットやクラリネット、サックスなどの金管楽器だけでなく、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという弦楽器もサウンドに奥行きを与えている。ボーナス・トラックは3曲(オープニング曲を入れると4曲)と少ないが、オリジナル・アルバム(14曲)だけでも1時間もあったので、3枚のリマスター盤の中では最長の収録時間(78:33)となった。〈You're My Kind Of Climate〉と〈Storm The Reality Asylum〉の12インチ・ヴァージョンは超強力で、自然に躰も動き出す。

  • ◎ Attitude(Virgin 1983 / Cherry Red 2013)
  • Gareth Sagerの父親がドイツ人の捕虜から貰った「メンデルスゾーン歌曲集」のロゴを模したという3rdアルバム。12インチ2枚組(1st、2nd)ではなく、通常のLPでリリースされたこともあってか、コンパクトで引き締まった曲が並ぶ。インスト曲やインプロヴィゼーションが減ってヴォーカル曲が増えたのも特徴的で、全12曲中8曲がヴォーカル入り。〈Keep The Sharks From Your Heart〉や〈Beat The Beast〉など6曲でNeneh Cherry、〈Do The Tightrope〉〈Viva X Dreams〉の2曲でAndrea Oliver(後者はGareth Sageとデュエット)が歌っている。ボーナス・トラックは〈Do The Tightrope〉の12インチ・ヴァージョンや〈Beat The Beast〉の別ヴァージョンなど8曲を追加収録。前者はSoul II Soulにも通じる洗練や優雅ささえ感じられる。パンク、ダブ、ファンク、フリー・ジャズ、ワールド・ミュージック‥‥80年代にRip Rig + Panicが切り拓いた「ブリストル・サウンド」は90年代のMassive Attackやトリップホップへと繋がって行く。ちなみに風変わりなバンド名はRoland Kirkのアルバム《Rip, Rig And Panic》(1965)から採ったという。

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    必ずしもリマスター盤(CD)が高音質とは限らない。初期にCD化されたアルバムの多くはダイナミック・レンジも狭く、冷たく硬い音質だったが、ただ音量や音圧を上げれば良いというわけではない。たとえばRip Rig + Panicにも参加していたAri Up率いるThe Slitsのリマスター盤《Cut》(Island 2009)は音圧が高すぎて、ヘッドフォンで聴いていると耳が疲れる。しかもライヴ音源やデモ・トラックなどの30曲と抱き合わせた「デラックス・エディション」のみのリイシューだった。水増しリイシュー盤(2CD)とは言いたくないけれど、分厚くなったデジパック仕様もパッケージ・デザインとして美しいとは言い難い。オリジナル・アナログ盤(1979)はパンクの性急さとレゲエ / ダブの虚無・脱力感が混じり合ったフレキシブルなサウンドだったのに‥‥なぜプローデューサのDennis Bovellがリマスターしなかったのだろうか。Rip Rig + Panicのオリジナル・アルバム(1st、2nd)は12インチ2枚組でリリースされただけあってリマスター盤も高音質。メンバーのインタヴューを掲載したブックレット(12頁)も充実している。

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    • 輸入盤CD(Cherry Red 2013)が安くて、お買い得です^^

    • 国内盤CD3タイトルが「第16回 2013年 紙ジャケ大賞グランプリ」を受賞しました

    • 引用者の判断で誤植(?)を修正しました(ポップ・グループ→ザ・ポップ・グループ、リップ・リグ&ザ・パニック→リップ・リグ&パニック)
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    God(Expanded Edition)

    God(Expanded Edition)

    • Artist: Rip Rig + Panic
    • Label Cherry Red
    • Date: 2013/05/27
    • Media: Audio CD
    • Songs: Constant Drudgery Is Harmful To Soul, Spirit & Health / Wilhelm Show Me The Diagram (Function Of The Orgasm) / Through Nomad Eyeballs / Change Your Life / Knee Deep In Shit / Totally Naked (Without Lock Or Key) / Try Box Out Of This Box / Need (De School Y...


    I Am Cold(Expanded Edition)

    I Am Cold(Expanded Edition)

    • Artist: Rip Rig + Panic
    • Label: Cherry Red
    • Date: 2013/05/27
    • Media: Audio CD
    • Songs: You're My Kind Of Climate (7” Version) / Hunger (The Ocean Roars It Bites) / Epi Epi Arp Woosh! / Another Tampon Up The Arse Of Humanity / Misa Luba Lone Wolf / Storm The Reality Asylum / Here Gathers Nameless Energy (Volcanoes Covered By Snow) / A Dog's Se...


    Attitude(Expanded Edition)

    Attitude(Expanded Edition)

    • Artist: Rip Rig + Panic
    • Label: Cherry Red
    • Date: 2013/05/27
    • Media: Audio CD
    • Songs: Keep The Sharks From Your Heart / Sunken Love / Rip Open, But Oh So Long Thy Wounds Take To Heal / Do The Tightrope / Intimacy, Just Gently Shimmer / How That Spark Sets Me Aglow / Alchemy In This Cemetry / Beat The Beast / The Birth Pangs Of Sprin...


    Cut(Deluxe Edition)

    Cut(Deluxe Edition)

    • Artist: The Slits
    • Label: Island
    • Date: 2009/10/22
    • Media: Audio CD(2CD)
    • Songs: Instant Hit / So Tough / Spend, Spend, Spend / Shoplifting / Fm / Newtown / Ping Pong Affair / Love Und Romance / Typical Girls / Adventures Close To Home / I Heard It Through The Grapevine / Liebe And Romanze (Slow Version) / Typical Girls (Brink Style Dub) / Love ...


    ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984

    ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984

    • 著者:サイモン・レイノルズ(Simon Reynolds)/ 野中 モモ・新井 崇嗣(訳)
    • 出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 発売日:2010/06/01
    • メディア:単行本
    • 目次:パブリック・イメージは俺のもの / すべての外側で / 制御不能衝動 / コントート・ユアセルフ~芸術と反芸術の狭間で身をよじる / トライバル・リヴァイヴァル~黒人音楽へのアプローチ / 自主制作疾風怒濤 / 戦闘のエンターテインメント / アート・アタック~英米アート・スクール出身バンドの心意気 / 未来に生きる / 一歩踏み出せ / メスゼティックス~ごちゃ混ぜ知的理論派の周辺 / さかさま産業革命 / フリーク・シー...

    サイバー・キャット 22

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    スニーズ・コメンツ #33

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  • 和歌についての批評的小説(解釈されるおん歌の「意味」の無邪気なまでの無内容ぶり!)でもある『風流夢譚』だけでなく(出版社の上梓する紙の本でいまだに読めないが、ネット上では、この2冊はむろん、自由に読めるが)、輝かしくも魅力的な小説『政治少年死す』もまた、皇室と天皇について語る以上は必然的に「和歌」に触れることになるのだが(この戦後派のセヴンティーンの右翼の──今どきの言葉では落ちこぼれの──少年[なぜか言語的センスに驚異的に秀れた]を語り手にした、大江健三郎の華麗でグロテスクな比喩とユーモアが炸裂する饒舌体の小説は、ポピュラー・ソング、詩、和歌、新聞や雑誌に載った実在の知識人や右翼や主婦や学生の言説の引用によって書かれた当時の日本の文学的状況の中で世界的文学水準に達した稀有の作品と呼ばれるべき強度を持っている)、それは次のようにである。
    金井 美恵子「たとえば(君)、あるいは、告白、だから、というか、なので、『風流夢譚』で短歌を解毒する」



  • ♭ 知の現在と未来
    モバサムさん、こんばんは。Gang Of Fourのデビュー・アルバム《Entertainment》(EMI 1979)はソリッドで荒削り、ストイックでカッコ良いですよね。軟弱化したこともあったけれど、今でもしぶとく生き残っています。最近のインテリ源ちゃんは金井美恵子にボコボコにされていますが、『さようなら、ギャングたち』(1982)は傑作だった。

  • この戦後派のセヴンティーンの右翼の──今どきの言葉では落ちこぼれの──少年[なぜか言語的センスに驚異的に秀れた]を語り手にした、大江健三郎の華麗でグロテスクな比喩とユーモアが炸裂する饒舌体の小説は、ポピュラー・ソング、詩、和歌、新聞や雑誌に載った実在の知識人や右翼や主婦や学生の言説の引用によって書かれた当時の日本の文学的状況の中で世界的文学水準に達した稀有の作品と呼ばれるべき強度を持っている

  • 毒舌の金井おばさんにしては珍しく「セヴンティーン」(1961)を褒めています。
    by sknys (2013-12-10 00:05)

    ♭ メリー・クリスマス with クレッシュ
    ぶーけさん、こんばんは。某小学校の傍を歩いていたら、メェ〜〜〜という鳴き声がした。まさかと思ったら、本当に山羊さんだった。「どうしたの。お腹が空いたの?」‥‥冬休み中は近所のボランティアの人が世話をしているようです。山羊さんも、可愛い牛さんとお馬さんの仲間になれると良いなぁ。「山羊じゃなくて、羊でしょ!」とツッコミを入れる羊男のクリスマスだった。
    by sknys (2013-12-25 23:06)

    ♭ 2013年締めくくりの記 ── ゆく年くる年
    千露さん、こんばんは。今年(2013)は前半に「ポール・デルヴォー」と「フランシス・ベーコン」に行ったくらいで、後半は美術館への足が遠のいてしまった。2014年は1月の「ラファエル前派展」「ザ・ビューティフル展」、4月の「バルテュス展」が愉しみ。〈オフィーリア〉に再び会えるのは僥倖だし、30年前(1984)、京都でしか開催されず悔しい思いをした「バルテュス展」(20年前の東京ステーションギャラリーで溜飲を下げたけれど)には感慨一入です。
    by sknys (2013-12-30 21:10)

    ♭ 灰とダイアモンド
    ヴィジュアル系の自己陶酔型ヴォーカル(ボウイ〜シルヴィアン)は苦手だなぁ。自己嫌悪型ヴォーカル(ヴァーライン〜バーン)は好きなんですが‥‥。買いそびれていたRip Rig + Panicのリマスター盤3枚《God》《I Am Cold》《Attitude》(Cherry Red 2013)を年末に入手しました。輸入盤ならばHMVの3点買いが安いけれど、モバサムさんは紙ジャケ仕様の「国内盤」ですよね。
    by sknys (2014-01-04 01:08)

    ♭ 外猫の話二つ ── ネコたちの晩餐
    トミー。さん、こんばんは。交通事故死者数は減少しているけれど、命を落とすネコちゃんは人間よりも遙かに多いはず。都会のネコたちはノラや飼い猫に関わらず、交通事故死率が高いでしょう。1980年2月19日の深夜、長嶺ヤス子は原宿で野良ネコを轢いてしまったことで「自分の中にあった人間の恐ろしさ身勝手さ」に驚き、猪苗代湖の借家で捨てネコや犬たち(猫153匹、犬17匹)を飼うようになったという。昨日、外ネコを撮っていたら、どうやら夕食の時間が近いらしく、飼主の家の前に座って、玄関ドアを見上げていました。その生き生きとした瞳の輝き、ピカピカした煌めきに見惚れちゃいました。
    by sknys (2014-01-13 00:47:44)

    ♭ MONSTERS IN THE SCENE
    ふじにぃさん、はじめまして。Dionysosの出自はパンクだと思います。5th《Monsters In Love》(Trema 2005)はJohn Parishのプロデュースだった。アルバム・ジャケに描かれている動物(右下のアーチ)はネコ?‥‥それともウサギちゃん?‥‥アニメ映画『ジャックと時計じかけの心臓』が日本公開されれば、サントラ盤や原作本も国内発売されるでしょう。Mathias Malzieuの小説『時計じかけの心臓』(La Mécanique du Coeur 2007)や『空の果てのメタモルフォーズ』(Métamorphose en bord de ciel 2011)は白水社辺りが翻訳出版してくれると嬉しいのですが(註:一部コメントを修正しました)。
    by sknys (2014-02-05 23:24)

    ♭ 雪明けの日東京へ〜『宝島』
    tumuziさん、こんばんは。今日も雪になっちゃった。池袋に来たのなら、東口駅前公園にも立ち寄って、白銀のネコたちも撮って欲しかったなぁ。肉球が冷えるので、食事時にならないと外に出て来なかったかもしれませんが‥‥。
    by sknys (2014-02-14 20:11)

    ♭ がんばれ、シーサー
    ぶーけさん、こんばんは。ソチ五輪の魔除けですか?‥‥凄いの作っちゃいましたね。岩合光昭さんが沖縄で撮ったネコとシーサーの2ショットを思い出しました。黒ネコとシーサーは良く似ているかもしれません。「オリンピックには魔物が棲む」というから、黒ネコちゃんとシーサーくんたちに悪鬼邪鬼を退治してもらいましょう。
    by sknys (2014-02-18 22:29)

    ♭ 真央ちゃん!!
    ショートは見逃しましたが、フリーは途中からライヴで視ました。鬼気迫るというか、迫真のパフォーマンスに感涙です。黒ネコちゃんとシーサーくんたちの魔除けパワーがソチまで届いたのかしら?‥‥メダル(記録)よりもメモリ(記憶)に刻まれた演技だったと思います。真央さんの「エア・メダル」の輝きによって、政府やメディアの「メダル至上主義」が色褪せちゃった。
    by sknys (2014-02-23 20:12)

    ♭ 愛の媚薬
    モバサムさん、こんばんは。「ラファエル前派展」(森アーツセンターギャラリー 2014)にモリスの〈麗しのイズー〉(La Belle Iseult 1858)がありました。もちろん、ミレイの〈オフィーリア〉(Ophelia 1851-52)やロセッティの〈ベアタ・ベアトリクス〉(Beata Beatrix c.1864-70)も地上52階に展示されています。
    by sknys (2014-02-27 22:25)

                        *

    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第33集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載‥‥事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註)を加え、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2013/12/01~2014/02/28)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。2月は大雪に見舞われて凍りつき、ソチ五輪に沸きましたが、反プーチンのプッシー・ライオット(Pussy Riot)に対する鞭打ち虐待は酷かった。Kathleen Hanna(Bikini Kill、Le Tigre)が結成した新バンドのデビュー・アルバム《Run Fast》(Dischord 2013)は元祖ライオット・ガルー(riot grrrl)らしい少女の狂乱と可愛らしさが同居している。アルバム・カヴァを飾るアリソン・ミッチェル(Allyson Mitchell)のクリーチャー(Mariko)にも魅惑されます。

                        *






    Run Fast

    Run Fast

    • Artist: The Julie Ruin
    • Label: Dischord
    • Date: 2013/09/05
    • Media: Audio CD
    • Songs: Oh Come On / Ha Ha Ha / Just My Kind / Party City / Cookie Road / Lookout / Right Home / Kids In NY / Goodnight Goodbye / South Coast Plaza / Girls Like Us / Stop Stop / Run Fast


    Entertainment

    Entertainment

    • Artist: Gang Of Four
    • Label: EMI Gold Imports
    • Date: 2001/07/27
    • Media: Audio CD
    • Songs: Ether / Natural's Not In It / Not Great Men / Damaged Goods / Return The Gift / Guns Before Butter / I Found That Essence Rare / Glass / Contract / At Home He's a Tourist / 5.45 / Love Like Anthrax / Outside The Trains Don't Run On Time / He'd Send In The Army / It'...


    Monsters In Love

    Monsters In Love

    • Artist: Dionysos
    • Label: Barclay
    • Date: 2005/08/25
    • Media: Audio CD
    • Songs: Giant Jack's Theme / Giant Jack / La Métamorphose De Mister Chat / L'homme Qui Pondait Des Oeufs / Broken Bird / Miss Acacia / Le Retour De Bloody Betty / Mon Ombre Est Personne / I Love Liou / Lips Story In A Chocolate River / Giant John Et Le Sanglophone / Tes Lace...


    さようなら、ギャングたち

    さようなら、ギャングたち

    • 著者:高橋 源一郎
    • 出版社:講談社
    • 発売日:1997/04/10
    • メディア:文庫
    • 目次:「中島みゆきソング・ブック」 を求めて / 詩の学校 / さようなら、ギャングたち / 解説(加藤 典洋)


    小説を読む、ことばを書く (金井美恵子エッセイ・コレクション 3)

    小説を読む、ことばを書く(金井美恵子エッセイ・コレクション 3)

    • 著者:金井 美恵子
    • 出版社:平凡社
    • 発売日:2013/10/29
    • メディア:単行本
    • 目次:絢爛の椅子 / アーサー・ランサムの世界 / 序奏・天沢退二郎あるいは汁への導入部の手前で / 桃──あるいは下痢へ 吉岡実 / 吉岡実とあう──人・語・物 / 他人の言葉 / アリスの絵本 / 甘美な眠りの逆説 野坂昭如 / 吉田健一『私の食物誌』/ 単純さと優雅さ / 快楽と死──怪奇な話 吉田健一 / 落ちつける場所 吉田健一 / 岡本かの子覚書 /『死の棘』を読む


    風流夢譚

    風流夢譚

    • 著者:深沢 七郎
    • 出版社:志木電子書籍
    • 発売日:2012/10/13
    • メディア:Kindle版
    • 内容紹介:雑誌「中央公論」1960年12月号にただ一度だけ掲載された短編小説。当時、その皇室表現を巡って殺傷事件(嶋中事件)まで起きてしまったため、以後、海賊版以外で活字化されることはなく、読む手段のなかった小説を初の電子化。

    F A V O R I T E ー A L B U M S 8

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  • THE SOUL OF ALL NATURAL THINGS (Asthmatic Kitty 2014) Linda Perhacs


  • Linda Perhacsは米カリフォルニア出身のアシッド・フォークSSW。《Parallelograms》(Kapp 1970)以来、44年振りの2ndアルバムがSufjan Stevensの主宰するレーベルからリリースされた。Chris Price、Fernando Perdomoと共同プロデュース。Julia Holter、Ramona Gonzalez(Nite Jewel)などがゲスト参加。BjorkやMilton Nascimento(Devendra Banhart経由で知った)にインスパイアされたというアルバムはタイトル曲が途中からタンゴ調に変化するなど驚異的! 141


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    スマホ阿呆増す

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  • 暗闇に差す、ひと筋の光。その光が照らす氷の上でひざまずき、真央は天を見つめた。流れ出す『ジュピター』。弦楽器の響きが、暗闇の空気を震わせる。真央は自らの姿に地震を重ねて体を大きくのけぞらせてから、押し寄せる津波のように上半身を氷の上に投げ出した。そこからゆっくり立ち上がって、押し流されるように滑り出しながら、両手を合わせ、犠牲者を弔う。次の瞬間には、過酷な災害に感傷が入り込む余地などなかったのだと、右手を振ってふたたび立ち止まった。/ ジャンプ、ステップ、スパイラル、スピン。その1つひとつに、真央は心を込めた。ヴァイオリンが祈りにも似たボーイソプラノへと変わると、そのハーモニーに寄り添うように、真央は滑り続けた。その姿を、観客席はただ、息をのんで見つめた。/ やがて、追悼の舞が終わりに近づく。高く伸ばした足を片手で支えて最後のスピンを回り終えると、真央は両手を広げて、ふたたび天を仰いだ。
    吉田 順 「鎮魂の『ジュピター』」


  • ⃞ ドア越すと滑る浅田真央、まだ差あるベスト・スコアと
    ソチ五輪大会(2014)の前、選手村のバスルームの中に閉じ込められたボブスレー選手がいた。米代表のジョニー・クイン君は鍛えた肉体にもの言わせ、ドアを破壊して密室から無事に脱出したのだが、フィギュア・スケートの浅田真央はドアを軽々と跳び越えて颯爽と滑走する。彼女のバスルームには「天井」など存在しないのだから‥‥。ショート・プログラム(SP)で精彩を欠いたものの、真央は翌日のフリー・プログラム(FP)では見違えるような完璧な演技で観衆を沸かせた。最初のトリプルアクセル(3回転半)を含めて8つのトリプルジャンプを決め、高難度のステップで魅せる。メダル(記録)ではなくメモリ(記憶)に刻まれた迫真のパフォーマンスにTVの前で涙した人も少なくなかったはずだ。彼女の胸に燦然と輝く「エア・メダル」が政府やメディアの煽る「メダル至上主義」を一瞬にして色褪せさせた。SPで自己最高点は更新したけれど、「私のベスト・スコア」には未だ及ばないと真央は思っている。

    ⃞ 石割る梅見、花々は眉目麗しい
    人気のない早朝の神社の境内に2人の男女が1本の梅の木を見上げている。白装束の巫女らしき女性と全身黒尽くめの神主らしき男性‥‥。男に促されて女が木の根元に目を遣ると、荒々しい自然の縮図が露わになった。その梅の木は境内の置石を真っ2つに割って真っ直ぐ生え伸びていたのだ。今年(2014)の冬は寒くて長く、猛烈な寒波が何度も日本列島を襲い、東日本も大雪に見舞われた。立春を過ぎ、3月に入ってから身も凍る寒気が緩まず、冷たい北風も吹き止まない。この予想外の低温でスギ花粉の飛散が遅れているという椿事も発生している(毎年花粉症に悩まされている人たちにとっては嬉しい「異常気象」ですが)。〈石割る梅、巫女と男、眉目麗しい〉‥‥早春の澄んだ冷気の中で凛と咲く梅の花々は美しい。梅の木の下に「死体」が埋まっているというミステリの出番はないかもしれませんね。

    ⃞ 新3大スター、ソーダ水、炭酸死 !?
    薬物による過剰摂取死を挙げるまでもなく、何事も遣り過ぎは躰に良くない。健康のためのジョギングも走り過ぎは肉離れや疲労骨折を招く。酒や煙草は言うに及ばず、無害な炭酸飲料水も幼い頃から長期間飲み続けていると中毒性が高まって毎日飲まずにいられなくなるらしい。「新3大◯◯調査会」によると今世紀に入ってからコーラが原因と思われる炭酸事故死者が少なくとも3人報告されている。1人目は20年間に渡って1日に3リットルのコーラを大量摂取していた英国人男性(30)。2人目は1日に20リットルものコーラを飲んでいたというニュージーランドの女性(30)。3人目は某学園祭の早飲み大会で190ccのコーラを飲んだ日本人学生(19)。大食いや早飲み選手権で優勝すればギネスブックに認定されてスターとして輝くかもしれないけれど、その結果死んでしまったら「スカッと爽やか」とは言い難い。過ぎたるは猶及ばざるが如し‥‥ソーダ水の大量摂取による死も、ドラッグのオーヴァドースによる死も同じ「死」には変わりないのだから。

    ⃞ 浪々老パンサー徘徊バー、サンパウロ、うろうろ
    儂は老いぼれピンク・パンサー。半世紀前は人気絶頂のアニメ・キャラだったが、今じゃアル中の老豹に成り果てて、夜な夜なサンパウロ市内の場末の酒場をボケ老人みたいに徘徊している。時々不審者や変質者と間違われて市警ポリスに誰何されるけれど、全身ピンク色なのでベロンベロンに酔っぱらっていても顔に出ることはない。挙動不審というか、足許が覚束ない千鳥足の老豹なのじゃ。儂は同名映画シリーズのオープニングに登場するだけのアニメ・キャラとしてデビューした。その後、独立したアニメ作品として映画やTVで活躍するほどの人気者になったのじゃが、老いぼれてアルコール依存症になってからは映画出演の依頼も途絶えて落ちぶれてしまったのじゃ。主演のセンベロ探偵?‥‥じゃなかった、相棒のクルーゾー警部(ピーター・セラーズ)が天国に旅立ったので、「ピンク・パンサー」(The Pink Panther)シリーズも遠からず終わるを得ない運命だったわけじゃが。

    ⃞「ネコに金星」マジ本気2個ね
    「金星」(きんぼし)とは相撲用語で平幕の力士が横綱を倒した時の勝ち星のこと。動物写真家の岩合光昭氏は「金星インタヴュー」の中で、ネコにとっての金星とは「大きな犬にも立ち向かうし、もちろんヒトはネコの魅力にころっとやられてしまうし、大きなものをやっつけるという意味では金星かもしれませんね。いつもやられっぱなしです、ぼくは」と語っています。「金星」を「金メダル」と読み替えると、ネコたちのオリンピックが瞼に浮かんで来る。全速力で疾走するネコ、垂直にジャンプするネコ、木に駆け登るネコ‥‥ネコ五輪(通称ネゴリン)の開会式は2月22日(ニャンニャンニャン)に決まっている。4年に1回ではなく、毎年開催されるのはネコの加齢が人間の4年に相当するからだという。第22回大会(2014)は地中海に浮かぶ小島、都市国家ナーゴで行なわれた。日本代表の黒ネコは「走り高跳び」と「障害物競走」の2種目で金メダルを獲得。来年の東京大会(2015)が今から愉しみだにゃぁ。

    ⃞ 晴れ待つ間、唄また歌い集まれば
    今日は春爛漫のハイキング日和。某都立高校ワンダーフォーゲル同好会の一行が山登りに向かった。思い思いの愛唱歌を口ずさみながら野山を歩く。最初の30分余りは山道もなだらかで歩みも軽やかだったが、徐々に勾配が急になると次第に足取りも重くなり、いつの間にか愉しげな歌声も聞こえなくなってしまう。それでも青い空と白い雲、澄んだ空気や爽やかな涼風、野鳥たちの囀りに心癒される。しかし、山の天候は乙女のように気紛れで、ジャガーの眼のように豹変する。どこからともなく忍び寄って来た不吉な濃霧によって急速に視界が悪くなった。隣の仲間の顔さえ霞んで見えないのだ。文字通りの「五里霧中」で立ち往生する同好会のメンバーたち。お互いを励まし合いながら手を繋いで再び唄を歌い出す。彼らが合唱した歌は〈オー・ソレ・ミオ〉(’O sole mio)と〈ユー・アー・マイ・サンシャイン〉(You Are My Sunshine)だった。

    ⃞ 唇震えブルブル‥‥増える古び地区
    僕はギター1本を肩に担いで日本全国各地を旅歩く自称SSW(自作自演歌手)。半年前には運悪く大型台風に遭遇して東北地方の安宿に丸2日も足止めされてしまったが、当てのない放浪の旅は今日も続く。ここは人気の全くないゴースト・タウン。立入禁止区域と書かれた立て看板を横目に「死の町」へ入って行く。無人のクラマが乗り捨てられているメイン・ストリートの左右にはマンションやビルなどの家並みが連なっているけれど、人っ子一人、犬や猫などの小動物に1匹たりとも出合わない。唇がブルブルと震え、歯がガクガクと鳴るのは寒さのせいだけではないだろう。9・11直後、NYの街から音楽が消えたと坂本龍一が新聞に寄稿していたが、この見知らぬ町からも音楽は聴こえて来ない。住人に去られた民家は生気を失って古び朽ち、どこか幽霊屋敷じみて来る。こんな時にこそギターを掻き鳴らして歌うべきなのだろうが、僕は茫然と立ち尽くして言葉を失う。

    ⃞ 出来すぎ?‥‥自分撮りのギャル。焼き海苔丼、不思議すぎて
    なぜ人は「セルフ・ポートレイト」(Self-portrait)を撮るのだろうか。ロバート・メイプルソープは病に冒された自分自身を赤裸々に記録し、シンディ・シャーマンは巧みに仮装して別人に成り変わる。写真機が発明される以前は画家たちが自画像をカンヴァスに描いた。ゴッホやフリーダ・カーロの自画像も自らを客観視しようとする実存的な試みでもあったはずだ。ところが今日のセルフ・ポートレイトには自己と対峙する真摯な思いは微塵もない。デジカメやスマホが世界中に普及するのを待っていたかのように、嬉々として「自分撮り」(Selfie)する人たちが増えて来た。液晶モニタが180°チルトする機能も「自分撮り」を容易にした。自称カメラ好き女子Qちゃんは日本全国B級グルメの中でも異彩を放つ「焼き海苔丼」を食べる自分をブログに載せるために撮った。デジカメの液晶画面に「焼き海苔丼」を美味しそうに食べる笑顔の私が映っている。快心の「自分撮り」画像を眺めながら、でも私は本当にカメラや写真(を撮るの)が好きなのかしら?‥‥と自問する。カメラの好きな私が好き、写真を撮る自分が好きなだけなんじゃないかと。

    ⃞ 雛祭りして自立学び
    私の実家には当時でも近所では珍しかった年代物の雛人形があった。毎年、雛祭りが近づくと、亡き祖母が押し入れの奥から古めかしい木箱の中に入った内裏雛、三人官女、五人囃子、随身、仕丁などの雛人形を取り出して、赤い毛氈を敷いた雛壇に飾ったものだった。いつもリカちゃん人形を胸に抱いていた幼い私には仏頂面の雛人形は近寄り難くて薄気味悪くもあり、早く3月3日が来ないかと、クリスマスや正月を心待ちにする子供たちとは真逆の思いで過していた。というのも桃の節句が過ぎるや否や、雛人形たちは何事もなかったように、いつの間にか片付けられてしまったから。いつまでも出して置くと婚期を逃すという謂われがあることは成人してから知った。今から顧みれば可愛いだけの親密な人形ではなく、雛人形という見知らぬ他者と年に1度出会うことで私の自我が形成されて行ったのかもしれない。これから産まれる娘のためにも代々受け継いだ雛人形を飾りたいと思う。

    ⃞ 煮て芋、お・も・て・な・し。粗品でも思い出に
    2020年、アベノミクスの大失敗(アベロス?)で日本は沈没寸前のタイタニック号のような大不況だった。低株価、円安、インフレ‥‥という3本の毒矢に射抜かれて瀕死状態に陥ってしまったのだ。その真っ只中で「貧困五輪」とも揶揄された東京オリンピックが開催された。TPPによって国内の農業や畜産業は衰退の一途を辿り、食料自給率も著しく低下した。米作農家の廃業と輸入米の値上がりで予想だにしなかった米不足になるとは!‥‥日本国民だけでなく、海外から来た選手団や観光客たちにユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」を提供出来ないという異常事態。貧しかった戦中〜戦後の食生活を再現したかのような芋煮料理で、お・も・て・な・し。表彰式では1位・2位・3位の競技者に金・銀・銅メダルも授与されず、ブーケの代わりに「粗品」が贈られただけだった。日本人離れした美人が表彰台の3選手に近づく。私が「粗品」を手渡す役だなんて、絶対に嫌よ!‥‥と大声で叫んで、滝川クリステルは悪夢から目覚めた。

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    浅田真央 そして、その瞬間へ

    浅田真央 そして、その瞬間へ

    • 著者:吉田 順
    • 出版社:学研マーケティング
    • 発売日:2013/10/22
    • メディア:単行本
    • 目次:プロローグ さらなる高みへ / 決意 / 約束 / 進化 / 封印 / 別れ / 試練 / 心の階段 / 連続優勝 / 復活への軌道 / 究極への道 / エピローグ そして、その瞬間へ / 謝辞 / 浅田真央 氷上の軌跡


    ネコに金星

    ネコに金星

    • 著者:岩合 光昭
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:2013/01/28
    • メディア:文庫
    • 目次:宮崎 / 三重 / 和歌山 / 山梨 / 富山 / 白川郷 / 茨城 / 山口 / 千葉 / 徳島 / 兵庫 / 東京 / 岩合光昭 金星インタビュー / あとがき / 解説(赤川 次郎)
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