石ノ森章太郎 「愛蔵版 仮面ライダー」
「仮面ライダー」(ぼくらマガジン / 週刊少年マガジン 1971)は実写版特撮TVドラマとして企画されたメディアミックス作品で、いわゆる「原作マンガ」ではない。世界支配を企む謎の組織に拉致〜改造された主人公が逃亡して逆に闘いを挑むというモチーフは「サイボーグ009」と同じだが、黒ベタを多用したダークなトーンや大きなコマ割り・1枚絵など、前半はストーリ性よりも迫力あるアクション主体の構成になっている。スリムな肢体の仮面ライダーはスタイリッシュでカッコ良いし、「ショッカー」の怪人(改造人間)たちもグロテスクに作り込まれている。「ライダージャンプ」「ライダーキック」‥‥光線銃などの武器を使用しない闘い。実写版で超有名になった「変身ポーズ」も一切描かれない。サイクロン号の車体に収納されている「仮面」がヘルメットであることにも改めて驚かされる。実写版撮影中に起こったアクシデント(藤岡弘のオートバイ事故)に準じて、「原作」も主人公が射殺されて主役が交代するという前代未聞の展開になっている。
ヒロミの住んでいたマンションを訪ねた緑川ルリ子と立花藤兵衛は不審な住人たちに襲われてしまう。2人は本郷邸内に棺を運び込む。猛の右手に噛みつくルリ子。椅子で攻撃する藤兵衛‥‥2人を倒した猛はテスト中の「血清」を打つ。その夜、エネルギーを使い果たしてベッドで眠っている猛に、棺から出て来たコウモリ男が牙を剥く。不意を襲われた猛はコウモリ男に首を絞められて2階の窓から落下する。毒牙に倒れた猛に勝ち誇ったコウモリ男は「血清」(バット=ウイルスの解毒剤)が翼の爪の中に入っていることを明かす。しかし、猛はウイルスの感染を抑える「試薬」を自ら投与していた。折れた窓枠を翼に突き刺してコウモリ男の飛行能力を奪った猛は仮面ライダーに変身。サイクロン号に乗って逃走したコウモリ男を追走する。墓地に着いた仮面ライダーはウイルスに感染して操られた人間たちに襲撃される。追い詰められたコウモリ男の一対の翼を捥ぎ取り、墓碑の十字架で止めを刺す。
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「TAKADA爬虫類研究所」に逃げ帰ったコブラ男は総統「ショッカー」から処刑を命じられるが、ヘビ姫メドウサの進言で改修改造手術を受けることになる。本郷家に差出人不明の小包が届く。ビックリ箱のコブラの背中に「コブラハキンノノベボウガダイコウブツ / オオサカ──ソシテトウキョウ──」という挑戦状が書かれていた。猛が広げた新聞の三面記事には「大阪第2金保管所襲撃さる!守衛2名 謎の蒸発」という見出しが踊る。東京第1金保管所の金庫から金塊を盗み出したコブラ男とヘビ姫メドウサ一味。屋上で見張っていた仮面ライダーが「ショッカー」のトラックを尾行する。東京湾の埋立て地での決戦!‥‥「ライダーキック」で窮地に陥ったコブラ男(晴彦)に元恋人のメドウサ(美代子)が加勢する。頭部から生えた無数のヘビの口からダリを発狂〜石化した毒針や光線銃を仮面ライダーに放つ。誤ってコブラ男を射殺してしまったメドウサ!‥‥ヘビ姫は絶望の余り自決する。
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4人の仮面男たちが、お美代を崖の上から突き落とそうとしていた。隼人に襲いかかる男たちの中の1人は松五郎だった。海に落ちた父親を見つめる隼人の背後からお美代が短刀で刺殺しようとする。首から下げている貝のペンダントか発生する電波によって「ショッカー」に操られていた村人たち。水底村は人類の意志を奪って世界を支配する「ショッカー」の最終目的のための集団実験に選ばれていた。再び海からカニ男と空飛ぶエイが現われて、変身した仮面ライダーと対決する。ライダーとの戦いで両腕を失ったカニ男は逃走し、隼人は海中でサメ爆弾に襲撃される。海中から退却した仮面ライダーは岩場で秘密基地の通気口を発見する。「ショッカー」の海底基地に潜入して、イソギンチャク男や雑兵を倒す。司令室に侵入してエビ男を感電死させると、カニ男はゴッド・ショッカーの自爆命令を受けて天窓に突っ込み、自爆装置のスイッチを押す。海中爆発した「ショッカー」の秘密基地。仮面ライダーは「生物兵器実験室」から脱出して、死んだクジラの腹の中から生還する。
毒蛾男はマンションの4階から宙吊りにしてアジトへ運ぼうとするが、モト狂いのライダーたちに奪われてしまう。「日の下電子」の社長・日下甲之介の家で目覚めた一文字隼人。彼を救出したのは1人娘の礼奈だった。彼女は父親と社長秘書・千草(女性X)の異変に2カ月前から気づいていた。隼人の許に届いた順子からの誕生日プレゼント。リボンを外して箱を開けると大爆発するが、仮面ライダーに変身していた隼人は難を逃れる。順子は「日の下電子」の受付嬢だった。彼女の家を訪れた隼人は白血病の弟を介護する姉の姿を目の当たりにして、一瞬でも彼女を疑った自分を責める。「日の下電子」に潜入した仮面ライダーは一足早く侵入していたFBI捜査官の滝二郎と協力してヒョウ男(ジャガーマン)を倒す。滝は5年前、日本政府から極秘に受注生産していた巨大コンピュータを調査していた。その電子頭脳は富士山の牧場にあるという。
隼人の宿泊しているホテルの部屋を訪れた順子が発砲する。日下家の金庫を開けようとしていた礼奈を父親が絞め殺そうとする。見張っていた滝二郎が日下甲之介を倒す。気絶した父親と礼奈を伴って本郷家の地下研究所へ行く。容態が悪化した浩二少年と順子も来ていた。姉を操っていたTVと腕時計には特殊な電波を出す装置が組み込まれていた。その誘導電波の発信と管理を巨大コンピュータが処理していた。富士山麓の牧場へ向かった一文字隼人と滝は「ショッカー」の地下基地へ侵入する。誘き入れられたことに気づいた隼人は生身の滝を引き返させる。仮面ライダーと怪人プラノドン、ハエ男、ナメクジラとの対決。牧場では滝が狼男や馬男(ケンタウロス)と戦っていた。親玉ビッグマシンとライダーの最終決戦。機械に特殊超音波を放射して機能を狂わせるビッグマシンの攻撃に苦戦するが、もう1人の仮面ライダー(本郷猛)が現われる。ビッグマシン自らが巨大コンピュータを狂わせて、自爆装置が起動する。地下基地の爆発、富士山の噴火‥‥コンピュータを使って日本人をロボット化する「10月計画」が国民を番号で管理しようとする日本政府のアイディアだったとは!
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- 「石ノ森章太郎萬画大全集」(角川書店 2006)をテクストに使いました
- 「ショッカー」怪人の名前を平仮名(くも男、こうもり男)から、カタカナ表記(クモ男、コウモリ男)に変えています
- 「10月計画」が「マイナンバー」という名称で45年後(2016)に実施されるとは!
mylene's melancholy / ryu's road / robot's regret / blue zone / esper ecchan / mutant sabu / jun / teacher thousand eyes / genma wars / cyborg 009-1 / 009-2 / 009-3 / 009-4 / 009-5 / 009-6 / 009-7 / 009-8 / 009-9 / and then there were none / the wild cat / inazuman / masked rider / sknynx / 597
- 編者:岩佐 陽一
- 出版社:双葉社
- 発売日: 2000/07/14
- メディア:単行本
- 目次:仮面ライダー誕生への道 / 怪奇くも男 / 恐怖 蝙蝠男 / 13人の仮面ライダー / 魔人サボテグロンの襲来 / 死斗! 怪人スノーマン対2人のライダー / 怪奇フクロウ男 / 怪人ジャガーマン 決死のオートバイ戦 / 劇場版 仮面ライダーの世界 / マスカー・ミュージック・ワールド / ゲルショッカー出現! 仮面ライダー最後の日!! / 仮面ライダー対ショッカー・ライダー / ライダー3号!その名はV3 / 仮面ライダーDATA BASE