♭変態イナズマン(2015)
「イナズマン」(週刊少年サンデー 1973-74)は仮面ライダーと同系列の変身ヒーローものだが、主人公の中学生・風田サブロウはサイボ ーグではなくミュータント(超能力者)である。その変身能力によって、蛹から蝶へと羽化する。少女リオンがサブロウを窮地に追いやって超能力を覚醒させる導入部は「幻魔大戦」(1967)や「少年同盟」(1967)を想わせる。青年イライザが風田三郎に過酷な試練を課して同志に迎える後者は主人公の名前や実家(鮮魚店)、同級生のミヨッペ、少年同盟のイライザなど‥‥設定や登場キャラも重複して...#21
♭仮面ライダーズ(2015)
「仮面ライダー」(ぼくらマガジン / 週刊少年マガジン 1971)は実写版特撮TVドラマとして企画されたメディアミックス作品で、いわゆる「原作マンガ」ではない。世界支配を企む謎の組織に拉致〜改造された主人公が逃亡して逆に闘いを挑むというモチーフは「サイボーグ009」と同じだが、黒ベタを多用したダークなトーンや大きなコマ割り・1枚絵など、前半はストーリ性よりも迫力あるアクション主体の構成になっている。スリムな肢体の仮面ライダーはスタイリッシュでカッコ良いし、「ショッカー」の怪人(改造人間)たちもグロ...#22
♭骸骨男の復讐譚(2016)
高層ビルが林立する大都会の夜。巨大な月を背景にして1羽のコウモリが飛来する。高級マンションの窓辺から室内に侵入したコウモリ男が人気TV女優の花戸竜子を殺害して、窓から逆さ宙吊りにする。オオカミ男に変身して人民党代議士秘書を襲い、乗用車もろとも崖から転落死させる。ワニ男が岩を落下させて貨物列車を脱線転覆させ、三形KK電子研究所に潜入した謎の男スカルマンが警備員や研究者など5人を死傷させて、放火爆破する。女優、秘書、貨物列車、電子研究所 ‥‥一見バラバラに見える怪事件が1本の線で繋がると考える...#23
♭江美子ストーリー(2016)
横断歩道を駆け抜けて級友と下校する少女・山田とも子(小3)は突然立ち眩みを起こす。何事もなかったように流行歌を口ずさみながら家路に着く途中、姉の由美子に出合う。見知らぬ男性と腕を組んで立ち去る姉を見咎めた少女は全速力で走るが、再び眩暈に襲われて倒れてしまう。たまたま通りがかった若い女性に助けられた少女は「わたしをおいていかないで‥‥」と泣いて訴える。とも子は由美子にそっくりな紀乃宮瑠美子を姉だと勘違いしていたのだ。瑠美子は実家の妹 ・江美子に電話して、自分の誕生パーティに遅れると告げる。...#24
♭霧と薔薇と星と(2016)
「きりとばらとほしと」(少女クラブ 1962)はヴァンパイア伝説を題材したオムニバス3部作品。雑誌掲載当時、ヴァンパイア(吸血鬼)というダーク・ヒーローが日本の少女たちにとって、どれだけポピュラーな存在だったのかは分からないけれど(水谷豊の主演でTVドラマ化された手塚治虫の「バンパイヤ」(1966-69)は吸血鬼ではなく、狼少年だった)、リリという吸血少女を主人公にした100年に渡る過去・現在・未来のオムニバス3部構成は斬新だったはず。エドガ ー・アラン・ポーの短編3作品を原作にしたオムニバス映画『...#25
♭マリッペと6ベエ(2016)
「気ンなるやつら」(1965-68)は月刊平凡に連載された青春ラヴ・コメディ。読者の年齢層は少年・少女マンガよりは上で、青年劇画よりも低い(60年代後半に「平凡」を読んでいたのは十代の女性だろうか)。いわゆるマンガ誌ではないので掲載ページ数(4~6頁)も短く、ギャグ・マンガの要素も強い。登場人物は高校生のマリッペ(山田マリ子)とダブル6(六村6兵衛)、カミソリ(大文字清)、ゴリラ(佐川ミヤ)、リス(林カン太郎)の5人。主人公2人のマリッペと6ベエの家が隣同士で屋根伝いに2階の窓から互いに行き来...#26
♭赤い馴鹿(2016)
「赤いトナカイ」(1962-63)は「中学一年コース」(学習研究社)に連載されたSF作品。当時の東西冷戦の不安や核戦争の恐怖が色濃く反映されている。核ミサイル戦争が勃発して人類が滅亡するというテ ーマは今日から顧みれば荒唐無稽な気もするが、冷戦時代を生きた人人の心情や空気感を想像することは年々難しくなっている。主人公の内面に渦巻く「中国水爆実験」「ビートルズ台風来襲」「異常高温暴動続く」「ヒザ上30センチの」「ベトナム北爆激化」「交通戦争」「航空事故続く」「夢の島」「通り魔次々と5人殺傷」「大学...#27
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