あまやかされた かいねこに なやみなど ない。
えさは いつでも さらのうえ。
なでまわされ ブラシを かけられ、とても かいてきな まいにち。
あめが ふると ソファのうえで ねる。
めのまえで ねずみが おにごっこしたって しらんかお。
いつだって おなかは いっぱいだ。
たまに おもい こしを あげ、ちょっと さんぽに でるくらい。
なにもかも たいくつ。
あるひ さんぽから かえるとちゅう、
レオは おおきな ライオンに みられているのに きがついた。
- ザンジバル サーカス
ひゃくじゅうの おう エドワルド
レオは こころを うばわれて しまった。
リンダ・ヴォルフスグルーバー「ねこだけどライオン」
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6年前の初夏、飼い犬のレイディが5匹の子犬を産んだ。その2カ月後にラブラドール・レトリバーの子犬トングは里子に出される。何軒かの飼主たちに盥回しされたトングは宮崎の佐竹家に落ち着く。近所に住む龍一少年が子犬を見に来る。シーザーとトングの出合い‥‥意気投合した2匹(ボスがトングで、子分がシーザー)は一緒になって遊ぶ。池に浮かぶ骨を見つめていたトングは少女・愛良に捕獲されて連れ去られる。両親と離れて寄宿舎に入れられようとしていた少女は子犬に服(モーモージャンプスーツ)を着せ、靴を履かせて、幼い妹に仕立てて家出する。電車の窓から逃走したトングは飼主の許へ帰る。ところが戻ったのも束の間、トングは迎えに来た見知らぬ男に引き渡されてしまう。再びトングは車窓から跳び出して、駅のホームの椅子に座って泣いている愛良に会いに行く‥‥6年後の夏、盲導犬となったトング(佐竹氏は盲導犬候補の子犬を育てるヴォランティアの「パピー・ウォーカー」だった)とシーザーの「再会」は涙なしには読めない。
龍一ぼっちゃんの花嫁になった夢を見るシーザー。高校生になった龍一は背丈も伸びて、電車内で出遭った中学時代の苛めグループたちを逆に一蹴するほど強くなっていた。帰宅した龍一を出迎えるシーザーの前にボクシング部マネージャーの同級生・菊池舞が現われる。突然の恋のライヴァルの出現に狼狽えるシーザー。恋患いのライオンは絶食して「願かけ」する。「人間になりたい。1日でいい、一瞬でいい、死んでもいいから、人間になりたい」と切望するシーザー。舞に髪飾りをプレゼントしようとする龍一だが、彼女は飼主とライオンの親密な関係に嫉妬していた。バスケ部のキャプテンに交際を申し込まれたと告白する舞は「私とシーザーと、どっちが好き?」と龍一に迫る。プレゼントされた髪飾りを橋の上から投げ捨てる舞。シーザーが川へジャンプして髪飾りを銜える‥‥動物病院で目覚めたライオンは悟る。「ライオンは人間にはなれない。一生このまま、奇跡は起こらない」と。「でも時々、願いはかなう」‥‥飼主が全快祝いに髪飾りをプレゼントしてくれたから。
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「LaLa原画展」に出品されていた麗しいカラー・イラスト‥‥草叢で美少年が2匹の動物(ネコと?)と微睡んでいる原画に惹かれて、清水玲子の『WILD CATS』(白泉社 2006)を読んでみた。「大山猫」というタイトルなので、主人公はネコに違いないと思っていたけれど、「飼いネコ」として育てられた雌ライオンの物語だった。エラ・エア(Ella Eyre)のデビュー・アルバム《Feline》(Virgin 2015)は「ネコ科」というタイトルだった。「猫ジャケ」を期待したものの、肝腎のネコが見当たらない。エラが座っているベッドの右下の部分が商品タグで隠されている。購入後にアルバム・カヴァを確認すると、ネコの代わりに雄ライオンがいた(歌詞ブックレットにはエラがベッドの上のペルシャ猫を見つめている別ヴァージョンが載っている)。リンダ・ヴォルフスグルーバー(Linda Wolfsgruber)の絵本『ねこだけどライオン』(セーラー出版 1991)は百獣の王のポスターに心を奪われた飼いネコがライオン気取りで、街から出て行く物語です。
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- ネコ科の動物(ネコではなく、ライオン!)のアルバム、コミック、絵本です^^
- リンダ・ヴォルフスグルーバーの描くネコやライオンの絵には不思議な魅力がある
lion-hearted / cats and lions / feline lions / sknynx / 655
- Artist: Ella Eyre
- Label: Virgin
- Date: 2015/09/04
- Media: Audio CD
- Songs: Together / If I Go / Always / Good Times / Comeback / Gravity / Deeper / Two / Even If / All About You / Home / Alone Too / Worry About Me / Typical Me / Waiting All Night / Don't Follow Me / Everyone Goes Your Way / We Don't Have To Take Our Clothes Off