b 居酒屋ワカル (2022-05-07)「居酒屋ワカル」 は「夜廻り猫」のスピンオフ・マンガ。毎週木曜夕方に開店しています。夜廻り見習い子猫のワカルは食いしん坊のちゃっかり屋。心配性の世話焼きキャラで、食い意地が張っているというか食べ物には目がない。この居酒屋が開店する経緯には伏線があったように思う。単行本第7巻の「あとがきマンガ」で、飼主さっちゃんとワカルは休業中の向かいの居酒屋から出火した延焼で九死に一生を得ます。火事で延焼した居酒屋を改築・改装して始めたのが「居酒屋ワカル」ではないでしょうか。たまご色の子猫がマスターなのでメニューが卵焼きだけだったり
(第2話) 、おすすめメニューの「ブリだいこん」を味見していて全部食べちゃったり
(第3話) 、お客から注文された料理を向かいのコンビニから調達したり
(第8話) ‥‥失敗も少なくないけれど、強かで抜け目がありません。ポテトサラダ
(第5話) 、にんじんグラッセ
(第6話) 、餃子
(第7話) 、フレンチトースト(第8話)など、扉絵の「ワカル・レシピ」も美味しそうで、自分で作って食べてみたくなります。
b ブラマンジェの猫 (2022-05-14)ブラマンジェ(blanc-manger)は砂糖、牛乳、生クリーム、ゼラチン、アーモンドなどで作るフランスの冷菓。ババロア(bavarois)との違いは卵黄の有無にある。4月◯日、借りていた音楽誌を図書館に返却。某家電量販店でネコ写真をDPEする。写真が仕上がるまでの空き時間を利用して駅前公園へ行く。暫く見かけなかった三毛ネコと久々に膝の上で旧交を温める。その後、某レコード店に立ち寄って
「ネコード」 を捕獲した。英シンセ・ポップ・デュオ、ブラマンジェ(Blancmange)の1stアルバム
《Happy Families ...Plus》 (Edsel 2008)は12インチ・ミックスなど6曲を追加収録したリマスター盤(全16曲・73分)。瀟洒な洋館の広い前庭で開かれたマッド・キャット・ティー・パーティ。ネコたちはヘッドフ ォンで音楽を聴かされながら、ブラマンジェを振る舞われる。ヴィクトリア朝の猫画家ルイス・ウェインへのオマージュを込めたカヴァ・イラスト(Mike Brownlow)である。1170年から1936年まで、ブリティッシュ・ライブラリー所蔵のネコ・アートを蒐集した
『ねこの絵集』 (グラフィック社 2016)の表紙もルイス・ウェインのイラストだった。
b 薔薇色の脚の乙女 (2022-05-21)『新編 夢の棲む街』 (ステュディオ・パラボリカ 2022)は処女作 「夢の棲む街」(SFマガジン 1976)と新作短篇2作品に、川野芽生の解説「薔薇色の、言葉と肉」を添え、中川多理の新作人形(11頁)で飾られた瀟洒な短篇集。〈夢喰い虫〉のバクが円形劇場の崩壊に巻き込まれる 「夢の棲む街」 を作者と思しき女性が40数年ぶりに再訪する 「漏斗と螺旋」(群像 2020)、中川多理の「薔薇色の脚」展に寄せた 「薔薇色の脚のオード」(パラボリカ・ビス 2020)によって、主人公のバクではなく、薔薇色の脚の少女たちにスポットライトが当たる。踊り子人形の「女性器の割れ目を備えた薔薇色の脚」に衝撃を受けた山尾悠子は「〈薔薇色の脚〉の発想元はハンス・ベルメールの球体関節人形であったことを思い出せば(あれには女性器がある)、この度の多理さんの造形は当然のことであり、本来あるべき姿を取り戻しただけと言えるかもしれない」と後記に書いている。ピンクの箱入り娘は黒い衣装(装幀)を身に纏った薔薇色の肉体(本文)として糸綴じされている。四六判函入・128頁。
b ヴィヴィエン・ゴールドマン(2022-05-28)英ロンドン生まれのヴィヴィエン・ゴールドマン(Vivien Goldman)はFlying Lizardsのメンバーでもあったドキュメンタリー作家。『女パンクの逆襲』 (Pヴァイン 2021)の原題は 「Revenge of the She-Punks」(2019)で、サブ・タイトルにあるように、ポリー・スタイリンからプッシー・ライオットまで、フェミニストの音楽史を丹念に綴っている。「ガーリー・アイデンティティ」 「マネー」 「ラヴ / アンラヴ」 「プロテスト」 の各4章にプレイ・リスト(全43曲)、巻末に索引が付いている。女パンクだけではなく、ニュー・ウェイヴ、ライオット・ガルー、ポスト・パンクなど‥‥米英だけでなく、中南米、アジア、中東、東欧、アフリカなど、音楽ジャンルも地域も幅広い。翻訳書の出版に呼応するようにタイミング良く、彼女の初ソロ・アルバム《Next Is Now》 (Cadiz 2021)もリリースされた。全面プロデュースしたYouth(Killing Joke)が殆ど全ての楽器を演奏しているが、激情型パンクではない。レゲエやエレクトロニクスの混じり合ったダブ空間に、とても70歳とは思えない可愛らしいヴォイスが飛び交う。全10曲・44分。
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居酒屋ワカル
著者:深谷 かほる サイト:コクリコ 開店日:2022/02/03 メディア:インターネット 目次: はじめまして / 焼き鳥とかとか / ぶり大根 / 半分は猫 / お手洗い / 大かんげい / 元気を出すには / なんでもあります / 今夜のメニュー / いちおし / ドリカム / さむーい日 / ひとやすみ / 海外旅行気分 / ミステリー作家ちゃん / ...
Happy Families ...PLUS
Artist: Blancmange Label: Edsel Date: 2008/09/16 Media: Audio CD Songs: I Can't Explain / Feel Me / I've Seen The Word / Wasted / Living On The Ceiling / Waves / Kind / Sad Day / Cruel / God's Kitchen / Living On The Ceiling (Extended Version) / God's Kitchen (12" Mix) / Feel Me (Extended 12" Version) / Feel Me (7" and 12" Instrumental) ...
ねこの絵集
編者:ブリティッシュ・ライブラリー 出版社:グラフィック社 発売日:2016/04/07 メディア:単行本(ソフトカヴァ) 内容:古くは1170年から1936年まで、ブリティッシュ・ライブラリーが所蔵する、著名なアーティストたちのねこのイラストが1冊にまとめられています。『不思議の国のアリス』のチェシャねこなど、有名なねこキャラも続々登場し、収録点数は100点以上。貴重かつ珍しい作品ばかりで、ねこファンならずとも、必見のヴィジュアルブックです
新編 夢の棲む街
著者:山尾 悠子 出版社:ステュディオ・パラボリカ 発売日:2022/03/18 メディア:単行本 目次:薔薇色の足のオード / 夢の棲む街 / 漏斗と螺旋 / 薔薇色の、言葉と肉(川野芽生)/『新編 夢の棲む街』後記
夢の棲む街
著者:山尾 悠子 出版社:早川書房 発売日:2022/05/22 メディア:文庫(ハヤカワ文庫JA) 目次:夢の棲む街 / 月蝕 / ムーンゲイト / 遠近法 / シメールの領地 / ファンタジア領 / 解説・荒巻義雄
Next Is Now
Artist: Vivien Goldman Label: Cadiz Music Date: 2021/12/10 Media: Audio CD Songs: Russian Doll / Saturday Afternoon / Vertigo / My Bestie & My BFF / Home / Substitute / Rope Burn / Next Is Now / Driverless Car / I Have A Voice
女パンクの逆襲 ── フェミニスト音楽史(ele-king books)
著者:ヴィヴィエン・ゴールドマン(Vivien Goldman)/ 野中 モモ(訳) 出版社:Pヴァイン 発売日:2021/12/23 メディア:単行本(ソフトカヴァ) 目次:ウーマニフェスト─女宣言─ はじめにひとつ / ガーリー・アイデンティティ わたしはだれ? / マネー わたしたちはわたしたちの金? / ラヴ/アンラヴ 二元制を打倒する / プロテスト 女というバリケード / アウトロ わたしたちのコーダ / 謝辞 / 索引