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ネコ・ログ #55

  
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  • 猫はしっぽでしゃべる。たとえば、毛の流れと逆方向に撫でられたり、耳元で大声を出されたりしたら、いらいらしてパタパタとしっぽをたたくようにふる。ほっといてくれ、と言っている。寝ているときに名前を呼ぶと、面倒くさいからしっぽだけで返事する。はいはい 、って感じだろう。ご機嫌なときは、しっぽがぴんと真上に立っている。甘えたいときは、ねえねえと、長いしっぽを人間の体に添わせてくる。/ 人間にも、しっぽがあればいいのにとたまに思う。しっぽでしゃべることが出来れば、もしかしたら、言葉を使うより意思の疎通が楽かもしれない。考えていることを言葉に置き換えるということは、何十年生きていても、とても難しい。間違ってばかりいる気がする。しっぽをぱたぱたしている猫の気持ちのほうが確実だ。
    田尻 久子 「路地裏の猫」


  • #487│イラ│飼い猫 ── 僕もボヘミニャン
    『ボヘミニャン・ラプソディ』(シンコーミュージック・エンタテイメント 2019)は映画「ボヘミアン・ラプソディ」に便乗した写真集。フレディ・マーキュリーとインスタグラムに投稿されたネコ写真で構成されている。ボヘミアン(Bohemian)とは「自由奔放な生活をしている人」のこと。個人情報を抜き取られてビッグデータ化される高度管理・監視社会での生活を余儀なくされる現代人よりも、自由気儘に生きているネコちゃんにこそ相応しい言葉である。これからはノラ猫のことを「ボヘミニャン」と呼ぼう。イラは同じロシアンブルーのジョジやスコティッシュ・フォールドのリリ、ノルウェーの森のノルちゃんなどと共に低層住宅が立ち並ぶ地区で暮らしている。久し振りに訪れたら、ビックリ眼のイラちゃんと出会えた。他のネコたちを探していると、民家に住む事情通のオバさんたちが地域限定の「ネコ情報」を教えてくれる。最近ネコたちを見かけなくなったという。

    #488│ロン│ノラ猫 ── ピントは目に合わせてね
    連日の猛暑で注意力が散漫になっていたのか、デジカメのレンズキャップを無くしてしまった。キャップだけならば今までに何度か紛失したことがあるけれど、今回はプロテクト・レンズごと落としてしまった。首から下げているミラーレス・カメラ(NEX-5N)から散歩中に脱落したのだから気づきそうなものだが、何時何処で落としたのか全く分からない。高温でレンズの捻じ切りが膨張して緩んだのだろうか。8年間も使用して来たので、今さらレンズキャップやプロテクト・レンズだけを新たに購入する気にはなれない。タイミング良く今秋発売されるミラーレス(α6600)と標準ズームレンズ(E16-55mm F2.8 G)に買い替えようかと思案しているところだ。動物の目にも自動でピントが合う「リアルタイム瞳AF」と2.8通しの明るさに惹かれる。ネコ撮りに携帯するカメラとしてはギリギリの大きさと重さ(カメラとレンズで約1kg)だが、30万という金額が重量以上に重く伸しかかる。

    #489│サツキ│飼い猫 ── ウインクするネコ
    先日通ったことのない細い裏道から都電沿線に出ると、民家の前に三毛ネコが座っていた。初対面だったので挨拶して写真を撮っていたら、隣家の住人が「ミーちゃんは飼主だけにお手をする」と教えてくれた。ネットには招き猫みたいに片手を上げて飼主とハイタッチする「ネコ動画」などもアップされているが、ネコを躾けて芸を仕込むのは難しい。「お手」と言って、掌を目の前に出しても無反応。舌でペロペロと舐めてくれるだけ。ネコの柔らかくてプニュプニュした肉球を手で掴むと、ネコは嫌がって手(前肢)を引っ込めてしまう。T図書館裏のサツキ(本名)ちゃんは大人しくて撮りやすいネコ。茶系サバトラと淡い緑色の目、金色のペンダントがアクセントになっている。黒ネコのソランちゃんは上空の鳥を見上げる時に片目を瞑って見ていたが、サツキちゃんは気を惹こうとしてウインクしたわけではない。左の台座に凭れかかっているので、左頬が圧迫されているだけです。

    #490│メタ│ノラ猫 ── ダイエットするの?
    メタボ体型化したMacBook Pro(13-inch, Late 2011)のバッテリを外したら、CPUの処理速度が抑制されてレスポンスが遅くなった。冷却ファンは回らなくなったが、虹色の丸いカーソルが回転するようになってしまった。それでもトラックパッドをクリック出来ない、膨張したバッテリがトラックパッドを圧迫している最悪の状態が無料で修繕されたのだから良しとしよう。デスクトップ(据え置き型パソコン)として使用しているので、バッテリ無しでも殆ど支障はない。K浜東北線沿いの歩道で時々見かけるメタちゃんはノラ猫なのに栄養状態が良いのか丸々と肥っている。日中はフェンスの向こう側の空き地で寝ているのか、日暮れ時に出会うことが多い。耳先カットされた左耳が痛々しいけれど、本人は気にしていないようで、人懐っこくて可愛い。

    #491│セン│飼い猫 ── 図書館猫シャミー
    S石図書館のエントランス前に三毛ネコが寝ている。近所の民家で飼われている老齢ネコなのだが、毎日欠かさず図書館へ通って来るという。猛暑の夏場も冷房の効いた図書館内に入ろうとはしない。リードに繋がれた犬ならば、図書館から出て来る主人を待っていると分かるけれど、図書館前のセンちゃんが人待ちしているわけではない。頻繁に出入りする利用者も意に介さない。顔見知りの人が近寄って柔らかな毛並みを撫でるとニャーと鳴く。子供たちに手荒く弄られても逃げ出さない(逃走するのが億劫なのかもしれない)。ネコは明らかに嫌がっているのに、保護者は口頭で注意するだけで傍若無人の行為を制止しようとはしない。暫くすると図書館の中庭を歩き、門を潜って棲家へ帰って行く。センちゃんの後ろ姿を見送っていると、事情通の男性が「◯◯(本名)ちゃんは一緒に暮らしている飼いネコとの折り合いが悪くて外に出て来るらしい」と話してくれた。

    #492│レイ│ノラ猫 ── 令和ニャンニャン組
    2019年5月1日、年号が「平成」から「令和」になっても世の中は余り変わり映えしない。日本人のメンタリティに深く沁み入ることなので表面上の変化は見られない。10月1日からの消費税アップ(8→10%)の方が世間的には大きいかもしれない。僅か2%の上昇なのに(軽減税率も一部で適用される)、トイレットペーパーやシャンプーなどの生活必需品を買い溜めしてしまうのは消費者の悲しい習性でしょうか。新年号も消費税もネコたちには殆ど関係ない。ネコおばさんがレイちゃんに運んで来るキャットフードの味が多少落ちることになるかもしれないけれど。「令和」の考案者とされる国文学者・中西進氏は新聞のインタヴューの中で 「もがき苦しんで死んでいったのです。そんな戦争を知る人間が軍国化へと向かうことを、いいと言えますか」 「もののふが出たがっている。『改憲』の中身が問題だ」 「『令和』は、麗しく、争わない国のことです。いまの日本人の皮膚感覚に合っているのです」 と語っている。

    #493│アニ│飼い猫 ── すべてのネコも平等である
    ジョージ・オーウェルの『動物農場』(1945)をコミック化した石森章太郎の『アニマル・ファーム』(1970)に登場するネコはスノウボールのスパイと看做されてナポレオンのイヌたちに咬み殺されてしまうが、原作では搾取される動物たちの群れから姿を消して生き延びたようだ。「すべての動物は平等である」という動物主義の七戒は「すべての動物は平等である。だが一部の動物は他よりもっと平等である」というスローガンに掏り替えられてしまう。「一部の動物」とは指導者ナポレオンたち(ブタ)のことである。皮肉なことに亥年の令和元年(2019)、野生の猪から感染した「豚コレラ」によって、数万頭もの豚が殺処分された。家畜として人間に摂取されてしまう牛、豚、鶏などは兎も角、ペットショップで売られている純血種もヴォランティアに保護された捨てネコも家ネコもノラ猫も‥‥すべてのネコは平等である。昨年生まれたアニちゃんは人間たちに反旗を翻したりはしないけれど。

    #494│アオ│ノラ猫 ── 黒い猫と青い網
    往来する多くの老若男女、密集する飲食・歓楽街、軒を連ねる家並み、狭い道路を走る自動車や自転車‥‥都会は環境も景観も悪く、ネコたちが日々生活するには不向きで、写真もインスタ映えしない。人混みやゴチャゴチャした人工物の少ない田舎や、海外の風光明媚なところで暮らすネコを撮りたいと切に思う。ところが殺風景な都会(23区内)をネコ歩きしていて、不思議な「ナニコレ珍百景」に出遭ってしまうことがある。たとえば2年前に撮った「黄色い人と茶虎ネコ」‥‥ゴミ置き場の手摺りに纏めてある黄色いネットが、跪く人間に見えたので、写真を撮っていたら絶妙のタイミングでネコちゃんが来た。集合住宅の入口にある小さな公園で黒ネコを撮っていたら、たまたまカラス除けの青いゴミネットの前で静止した。まるでレースのカーテン越しに大雨で氾濫した川や屋外プールが映っているように見えなくもない。偶然の産物ですが、「ネコとネットは使いよう」と思ったりして。

    #495│ペタ│飼い猫 ──腹這いするネコ
    子ネコの成長は早い。約1年前に生まれたペタちゃんやアニちゃんも立派な大人ネコになった。三毛母ネコの庇護の許で見守られていた子猫時代は草葉の陰で身を潜めていたが、自立して自由気儘な単独行動をするようになってからは人が来ると慌てて逃げ去るようになってしまった。自ら身を護るための警戒心が芽生えたのだろうか。通路を自転車で往来する男性も「通りかかっただけで逃げ出すようになった」と残念そうに話す。母ネコも「もう子育ては終わったわ」と言わんばかりに、もう可愛い子供たちを護るために人と対峙‥‥強い眼差しで睨んだりはしない。つまり母子の写真を撮り難くなったということである。それでも日日根気良く、辛抱強く手招きして、ネコたちとの距離を縮めようと試みている。いつか馴れてくれるのではないかという淡い期待を抱いて。
     
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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第55集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリック490匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第55集の常連ネコはノルウェーの森のロンちゃん。図書館ネコのサツキちゃんとセンちゃんも準レギュラー化しました。『猫はしっぽでしゃべる』(ナナロク社 2018)は熊本県で小さな本屋「橙書店」を営む田尻久子のエッセイ集。尻尾が欲しいという切実な思いは谷崎潤一郎もエッセイ「客ぎらひ」の中で書いていました。人と会話するのが面倒な時に、シッポで返事(意志表示)出来るのは便利にゃん。シッポではなくても、魔猫ギュスターヴくんのようなアンテナが頭上にあるだけで愉しい。ネコミミならぬネコアンテナを頭に立てる‥‥嫌いな人が近づいて来ると、パトカーの赤色灯みたいに点滅するとか?

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました

    • 中西進氏の発言は「一語一会」(朝日新聞 夕刊 2019・9・5)から引用しました
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    猫はしっぽでしゃべる

    猫はしっぽでしゃべる

    • 著者:田尻 久子
    • 出版社:ナナロク社
    • 発売:2018/05/23
    • メディア:単行本
    • 目次:小さな本屋が町にあるということ / 蛇口と涙腺 / 丁度読みたかった本 / 路地裏の猫 / 団地 / 遠くへ行く / 被災地とことば / 坂口恭平について / 酔っぱらったいきおいで詩を買う / 写っていないもの / おわりとはじまり / 清志郎の命日 / お店 / 錆びたトタン / ことば / 自習室 / お祝い / ふりかえる / あとがき / 書籍リスト /「橙書店・田尻久子さんに寄せて」

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    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    • 編集人:西村 浩一
    • 出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 発売日:2019/04/25
    • メディア:単行本
    • 目次:フレディとねこのはなし / ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん / フレディとうたおう!フレディをまねよう!/ ねこのさくいん

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    動物農場〔新訳版〕

    動物農場〔新訳版〕

    • 著者:ジョージ・オーウェル(George Orwell)/ 山形 浩生(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2017/01/07
    • メディア:文庫(ハヤカワepi文庫)
    • 目次:動物農場 / 報道の自由:『動物農場』序文案 /『動物農場』ウクライナ語版への序文 / 訳者あとがき

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