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スニーズ・ラブ 51

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  • ♭ 新元号(2019-04-06)
  • エイプリル・フールの日に新元号が発表された。「昭和」は兎も角、「平成」という元号には馴染めなかったし、不意に切り替わってしまう元号よりも連続性のある西暦の方が分かりやすかった。「令和」の「和」が「昭和」と重複していることにも違和感があった。ところが新聞に載っていた元号一覧表(247)を見ると、「天応・天徳・天暦・天慶」「天永・永久・元永」など、同じ漢字が何回も連続して使い回されているではないか。「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」‥‥「令」は令しい、「和」は和らぐという意味で使われている。30年間非公開のはずだった6つの原案や考案者も早々に明らかとなった。ン十年前、予備校生時代に中西進先生の授業を受けていたことがある。「古文」ではなく「現国」だったが、高校の授業よりン十倍も面白かった。受験のための技術的なノウハウも然ることながら、まさに「行間を読む」という真摯で奥深い読書行為は目からウロコだった。新元号が「令和」に決まって、ちょっと嬉しかったりして。

  • ♭ マーマレード色の猫(2019-04-13)
  • 『たのしい暮しの断片』(平凡社 2019)は「天然生活」に連載されたエッセイを中心に編まれた金井美恵子のエッセイ集。姉・久美子の作品24点(絵画、イラスト、アッセンブラージュ)も掲載された愉しい造本になっている。『待つこと、忘れること?』(2002)の続篇的な内容とのことだが、70歳を越えて正月のおせち料理を作らなくなった金井姉妹の現在の生活と過去の記憶が色鮮やかに描かれる。「猫を預かる」 「猫の手ざわり」 「猫のいない生活の良さについて」 など、ネコに纏わるエッセイには亡くなった愛猫トラーの絵も添えられている。「猫の毛の色」の中で、大江健三郎の《イギリス風のおよそ猫的でない感じの比喩には猫以上の何かを(たとえば、日の光を浴びて、猫の毛が輝いている様が、ガラス瓶に入った透明な果実のジャムの甘酸っぱい苦さと共に、眼と口の中と手のひらに思い浮ぶ)同時に感得させる力がある》「マーマレード色の猫」は、ロラン・バルトが魅力的な考察をしたシャトーブリアンの「黄色い猫」よりも豊かなイメージを呼び起こすと書いた後で、岩合光昭の撮ったペルシャの香料屋で飼われている茶トラ「サフラン」の方が魅惑的だと結ぶ。

  • ♭ ラ・ファム(2019-04-20)
  • スタンダード、デラックス、エクスパンド、コレクターズなど‥‥新譜や再発(リマスター盤)に限らず、数種類のエディションがリリースされるようになった。洋楽の国内盤にボーナス・トラックを追加したり、邦楽(J-POP)の初回限定盤にDVDを同梱する商法は日本のお家芸だったが、フランスも負けていない。初回限定盤が単なるデジパック仕様だったり、コレクターズ・エディションが超豪華(超高価)だったりするので、どのエディションを購入するべきなのかの見極めが難しい。スタンダード盤しか日本に入って来ないことも多い。La Femmeのデビュー・アルバム《Psycho Tropical Berlin》(Disque Pointu 2013)もスタンダード(14曲)、デラックス(18曲)、デラックス 2CD(21曲)など、数種類のエディションがあるらしい。同時のリリースならば選択の余地があるけれど、新曲を追加したエクスパンド盤やリミックスCDを同梱した「第2版」の時間差リリースは悩ましい。10年後のリマスター盤ならば嬉しいけれど、1年後のリイシュー盤は口惜しいかったりして?

  • ♭ オハイオ(2019-04-27)
  • 不完全だった〈Ohio〉のアクースティック・ギター・コピーを再度試みた。音質の悪い海賊盤を聴くしかなかった時代とは隔世の感で、お蔵入りだった未発表音源が次々にリイシューされ、動画投稿サイトに過去のライヴ映像もアップされている。YouTubeには弾き方を教えてくれるレッスン・ヴィデオも少なくない。NYAPS(Neil Young Archives Performance Series)の《Live At Massey Hall 1971》(Reprise 2007)に同梱されているDVDのライヴ映像は余り参考にならないので、YouTubeのライヴ映像「Ohio - Neil Young Carnegie Hall Jan 10, 2014」「How To Play "OHIO" By Neil Young- Acoustic Tutorial Live At Massey Hall」を参照した。演奏前に1弦と6弦(E)を1音下げているので「Double drop D tuning」と分かる。AメロはD、F、Cのコードのフォームでメロディを弾く。サビはGm7(6弦は5fを押さえる)とCを繰り返すが、2度目はGmajor(2弦は3fを押さえる)で、次のCとDはGフォームのまま8fと10fにスライド(5弦をミュート)させている。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2019-04)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    万葉集 全訳注原文付(一)

    万葉集 全訳注原文付(一)

    • 著者:中西 進
    • 出版社:講談社
    • 発売日:1978/08/28
    • メディア:文庫(講談社文庫)
    • 目次:凡例 / 解説(書名 / 成立 / 構成 / 表現の方法 / 時代 / 特質 / 研究史)/ 巻第一 / 巻第ニ / 巻第三 / 巻第四 / 巻第五


    たのしい暮しの断片

    たのしい暮しの断片

    • 著者:金井 美恵子 / 金井 久美子(絵)
    • 出版社:平凡社
    • 発売日:2019/01/25
    • メディア:単行本
    • 目次:長靴の雨靴 / マニキュアとネイルエナメル / 白い恐怖 / ラ、ラ、ラ、ソックス / 夏ミカンと夏ミカンの皮 / 夏の頭皮のお手入れには、/ エリック・ロメールの映画と本 / 婦人雑誌の料理1/ 婦人雑誌の料理2 / たにし亭の味 / たにし亭の暖簾 / 食卓上の道具 / お椀の舟に箸の櫂 / 誰でもおいしいコーヒーは淹れられる / 豆を煮る / 猫を預かる / 梅干...


    待つこと、忘れること?

    待つこと、忘れること?

    • 著者:金井 美恵子 / 金井 久美子(絵)
    • 出版社:平凡社
    • 発売日:2002/10/01
    • メディア:単行本
    • 目次:待つこと、/ 忘れること?/ 再び、待つこと、/ またまた、待つこと、忘れること / あとがき 彷徨の連載エッセイ


    Psycho Tropical Berlin

    Psycho Tropical Berlin

    • Artist: La Femme
    • Label: Disque Pointu
    • Date: 2017/11/10
    • Media: Audio CD(2CD)
    • Songs: Antitaxi / Amour Dans Le Motu / La FemmeInterlude / Hypsoline / Sur la Planche 2013 / It's Time to Wake Up 2023 / Nous Tions Deux / Packshot / Saisis la Corde / Le Blues de Fran Oise / Si Un Jour / La Femme Ressort // Oh Baby Doll / Witchcraft / Witch Dub / ...


    Live At Massey Hall 1971

    Live At Massey Hall 1971

    • Artist: Neil Young
    • Label: Reprise / Wea
    • Date: 2007/03/20
    • Media: Audio CD+DVD
    • Songs: On The Way Home / Tell Me Why / Old Man / Journey Through The Past / Helpless / Love In Mind / A Man Needs A Maid/Heart Of Gold Suite / Cowgirl In The Sand / Don't Let It Bring You Down / There's A World / Bad Fog Of Loneliness / The Needle And The Damage Done / ...

    ブラジル音楽を聴こう 1

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  • ◎ TROPICALIA 2 (Philips 1993) Caetano e Gil

  • Caetano VelosoとGilberto Gilの2人がコラボした「トロピカリア 2」は〈Haiti〉で幕を開ける。Caetanoの感情を抑えたクールなラップとGilbertoのコーラス、Moreno Velosoの不穏なチェロ、Liminhaの無機質なパーカッション‥‥25年前に当時のブラジル軍事政権を批判して投獄された2人がハイチの現状を憂う。Gilbertoのサンバ〈Cinema Novo〉、ジミヘンのカヴァ〈Wait Until Tomorrow〉、「誰?」 (Quem?) という言葉をサンプリング〜コラージュしたミュージック・…#01



  • ◎ DA LAMA AO CAOS (Chaos 1994) Chico Science & Nacao Zumbi

  • ブラジル北東部レシフェのマングローヴから突如出現した新種の蟹?‥‥Chico Science率いる8人組CSNZのデビュー・アルバムはヒップホップ / ラップの肉体(脳味噌?)とファンクの甲殻とハード・ギターの鋏で出来ている。CSの葡語ラップは泡立ち滑らかで舌鋒鋭く、ファンクは強靭で堅牢、ハード・ギターもヘヴィで切れ味鋭い。ヒップホップ / ラップ、ファンク、ハード・ロック、スラッシュ・メタル、ダブ、マラカトゥなどを自在にミクスチャーしたマンギビートは「未来世…#02



  • ◎ SAMBA ESQUEMA NOISE (Banguela 1994) Mundo Livre s/a

  • ツンのめるようなビート、ノイジーなギター、乱れ打つドラム ‥‥それこそが「マンギビート」だと宣言する〈Manguebit〉 (「Manguebeat」は音楽メディアによる通称)。CSNZと共にマンギビートを牽引したMundo Livreのデビュー・アルバムである。Fred 04(Zero Quatro)率いる5人組はヒップホップ〜ファンク寄りのCSNZよりもロック〜ワールド・ミュージック色が濃い。たとえば、CSNZのデビュー・アルバムにも収録されていた〈Rios, Pontes & Overdrives〉と同一…#03



  • ◎ VERDE ANIL AMARELO COR DE ROSA E CARVAO (EMI 1994) Marisa Monte

  • 薔薇色に彩られたイラスト・カヴァが華やかな3rdアルバム。英語タイトルは《Rose & Charcoal》だが、原題には緑や黄色や青色もある。Carlinhos Brown、Marcos Suzano、Chico Neves、Gilberto Gil、Celso Fonseca、Bernie Worrell、Philip Glass、Laurie Andersonなど‥‥リオとNY、Marisa MonteとArto Lindsay(prod.)の人脈を生かした豪華絢爛たるミュージシャンたち。Carlinhos BrownやNando Reisとの共作曲やLou Reed、Paulinho de Viola、Jorge Benjo…#04



  • ◎ NINGUEM (RCA 1995) Arnaldo Antunes

  • Arnaldo Antunesと5人の仲間たちの顔写真をコラージュしたアルバム・カヴァ‥‥目や耳、鼻、口など、顔の部位や皮膚組織を移植パッチワークした不気味なモンスターのようなアート・ワークに怯んだ人も、裏面の「produzio por liminha」というクレジットにホッと胸を撫で下ろしたでしょう。実験的なソロ・アルバム《Nome》(1993)から一転したバンド・スタイルのポップ・ロック路線。Edgard Scandurraを中心とする5人のメンバーに支えられてArnaldoは殆どヴォー…#05



  • ◎ ALFAGAMABETIZADO (Delabel 1996) Carlinhos Brown

  • ドレッド・ヘア、網の目状の白いゴーグル、裃のような衣裳を素肌に纏って、組み合わせた掌を見つめる宇宙人? ‥‥アルバム・カヴァの妖しい姿からも、Carlinhos Brownには天衣無縫の自由人というイメージがある。打楽器集団Timbaladaのリーダーだけあって、パーカッシヴで乗りの良いビートがアルバムを躍動感溢れるものにしているが、Lenineみたいにカッコ良い〈Cumplicidade De Armario〉や雨音の調べが優しく愛撫する〈Argila〉など、ファンタスティックな曲に惹かれる…#06



  • ◎ RAIO X (EMI 1997) Fernanda Abreu

  • アルバム・タイトルの「Raio X」とはX線(X-ray)のことだが、Fernanda嬢にボイオティアの大山猫のような透視能力があるわけではなく、スリーヴ写真(ソラリゼーション)を見れば分かるようにマン・レイへのオマージュになっている。インナー(歌詞カード)にはジャケを含めて7点のポートレート、「X」のレイヨグラフ(?)を印刷したCDを取り出すと透明トレイの下から彼女の胸部レントゲン写真が現われるという趣向である。新録、再録、リミックスから成るアルバムは…#07



  • ◎ O DIA EM QUE FAREMOS CONTATO (Ariola 1997) Lenine

  • Lenineの魅力はパーカッシヴなギター(violao)と野性味あるヴォイス。SF小説の挿絵や映画のポスターを想わせるレトロ・フューチャーなイラスト・ジャケも洒落ている。Chico Nevesのプロデュース、Marcos Suzanoのパンディロ、Liminhaのベースという贅沢な布陣。ヒップホップ化したファンクが先鋭的でカッコ良い。アルバム・タイトル曲〈未知との遭遇の日〉の背後で鳴っているノイズ・ギターや〈Dos Olhos Negros〉のサイケデリック・ギターがロックであることを主張す…#08



  • ◎ UNIVERSO UMBIGO (Velas 1997) Karnak

  • 《Karnak》(1995)のメンバー全員集合記念写真(11人と犬1匹)はアマゾン奥地の秘密結社かアナーキー集団みたいな怪しい雰囲気だった。Andre Abujamra統帥が率いるKarnak (後述の日本語では「カーナック」と発音している)は一体何が飛び出して来るか皆目見当もつかないブラジル製ビックリ箱の中でも最も訳の分からない変態大所帯グループで、アラブ+レゲエ=アラゲエ(荒芸?)ならぬ荒技を決めて聴き手を唖然とさせる。真っ当な純正レゲエ曲よりも、他のジャンル…#09



  • ◎ LIVRO (Mercury 1997) Caetano Veloso

  • 音楽アルバムを短篇小説に模した本(livro)があるように、短編集に準えたアルバム。赤・緑・青・紫・黄色‥‥鮮やかなペインティングの外装(3面デジパック)を見開くと、ムンクの〈叫び〉のような不穏な表現主義風の背景の左にCaetanoの肖像画が描かれ、右にプラケースに入ったCD、中央のスリットに1回り小さなブックレット(歌詞カード)が収まっている。汎中南米音楽のカヴァ集《Fina Estampa》(1994)以降、ブラジルという枠内に収まらない、まさに「ワールド・…#10



  • ◎ SAMBA PRA BURRO (Trama 1999) Otto

  • 元Mundo Livreのパーカッション奏者によるソロ・デビュー作。ブラジル発のドラムンベース・アルバムとして注目を集めたが、サンバやマンギ・ビート、ヒップホップやレゲエ / ダブを基にしたサウンドは超高速直線的な英国産オリジナルではなく、柔らかい曲線を描く。同じサッカーでも欧州と南米、プレミア・リーグとブラジル国内とではプレイ・スタイルが全く異なるように。意表を衝くパスや独創的なドリブルで相手を翻弄するセレソンのように。Otto自身のヴォーカルに加え、…#11



  • ◎ ISOPOR (Plug 1999) Pato Fu

  • デビュー・アルバムの《Rotomusic De Liquidificapum》(Cogumelo 1993)がヨーロッパ経由で紹介されたことからも分かるように、Pato Fuはブラジル発でありながら欧米のギター・ポップ・バンド(渋谷系?)に限りなく近い。ポルトガル語で歌っていなければUSインディーズかスウェーデン産のグループかとも見誤り兼ねない?‥‥などとシタリ顔でいると、とんだシッペ返しを受けてしまう。1曲目が英語どころか日本語で歌われているのだから。紅一点のFernanda Takai…#12



  • ◎ OLIVIA (Trama 2000) Olivia

  • Oliviaと言ってもシドニー五輪(2000)の開会式で復活したOlivia Newton-John(閉会式のKylie Minogue嬢の方が好みだが)のことではないし、「Elephant6」のOlivia Tremor Controlでも、JーPOPのOliviaとやらでもない。同じ南半球でも底抜けのオージーとは違って南米ブラジル産のOlivia嬢は、レオタード+レッグウォーマ姿のエアロビではなく、70年代風テイストを加味した最新衣裳を纏って淑やかにデビューする。古き良きロックの香りとトリップホップの融合──こ…#13



  • ◎ VOZVOIXVOICE (MCD 2001) Tete Espindola

  • 女性ヴォイス・パフォーマーのアカペラ・アルバム。何回も重ね録りしたTete Espindolaのヴォイスをベースがサポートする。歌唱、声色、効果音、スキャット等の7変化ヴォイスが驚異的!‥‥ブルガリアン・ヴォイスに挑戦した〈Indiu〉、英国議事堂時計塔(Big Ben)鐘の音を模した〈Pelicong〉、熱帯の野鳥や動物たちの鳴き声を交えた〈Trompe L'Oeil〉、幻想的なサウンド構成が素晴しい〈Ararinha Azul〉、ケイト・ブッシュがアカペラでタンゴを歌ったような〈Arabian …#14



  • ◎ OI (Sorte 2003) Laura Finocchiaro

  • 「タイムトンネル」みたいな渦巻き状の赤黒い孔の前に佇む全身黒ずくめの男装の麗人ラウラ・フィノッシアーロはハードコア・パンクでもSF懐古趣味の宝塚歌劇団宙組でもなかった。一風変わった彼女の音楽を言い表わすのに一番手っ取り早い方法はFernanda Abreuとの比較だろう。F・Aがヒップホップ寄りのファンクだとすると、ラウラ嬢の方はクラブ / エレクトロ系、声質も(男勝りで硬質なF・Aに対し)フェミニンで、意外と可愛い。もちろん羊頭(パンク頭?)な意匠を施して…#15


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    「ミュージック・マガジン」(2019年5月号)の創刊50周年記念ランキング「ブラジル音楽 オールタイム・アルバム・ベスト100」に便乗・相乗りしてみた。音楽評論家など41人が1位から30位まで順位づけした「ベスト・アルバム30」を編集部が集計して「ベスト100」をリストアップ(票数は非表示)したというけれど、創刊当時(1969)からリアルタイムでブラジル音楽を熱心に聴いていたわけではないし、過去に遡って網羅的に聴いたこともないので「オールタイム」という文言は外した。「年間ベスト・アルバム10」(1988~2018)に入れたアルバム24枚に、年末年始のリリースや入荷・入手時の遅れなどから選出のタイミングを逸してしまったアルバム6枚を補って「ブラジル・アルバム・ベスト30」を選んでみた。「オールタイム」ではないが、過去30年間の音楽嗜好が反映されたリストになったと思う。1アーティスト(バンド)・1アルバムという縛りで、順位はつけずに年代順とした。

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    • 記事が長くなってしまったので、15枚ずつ2分割(Part 1、Part 2)しました^^;
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    ミュージック・マガジン 2019年 5月号

    ミュージック・マガジン 2019年 5月号

    • 特集:ユニコーン / ブラジル音楽 オールタイム・アルバム・ベスト100
    • 出版社:ミュージック・マガジン
    • 発売日:2019/04/20
    • メディア:雑誌
    • 執筆者:荒井めぐみ / 石川真男 / 石田昌隆 / 伊藤亮介 / ウィリー・ヲゥーパー / 江利川侑介 / 大石始 / 岡村詩野 / 荻原和也 / 河津継人 / 栗本斉 / ケペル木村 / 駒形四郎 / 佐藤英輔 / 宿口豪 / 染谷大陽 / 髙木慶太 / 高橋健太郎 / 塚原立志 / 寺下光彦 / 柳樂光隆 / 中原仁 / 成田佳洋 / 祢屋康 / noriji / 原田尊志 / 深沢美樹 / 藤本一馬 / 堀内隆志 / 松林弘樹、松山晋也、宮子和眞、宮沢和史、村田匠、山田光、山本幸洋、吉本秀純、若杉実...


    21世紀ブラジル音楽ガイド

    21世紀ブラジル音楽ガイド

    • 監修:中原 仁
    • 出版社:Pヴァイン
    • 発売日:2018/07/25
    • メディア:単行本(ele-king books)
    • 目次:+2とリオのインディー・ポップ / ノヴォス・コンポジトーレスとサンパウロ・シーン / ミナス新世代 / MPB / Samba Soul / Funky Groove/Urban / Hip Hop / Funk / Drum'n Bass / Electro / Reggae / Street Beat / Bahia(バイーア)/ Nordeste & Norte / Rock / Folk & Country / Samba / Instrumental / 90's 世代 / Maestro, Legend / International

    ブラジル音楽を聴こう 2

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  • ◎ MARE (Sony BMG 2008) Adriana Calcanhotto

  • 「Adriana Partimpim」 名義の少女マンガのヒロイン風デカ目 (アイ・マスク)カヴァから一転して、「蒼いゾンビ女」 に変身?‥‥サンバ・カーニヴァルの仮装メイクをイメージしているのかもしれないが、ちょっと怖いなぁ。サンバ、タンゴ、カリプソ、ボサノヴァなどの共作やカヴァ曲をMPB新世代トリオのMoreno、Domenico、Kassinがバックアップ。選曲も最高ならば、アレンジも絶妙で微に入り細に入る。Bebel Gilbertoの〈Mulher Sem Razao〉には感涙しました。快晴の青…#16



  • ◎ PRESENTE (Dubas 2010) Delia Fischer

  • Delia Fischerの2ndアルバムはブラジル音楽とジャズの混じり合いが絶妙で、ヨーロッパの香りも漂う。激しいインスト曲を聴くとジャズ・ピアニストのような気もするが、清冽で脹よかな彼女のヴォイスに包まれる。ピアノ、チェロ、ヴィオラ、アコーディオン、ヴィブラフォンなど、生楽器主体のチェンバー ・ポップで、プログラミングやスクラッチが隠し味になっている。スイミング・プールの水の撥ねる音をパーカッションにした〈Das Aguas〉という実験的な曲もある。ゲスト・ミ…#17



  • ◎ ANTONIO LOUREIRO (Independente 2010) Antonio Loureiro

  • ミナス出身のSSW、Antonio Loureiroはドラムス、ピアノ、ギター、マリンバ、ローズ・ピアノ、ヴィブラフォン、グロッケンシュピールなどを操るマルチ奏者。Caetano Velosoを想わせる中性的なヴォイスとエクスペリメンタルなサウンド‥‥冒頭の変則5拍子曲〈Voo A Dois〉を一聴するだけでも、並大抵の才能でないことが分かる。トロンボーン、フルート、クラリネット、チェロ、アコーディオン、ハープなどの奏でる優雅なチェンバー・ポップはSufjan Stevensと共振する同…#18



  • ◎ SONHANDO DEVAGAR (Coqueiro Verde 2011) Kassin

  • Domenicoの《Cine Prive》に続いて、MPB新世代トリオの1人、Kassinのソロ・アルバムがリリースされた。本来はベーシストだが、彼がリード・ギターを弾いている曲ではAlberto Continentino(2曲を共作)にベースを任せている。Neil Young風のノイズ・ギターが後半に炸裂する〈O Que Voce Quiser〉、Sean O'Hagan(The High Llamas)と共作した〈Lua Do Sol〉、DomenicoとMorenoの2人がドラムスとコーラスで参加した〈Em Volta De Voce〉‥‥。浮游…#19



  • ◎ MACAXEIRA FIELDS (Mares 2012) Alexandre Andres

  • ミナスジェライスの若きSSW、Alexandre Andresの2ndアルバム。音楽監督を務めるAndre Mehmari(ピアノ、ヴォーカル)のスタジオにRafael Martini(アコーディオン、ピアノ)やAntonio Loureiro(ドラムス)などが集結。Alexandreのヴォーカル、フルート、ピッコロ、ギター(violao)にヴィブラフォン、クラリネット、トランペット、トロンボーン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ‥‥。Tatiana Parra、Monica Salmaso、Leonora Weissmann、Juan Quintero(A…#20



  • ◎ SO O AMOR CONSTROI (Tratore 2012) Gustavito

  • Gustavito(Gustavo Amaral)は遅れて来た「新ミナス派」の才人。デビュー・アルバムには音楽大学出のインテリで学究肌という「新ミナス派」のイメージを覆す人懐っこいイナタさがある。Antonio Loureiroと同じようなマルチ奏者だが、ギター、ベース、4弦ギター(cuatro venezolano)、10弦ギター(viola caipira)に加えてマリンバ、ハーモニウムなども弾く吟遊詩人風のSSWである。Alexandre Andres(フルート)、Rafael Martini(アコーディオン)、Irene Bert…#21



  • ◎ DERIVA (Tratore 2013) Kristoff Silva

  • 《Em Pe No Porto》(Jardim Producoes 2009)から深化したアルバム。Kristoff Silvaのヴォーカル、ギター(violao)にRafael Martini(ピアノ、ローズ)、Alexandre Andres (フルート)、Antonio Loureiro (ドラムス、ヴィブラフォン、パーカッション)が参加。トランペット、サックス、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、フルート、オーボエ、ファゴット、クラリネットの入ったチェンバー・ポップもあるが、他のミナス勢とは印象が異なる。変則ビートがドラムンベー…#22



  • ◎ COISA BOA (Pommelo 2014) Moreno Veloso

  • Moreno+2名義の《Maquina De Escrever Musica》(Rock it! 2000)以来、実に14年振りのソロ・アルバム。Morenoのヴォーカル、ギター、コンガ、チェロ、ベース、パーカッションにPedro Sa(ギター)、Domenico(ドラムス)、Kassin (シンセ、べース)、Rodrigo Amarante(ウーリッツァ)、Alberto Continentino(ベース)、Daniel Jobin(ピアノ)、Dadi(マンドリン)、Davi Moraes(ギター、カヴァキーニョ)、Melvn Gibbs(ベース)、Arto Lindsay(ギタ…#23



  • ◎ BRINQUEI DE INVENTAR O MUNDO (Maravilha 2015) Jozi Lucka

  • 緑の植物が生い繁るジャングルの中を裸足で歩く金髪の白人女性。左肩には青い鳥が止まっている‥‥サニ・グエッラ(Sani Guerra)が描いたアルバム・カヴァに強く惹かれる。デジタル配信もされているけれど、思わずジャケ買いしたくなる見開き紙ジャケ仕様のアルバムです。ジョジ・ルッカ(Jozileide de Oliveira Fernandes)はリオデジャネイロ州ノーヴァ・フリブルゴ生まれの女性SSW。3rdアルバムはMoreno Velosoのプロデュースで、彼女と共作しているNenung(ヴォ…#24



  • ◎ BOA NOITE PRA FALAR COM O MAR (Tratore 2017) Joana Queiroz Sexteto

  • 2ndアルバムはカルテット名義の《Uma Maneira de Dizer》(2013)から、Joana Queiroz、Beth Dau(ヴォーカル)、Bernardo Ramos(ギター)、Rafael Martini(ピアノ)、Bruno Aguilar(コントラバス)、Felipe Continentino(ドラムス)の6人(Sexteto)編成となった。全8曲中ヴォーカル入りは2曲だけだが、JoanaとBeth Dauの2人が自由奔放にスキャットしているので「インスト・アルバム」という感じはしない。彼女が率いる管楽六重奏団、Inventosのメン…#25



  • ◎ CUIDADO MADAME (Ponderosa 2017) Arto Lindsay

  • 《Salt》(2004)以来、実に13年振りのソロ・アルバム。長いインターヴァルを感じさせないのはLourenco RebetezやTonoなどのプロデュースが記憶に鮮明だから。ノン・チューニング・ギター(チューニング出来ないくらい耳が良い?)とブラジル音楽の融合。アヴァンポップを体現・体感出来る音楽で、Simon Fisher Turnerにも通じる甘美で繊細なヴォーカルに魅惑される。ドラムンベース風の〈Grain By Grain〉、9拍子の〈Ilha Dos Prazeres〉、ノイズ・ギターが炸裂す…#26



  • ◎ VEM (Sony Music 2017) Mallu Magalhaes

  • 2015年12月28日に女児ルイザ(Luísa)ちゃんを出産したブラジル・サンパウロ生まれのSSW、マルー・マガリャエスの4thアルバム。15歳の誕生日に祖父母から贈られたキャッシュで録音した自作曲を「MySpace」にアップしたことで注目を集めた少女も9年経って母親になったのだ。ジョルジュ・ベンジョール調の〈Você Não Presta〉や〈São Paulo〉、シングル・カットされた〈Casa Pronta〉や〈Culpa do Amor〉などの乾いたサーフ・ギター・サウンドは旦那のMarcelo…#27



  • ◎ HARU (Independente 2017) Alexandre Andres / Rafael Martini

  • Alexandre Andres(ギター、フルート)とRafael Martini (ピアノ、シンセ)によるデュオ名義のアルバム。Alexandreの《Macieiras》(2017)はカルテットによるインスト・アルバムだったが、《Haru》は2人だけでレコーディングされている。Alexandre Andres4曲、Rafael Martini3曲、共作2曲という構成で、嬉しいことに全9曲中6曲はヴォーカル曲。インストにもスキャットが入っている。カルテットのアンサンブルやインプロヴィゼーションよりも、秋の夜長(ブラ…#28



  • ◎ ALICE (Universal 2018) Alice Caymmi

  • 日本古来の流儀で緊縛された花嫁アリス(縛り甲斐のある体型?)は「神聖と冒涜」の象徴 ‥‥彼女を包むハート型のネオンの標示は「ALICE」という名前だけが黄色く点灯されて、「CAYMMI」の文字は消えている。アリーシ・カイミの3rdアルバムはバルバラ・オハナ(Barbara Ohana)のプロデュース。エクスペリメンタル系のエレクトロニカだが、ダークで退廃的な色合いから半歩抜け出し、ヴォーカルがネオンのように妖しく色づく。ラッパーのRincon Sapienciaがゲスト…#29



  • ◎ TRANCA (Circus 2018) Ava Rocha

  • アヴァ・ホーシャの3rdアルバムは全19曲・62分。Alberto Continentino (ベース)、Domenico Lancellotti(ドラムス)、Rafael Rocha(パーカッション)、Tulipa Ruiz、Iara Renno(ヴォーカル) など、総勢35名のミュージシャンが参加した大作となった。彼女の自作曲は共作を含めた11曲に、夫のNegro Leo(ギター、ヴォーカル)が5曲、カヴァ3曲というアルバム構成。2016年6月6日、64歳で亡くなった友人の彫刻家トゥンガ(Tunga)に捧げた〈Pangeia〉、エン…#30


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    「年間ベスト・アルバム10」(1988~2018)の中のブラジル・アルバムから24枚、年末年始のリリースや入荷時、入手時の遅れなどから選出のタイミングを逸してしまったアルバム6枚を選んだ。リストアップは比較的スムーズに決まったが、元記事からの引用文(28字×8行)を空白部分のないようにレイアウトするのに腐心した。本文との修整の兼ね合いが難しくて、一部の文章表現を変更しなければならなかったことを断っておく(元記事の文章も一部加筆・改稿した)。「ミュージック・マガジン」(2019年5月号)の創刊50周年記念ランキングの「ブラジル音楽 オールタイム・アルバム・ベスト100」とは6枚、『21世紀ブラジル音楽ガイド』(Pヴァイン 2018)とは15枚重複している。この少なさがブラジル音楽の多様性を物語っているのかもしれない。令和元年のGW10連休を楽しむための「ブラジル音楽ガイド」や今後のアルバム購入の手引きとして役立ってくれたら嬉しい。

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    • ジャケ違いの国内盤《Macaxeira Fields》(NRT 2013)もリリースされています
    • 選出した上記の30枚に限らず、すべてのアルバム(輸入CD)を自腹で購入しています
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    ミュージック・マガジン 2019年 5月号

    ミュージック・マガジン 2019年 5月号

    • 特集:ユニコーン / ブラジル音楽 オールタイム・アルバム・ベスト100
    • 出版社:ミュージック・マガジン
    • 発売日:2019/04/20
    • メディア:雑誌
    • 執筆者:荒井めぐみ / 石川真男 / 石田昌隆 / 伊藤亮介 / ウィリー・ヲゥーパー / 江利川侑介 / 大石始 / 岡村詩野 / 荻原和也 / 河津継人 / 栗本斉 / ケペル木村 / 駒形四郎 / 佐藤英輔 / 宿口豪 / 染谷大陽 / 髙木慶太 / 高橋健太郎 / 塚原立志 / 寺下光彦 / 柳樂光隆 / 中原仁 / 成田佳洋 / 祢屋康 / noriji / 原田尊志 / 深沢美樹 / 藤本一馬 / 堀内隆志 / 松林弘樹、松山晋也、宮子和眞、宮沢和史、村田匠、山田光、山本幸洋、吉本秀純、若杉実...


    21世紀ブラジル音楽ガイド

    21世紀ブラジル音楽ガイド

    • 監修:中原 仁
    • 出版社:Pヴァイン
    • 発売日:2018/07/25
    • メディア:単行本(ele-king books)
    • 目次:+2とリオのインディー・ポップ / ノヴォス・コンポジトーレスとサンパウロ・シーン / ミナス新世代 / MPB / Samba Soul / Funky Groove/Urban / Hip Hop / Funk / Drum'n Bass / Electro / Reggae / Street Beat / Bahia(バイーア)/ Nordeste & Norte / Rock / Folk & Country / Samba / Instrumental / 90's 世代 / Maestro, Legend / International

    ザ・タイム・ハンター

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  • 次の十年間に起きた最初の重大な出来事、少なくとも私にとってそれは1970年11月25日の三島の死だった。三島の自決の詳細が報道されるや、政界や文学界の人々がそれぞれ意見を求められた。内閣総理大臣は、三島の自決を「狂人」の行為だと断定した。作家たちは、自分が自殺に駆り立てられた場合を想定して、三島は書けなくなったから自殺したのだと推測した。中には誇らしげに、三島は「心の友」であったと打ち明ける者たちもいた。私は、三島の「心の友」ではなかった。16年前の私たちの親交の始まりから、三島は彼の言うところの「べたべたした」関係は望まないと明言していた。私たちは秘密を共有しなかったし、お互いに助言を求めることもしなかった。私たちは、会って話をするのが楽しかったのだ。それは文学についてのこともあれば、世界の情勢、あるいは共通の知人についてのこともあった。同時に私たちは仕事仲間でもあって、私は三島の本格的な小説や、戯曲を訳したばかりでなく、アメリカの雑誌のために彼は書いた軽いエッセイも翻訳した。
    ドナルド・キーン 「三島由紀夫の自決」


  • ▢ 時の狩人(プレイコミック 1970-71)
  • 「時の狩人」は青年向けの近未来SFコミック。「009ノ1」「ワイルドキャット」などと同じく、セックスとヴァイオレンスがテーマの1つになっている。21世紀、一夫一婦制の婚姻関係は胎外受精になり、生身の男女の性交は道徳局によって禁止された。その代用品としてヘルメット型の「セクサー」が発明されて、結婚した夫婦はP・K・ディックの『死の迷路』のような夢を2人で見るようになった。その一方でベルト式の小型タイムマシンも発明されて、人類は過去・未来への時間旅行が可能となった。時間外に逃亡した男女を追う時間局員という設定はTVアニメ 「スーパージェッター」(1965-66)や過去と未来を彷徨う時航者となってしまったTVドラマ 「タイムトンネル」(1966-67)を想わせなくもない。逃亡した2人は若き科学者のトニーとダグと同じように過去と未来を行き来するが、全10話中「三島由紀夫の死」だけは逃亡する男女を追う時間局員のストーリとは無関係に、当時(1970)の新聞や雑誌記事などが数多く引用される異色作となっている。

  • PART1 夢からの脱走
  • 2190年、男女が裸で絡み合って情交している夢から目覚めた彫刻家のシローは「セクサー」(2000年代当初に流行したセックス・マシン)を頭部に装着してみたが、同じような淫夢に辟易してヘルメット型の装置を投げ放つ。外出したシローは犬の散歩をしていた貴婦人のレダと出会う。彫刻のモデルを引き受けた全裸のレダはシローから夢のせいで不眠症になったことを告白される。夢の中の見知らぬ女がレダに変わってしまったのだ。2000年に婚姻制度は胎外受精になって、男女の性交は道徳法で禁じられていた。夫婦の営みは「セクサー」で同じ夢を見ることだった。法を破って犯罪者となったシローとレダの2人は時間外へ逃亡する。K・G・サットン(1971~2083)物理学博士が発明したタイムマシンは巨大で操作も不便だったが、サー・キョウ(2008~)がベルト式の簡便な「時間旅行帯」に改良したことで、時間局の許可を得た個人の時間旅行が可能となった。

  • PART2 物語のはじまり
  • 火山の噴火、地割れ‥‥原始時代の夢を見ている夫婦、時間局員のガイとレダの邸宅内に飛び出しナイフを携えたシローが侵入する。睡眠中のガイの左胸にナイフを突き刺して、彼のT・T・B(タイム・トラベルト)を奪う。ダイアルをB100万に合わせて2人は過去へ逃亡する。辛うじて生き延びた原人3人(男2・女1)は灼熱の荒野を歩き、巨岩の影で疲弊した身を休める。男の胸に躰を重ねて眠る裸の女(レダ)に発情した男が男(ガイ)を棍棒で殴り殺す。夢から目覚めたガイは妻レダの行方を局長に訊く。ナイフの刃先が折れて急所を外したことで、ガイは一命を取り留めたのだ。原人の死体を貪り食う男と女。タイム・パトロール局員のT・T・Bには時点追跡装置が付いていた。B100万へ逃げたシローとレダを時間局員1名が追う。ところが時間局員は待ち伏せしていたシローに石で殴殺されてしまう。奪ったレイガンで時点追跡装置を壊し、トラベルトの追跡装置を外す。武器を手に入れるための誘き出し作戦だったが、原人との争いで地割れの裂け目にレイガンを落としてしまう。

  • PART3 遠い時間
  • 100万年前の岩層から現代人の頭蓋骨を発掘した考古学者の蓮見と娘の美散、助手の戸川。岩に食い込んだピストル(レイガン)も見つかった。風が吹き荒ぶ夜、戸川はテントの中で抱き合っている蓮見親子の姿を目撃する。翌朝、美散からプロポーズの返事を聞こうとしたのだが、「今はそんなことどころじゃない」と非難されて、思わず昨夜の秘事を告発する。居直った美散に「お父様を愛しているわ」「女が‥‥自分の理想の男性に魅かれるのは当然よ」「口惜しかったら‥‥あなたもお父様の10分の1でも魅力をつけていらっしゃいな」と挑発されて逆ギレした戸川は彼女をレイプしてしまう。「けだもの」と罵り、泣き萎れながらテントに戻った美散が頭部を撲殺された父親を発見する。悲鳴を聞いて駆けつけた戸川を人殺しと詰る美散の前に時間局員のガイが現われた。逃亡中の2人が蓮見を殺害してレイガンを奪い去ったのだ。戸川が撃たれ、ガイは逃げるシローとレダに反撃する。巨岩が崩れ落ちて埋もれた谷間から、ガイと美散は辛うじて脱出する。

  • PART4 残党
  • 戦国時代、尾形家に遣える武士・風間隼人が吊り橋を伐って、追手を谷底に落とす。城は焼落して落ち延びた者は足軽を含めて僅か16名だった。手負いの殿様は高熱を発して余命いくばくもない。多賀の手勢が吊り橋を架けて谷を越えられたら皆殺しにされてしまう。家臣の原田氏は殿の首を持って行けば助かる見込みがあると家来と談合する。病身の殿を見捨てて逃げ出そうとする武士を諌める長老。身重の奥方を連れて逃げ、産まれた世継ぎを護って時節を待った方が尾形家の再興に繋がる、白旗を掲げて多賀の軍門に下って生き延びた方が得策、潔く討死するのが武士の道など、意見が割れる。殿の寝首を掻く前に美しい奥方を手籠めにする原田氏。その現場を目撃した風間。1人の武士(ガイ)が足軽の兄弟(一朗太と二郎)と会話を交わす。原田たちを斬り捨てた風間は息絶えた奥方と折り重なるように自決する。身の危険を察知して脱走した足軽兄弟‥‥2人は尾形家の残党の中に紛れ込んでいたシローとレダだった。

  • PART5 追跡者
  • 雪道で腹痛のために苦しんでいた武家の女房に薬を飲ませて救けた旅鴉‥‥時間局員のガイは宿場から宿場を一宿一飯で逃げ隠れているヤクザ姿の逃亡者(シローとレダ)を追っていた。賭場に現われたガイが外に出ようとすると、用心棒に会いに来たという女を手下が捕らえていた。先ほど雪道で出会った女性だった。ガイは女を連れて行き、近くの宿で事情を訊く。XX藩の若殿の剣術指南役をするほど名のある武士だった彼女の夫は1年前、ある浪士と喧嘩の末に殺されたという。何処の誰とも素性の知れぬ浪人に殺されたことに激しく怒った上様から禄を取り消され、お家断絶された。但し1年以内に仇討ちの本懐を遂げて戻れば1人息子の新之介(2歳)に家の再興を認めても良いという条件つきだった。女の助太刀することにしたガイは宿場の前で浪人と対峙する。助っ人の手下を斬り捨てて仇討ちする。浪士の刀から閃いた稲妻を躱し、レイガンを撃つ。電磁剣を持っていた浪人も時空を超えて来た逃亡者だったのだ。

  • PART6 病葉(くわばら)の街
  • 廃墟と化した街。夜空を飛行する発光体を見上げた女が「ロケットね」と呟く。「月か火星へ行く定期貨物便か、観光船だろう」と、シローが包帯と黒メガネで顔を覆ったレダに説明する。2人は野犬に襲われそうになったが、右目に黒い眼帯をしたスキンヘッドの男(マシンガン)が射殺した。1日単位で変化する日常生活のシステム、爆発的な人口増加、産業・工業技術の発展、通信・輸送手段の変化による "車文明" の崩壊、エア・カーやロケットTV衛生施設などによって廃墟となった都市‥‥一刀流、ビッコ、マシンガンと互いに呼び合う男たちは急速に進歩した文明から落ち零れてしまった「はみだし人」、病理学的にいえば "未来の衝撃症"者 だった。シローは化学公害で病気になったレダを廃棄処分にして彼女の細胞からクローンを造ると医者に告げられ、逃げ出して来たと老人(一刀流)に語る。夜が明けて、朝靄の立ち籠める瓦礫の中から時間局員のガイが姿を現わす。マシンガン、ビッコ、一刀流が助太刀して、2人を逃がす。

  • PART7 腐流
  • 東京湾に浮いていた2体の土左衛門‥‥ところが奇妙なことに2人の死者、東京重化学工業と日本食品開発会社の工場長は生きていた。漁船で作業をしていた漁師夫婦が突然死亡する。乗り合わせていた息子が両親の死体を発見した。食中毒死という医者の診断に疑問を抱いた少年は東京都衛生局公害管理課の月田に、死んだ両親の傍らにあったバケツの中の水質調査を依頼する。廃液には2万PPMに近い硫化ソーダと硫酸が混入していた。この2つが混入すると化学反応を起こして、硫酸水素ガスという猛毒が発生する。2つの工場から垂れ流された廃液が両親の死因だった。少年の父と母に成り済ましたシローとレダの前にガイが現われる。遺体を鑑定した医者の名前を使い、2人の工場長を誘き出して殺害したのは息子だった。少年のアリバイを作るために、シローはタイムトラベルトを使って2つの死体を1週間前に送り込んだのだ。モグリの堕胎医は2人の工場長に脅されて、偽りの死亡報告書を捏造していた。

  • PART8 三島由紀夫の死
  • 「気が狂ったとしか思えない」(佐藤総理)。「前から楯の会は、こっけいな集団と思っていたが、とうとうハラキリとは諸外国への聞こえも悪い」(海上自衛隊一尉 "朝日")。「彼は右翼思想をふりまいていたから思想と行動が一致したものと考えるがナンセンスだ」(会社員27歳 "東京タイムス")。「’70年11月25日0時15分 三島、蒼ざめた表情で総監室に戻る。総監の机の前に正座して短刀で割腹。森田が軍刀で介錯、首を刎ねる。」("読売")。「まったく狂気の沙汰というよりほこはない──右であろうと左であろうと暴力は絶対に排除されねばならない。三島事件は許すべからざる暴力行為である。あくまで、一人の特異な人間の "狂気の暴走" である。("毎日" 社説)」 「三島由紀夫の芝居は、割腹自殺によって完結した。彼自身が実は、彼の最後の創作だった。彼の描きたかった人間に、彼自身がなったという意味では、みごとな完結ぶりだったともいえるだろう。("朝日" 社説)」 ‥‥逃亡するシローとレダを追う時間局員ガイのストーリとは無関係に、当時の新聞や雑誌記事などが引用される。

  • PART9 召集令状
  • 夜空を覆うB-29の編隊が爆撃する東京大空襲‥‥逃げ惑う群衆の中から抜け出したシローとレダの2人が一軒の民家に辿り着く。薄暗い室内に目と耳が不自由な老婆が仏壇の前に座っていた。部屋に入った2人を息子夫婦の靖男と鈴江と勘違いしているようだ。伊豆の山中で心中していた男女の死体を偶然見つけたシローとレダが遺書(身分証明書)を失敬して、息子夫婦の身代わりになることにしたのだ。「現代は‥‥誰が死んで誰が生きているかなんてわからない混乱の時代」だった。しかし、2人の「天国のような生活」は長く続かない。ある日、訪ねて来た憲兵が召集令状が届いているはずなのに、息子の靖男が出頭していないと問い質す。老婆は書き置きの遺書を憲兵に渡す。息子夫婦は召集令状(徴兵)から逃れるために心中したのだった。玄関に不審な靴を見つけた憲兵たちが踏み込もうとすると、空襲警報が鳴る。慌てて踵を返して、車で遁走する。再び爆撃が始まっり、近隣の民家が爆破される。すべてを知っていた老婆がシローとレダを逃がす。

  • PART10 第四氷河期
  • 凍てつく氷に閉ざされた未来都市。吹雪は止むことなく3カ月と3日も続いているとアル中の老人がシローとレダに語る。「‥‥これからもまだまだ‥‥永久に降り続くのさ! 地表の‥‥ありとあらゆるものを埋めつくし‥‥生きとし生ける者をみな凍てつかせるまでな。この緑の星を雪と氷の‥‥真っ白いボールにするまで‥‥な!! 第四氷河期なのだ!」3人は原始的な原子力発電機を備えているビルの中に隠遁していた。モダーンな太陽熱エネルギー頼っていたビルは皮肉にも使いものにならなくなっていた。2人は貯蔵食料が尽きるまで、ビルが凍結と雪の重みで倒壊するまで、静かに暮らせると安堵していた2人だったが、ある朝、吹雪が止む。ガラスの割れる音がして、ガイが室内に侵入して来た。シローとレダはガイのレイガンで撃たれる。「‥‥お前たちを何度見逃してやろうと思ったか‥‥だが‥‥これが "時" の掟なのだ」と目に涙を浮かべて呟くガイも、老人の自動小銃で射殺されてしまう。"時" の逃亡者と追跡者の双方が死んで、未来都市も崩壊する。

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    • 「石ノ森章太郎萬画大全集 11-30」(角川書店 2008)をテクストに使いました

    • ドナルド・キーン(Donald Keene)氏は2019年2月24日に亡くなりました。合掌
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    時の狩人 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 11-30

    時の狩人 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 11-30

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/08/29
    • メディア:コミック
    • 目次:夢からの脱走 / 物語のはじまり / 遠い時間 / 残党 / 追跡者 / 病葉の街 / 腐流 / 三島由紀夫の死 / 召集令状 / 第四氷河期 / イラストコレクション


    ドナルド・キーン自伝(増補新版)

    ドナルド・キーン自伝(増補新版)

    • 著者:ドナルド・キーン(Donald Keene)/ 角地 幸男(訳)
    • 出版社:中央公論新社
    • 発売日: 2019/03/20
    • メディア:文庫(中公文庫)
    • 目次:ニューヨーク郊外、少年時代 / 9歳、ヨーロッパへの船旅 / ウィーン、パリ、戦争の記憶 / 16歳、コロンビア大学に入学 / ナチ侵攻のさなか、『源氏』に没頭 / 真珠湾攻撃、海軍日本語学校へ / 海軍語学校卒業式、日本語で 「告別の辞」 / 戦死した日本兵の日記に感動 / アッツ島攻撃、「戦争」 初体験 / 沖縄、神風特攻隊で 「死」 と遭遇 / 終戦後の青島、...

    アルゼンチン音楽を聴こう

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  • ◎ SILVER SORGO (Interdisc 2001) Spinetta

  • カエターノ・ヴェローソにも似た中性的なヴォイスが麗しい。メジャー7thのメロウなオープニング曲、流麗なハチロク(8分の6拍子)、婉然なるバラードと続く。良い気分に浸っていた健全なリスナーを4曲目後半の「音跳び」(不良CD?)が奈落の底に突き落とす。オーソドックスなロック基本形態なのに、澄み切った空気の中の陽光に煌めきのように、その存在を際立たせる。夢見がちな午睡の陶酔感と青空に突き抜ける覚醒感の混淆。曖昧な身体と鋭敏な意識の交錯。消滅する肉…#01



  • ◎ CUERPO (Union De Musicos 2003) Florencia Ruiz

  • デビュー作《Centro》(2000)は自主制作CDーR(6曲)、2ndの本作は9曲入り、最新作《Correr》(2005)は全11曲という風に、頭文字Cの6文字タイトルに拘泥るアルゼンチン音響派の歌姫。愛猫ベニータとの2ショット・カヴァ‥‥敢えて余白を取ってトリミングした写真が猫と人の親密性を強調する。フロレンシア・ルイスのギターとキーボード、サンプラーに、チェロ、ヴァイオリン、コントラバス、ピアノなど、必要最小限の小宇宙に静謐なヴォイスが神秘的に響く。音数…#02



  • ◎ AHORA (Asterisco 2003) Sebastian Escofet

  • 歪んだタイヤ、折れたスポーク、錆び付いた駆動部‥‥白地をバックにした一輪車から中身を類推するのは難しいかもしれない。4つ折りした1枚の歌詞カードと思いきや、開いてみると3面立体の内側に歌詞がプリントされていた‥‥アルゼンチンのインディ・レーベルならではの洒落た仕掛けである。ドリーミングな曲調、優しい囁きヴォイス、サウンドも洗練されていて、音響派という名に相応しい。Robert Frippの門下生だったFernando Kabusackiや若きマルチプレーヤのEzequiel…#03



  • ◎ 39° (Los Anos Luz 2007) Lisandro Aristimuno

  • 熱に魘されて描いた絵は平熱に下がってから見直すと、夢から醒めた時のように色褪せてしまうものだが、何か尋常でないものの残滓が妖気のように浮遊していたりする。「39度」と題されたアルバムはLisandro Aristimunoが高熱を発して寝込んでいた時に書き留めたアイディアが元になっているという。チェロ、チャランゴ(Charango)、チューバ、トロンボーン、トランペットなどが奏でる優雅なフォルクローレで始まり、次第に奇妙なエレクトロニカ色へ染まって行く。タップダン…#04



  • ◎ Miniatura (Independiente 2010) Lucio Mantel

  • 魚貝類やボタンなどを集積コラージュしたアルチンボルド風のトロンプ・ルイユは猪や犀の横顔のようにも見える。Lucio Mantelの2ndアルバムは少々グロテスクに見えなくもないカヴァとは対照的にロマンティックな詩情で溢れている。Lucio Mantelのギター弾き語り、Andy Inchaustiのパーカッションにヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ヴィブラフォン、チューバ、トロンボーン、クラリネット、フルートなどのオーケストラを融合させた優雅で麗しいサウンドに…#05



  • ◎ MARGARITA Y AZUCENA (Los Anos Luz 2007) Mariana Baraj

  • 女性パーカッション奏者の《雛菊と百合》は全曲カヴァ集ながら、チリ、ボリヴィア、アルメニア、ケニア、キューバ、母国アルゼンチン‥‥という風に、第三世界の楽曲を好んで選曲・アレンジしているところに強い意志を感じる。フリー・インプロヴィゼーション風の攻撃的な〈Maldigo Del Alto Cielo〉、7拍子の〈Agua Negara〉、歪んだアナログ・シンセが暴れる変則ビートのタイトル曲〈Margarita Y Azucena〉、Tete Espindolaのヴォイス・パフォーマンスを想わせるBobb…#06



  • ◎ LOS SENDEROS AMARILLOS (Sony BMG 2008) Loli Molina

  • ブエノス・アイレス生まれの女性SSW、Loli Molinaちゃんのデビュー・アルバム(当時20歳)。いわゆる生ギター弾き語りタイプの自作自演歌手で、あどけなさの残る顔立ちから発する舌っ足らずのロリータ・ヴォイスはVanesa Paradisを想わせなくもない。Nico Cotaのプロデュースによるアルバムは土臭いフォルクローレではなく、都市生活者のための洒落たポップス。ローズ・ピアノ、ウーリッツァー、ムーグ・シンセ、メロトロンなどの柔らかなエレクトリック・サウンドに包ま…#07



  • ◎ Solo (Independiente 2010) Andy Inchausti

  • 両手を水平に広げてスカイ・ダイヴィングするパイロット。ギター、コンガ、ドラム、ハイハット、スティック、親指ピアノなどの楽器だけでなく、眼鏡をした黒い犬までが茜色の空から舞い落ちて来るアルバム・カヴァ。Santiago Vazquezの率いる「赤い爆弾魔」、打楽器集団ラ・ボンバ・デ・ティエンポ (La Bomba De Tiempo)のメンバー、アンディ・インチャウスティ(Andy Inchausti)のソロ・デビュー・アルバム。Santiago Vazquez(タブラ、エフェクト)に加えて、…#08



  • ◎ POR LOS MARES (Sofia Escardo 2011) Sofia Escardo

  • 折り紙の舟に乗って眠る女たちの髪の海を渡る男、石蹴り遊び図の描かれた石畳の奥に座る5人のストリート・ミュージシャンと水色のドレスの女とシルクハットにステッキの男‥‥メキシコの画家ベンジャミン・バリオスのイラストを表・裏2面に使ったアルバム・カヴァが実は1枚の絵であること、紙の舟で航海する男の絵が7人の人物のバックに描かれた壁画であること(人頭鳥身のハーピィや黄色い蝶が描かれている)が同封された「オリジナル・ポスター」(35×23cm)で分かる…#09



  • ◎ Milagros (Union De Musicos 2013) Milagros Torrecilla

  • ミラグロス・トレッシージャはアルゼンチン・フォルクローレ歌手。デビュー・アルバムはMilagros Torrecilla(クアトロ、チャランゴ、ギター、パーカッション)、Leo Gutierrez (ギター、ヴォーカル)、Mariana Baraj (ヴォーカル、パーカッション)、Lucas Nikotian(アコーディオン)という編成でレコーディング。アクースティック・ギターが伴奏する〈He De Seguir〉、タンゴ調の〈Puentecito De La Picoda〉、Juan Pablo Alvarezが伝統楽器の笛、アエロフォノス(aero…#10



  • ◎ 2853 (Epsa 2015) Amel

  • 某レコード・ショップで白くハレーションしたネコちゃんを見つけた。ホワイトアウトした雪景色の中のネコのように気高く凛々しい。国籍もジャンルも分からずに「猫ジャケ」買いして驚いた‥‥Amelはアルゼンチン・ブエノス・アイレス出身の5人組。奇しくも2012年に死去したルイス・アルベルト・スピネッタ(Luis Alberto Spinetta)の弟グスタヴォ(Gustavo Spinetta)と甥ゴンサロ(Gonzalo Pallas Spinetta)が在籍しているロック・バンドだったから(ゴンサロは姉アナ…#11



  • ◎ UN VASO DE AGUA (Eden Srl 2015)Candelaria Zamar

  • 藍色や緑色の絵具を溶かしたような白い空間に映るラファエル前派風女性の横顔ポートレイト‥‥Candelaria Zamarはアルゼンチン・コルドバ出身の女性SSW。デビュー・アルバム「水のグラス」は24秒の〈Intro〉を含めた全9曲、26分という短さだが、清冽な透明感に溢れている。彼女の弾くピアノ、ローズ・ピアノ、シンセ、ウーリッツアに不穏なサンプリング(ノイズ)やエフェクト、口笛、ウクレレ、多重録音されたコーラスやスキャットなどを加えた音数の少ないサウンドはシ…#12



  • ◎ MUDAR (Independiente 2016) Melina Moguilevsky

  • アルゼンチン・ブエノス・アイレス生まれの女性SSW、メリーナ・モギレフスキー(Melina Moguilevsky)が2ndアルバムをリリースした。Tomás Fares(ピアノ)、Lucio Balduini (ギター)、Ezequiel Dutil(コントラバス)、Martín Rur (クラロン、クラリネット、サックス、口笛)、Mario Gusso (ドラムス&パーカッション)の5人編成に、トランペットとトロンボーン、フルート、チェロとグロッケンシュピールのゲスト・ミュージシャン加わって、彼女の可愛らしいソプ…#13



  • ◎ HALO (Crammed Discs 2017) Juana Molina

  • 1人だけで録音した《Wed 21》(2013)から3年半‥‥フアナ・モリーナの7thアルバムは宅録から、スタジオ・レコーディングへ1歩踏み出す。テキサス郊外のスタジオで録音したアルバムにはライヴ・サポート・メンバーのOdin Schwartz (ベース、シンセ、ギター)とDiego Lopez de Arcaute(ドラムス)が参加している。John Dieterich(Deerhoof)がギターを弾く〈In The Lassa〉、6拍子の〈Paraguaya〉と〈Estalacticas〉、7拍子の〈Cosoco〉‥‥アルバム・…#14



  • ◎ EL BUEN GUALICHO (Casa Del Arbol 2017) Natalia Doco

  • ナタリア・ドコ(Natalia Doco)はアルゼンチン・ブエノス・アイレス生まれの女性SSWで、2011年から活動の拠点をパリに移している。アルゼンチン音響派のアクセル・クリヒエール(Axel Krygier)によるプロデュースの2ndアルバムは仏レーベルからリリースされた。フォルクローレやクンビア、フレンチ・ポップスなどをスペイン語やフランス語で歌う摩訶不思議な世界‥‥女占星術師風のアルバム・カヴァは近寄り難いけれど、ツンデレ系の可愛いヴォイスに一瞬で惹き込まれる…#15


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    「ミュージック・マガジン」(2019年5月号)の創刊50周年記念ランキング「ブラジル音楽 オールタイム・アルバム・ベスト100」の便乗・相乗り企画〈ブラジル音楽を聴こう1・2〉に続く第2弾は 「ラティーナ」(2019年5月号)の特集「アルゼンチン音楽を聴こう」。栗本斉、高橋健太郎など5人の座談会と40人の選者(座談会の5人を含む)による 「これからアルゼンチン音楽を聴く人のための〈私の5枚〉」 が掲載されている。雑誌媒体では紙面の制約があるけれど、ブログ記事にするには「5枚」では少ないので、3倍に拡張した。アルゼンチン音楽との出会いは今は亡き「ヴァージン・メガストア新宿」だった。ここで初めて聴いたJuana Molina《Segundo》(Blabla 2000)の衝撃は今でも鮮明に記憶している。21世紀以降にリリースされたアルバムの中から1アーティスト(バンド)・1アルバムという縛りで15枚を選出。〈ブラジル音楽を聴こう〉と同じく、順位はつけずに年代順とした。

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    • アルバム・タイトルは試聴可能なサイト、画像はAmazon.co.jp.にリンクしました
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    ラティーナ2019年5月号

    ラティーナ2019年5月号

    • 特集:アルゼンチン音楽を聴こう
    • 出版社:ラティーナ
    • 発売日:2019/04/20
    • メディア:雑誌
    • 執筆者:栗本斉 / 高橋健太郎 / 杉本亮 /五十嵐あさか / 石郷岡 学 / 伊藤亮介 / 稲葉昌太 / 宇戸裕紀 / 岩川光 / 楳田愛 / 江利川侑介 / 河合宏知 / 岸田繁 / 久間珠土織 / 清川宏樹 / コトリンゴ / 斉藤欽也 / shhhhh / 清水久靖 / 下田悠子 / Jongaleiro / 鈴木一哉 / ソリヤマ / 谷本雅世 / 中川理沙 / 中村智昭 / 中村信彦 / 成田佳洋 / 橋本徹 / 松山晋也 / マノスケ / 濱瀬元彦 / 古川麦 / 山田竜輝 / 山本勇樹 / ヨシザワ "モー...


    アルゼンチン音楽手帖

    アルゼンチン音楽手帖

    • 著者:栗本 斉
    • 出版社:DU BOOKS
    • 発売日:2013/06/07
    • メディア:単行本
    • 目次:まえがき「オーガニックでボーダレスなアルゼンチン音楽の世界へ」「21世紀のアルゼンチン音楽」/ 第1章 水 -Aqua- / 特別寄稿 橋本徹「素晴らしきメランコリーのアルゼンチンをたずねて三千里」/ ...

    GWセール 2019

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  • 壁の一部分がきしみながらわずかに開いて、黒白斑のとても小さな子ネコが部屋に入ってきた。すぐにキャシィはうれしそうな表情で、ネコを抱き上げた。/「デインマンの哲学だな」ジェイスンは言った。「ネコには勝てない」彼はこの考え方をよく知っていた。事実、秋の特別ショーでテレビ視聴者にデインマンを紹介したことがあった。/「ううん、わたしはこのネコが好きなだけ」とキャシィは言った。その子ネコを彼によく見せようと持ってきたときの彼女の目は輝いていた。/「でもそう思っているだろう」ネコの小さな頭をなでながらジェイスンは言った。「動物を飼えば、その人の感情移入が高まり──」/「やめて」キャシィはそう言うとはじめて動物を飼った五つの子供のようにそのネコをぎゅっと自分の喉に押しあてた。学校の飼育実習でみんなが飼っているモルモットを手にした子供のように。「ドメニコと言うのよ」/「ドメニコ・スカルラッティの名前からとったのか?」/「ううん、ドメニコ・マーケットよ、〔‥‥〕ドメニコ・スカルラッティって音楽家?」
    フィリップ・K・ディック 「流れよわが涙、と警官は言った」


  • ◎ The Golden Morning Breaks(Leaf 2005)Colleen
  • コリーン(Colleen)ことセシル・スコット(Cecile Schott)はフランス・モンタルジ生まれの女性SSW。ループ・サンプルを駆使したラップトップ・ミュージックのライヴを退屈にと思った彼女はヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロなどの生楽器を演奏して、ループ・ペダルで再現するようになった。2ndアルバムのタイトルが16世紀後半のリュート奏者ジョン・ダウランド(John Dowland)の曲から採られたというように、グラス・ハーモニコン(glass harmonicon)、リュート、オルガン、オルゴール、チャイムなどが優しく奏でられる。イケル・スポジオ(Iker Spozio)の描いた一角獣と妖精少女のカヴァ・イラストのように、古楽器とエレクトロニックが親密に寄り添う。歌詞への嫌悪感があってインストに徹していたが、4thアルバム《The Weighing Of The Heart》(Second Language 2013)以降、彼女自ら歌うようになる。全10曲・47分。CDにはカロリーナ・メリス(Carolina Melis)による〈The Happy Sea〉のヴィデオを収録。

  • ◎ Collectiu Encontros Occitans(Outro Brasil 2011)Silverio Pessoa
  • マダガスカルとケルト、ベナンとハイチ、ジャマイカとブリストル‥‥音楽は海を渡り、山を越えて繁殖する。鳥類が種子散布して遠方の地で花を咲かせるように、数千キロも離れた地域に良く似た音楽が芽生える。11世紀末、南仏オクシタニアで広まったトゥルバドゥール(吟遊詩人)も大航海時代に南米へ渡ったという。《Collectiu》(オック語で「共同作業」という意味)は初のヨーロッパ・ツアー(2003)で南仏オクシタニアンのミュージシャンと出遭って衝撃を受けたブラジル・ノルデスチのシルヴェリオ・ペッソア(Silverio Pessoa)が企画したコラボ・アルバム。Moussu T. e Lei Jovents、La Talvera、Massilia Sound System、Fabulous Trobadors、La Mal Coiffée、Sam Karpienia(Dupain)など‥‥ オクシタニアの14組のアーティストやバンドと共演している。全15曲・48分(ブラジル盤よりも3曲多い)、デジパック仕様、葡・仏語の歌詞ブックレット(24頁)付き。

  • ◎ Bulls And Roosters(Nettwerk 2017)Together Pangea
  • 「牡牛と雄鶏」というアルバム・タイトルなのに牛も鶏もいない。黄色でコーディネイトされた祭壇めいた空間に4人のメンバーが写っている。裏カヴァには誰もいなくなったマットの上で白っぽいネコちゃんが寝そべっているではないか。もしかして?‥‥と思ってアルバム・カヴァを見返すと、草色の四角いマットの上で胡座を掻いてフェンダー・ムスタングを抱えているWilliam Keegan(ギター、ヴォーカル)の背後にネコが隠れていた。(危うく「猫ジャケ」を見逃すところだった)。Together Pangeaは2009年に米カリフォルニア・サンタクラリタで結成されたインディ・ロック・バンド。仕事が上手くいかず、酔い潰れた男が意識を失って地獄へ落ちる〈The Cold〉、同棲する男女の諍いを描いた〈Money On It〉、疾走するガレージ・パンクの〈Better Find Out〉、グランジ風のタイトル曲〈Bulls And Roosters〉‥‥全13曲・37分。歌詞ブックレット(8頁)付き。

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  • ◎ Casa(Norte 2006)Natalia Y La Forquetina
  • ナタリア・ラフォルカデ(Natalia Lafourcade)の2ndアルバムはバンド名義だった。彼女の率いる4人組で、全15曲中11曲をEmmanuel Del Real(Cafe Tacuba)がプロデュースしている。Natalia(ギター、ヴォーカル)、Chanona(ベース、ギタロン)、Yuno(キーボード、アコーディオン)、Alonso(ドラムス、プログラミング)という編成でロック色が濃い。ボサノヴァ風の〈Casa〉、ハード・ロックの〈Cuarto Encima〉、生ギター弾き語りフォークの〈Alimento De La Vida〉、ジャズっぽい〈En Dirección Contraria〉、ポップ・ロックの〈Ser Humano〉‥‥ボーナス・トラックの〈O Pato (Un Pato)〉はメキシコ映画「ダック・シーズン」(2004)の主題歌。2006年、メキシコとアメリカを巡るライヴ・ツアー後に彼女が離脱を表明して、バンドも解散してしまう。全15曲・55分。コラージュ・アート・ブックレット(16頁)付き。CDには「PV」(14分)も収録されている。

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    雨が降ったり、雷が鳴ったり、雹が降ったり‥‥令和元年のGW10連休(4/27~5/6)は長かった割りには天気に恵まれなかった。天候不順に影響されたわけではないが、GWセール中の収穫も例年よりも少なかった。GW前日にColleenの2ndアルバム(未開封品)は半額で入手。Silverio Pessoaのコラボ・アルバムは国内流通仕様のフランス盤で、「シルヴェリオ・ペッソア / コレクシウ・アンコントロ・オクシタン」という帯と4つ折りの日本語解説が封入されている。Together Pangeaの4thアルバム(未開封品)は隠れ「猫ジャケ」‥‥危うくネコちゃんを見逃すところだった。この3枚だけでは余りにも少なすぎるので、今年3月に某ディスクユニオンの中古棚で見つけたナタリア(Natalia Y La Forquetina名義)ちゃんのアルバム(未開封品)を追加した。「流れよわが涙、とコリーンが言った」かどうかは知らないけれど、彼女とPKDがジョン・ダウランドのリュート曲〈Come away, Come sweet love〉〈Flow, my tears〉を介して間接的に繋がっていたのは新たな発見だった。

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    • 4枚(¥190+¥300+¥200+¥280)で、¥970(税込)の出費です^^;

    • アヒルに大山猫のコスプレ‥‥ナタリアちゃんは被りものが大好きなのかしら?

    • ナタリアちゃんはJulieta Venegasの《MTV Unplugged》(Norte 2008)など、多数のアーティストと共演した後に《Hu Hu Hu》(Sony 2009)をリリースします

    • カストール爺の生活と意見「9000キロを隔てた似た者同士」などを参照しました
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    Golden Morning Breaks

    Golden Morning Breaks

    • Artist: Colleen
    • Label: Leaf Spain
    • Date: 2005/05/31
    • Media: Audio CD(Enhanced)
    • Songs: Summer Water / Floating In The Clearest Night / The Heart Harmonicon / Sweet Rolling / The Happy Sea / I'll Read You A Story / Bubbles Which On The Water Swim / Mining In The Rain / The Golden Morning Breaks / Everything Lay Still


    Collectiu Encontros Occitans

    Collectiu Encontros Occitans

    • Artist: Silverio Pessoa
    • Label: Outro Brasil
    • Date: 2011/07/21
    • Media: Audio CD
    • Songs: Maratge / Na Boleia da Toyota / Da Role / Tropical OC / Coco Sambado / Poesia Urbana / La Chute / Lo Viatjaire / Faut de Tout / La Cançon de Marcabrun / Os Sete Constituntes / J'ai Vu L'Albatros Danser / Mix Raça / Diga Janeta / O Nordeste Occitano


    Bulls & Roosters

    Bulls & Roosters

    • Artist: Together Pangea
    • Label: Nettwerk Records
    • Date: 2017/09/22
    • Media: Audio CD
    • Songs: Sippy Cup / The Cold / Kenmore Ave. / Money On It / Better Find Out / Peach Mirror / Gold Moon / Friend Of Nothing / Stare At The Sun / Southern Comfort / Bulls And Roosters / Is It Real? / Alison


    Casa

    Casa

    • Artist: Natalia Y La Forquetina
    • Label: Sony U.S. Latin
    • Date: 2006/03/14
    • Media: Audio CD(Enhanced)
    • Songs: En tus Ojos / El Amor es Rosa / Casa / Gusano / Cuarto Encima / Alimento de la Vida / Suelo / En Dirección Contraria / Saúl / Ser Humano / Tic Tac / Con las Hojas las Hormigas / Solamente te lo Doy a Ti / Cuando Todo Cambia / O Pato (Un Pato)

    スニーズ・ラブ 52

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  • ♭ 気分はもう戦争 3(2019-05-04)
  • 「アクションがアクションしなくて、どうする。」という全面広告が朝日新聞(4/16 朝刊)の紙面に載った。「漫画アクション」(No.9)に掲載された矢作俊彦(原作)と大友克洋(作画)による「気分はもう戦争 3(だったかもしれない)」の告知だった。38年ぶりの完全新作とのことだが、表紙&巻頭18頁(最後ページは続編「極道放射能」の予告)は短すぎる。近未来の20XX年、沖縄自治県で密入国労働者の闇斡旋を陸自としているハチマキ、旧中国東北部の開発コンサルタント部長めがね、東京羽田国際空港に到着したボウイ‥‥長編のプロローグという趣きで、消化不良の感は否めない。「特製ポストカード&特大ポスター」の特別付録は嬉しいけれど。今更ながら後続の連載マンガ18本とは隔世の感を禁じ得ない。一体いつから、こんなに大きなコマ割りになってしまったのだろうか。予め単行本(新書や文庫本)やスマホで読まれることを想定したかのような水増し大コマ割りと大友マンガとの情報量の差は歴然。同じストーリーマンガとは到底思えません。

  • ♭ アドオンの死(2019-05-11)
  • GW10連休中の5月4日、突然ブラウザ(Firefox)のアドオン(Add-ons)が利用不能になった。「Adblock Plus」と「Video DownloadHelper」は無事だったけれど、ブラウザの外観を変えられる「Classic Theme Restorer」が使えなくなってしまったのは痛い。自由なカスタマイズを謳っていただけに、今回の不具合は致命的である。 この問題を修正した最新ヴァージョン(66.0.4)もリリースされたが、旧ヴァージョン(48)を使い続けているので対応出来ない。調べてみると、1年半前の大規模な更新時(57)に「Classic Theme Restorer」だけでなく、数多くのアドオンが大量死していた。つまり最新ヴァージョンの修正プログラムでも使えないのだ。機能的には殆ど支障はないが、メニューバーやツールバーの上にタブが表示されるのには違和感がある。更に調べると「userContent.css」を編集すれば、タブバーを下に配置可能なことが分かった。ロケーションバーの左にある「戻るボタン」も左端に変更したいが、とりあえず違和感の少ない外観に戻せたので良しとしよう。

  • ♭ 紫湛荘の殺人(2019-05-18)
  • 『屍人荘の殺人』(東京創元社 2017)は神紅大学映画研究部の夏合宿に参加した学生10名、OB3名とペンション管理人の遭遇するホラー・ミステリである。短篇映画の撮影を兼ねた肝試し、ゾンビ集団の襲来、紫湛荘で起こる連続殺人事件‥‥綾辻行人の「館シリーズ」のパロディなのかと思って読み進めると、S県娑可安湖集団感染テロ事件でゾンビ化したサベアロックフェスの観衆が紫湛荘を襲うという「バイオハザード」みたいな奇想天外な設定が待っていた。ホラーとミステリを抱き合わせた二重の密室殺人。殺人犯は人間なのか、それとも屍人なのか?‥‥ワトソン役の葉村譲(経済学部1回生)の一人称視点(俺)で描写されるが、探偵役の明智恭介(理学部3回生)は呆気なくゾンビの餌食になってしまう。今までに数々の事件を解決して来た、超巻き込まれ体質の少女探偵・剣崎比留子(文学部2回生)が助手役の葉村譲と共に連続殺人事件を解明する。「俺=殺人犯」という「禁じ手」だけは勘弁して欲しいという懸念は幸い杞憂に終わった。

  • ♭ キャット・センス(2019-05-25)
  • 図書館裏の遊歩道で長毛種(ノルウェーの森の猫)のネコと遊ぶ。名前を呼んで手招きすると、必ず駆け寄って来る。ネコと触れ合い、和みの一時を過す。日暮れまでに時間があるので、都電沿線へ足を伸ばす。鉢植えが並ぶ民家に茶白ネコがいた。シャッター音でもビクッと躰を震わせるセンシティヴで令しいネコちゃんだが、何度か顔を合せているうちに徐々に馴れて来た。気配を感じたのか、斜向いの民家からチビ三毛とスコ三毛(スコティッシュ・フォールド)も出て来る。人懐っこいスコちゃんとは対照的なチビ三毛は滅多に近寄って来ない。弧を描くように間合いを取り、距離を縮めようとすると逃げちゃう。ところが今日初めて積極的に近づいて来た。脚にスリスリして纏わりつき、手まで舐めてくれた。やっと気を許してくれたのだろうか。『猫的感覚』(早川書房 2014)を読んだ効果かもしれない。何軒先の民家の前には茶白と灰色ネコ、網戸の向こうからロシアン・ブルーが興味深そうに外界を見つめていた。7匹のネコたちと出会えた今日は令和初の「ネコ日和」でしょうか。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2019-05)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    漫画アクション No.9 2019年5月7日号

    漫画アクション No.9 2019年5月7日号

    • 表紙&巻頭:気分はもう戦争 3(だったかもしれない)
    • 出版社:双葉社
    • 発売日:2019/04/16
    • メディア:雑誌
    • 付録:「気分はもう戦争 3(だったかもしれない)」 特製ポストカード&特大ポスター
    • 連載:ルーザーズ / ライジングサンR / うちゅうのようせいチルピル / 達人伝 / 古代戦士ハニワット / リベンジH / いとなみいとなめず / 銀のニーナ / あなたがしてくれなくても / 監禁嬢 / メイコの遊び場 / バスタブに乗った兄弟 / なみじょ!!!!!! / 男子高校生とふれ...あう方法 / ウォーキング・キャット / Odds“VERSUS!" / おるちゅばんエビちゅ ちゅ~ / 桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?


    気分はもう戦争

    気分はもう戦争

    • 著者:矢作 俊彦 / 大友 克洋
    • 出版社:双葉社
    • 発売日:1982/01/24
    • メディア:コミック(アクション・コミックス)
    • 目次:AROUND THE LINE / POP-EYES SALESMAN / MONKEY BUSINESS / 海に深紅の流れ星 / MONKEY SUITS / 翼よあの灯はどこだろう / AKE 6 TRAIN / MONKEY A GO GO / 太平洋の地獄 / MONKEY SHINE / MONKEY'S ARROWANCE / さらば愛しき国々よ / 気分はもう次の戦争


    Firefox57でタブバーを下に移動させる

    Firefox57でタブバーを下に移動させる

    • 管理人:@tsubuyakinews1
    • カテゴリー:Firefox関連
    • 投稿日:2017/11/18
    • メディア:ブログ
    • 内容:いままでアドオンなどで、タブバーをメニューバーやツールバーよりも下に表示していた場合、これを実現する方法がなくなっています。
      これもuserContent.cssを編集することで移動できます。


    屍人荘の殺人

    屍人荘の殺人

    • 著者:今村 昌弘
    • 出版社:東京創元社
    • 発売日:2017/10/12
    • メディア:単行本
    • 目次:受賞の言葉 / 奇妙な取引 / 紫湛荘 / 記載なきイベント / 渦中の犠牲者 / 侵攻 / 冷たい槍 / エピローグ / 第二十七回鮎川哲也賞選考経過 / 選評 加納朋子・北村薫・辻真先


    猫的感覚 動物行動学が教えるネコの心理

    猫的感覚 動物行動学が教えるネコの心理

    • 著者:ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)/ 羽田 詩津子(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2014/11/21
    • メディア:単行本(ソフトカヴァ)
    • 目次:ネコを理解するために / ネコの始まり / ネコが野生から出てくる / 一歩後退、二歩前進 / すべてのネコは飼いならされることを学ばなくてはならない / ネコから見た世界 / 思考と感情 / 集団としてのネコ / ネコと飼い主たち / 個体としてのネコ / ネコと野生生物 / 未来のネコたち / 謝辞 / 訳者あとがき / 原注 / 参考文献

    21世紀のシンガー・ソングライター 1

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  • ◎ Vespertine (One Little Indian 2001) Bjork

  • 《Vespertine》は不思議な親和力に満ち溢れている。今までの外部への執拗な攻撃・破壊性は暴風雨後の凪のように影を潜め、Bjorkの新たな冒険は内面ヘ向かう。いつの間にか、どこか人間離れした近寄り難い存在になってしまった彼女は、昆虫が完全変態の過程で「蛹」になるような劇的な変貌を遂げつつあるらしい。内向性と言っても、それは自閉症的な「引きこもり」でも、自らを傷つける行為でもなく、むしろ逆に親密な、Bjorkという「繭」に包まれる──彼女の中に溶け込む──…#1



  • ◎ By The Blue (Stuck 2002) Rosie Brown

  • 《もしRoni Sizeがドラム・マシンの代わりにJoni Mitchellを発見していたら創っていたかもしれない音楽》という英Q誌の4つ星レヴュー(CDケースに貼ってあるステッカー)が目を惹く女性SSWのデビュー作。とりわけ声質やメロディーが似ているわけではないけれど、Joni Mitchellを引き合いに出したのは言い当て妙かもしれない。アルバム・タイトルからして「Blue」だし、〈Big Blue Building〉なんていう少女っぽい曲もある。Joniの独自のギター奏法──変則チューニング…#2



  • ◎ Julie Delpy (Crepuscule 2003) Julie Delpy

  • ジャン=リュック・ゴダールの映画でデビューした仏女優のアルバムだが、良くあるような女優が片手間に歌ってみたというレヴェルではない。Julie Delpyは共作1曲を除く全曲を作詞 ・作曲しているのだから。「女優」ではなく、SSW(自作自演歌手)としてデビューしたJulie Delpy。殆どの楽曲を英語で歌っていることからも想像出来るように、フレンチ色は稀薄でロック色が濃い(その意味ではCharlotte Gainsbourgの英語アルバムに近いかもしれない)。雨音から始まるワルツ…#3



  • ◎ Emilie Simon (Barclay 2003) Emilie Simon

  • 「裸の少女の背中に蝟集した真っ赤な50匹のテントウ虫」はキモ可愛いか?(擽ったいか、それとも快感か?)‥‥このシュールなカヴァを一目見た瞬間、Emilie Simonのデビュー ・アルバムはジャケ買いなのだ。しかも典型的なフレンチ娘のロリータ声に加えて、作詞・作曲、演奏(ギター&ピアノ)、そして自らプログラミングも手懸ける才女ぶり。これだけ揃えば悪かろうはずがない。トリッキー以降のダウンビート〜エレクトロニカ(音響派)にEmilie嬢のロリータ・ヴォイスが…#4



  • ◎ Cuckooland (Hannibal 2003) Robert Wyatt

  • 「ここでも」「あそこでもない」‥‥という副題の付いたの2部構成(Part1と2の間に30秒間の「耳休め」がある)。8曲ずつ全16曲 75分半の、アナログ盤なら2枚組の大作になるはずだが、全く気負ったところなく淡々と綴られて行く。ジャズ的な意匠を纏っていても決してジャズにならない音楽はJoni Mitchellのアプローチにも似ている。少ない音数(トランペット、サックス、キーボード、パーカッション‥‥)の中で中性的に揺蕩うヴォイス。ヒロシマ / ナガサキ / コンニチワ…#5



  • ◎ Tekitoi (Wrasse 2004) Racid Taha

  • アンビエント夥多のSteve Hillageプロデュースには長い間、食傷気味だったけれど、あの《Barbes》(Nord Sud 1990)から14年、《Made In Medina》(Barclay 2000)から4年振りに怒れるフレンチ野郎が還って来た。アラブ・ミクスチャ ・ロックが大爆発。Christian Olivier(Tetes Raides)とのラップ・デュエット曲〈Tekitoi〉、The Clashの大ヒット曲〈Rock The Casbah〉のアラビック・カヴァ(Brian Enoがシンセ&コーラス参加)。この冒頭の2曲がアルバムを象…#6



  • ◎ Ruby Blue (Echo 2005) Roisin Murphy

  • Roisin Murphyと言えば、男女2人組トリップホップ・ユニットMolokoの女性ヴォーカリスト。従ってソロ・アルバムというよりはプロデュースを手掛けたMatthew Herbert版モロコに近い。約10年前、雨後のタケノコのように英国庭園に繁茂したトリップホップ・グループの多くはデビュー・アルバムこそ目新しかったが、2nd以降急速に失速して行った。Molokoの出世作《Do You Like My Tight Sweater?》(1995)も、その奇妙なジャケ画と共に変態的サウンドが素晴しかったが…#7



  • ◎ Illinoise (Asthmatic Kitty 2005) Sufjan Stevens

  • アメリカ50州をテーマにしたアルバムの第2弾。衝撃度ではシリーズ1作目の《Michigan》(2003)──2004年1月に輸入盤を入手して以来、愛聴して来た──に譲るものの、より稠密なコンセプト・アルバムになっている。地理的な横断旅行だけでなく、古い地図を重ね合わせるような過去への重層的な探索が素晴しい。ピアノやバンジョー弾き語り、奇数拍曲や「1人ステレオラブ状態」というように、今作も20種類以上の楽器を器用に弾きこなすSufjan Stevensのパノラマ・ワール…#8



  • ◎ Person Pitch (Paw Tracks 2007) Panda Bear

  • 円形プールの中に、水着姿の子供たちと動物が犇めき合っている。トラ、ゴリラ、コアラ、アザラシ、パンダ、ラッコ、アルパカ、ワニ、ジャッカル、アシカ‥‥Animal Collectiveの中心メンバー、Panda Bearのソロ・アルバムは「猫ジャケ」というよりも「動物ジャケ」と呼んだ方が良いかもしれない。手前で後を向いている赤い帽子を被った少女の肩に子猫がいる。子供と動物の「混浴写真」はアグネス・モンゴメリー(Agnes Montgomery)によるアートワークで、プールの子供たち…#9



  • ◎ Hu Hu Hu (Sony Music 2009) Natalia Lafourcade

  • 《メキシコからこにゃにゃちわ》(Epic 2003)という変タイトルの日本盤が話題になったナタリアちゃんの2ndソロ・アルバム。デビュー・アルバムをリリースした時は18歳(録音時は17歳!)だったという早熟女子。作詞・作曲、ピアノやギターなども弾きこなす女性SSWなのだ。6年振りのソロ・アルバムではヒップホップ色の濃いラテン・ポップスから、アルゼンチン音響派〜エレクトロニカへ大変身?‥‥大山猫娘にコスプレしたアルバム・カヴァも新宿タイガーみたいにポップ…#10



  • ◎ Hunting My Dress (Last Laugh 2009) Jesca Hoop

  • 黒地に浮かび上がるJesca Hoopの横顔‥‥紙ジャケを見開くと、紫色のチューリップが敷き詰められたインナー・スリーヴのスリットに同じデザイン(紫チューリップ)をプリントしたCDが挿まれている。デビュー・アルバムの《Kismet》(Red Ink 2007)がSony傘下のメジャー・レーベルだったのに、2 ndアルバムがUKインディーズからリリースされたのは、彼女が米カリフォルニアから英マンチェスターへ活動の拠点を移したことと関係があるのだろうか。アカペラ多重唱から始…#11



  • ◎ Cerulean (Anticon 2010) Baths

  • Bathsは米カリフォルニア・ロス在住の宅録ミュージシャン、ウィル・ウィーゼンフェルド(Will Wiesenfeld)のソロ・プロジェクト。白地に水色の球体が描かれたデビュー・アルバム《空色》には驚かれる。心地良いグラウンドビート風トラックの上をシンセ、ギター、ピアノ、サンプリング、ノイズ、ヴォイス、コーラス‥‥などがアクロバティックに浮游するサウンドはアングラ・サーカス団の綱渡りや空中ブランコを観ているようで愉しい。蛇行回転する最新のジェットコースター…#12



  • ◎ Bon Iver (Jagjaguwar 2011) Bon Iver

  • 2011年を象徴するアルバムはBon Iverの2ndとJames Blakeのデビュー・アルバムかもしれない。インディ・フォークロックとダブ・ステップ‥‥いわゆる「ロックの王道」から大きく逸脱した音楽で、「辺境ロック」と呼びたい誘惑に駆られる。ゼロ年代のエレクトロニカやフリー・フォークを経て結実した前者はインディ・レーベルからのリリースなのにも拘わらず、全米チャート第2位(Billboard)という快挙を成し遂げた。Justin Vernonの哀しげなファルセット・ヴォイスと幽…#13



  • ◎ Impossible Spaces (Constellation 2011) Sandro Perri

  • モントリオール出身のアーティストSandro Perriの2ndアルバム。フルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、サクソフォン、ユーフォニアムなどが優雅に響く牧歌的なサウンドにシンセやギター・ノイズが混じり合う。いわゆるポスト・ロック系の音響なのに奇を衒った感じは微塵もなく、あくまでも自然体の佇まい。気怠い午後の微睡みのような白日夢やトロピカル趣味もある。リラックスした甘いヴォーカルはDavid ByrneやCaetano Velosoなどに通じる浮游感や心地良さがあ…#14



  • ◎ Ekstasis (Rvng International 2012) Julia Holter

  • Laurie Andersonの姪、それともJulianna Barwickの双子姉妹なのか?‥‥米ロサンゼルス出身のSSW、マルチ奏者の2ndアルバムは夢幻的なエレクトロニカでリスナーを魅惑する。可愛らしいヴォーカルとキーボードに、クラリネット、ヴィオラ 、アルト・サックスなどが響く異世界へトリップする。Julia Holterの神秘的なヴォイスは妖精の囀りにも、セレーンの誘惑にも聴こえる。カナダの詩人アン・カーソンのエッセイ集から採ったというアルバム・タイトルの〈Ekstasis〉はギリ…#15


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    「ミュージック・マガジン」(2019年6月号)の創刊50周年記念ランキングに再び便乗・相乗りしてみた。シンガー・ソングライター(Singer-songwriter)は70年代初頭に一世風靡したJoni MitchellやJames Taylerなどを指す音楽用語で、日本語では「自作自演歌手」と翻訳されるように広義で多岐に渡る。その意味ではPaul McCartneyもPrinceなどもSSWということになる。膨大な数になるので「ブラジル音楽 オールタイム・アルバム・ベスト100」にあった「オールタイム」という文言は外されて、「21世紀のシンガー・ソングライター・アルバム・ベスト100」となった。本ブログでも、これに倣って2001年以降にリリースされたアルバム30枚を選出。〈ブラジル音楽を聴こう〉〈アルゼンチン音楽を聴こう〉との重複を避けるために、ブラジルとアルゼンチンのSSWは外し、1アーティスト・1アルバムという縛りで、順位はつけずに年代順(2001-18)とした。

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    • 記事が長くなってしまったので、15枚ずつ2分割(Part 1、Part 2)しました^^;

    • 9年前の記事〈ゼロ年代アルバム・ベスト20〉(2000-09)と5枚重複しています

    • Sandro Perri《Impossible Spaces》のレヴューはショート・ヴァージョンです

    • 過去記事中に散在していた誤表記を修正しました(誤:SS&W→正:SSW)
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    ミュージック・マガジン 2019年 6月号

    ミュージック・マガジン 2019年 6月号

    • 特集:追悼・内田裕也 / 21世紀のシンガー・ソングライター・アルバム・ベスト100
    • 出版社:ミュージック・マガジン
    • 発売日:2019/05/20
    • メディア:雑誌
    • 執筆者:赤尾美香 / 天井潤之介 / 天辰保文 / 五十嵐正 / 宇田和弘 / 大鷹俊一 / 岡田拓郎 / 岡村詩野 / 小熊俊哉 / 金子厚武 / 木津毅 / 栗本斉 / 坂本哲哉 / 佐藤英輔 / 柴崎祐二 / 清水祐也 / 高橋健太郎 / 中川五郎 / 柳樂光隆 / 名小路浩志郎 / 能地祐子 / 萩原健太 / 早坂英貴 / 原雅明 / 廣川裕 / 方便凌 / 松永良平 / 松山晋也 / 宮子和眞 / 村尾泰郎、安田謙...

    21世紀のシンガー・ソングライター 2

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  • ◎ Il (Barclay 2012) -M-

  • -M-こと、Matthieu Chedidの5thアルバム(インスト・アルバム《Labo M》(Delabel 2003)を含めると6th)。トレード・マークの髪型だでけでなく、黄色いアイマスクや襟(?)が「M字」になったカヴァ・イラストは鉄腕アトムよりも仮面ヒーローに近いかもしれない。Vanessa ParadisのプロデュースやBrigitte Fontaineとのコラボレーションでも知られる-M-だが、今回はゲストを迎えず、Dorion Fiszel、Brad Thomas Ackley(ベース)の3人共同でプロデュース&レコーデ…#16



  • ◎ 11 De Novembre (Universal Spain 2012) Silvia Perez Cruz

  • Silvia Perez Cruzはスペイン・パラフルージェル生まれの女性SSW。基本は生ギター弾き語りスタイルだが、このアルバムではピアノやアコーディオン、クラリネットも演奏している。ホルン(trompa)、コントラバス、チェロ、ヴァイオリン、ヴィオラ、バンジョー、マンドリン、ウクレレなどのアクースティック・サウンドが彼女のヴォイスを優しく包む。変幻自在のスキャットやアカペラ、インスト(ラストで〈Nonnon〉というタイトルだけを歌う!)。カタルーニャのトラッド…#17



  • ◎ Fossils (Yep Roc 2013) Aoife O'Donovan

  • 米マサチューセッツ・ニュートン生まれの女性SSWイーファ・オドノヴァン(と発音するらしい)のソロ・デビュー・アルバム。ペダル・スチールが浮游するオルタナ・ブルーグラス〜アメリカーナ風のアクースティック・サウンドですが、7拍子の〈Beekeeper〉などプログレ感も漂う。彼女は作詞・作曲・歌だけでなく、ギター、バンジョー、ヴィブラフォン、メロトロンを演奏。《化石》という自虐的なアルバム・タイトルらしく、金髪が風に靡くカヴァは怖いけれど、声は可愛いの…#18



  • ◎ The Weighing Of The Heart (Second Language 2013) Colleen

  • パリ生まれ、スペイン在住の女性アーティストColeen(Cécile Schott)の4thアルバム。歌詞カード(8頁)を中綴じした見開きブックレット・シリーズの1冊としてリリースされた(縦長の紙ジャケ仕様)。ギター、ヴィオラ・ダ・ガンバ、オルガン、ピアノ、クラリネット、トイ・ガムランなどが優しく奏でられる音数の少ないアクースティック ・サウンドだが、最新のエレクトロニカ風に響く。《心の計量》と題されたアルバムの最大の変化は本人自らが歌っていることかもしれない。…#19



  • ◎ The Soul Of All Natural ThingsLinda Perhacs (Asthmatic Kitty 2014)

  • Linda Perhacsは米カリフォルニア出身のアシッド・フォークSSW。《Parallelograms》(Kapp 1970)以来、実に44年振りの2ndアルバムがSufjan Stevensの主宰するレーベルからリリースされた。Chris Price、Fernando Perdomoとの共同プロデュースで、Julia Holter、Nite Jewelなどがゲスト参加している。BjorkやMilton Nascimento(復帰を後押ししたDevendra Banhartから教えてもらった)にインスパイアされたという2ndアルバムはタイトル曲が途中からタンゴ調…#20



  • ◎ Ruins (Kranky 2014) Grouper

  • 法人類学者のテンペランス・ブレナンは「グルーピーよりもグルーパーの方が理に適っている」と発言していたが、諧謔的に自らGrouper(ハタ科の海水魚)と名乗るLiz Harrisのソロ・プロジェクトも良い感じ。2011年、彼女がポルトガル・アルジェズール滞在中にレコーディングしたというアルバムはオープニング曲の〈Made Of Metal〉とラストの〈Made Of Air〉(この曲だけは2014年に米ペタルーナの母の実家で録音されている)が呼応する構成になっている。今までのシュー…#21



  • ◎ Sometimes I Sit And Think, And Sometimes ... (Milk! 2015) Courtney Barnett

  • 白地に青と緑のチェック柄の絨毯と肘掛け椅子が描かれた安西水丸風のカヴァ。「時には椅子に座って考えたり、座っているだけだったり」という長いタイトル‥‥豪タスマニア生まれの女性SSW、Courtney Barnettのデビュー・アルバムは少女っぽい意匠だが音楽は筋金入り。フェンダー・ジャガーを左指で弾く。2ギター、ベース、ドラムスというオーソドックスな編成(ライヴではトリオ)で、ライオット・ガルーなインディ・ロックやNirvana風のグランジを演奏する。〈Elevator …#22



  • ◎ Platform (4AD 2015) Holly Herndon

  • Julia Holter、Laurel Halo、Jenny Hval‥‥Bjorkが切り拓いた前人未踏の荒野を女性たちが探検に出かける。米テネシー生まれの作曲家、ミュージシャン、音楽アーティストのHolly Herndon(灰色の瞳と赤毛の三つ編みヘアがトレードマーク)も女性探検隊の1人である。2ndアルバム《Platform》のエレクトロ〜エクスペリメンタル系のサウンドには気味悪さと心地良さが奇妙に混在している。耳触りが良くて、脳内もゾワゾワしちゃう?‥‥谷口暁彦(Akihiko Taniguchi)のPVで…#23



  • ◎ Simple Songs (Drag City 2015) Jim O'Rourke

  • Sonic Youthから離脱したJim O'Rourkeは2006年、活動の拠点をNYから東京(新宿界隈)へ移した。《Insignificance》(2001)以来、実に13年半振りの歌入り(SSW)アルバムである。石橋英子(ピアノ、オルガン)、須藤俊明(ベース)、山本達久(ドラムス)、波多野敦子(ストリングス)という日本人のバンドで完璧な欧米ロックを創出する。親日派の外国人が陥るジャパネスクや変な東洋趣味は微塵もない。6拍子で始まり、7拍子〜6拍子となる〈That Weekend〉、ギタ…#24



  • ◎ Palermo Hollywood (Riviera 2016) Benjamin Biolay

  • アルゼンチン・ブエノス・アイレス北東部のパレルモ地区。ボルヘスが幼少期を過したことでも知られるパレルモ・ビエホは1990年代半ばにラジオやTVプロデューサなどが住み着いたことで、「パレルモ・ハリウッド」と呼ばれるようになったという。バンジャマン・ビオレー(Benjamin Biolay)の10thアルバムは「南米の歓楽街」の過去と現在を交錯させて、夢幻のように描き出す。バンドネオンやチャランゴに彩られ、ブエノス・アイレスのオーケストラが奏でられる。フットボー…#25



  • ◎ Golden Sings That Have Been Sung (Dead Oceans 2016) Ryley Walker

  • 米イリノイ・ロックフォード生まれのSSW、ライリー・ウォーカー(Ryley Walker)の3rdアルバム。本来はアクースティック・ギター弾き語りスタイルだが、バンド編成になったことでエクスペリメンタルなサウンドへ深化した。ヴィオラが不穏な空気を醸し出す〈Funny Thing She Said〉、ギター・ノイズが不機嫌な感情を暗喩する〈Sullen Mind〉、カントリー調の〈The Roundabout〉、オートハープが暗鬱なトーンを修飾する〈Age Old Tale〉‥‥。初回限定盤「Deep Cuts Edi…#26



  • ◎ Those Who Throw Objects At The Crocodiles... (Pataca 2016) Bruno Pernadas

  • 「ポルトガルのスフィアン・スティーヴンス」(容姿はアントニオ・ロウレイロ似?)という触れ込みのSSW、ブルーノ・ペルナーダス(Bruno Pernadas)が2枚のアルバムを同時にリリースした。《Worst Summer Ever》はインスト・アルバムだったが、長いタイトルのアルバムはヴォーカル入り。女性が朗読する短い〈Poem〉、管楽器やアナログ・シンセがステレオラブ風に浮游して5拍子と6拍子を行き来する〈Spaceway 70〉、ポリリズムの〈Problem Number 6〉、ロマン…#27



  • ◎ Party (4AD 2017) Aldous Harding

  • オルダス・ハーディング(Aldous Harding)はニュージーランド・リトルトン生まれの女性SSW。彼女のヴォーカルとピアノ、ギター、John Parish(プロデュース)のピアノ、シンセ、ギター、ドラムス、マルチ奏者Enrico Gabrielliのバス・クラリネット、サクソフォン、ローズ・ピアノという3人編成で、「ゴシック・フォーク」と自称するサウンドを奏でる。フレンチ・ポップスみたいに可愛い〈Blend〉、エキセントリックな少女のようなヴォイスの〈Party〉、挿入される少女た…#28



  • ◎ Historian (Matador 2018) Lucy Dacus

  • ルーシー・ダカス(Lucy Dacus)は米ヴァージニア・リッチモンド出身の女性SSW。2ndアルバムは彼女のギターと共同プロデュースしたJacob Blizardのギター、ベース、オルガン、ウーリッツァ、パーカッションに、ドラムスという編成でドラマチックに展開する。ギター弾き語りからオルタナ・ロックへ徐々に盛り上がって行くリード・シングルの〈Night Shift〉やヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなどを配した〈Body To Flame〉。憂いを帯びた強靭なヴォーカルがハードなギ…#29



  • ◎ Suis Une Ile (Heavenly 2018) Halo Maud

  • アロー・モード(Maud Nadal)はフランス・オーヴェルニュ出身の女性SSW。デビュー・アルバムはGwenno、Melody's Echo Chamber、Jane Weaverなどに通じる最新流行型のサイケデリック・ドリーム・ポップだが、「Francoise HardyからBjorkにひとっ飛びする弾力性のあるヴォーカル」に魅了される。共同プロデュースしたRobin LeducやBenjamin Gilber (Aquaserge)、Pablo Padovani(Moodoïd)が彼女を好サポート。英・仏語混じりで歌うBjorkっぽい〈Tu Sais C…#30


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    「ミュージック・マガジン」(2019年6月号)の「21世紀のシンガー・ソングライター・アルバム・ベスト100」は「37人の選者が1位から30位まで順位づけしたものを編集部で集計」したそうだが、「ブラジル音楽 オールタイム・アルバム・ベスト100」と同じく、一律1票1点なのか、順位による点数制(AOYやMetacriticの集計した「年間ベスト・アルバム」は上位ほど高ポイントが付加される)なのか明示されていない。同数票(同点)の場合の順位づけも不明である。更に不可解なのはBjorkのアルバムが1枚も「ベスト100」に入っていないこと。延べ1110(37×30)枚のアルバムがリスト・アップされているのに、選者の誰1人としてBjorkのアルバムを1枚も挙げていないのだ。《Vespertine》(2001)は9年前の「ゼロ年代アルバム・ベスト100」(2010年6月号)の12位に入っていたけれど、彼女はSSWではないのでしょうか?‥‥英WIRE誌の「年間ベスト・アルバム」(2001 Rewind)では第1位に選ばれています。

                        *
    • 記事が長くなってしまったので、15枚ずつ2分割(Part 1、Part 2)しました^^;

    • 9年前の記事〈ゼロ年代アルバム・ベスト20〉(2000-09)と5枚重複しています

    • Aoife O'Donovan《Fossils》のレヴューはショート・ヴァージョンです

    • 本記事のレイアウトとの兼ね合いから、元記事の文章にも若干の修整を加えました
                        *


    ミュージック・マガジン 2019年 6月号

    ミュージック・マガジン 2019年 6月号

    • 特集:追悼・内田裕也 / 21世紀のシンガー・ソングライター・アルバム・ベスト100
    • 出版社:ミュージック・マガジン
    • 発売日:2019/05/20
    • メディア:雑誌
    • 執筆者:赤尾美香 / 天井潤之介 / 天辰保文 / 五十嵐正 / 宇田和弘 / 大鷹俊一 / 岡田拓郎 / 岡村詩野 / 小熊俊哉 / 金子厚武 / 木津毅 / 栗本斉 / 坂本哲哉 / 佐藤英輔 / 柴崎祐二 / 清水祐也 / 高橋健太郎 / 中川五郎 / 柳樂光隆 / 名小路浩志郎 / 能地祐子 / 萩原健太 / 早坂英貴 / 原雅明 / 廣川裕 / 方便凌 / 松永良平 / 松山晋也 / 宮子和眞 / 村尾泰郎、安田謙...

    スニーズ・コメンツ #54

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  • わたしは少しずつ旧車マニアとして知られるようになっていた。1971年の秋には手当たり次第に買った。そのうちの半分はまともに走らなかったが、どれも見た目が特徴的で、個性が際立っていた。ガソリンの価格は1ガロン36セントだった。1972年ごろ、LAでまたしても車を買った。いったい、どういうつもりだったのか。ほとんど病気だ。(傍点引用者)とにかく、それは1950年型パッカード・クリッパーで、唯一の魅力は翼を広げた美しい鳥の飾りがボンネットについていることだった。まるで古い船の舳先のようだった。車自体は、わたしが子どものころに父が買ったような普通のセダンで、とくべつなところは何もなかった。ハードトップでもソフトトップでもなく、ワゴンでもなかった。排気ガスがひどく、LAのような都会でも公道で運転することができなかった。当時すでに自動車排気ガスは大きな問題となっており、この車はあまりにも煙が出るため、さすがのわたしでも運転する気になれなかった。どうにか牧場にたどり着くと、万が一部品が必要になったときのためにガラクタ置き場に突っこんだ。
    ニール・ヤング 『ニール・ヤング 回想』


  • ♭ 机を作った話
  • 本棚に収納可能な机を使っていますが、ノートブック(MacBook Pro)の左右にCDの山が築かれて、いつの間にか身動き取れない状態になってしまった。「ヒグチユウコ展 CIRCUS」 のチケット販売方法が3月9日から変更されると聞き、予定を前倒して見に行きました。「日時指定前売券」をコンビニ(ローソン)で購入しなければならず、当日券も午前10時から配布する「入場整理券」がないと買えない!‥‥ここまで変更しなければならないほどの混雑なのかしら?
    by sknys (2019-03-08 21:06)

  • ♭ 4AD キャンペーン
  • 〈4AD〉キャンペーン対象アルバムの中ではThe Breedersの《All Nerve》(4AD 2018)を昨年3月に購入しました。猫の日に、某タワレコのアウトレット(70%OFF)で英音楽誌「MOJO」(2017年1月号)を入手。Kate Bushさまの表紙に付録のCD(15曲入り)が貼り着いています。4ADサンプラーに入っているAldous Hardingの2ndアルバム《Party》は2017年の「ベスト・アルバム10」に選出。ちなみにRough Tradeの「年間アルバム第1位」に輝きました。
    by sknys (2019-03-30 15:58)

  • Rough Trade's Albums Of The Year 2017
    • Party - Aldous Harding
    • Prisoner - Ryan Adams
    • Utopia - Björk
    • Capacity - Big Thief
    • Colter Wall - Colter Wall
    • Cigarettes After Sex - Cigarettes After Sex
    • Love In The 4th Dimension - The Big Moon
    • Modern Kosmology - Jane Weaver
    • Drunk - Thundercat
    • Here Lies Man - Here Lies Man

  • ♭ 復活祭(Paques)の卵
  • エンゼルパイやブラックサンダーも期間限定パックを売り出すなど、過熱気味のイースター商戦。ハロウィンといえば黒猫ですが、イースターは可愛い兎さんだったのね。ノートルダム大聖堂に燃えやすい木造部分があったとは驚きです。今は亡き母校(松潤が卒業した小学校として有名)の近くで起こった、東京・東池袋4丁目の暴走車事故にも血の気が引きました。
    by sknys (2019-04-25 14:07)

  • ♭ ALL BLACK EDITION
  • 2代目のノートブック(MacBook Pro)も同じサイズ(13インチ)ですが、CPU(Intel Core i5)、Memory(4GB)で性能は劣ります。暖かくなるとトラックパッドのクリックが重くなって、腱鞘炎になりそう。バッテリが膨張して、内部からトラックパッドを圧迫しているらしい。初代のiBookは10年間酷使しても壊れなかったので、MacBook Proも後2年は使い倒したいと思っていますが(註:後日ジーニアスバーで、膨張したバッテリを取り外してもらった。型番が古くてバッテリ交換は出来なかったが、無料で外してくれました)。
    by sknys (2019-04-27 21:02)

  • ♭ パスタ キッチン(PASTA KITCHEN) ── ボヘミニャン・ラプソディ
  • 昨日の夕食はS城石井で購入した「ヴァルビオ 有機スパゲッティ」とM印良品の「海老クリーム」。あえるだけのパスタソースの「海老クリーム」は安くて美味しいですよ。某タワレコで『ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ』(シンコーミュージック 2019)という写真集を見つけました。
    by sknys (2019-04-28 14:44:27)

  • ♭ The Melody At Night, With You
  • 金井美恵子の寄稿「平成は終わる うやうやしく」も良かったですよ。朝日新聞(4/16付朝刊)に「漫画アクション」の全面広告が載っていませんでしたか?
    by sknys (2019-05-02 20:04)

  • ♭ 本好きの下克上~司書になるには手段をえらんでいられません
  • 面白そうですが、長そうですね。やっぱり紙の本で読みたいなぁ、ヒロインが司書だけに。図書館から借りて、読もうと思います。2018年のミステリ・ランキング第1位を総ナメした『屍人荘の殺人』(東京創元社 2017)を読みました。綾辻行人の「館シリーズ」のパロディかと思ったら、「バイオハザード」みたいなゾンビ(屍人)がワラワラ出て来て‥‥。
    by sknys (2019-05-14 21:10)

  • ♭ フルサイズの帰還
  • αNEX-5Nでネコ写真を撮っています。今後買い替えるとしたら、どのようなカメラが良いでしょうか?‥‥やっぱりフルサイズですか。SONYの「動物対応リアルタイム瞳AFプログラム」も気になります。
    by sknys (2019-05-25 14:50)

  • ▢ Real-time Eye AF for Animals (Sony Alpha 2019)


  • ♭ 薔薇の季節
  • 図書館検索でヒットしないので変だなぁと思っていたら、「下克上」ではなく、「下剋上」だった。予約したので、5月中には第一部「兵士の娘 I」が読めそうです(註:「屍人荘」 はラノベ風のホラー・ミステリなので、B級ゾンビ映画のように笑えます)。
    by sknys (2019-05-26 15:19)

  • ♭ ニール・ヤング 回想
  • 『ニール・ヤング 回想』(河出書房新社 2019)を読んでいますが、これほどまでの旧車マニアとは知りませんでした。本人も「ほとんど病気だ」と書いています。アルバムが売れなくなって、経済的な余裕もなくなって来たという正直な記述もあった。「アーカイヴズ・シリーズ」(NYAPS)乱発の理由が分かったような?
    by sknys (2019-05-27 22:34)

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    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第54集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載‥‥事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註)をして、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2019/03/01~2019/05/31)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。東京・東池袋4丁目の暴走車事故には背筋が凍りついた。青信号の横断歩道に時速100kmで突っ込んで来たら、100mを10秒で走るアスリートだって避けられないだろう。一瞬で妻と娘を失った夫は2人の死に顔も見せてもらえなかったと語った。60年代の交通戦争時代から「車は走る凶器」と怖れられて来たが、半世紀後の令和元年になっても変わる気配がない。「エコカー」という名称は偽善的で、クルマに乗らない、クルマを運転しないのが真のエコロジーである。「車優先社会」を考え直す時に来ていると思う。

                        *


    ニール・ヤング 回想

    ニール・ヤング 回想

    • 著者:ニール・ヤング(Neil Young)/ 清水 由貴子(訳)
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2019/01/08
    • メディア:単行本
    • 内容:いかにしてニール・ヤングは「ニール・ヤング」となったのか―そのすべてがここに。ニール・ヤングが綴る、自らの音楽人生、バンド、アルバム、曲、家族、車、楽器、スタジオ、政治、社会…音楽ファン必携の書!


    All Nerve

    All Nerve

    • Artist: The Breeders
    • Label: 4AD
    • Date: 2018/03/02
    • Media: Audio CD
    • Songs: Nervous Mary / Wait In The Car / All Nerve / MetaGoth / Spacewoman / Walking With A Killer / Howl At The Summit / Archangel's Thunderbird / Dawn: Making An Effort / Skinhead #2 / Blues At The Acropolis


    Party

    Party

    • Artist: Aldous Harding
    • Label: 4AD
    • Date: 2017/05/19
    • Media: Audio CD
    • Songs: Blend / Imagining My Man / Living The Classics / Party / I'm So Sorry / Horizon / What If Birds Aren't Singing They're Screaming / The World Is Looking For You / Swell Does The Skull


    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    • 著者:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 出版社:シンコーミュージック
    • 発売日:2019/04/25
    • メディア:単行本
    • 目次:フレディとねこのはなし / ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん / フレディとうたおう! フレディをまねよう!


    本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第一部「兵士の娘 I」

    本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 第一部 「兵士の娘 I」

    • 著者:香月 美夜 / 椎名 優(イラスト)
    • 出版:TOブックス
    • 発売日:2015/01/25
    • メディア:単行本(ソフトカヴァ)
    • 目次:プロローグ / 新しい生活 / おうち探索 / 街中探索 / 本、入手不可能 / 生活改善中 / 近所の男の子 / 紙、入手不可能 / エジプト文明、リスペクト中 / 冬支度 / 石版GET!/ 古代エジプト人に敗北 / 冬の甘味 / オットーさんのお手伝い / トゥーリの髪飾り / わたしを森へ連れて行って/ メソポタミア文明、万歳 / 粘土版はダメだ / トゥーリの洗礼式 / ...

    A C C E S S R A N K I N G 8 5

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    A C C E S S R A N K I N G 8 5 »
    1クリアランス・セール 2011music81763
    2FAVORITE ー ALBUMS 11favorites53862
    3花粉撒布か?palindrome21627
    4猫のアートcat's cradle 20741
    5オレンジとレモンmusic 20306
    6ミレーヌの憂鬱comic 18417
    71998年のコンピュータ・ゲームarchives 17110
    8手斧の時代(2010)rewind 14198
    94シーズンズbooks 13636
    10PALINDROME〔200〕palindrome 13030
    11シミーにシビレてmusic 12278
    12哀愁のブルーマculture 12129
    13スプーキーな恋人books 12015
    14ファンカデリックな子供たちarchives 10232
    15悪魔の手毬少女visual 9453
    16すべてはFから始まるbooks 8872
    17子猫にも貼れる Google 検索 1.3original skin 8785
    18空を這う僕たちbooks 8218
    19猫のコトラさんart 8041
    20猫にふたたびcat's cradle 7947
    21ネコの海(kai)ちゃんart 7933
    22シナモン・ガールarchives 7575
    23ダリとリアart 7086
    24猫のバディcat's cradle 7084
    25那古野の人々(すべてがVになる?)books 6993
    26ムンクの娘art 6904
    27トーマの深層comic 6872
    28空中ブランコ乗りのレイbooks 6871
    29さようなら WAVEculture 6872
    30マグリットじゃない!art 6551
    31インナー・シティ・ライフ(1995)rewind 6504
    32nice!を消す方法 2.2blog 6475
    33サキ短篇傑作集comic 6312
    34ルドンの蜘蛛art 6122
    35FAVORITE ー ALBUMS 1favorites 6053
    36ドラコニア少女books 5924
    37リュウの道程comic 5811
    38真夏のクリアランス 2013music 5804
    39FAVORITE ー VIDEOS 1favorites 5788
    40池袋 → 木更津 急行visual 5782
    41猫のスリスリcat's cradle 5780
    422人の女の子music 5497
    43辻斬り気質palindrome 5335
    44湯たんぽ、銅でしょうgarage 5321
    45少年ヴィーナスmusic 5239
    46バイオ女になる?game 5188
    47ルビー・ブルー(2005)rewind 5185
    48リップ・リグ+リパニックmusic 5045
    49猫のゆりかごcat's cradle 5028
    50トロピカリア(1993)rewind 5012
    513ドッグズ・ナイトcomic 5006
    52猫とおさんぽcat's cradle 4996
    53ゴールド・フラップ(2000)rewind 4970
    54フィニの少女たちart 4942
    55居留守はズルいpalindrome 4931
    56夢みるニーナarchives 4900
    57変容する身体art 4832
    58僕もポロックじゃない。art 4819
    59メキシコの女たちart 4806
    601Q84年のリトル・ピープルbooks 4742
    61サイ・ビョークが行くmusic 4732
    62レモン缶漏れpalindrome 4728
    63ヴェルーカ・サルトbooks 4727
    64次男も文無しpalindrome 4705
    65三日月もぎつかみpalindrome 4641
    66猫にも出来るオリジナル・スキン 4.1original skin 4640
    67REWINDIST 2rewind 4633
    68子猫にも貼れる YouTube mini 2original skin 4607
    69猫のコクーンcat's cradle 4603
    70FAVORITE ー ALBUMS 5favorites 4589
    71ターナーの彼方へart 4548
    72オレンジ党の冒険books 4544
    73亡き王子のための降雨曲archives 4468
    74忍者影丸抄comic 4456
    75ドラコニア美術館art 4429
    76パリンドル(なぞなぞ回文集)palindrome 4423
    77FAVORITE ー ALBUMS 2favorites 4371
    78ノンノン人生comic 4313
    79乳出しモンチ(1996)rewind 4297
    80ネコ・ログ #13catalog 4273
    81うどん麺道palindrome 4245
    82終わらない夏(2001)rewind 4207
    83血眼な街palindrome 4202
    84猫にも出来るオリジナル・スキン 1.2original skin 4198
    85猫のノリータcat's cradle 4188

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    A C C E S S R A N K I N G 8 5

    A C C E S S R A N K I N G 8 5

    • Author: sknys
    • Articles: 851
    • Provider: So-net
    • Date: 2019/06/16
    • Media: Blog

    つなぐ夏

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  • 「あんた見捨てて来たのか!」「どうにもならねえよ! 見たかあいつら。人を喰うんだぞ! 下松を捕まえるなり一斉に襲いかかったんだ! 俺まで喰われろってのか!」「ゾンビだ」あの姿を目撃している重元が呟いた。「実在したんだ。でもどうして」その時、名張とともに菅野が玄関から出てきた。手には一本の槍。おそらく二階のラウンジに展示されていたものだ。「どうしたっていうんです。不審者でも──」「来た!」ゾロゾロと下の広場へ侵入してきた集団に懐中電灯を向ける。その醜悪な姿を見て、名張の口から絹を裂くような悲鳴が上がった。明かりに照らし出されたソレらは人の形でありながら、体の至るところを喰いちぎられたため欠損しており、ボロ雑巾のような有様だ。全身を血に染めながら大口を開け、理性を失ったとしか思えない咆哮を上げ続ける化物。重元の言うとおり、映画やゲームで目にするゾンビそのものだった。
    今村 昌弘 『屍人荘の殺人』


  • ⃞ 南へ瞬き「マハラジャ白浜」来た、浜辺美波
    映画「屍人荘の殺人」(2009)の撮影を終えた浜辺美波は久々の夏休暇を南紀で満喫していた。B級ホラーと本格ミステリを抱き合わせたような映画の撮影現場は凄まじかった。醜悪なゾンビたち、惨たらしい死体‥‥気味悪くて怖いどころが逆に笑ってしまうほどだった。「キャリー」のように全身血塗れになったわけではないけれど、躰に染み着いた血腥さは何度シャワーを浴びても消えないように思えた。その穢れを清めるためにも、心身をリフレッシュする時間が必要だったのだ。名前(本名)に由来するのか、美波は幼少時から海が大好きだった。海の見える家に住みたいと思っていた。寒々とした日本海しか見たことのなかった彼女にとって、暖かそうな太平洋沿岸は憧れの地だった。南紀白浜のホテル「マハラジャ白浜」に1週間宿泊することになった美波は南向きの窓から一望される風光明媚な景色に瞬きして目を瞠った。月末に開催される「白浜花火フェスティバル」も愉しみだ。

    ⃞ 帰途「飛ぶ孔雀」葉書破棄?‥‥河馬悔しく不届き
    カバ君は怒り心頭に発していた。先日65歳の誕生日を迎えたのに、動物年金機構から「ねんきん定期便」が届いていない。12年前の「消えた年金」で動物たちの怒りを買った政府は「年金100年安心」などという偽りのスローガンを掲げて「不都合な真実」を覆い隠そうとした。年金制度が崩壊することは動物たちも薄々気づいているのに‥‥ところが今になって唐突に年金だけでは不足で、「老後に2000万円必要」と言い出したのだ。それどころか亜ゾウ金融大臣が自ら指示した金融審議会の報告書を受け取らないと拒否したことで火に油を注いだ。今日も郵便配達鳥の孔雀さんが航空郵便を届けに来たが、「ねんきん定期便」の葉書はなかった。僕の年金は一体いつから支給されるのか。本当に年金だけでは老後の生活が送れないのか?‥‥汗水垂らして40年間一生懸命に働いて来たのに、経済的にゆとりのあるバラ色の余生を思い描いていたのに、真っ暗な奈落の底に落とされた気分で憤懣遣る方ない。

    ⃞ 溶き卵・葱・麦‥‥猫・マタギと
    クマ猟師のマタギは愛猫のタマと連れ立って狩りに出る。森に棲息する野生動物、ニホンカモシカやツキノワグマなどの気配を姿は見えなくても一早く察知して、近くに動物がいることをマタギに知らせるからだ。獲物に煩く吠えかかる狩猟犬よりも賢いマタギ猫の方が有能で役に立つ。ニホンカモシカは乱獲のために個体数が減って特別天然記念物(1955)に指定された。狩猟を禁じられたので、今は主にクマ猟を生業としている。マタギたちの使用する猟具も時代の変遷と共に熊槍から猟銃や高性能のライフル銃に代わり、集団ではなく単独での狩猟を可能にした。今日は数日間追い続けていたヒグマを仕留めた。夕食は鶏卵と葱のオムレツに麦飯、熊肉ステーキ、熊の手スープである。「熊の手」はプーさんのように蜂蜜を舐めているので特に美味しいと昔から言い伝えられている。ところがタマは熊肉が嫌いなのか、マタギのジビエ料理を一切食べようとしない。これが本当の「猫跨ぎ」であろうか。

    ⃞ つながる春来る遙か夏
    「門松は冥土の旅の一里塚」という一休さんの狂歌を「サザエさん」で知ったという人も少なくないのではないか。下の句は「めでたくもありめでたくもなし」と続く。一生を冥途への旅に見立てた歌で、毎年正月を迎えるごとに死へ近づいて行くので余り嬉しくない。春の桜、夏の打ち上げ花火、秋の紅葉狩り、冬の雪見‥‥春夏秋冬、四季の繋がりで1年は移ろう。極寒の冬は暖かな春を心待ちにして、酷暑の夏は涼しい秋風を待ち焦がれる。「人は夏の盛りに秋の樹木を感得する」のだ。「人生100年」などと軽々しく口にするけれど、100年後の世界は今後寿命が飛躍的に延びない限り、今産まれた嬰児を含めて世界中の人間は殆ど地球上から消え去っている。人類数十億人が丸ごと入れ替わってしまうのだ。季節が移り変わるように人も遷ろい行く。繋がって継承されるのは記憶だろうか、記録だろうか、それとも遺伝子情報だろうか。一瞬たりとも立ち止まらない「時間」は残酷である。4コマ漫画のオチはカツオが「冥途」を「メイド」と勘違いして、戦後の作だねと波平に言い放つ。

    ⃞ 血溜まり躍る、斬る通り魔たち
    「彼は小躍りしながら海を渡って来た」‥‥〈Cortez The Killer〉の冒頭の一節である。大地に染み込んだ血潮を購うような情念の籠った粘着質のギター・ソロ、ライヴ・ヴァージョンの後半はレゲエになって、アステカ帝国を征服した「殺人者コルテス」の狂気を際立たせる。川崎市・N戸駅近くの歩道でスクールバスを待っていた私立小学校の生徒たちを柳刃包丁で刺殺した通り魔は無言だった。バスの運転手から叱責されて我に返ったのか、その直後に自剄したという。両親の離婚後に幼くして伯父夫婦の家に預けられたという加害者が長らく「引きこもり」だったことから短絡的に犯行と関係づけられ、「死ぬなら1人で死ね」という心ない暴言もメディアで飛び交った。防犯(監視)カメラは犯人逮捕の有力な手懸かりになっても犯罪は未然に防げない。小学生の集団登下校や園児の散歩なども犯罪や事故に巻き込まれた時に大きな惨事となる。「1人殺せば殺人者だが、100万人殺せば英雄になる」という箴言もある。「引きこもり」や「通り魔」の生まれない社会を模索するべきである。

    ⃞「屍人荘」の女子不憫。ゾロゾロ、ゾンビ腐女子、農村、死屍
    神紅大学映画研究部の夏合宿に参加した学生10名とOB3名は前代未聞の怪事件に遭遇した。「サベアロックフェス」で起きたバイオ・テロで集団感染した観客たちがゾンビ化して、短篇映画の撮影を兼ねた肝試しをしていた学生たちを襲う。S県娑可安湖のペンション「紫湛荘」へ逃げ帰った学生たち7人と管理人に待ち受けていたのは奇怪な連続殺人事件だった。「バイオハザード」みたいな極限状況下で起こった二重の密室殺人。殺人犯は人間なのか、それとも屍人(ゾンビ)なのか?‥‥1階の窓ガラスを割り、非常階段のバリケートを破ってゾンビたちが侵入し、学生たちは2階から3階へ追いやられる。B級ホラー映画に精通する男子学生は兎も角、気弱な女子学生は不憫である。醜くゾンビ化した腐女子も見るに堪えない。探偵役の明智恭介は早々とゾンビの餌食になってしまい、ワトソン役の葉村譲(俺)と超巻き込まれ体質の少女探偵・剣崎比留子が連続殺人事件の真相を暴く。屋上に逃れた学生たちは救助ヘリに無事救出される。上空から見降ろすと、農村地帯は死屍累々だった。

    ⃞ 速し右走、某母子は死亡、暴走車は?
    東京・H池袋4丁目の暴走車事故には背筋が凍りついた。青信号の横断歩道に時速100kmでクルマが突っ込んで来たら、100mを10秒で走るアスリートだって避けられないだろう。自転車に乗っていた母子は即死だったと思われる。一瞬の出来事で、自分の身に何が起こったのかも知覚出来なかっただろう。最愛の妻と娘を失った夫の心情を想像するだけで胸が張り裂けそうになる。プリウスを運転していた高齢男性は「ブレーキペダルを踏んだ。アクセルペダルが戻らなかった」と警察の事情聴取に説明しているそうだが、事故車に何も異常がなければ、このところ多発している高齢者の運転ミス「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」可能性もある。人なのか車なのか、事故原因を究明して欲しい。60年代の交通戦争時代から「車は走る凶器」と怖れられて来たが、半世紀後の令和元年になっても変わる気配がない。「エコカー」という名称は偽善的で、クルマに乗らない、クルマを運転しないのが真のエコロジーである。「車優先社会」を考え直す時に来ていると思う。

    ⃞ 逆走・子虎と高速・山羊
    熊本地震(2016)が発生した直後に「動物園からライオンが逃げた」というデマをツイート(車道を歩くライオンの写真つき)〜拡散して逮捕された輩がいたけれど、車道をトラが逆走しているというドラレコ映像が動画投稿サイトにアップされるや否や瞬く間に人口に膾炙した。幸い自動車事故には至らなかったが、逃走したトラは行方知れず。どこへ姿を消したのか未だに分かっていない。「子虎」ではなく「大山猫」の見間違えではないかと指摘する動物学者もいた。もし野性の大山猫ならば絶滅危惧種なので、それはそれで貴重なニュースとなる。「逆走する子虎」の翌週には首都高を歩く山羊の姿が目撃された。一体どこから高速道路に入り込んだのか、それとも走行中のトラック運搬車から逃げ出したのか?‥‥さまざまな憶測がネット上で飛び交っている。「車道を逆走する子虎」や「高速道路に迷い込んだ山羊」は天変地異の前兆ではないかと警鐘を鳴らす地震学者もいる。

    ⃞ 令和元年、ジジイ意地悪。麗しい医師、新年革入れ
    2019年5月1日、元号が平成31年から令和元年に切り替わった。新元号「令和」は『万葉集』の「梅花の歌三十二首の序文」から採られたという。「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」‥‥「令」は令しい、「和」は和らぐという意味で使われている。4月1日に新元号を発表したS官房長官はネット上で「令和おじさん」と呼ばれているが、考案者とされる日本文学者(万葉集研究の第一人者)のN西進氏は「令和じいさん」と称するべきだろうか(実は予備校生時代に先生の授業を受けていたことがある。「古文」ではなく「現代文」だったが、高校の授業よりも何十倍も面白かった。受験のための技術的なノウハウも然ることながら、まさに「行間を読む」という真摯で奥深い読書行為は目からウロコだった)。家族からは「意地悪じいさん」と呼ばれているが、娘さんには慕われている。令和元年の記念に、牛革入れ(財布)を父にプレゼントしたという。

    ⃞ 焚きやすいアロマの後、今夜ニャンコとアノマロ、アイス屋来た
    ニャンコは7歳の男の子に大事にされているネコの縫いぐるみである。本物のネコになりたくて、魔力のあるヒゲを集める旅に出た。途中で相棒のアノマロ(アノマロカリス)と逸れてしまい、旅のネコたちと一緒にアノマロを探すことになる。ある日、ニャンコは捨てられていた子ネコを拾う。仲間の協力を得て愛情深く育てていたのに、少年の母親に見つかって、どこかへ連れて行かれてしまう。喪失の悲しみと再会の喜びで、ニャンコの感情は激しく揺れ動く。度重なる傷心やストレスで胸が張り裂けそうになったこともあった‥‥。ある夜、ニャンコとアノマロは精油(エッセンシャルオイル)の香りに包まれて久しぶりに心身共にリラックス&リフレッシュした。お風呂から出た人が銭湯で冷たい牛乳を飲むように、アロマテラピー後の2人の愉しみは、お気に入りのアイスクリーム店で大好きな「抹茶アイス」を食べることである。

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    • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

    • 浜辺美波は映画「屍人荘の殺人」(2019)に出演(剣崎比留子役)しています^^

     スニンクスなぞなぞ回文 #55

     岡上淑子△◇◎☆◎◇△こ詩と絵、鵜の顔

     回文作成:sknys

     ヒント:フォト・コラージュとは?


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    飛ぶ孔雀

    飛ぶ孔雀

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:文藝春秋
    • 発売日:2018/05/10
    • メディア:単行本
    • 目次:飛ぶ孔雀(柳小橋界隈 / だいふく寺、桜、千手かんのん / ひがし山 / 三角点 / 火種屋 / 岩牡蠣、低温調理飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 I / 飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 II)/ 不燃性について(移行 / 眠り / 受難 / 喫煙者たち / 頭骨ラボ / 井戸 / 窃盗 / 富籤 / 修練ホテル / 階段 /(偽)燈火 / 雲海 / 復路 I / 復路 II / 復路 III / 燈火)

    屍人荘の殺人

    屍人荘の殺人

    • 著者:今村 昌弘
    • 出版社:東京創元社
    • 発売日:2017/10/12
    • メディア:単行本
    • 目次:受賞の言葉 / 奇妙な取引 / 紫湛荘 / 記載なきイベント / 渦中の犠牲者 / 侵攻 / 冷たい槍 / エピローグ / 第二十七回鮎川哲也賞選考経過 / 選評 加納朋子・北村薫・辻真先

    Zuma

    Zuma

    • Artist: Neil Young / Crazy Horse
    • Label: Reprise
    • Date: 2004/06/01
    • Media: Audio CD
    • Songs: Don't Cry No Tears / Danger Bird / Pardon My Heart / Lookin' For A Love / Barstool Blues / Stupid Girl / Drive Back / Cortez The Killer / Through My Sails


    総特集 ヒグチユウコ ―指先から広がる魔法―

    総特集 ヒグチユウコ ―指先から広がる魔法―

    • 著者:ヒグチユウコ
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2019/07/30
    • メディア:ムック(文藝別冊)
    • 内容紹介:緻密で繊細な世界観を描く唯一無二の画家・ヒグチユウコ、初の総特集。描き下ろしカラー作品、2万字ロングインタビュー、最新カラー作品ギャラリー、石田ゆり子 / 伊藤潤二 / 吉田戦車との豪華3大対談ほか、大充実の永久保存版

    スニーズ・ラブ 53

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  • ♭ アナタも眠れない(2019-06-01)
  • 〈アルゼンチン音楽を聴こう〉という記事で、21世紀以降にリリースされたアルバム15枚を選出して感じたことは2002年に逝去したSpinettaの影響力、失ったものの大きさだった。弟Gustavo(ドラムス)のバンドAmelは兄の遺志を継ぐようなアルバム《2853》 (Epsa 2015)、Flor Oteroはオマージュ・アルバム《El Juego Verdadero》(2016) をリリースした。Spinettaのライヴ・アルバム《Obras En Vivo》(Interdisc 2002)には《Silver Sorgo》(2001)から3曲‥‥〈El Mar Es De Llanto〉、〈El Enemigo〉の異名同曲〈La Verdad De Las Grullas〉、ボーナス・トラックとして〈Tonta Luz Remix〉も収録されている。〈Don't Bother Me〉は1カ月前に死去したGeorge Harrisonへ捧げたオマージュ。ハード・ロックの〈Ana No Duerme〉(1969)は姉Anaのことを歌ったわけではないが(映画プロデューサーのAna Aizenbergのことらしい)、「アナは眠らない」のではなく、こんなに騒々しくては姉さんでなくても「眠れない」のではないかと勘繰ってしまう。

  • ♭ ニール・ヤング回想(2019-06-08)
  • 2巻本の『ニール・ヤング自伝』(白夜書房 2012)に続く『ニール・ヤング 回想』(河出書房新社 2019)は愛車に纏わるエピソードを中心に綴った「自伝」の特別版。最初は「車と犬」について書く予定だったが自己分析した結果、ある晩遅く「世界一ひどい犬の飼い主かもしれない」と気づいて、「歴代の愛車」に変更したという。ステージ上での癇癪、マリファナやコカインの摂取、妻と子供たち、亡くなった友人たちへの追悼‥‥音楽については余り語っていないが、文中に自作曲の歌詞を多く引用。「SPECIAL DELUXE」という原題も音楽アルバム用語ではなく、1950年型プリムス・スペシャル・デラックス・セダンから採られた。しかし、これほどまでのヴィンテージカー・マニアとは知らなかった。本人も「ほとんど病気だ」と書いているくらいだ。最終章は二酸化炭素を大量放出する化石燃料車による地球温暖化を憂慮し、新たな発電システムとバイオ燃料で走る愛車を開発するために自ら立ち上げたリンクヴォルト(LincVolt)に割かれている。全40章の扉絵は《Storytone》(Reprise 2014)のアルバム・カヴァのような愛車の自筆イラストで飾られている。

  • ♭ 猫はボヘミニャン(2019-06-015)
  • 1991年に亡くなったフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)は大のネコ好きだった。トム、ジェリー、ミコ、リリー、ロメオ、オスカー、ティファニー、ドロシー、ゴライアス、デライア‥‥愛猫に捧げた〈Deliah〉という曲もあるくらい。『ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ』(シンコーミュージック 2019)は大ヒットした映画「ボヘミアン・ラプソディ」(Bohemian Rhapsody 2018)に便乗したネコ写真集。生前のフレディとインスタグラムに投稿されたネコ写真で構成されている。「フレディとねこのはなし」ではネコの登場する場面が40カットもあるという映画やブライアン・メイに代わってフレディが歌う〈All Dead, All Dead〉のネコ・アニメ・ヴァージョンPVなどを紹介。「ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん」ではフレディの口髭と同じように鼻の下が黒いネコが集合。「フレディとうたおう!フレディをまねよう」ではネコたちがフレディと同じポーズを決める。いつだって猫はボヘミニャン。

  • ♭ バッテリの膨張(2019-06-22)
  • 数年前から騙し騙し使っていた MacBook Pro(13-inch, Late 2011)のトラックパッドが硬くなって、クリックし難くなった。腱鞘炎になるくらいの力を指先に込めて押さないと反応しなくなってしまった。内部のバッテリが膨張して圧迫していることが原因だった。アップル・サポートに電話すると、古い型番なのでバッテリ交換には応じられないが、取り外すことは可能かもしれないという。その場でジーニアスバーに予約を入れてもらって、「アップルストア渋谷」へ行った。予約時間前に着いたのに速やかな対応で、十数分後に修理完了(バッテリ交換は2万円と聞いていたので、数千円の出費は覚悟していたが、意外にも無料だった)。電源プラグを抜いた瞬間にブラックアウトしてしまうけれど、iMacのようなデスクトップ・パソコンとして使用していたので殆ど支障はない。異常に膨らんだバッテリを外したら、見違えるような美しい体型にダイエットした。筐体のガタつきは一切しないし、クリック音も小気味好い。レスポンスが多少遅くなったことには目を瞑ろう。

  • イントロ異聞(2019-06-29)
  • 「天声人語」(2017・12・27)にイントロが短くなっているという記事が掲載されていたが、前奏だけでなく曲全体も短くなっているようだ。Pitchforkの「年間ベスト・アルバム第1位」に選ばれた日本人女性Mitkiの《Be The Cowboy》(Dead Oceans 2018)は全14曲・33分だった。アルバムの収録時間も短くなっていて、ジャンルに関わらず20数分も珍しくない。Tierra Whackの《Whack World》(同9位)に至っては全15曲・15分という潔さである。これは音楽の聴き方(購買形態)が変わったことと無関係ではない。ネットから1曲単位で買えるようになってからアルバムを通して聴くことが少なくなり、定額制になってからは1曲も聴かなくなってしまった(聴こうが聴くまいが同じ金額なのだから、長いイントロはスキップしても痛くも痒くもない)。慣れというのは怖しいもので、アルバム収録時間は30分が普通、40分もあると逆に長いと感じてしまう。The Beatlesの《Revolver》(1966)は全14曲・35分‥‥60年代にタイム・スリップしたような奇妙な気分である。
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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2019-06)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    Obras En Vivo

    Obras En Vivo

    • Artist: Spinetta
    • Label: Polygram
    • Date: 2002/08/01
    • Media: Audio CD
    • Songs: No Te Busques Ya En El Umbral / Ekate / Don't Bother Me / El Mar Es De Llanto / Mi Sueño De Hoy / No Ves Que Ya No Somos Chiquitos / Al Ver Verás / Sagrado Tesoro / Perdido En Tí / La Verdad De Las Grullas / Ana No Duerme / Tonta Luz Remix (Bonus Track)


    Storytone(Deluxe Edition)

    Storytone(Deluxe Edition)

    • Artist: Neil Young
    • Label: Reprise / Wea
    • Date: 2014/11/10
    • Media: Audio CD(2CD)
    • Songs: Plastic Flowers / Who's Gonna Stand Up? / I Want To Drive My Car / Glimmer / Say Hello To Chicago / Tumbleweed / Like You Used To Do / I'm Glad I Found You / When I Watch You Sleeping / All Those Dreams / Plastic Flowers / Who's Gonna Stand Up? / I Want To Drive ...

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    • 編集人:西村 浩一
    • 出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 発売日:2019/04/25
    • メディア:単行本
    • 目次:フレディとねこのはなし / ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん / フレディとうたおう!フレディをまねよう!/ ねこのさくいん

    Apple 渋谷

    Apple 渋谷

    • 住所:150-0041 東京都渋谷区神南1-20-9 公園通りビル
    • TEL:03-6670-1800
    • 営業時間:月曜日~日曜日(10:00~21:00)
    • アクセス:Apple 渋谷は、渋谷区宇田川町、渋谷公園通りの西武渋谷店の向かい側にあります。最寄りの駐車場は、公園通り反対側の西武渋谷店モヴィーダ館地下、西武パーキングセンターです。公共交通機関をご利用の場合は、副都心線、半蔵門線、銀座線の渋谷駅が最寄駅となります

    Be The Cowboy

    Be The Cowboy

    • Artist: Mitski
    • Label: Dead Oceans
    • Date: 2018/08/17
    • Media: Audio CD
    • Songs: Geyser / Why Didn't You Stop Me? / Old Friend / A Pearl / Lonesome Love / Remember My Name / Me And My Husband / Come Into The Water / Nobody / Pink In The Night / A Horse Named Cold Air / Washing Machine Heart / Blue Light / Two Slow Dancers

    Whack World

    Whack World

    • Artist: Tierra Whack
    • Label: Tierra Whack
    • Date: 2018/5/30
    • Media: MP3
    • Songs: Black Nails / Bugs Life / Flea Market / Cable Guy / 4 Wings / Hookers / Hungry Hippo / Pet Cemetery / Fuck Off / Silly Sam / Fruit Salad / Pretty Ugly / Sore Loser / Dr. Seuss / Waze

    ネコ・ログ #54

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  • フレディは亡くなるまで猫を愛しました。トム、ジェリー、ミコ、リリー、ロメオ、オスカー、ティファニー、ドロシー、ゴライアス、デライア‥‥これらは彼が可愛がった猫達の名前です。その中のデライア(三毛猫)は、「愛しのデライア」という歌にまでしてもらうほど大事にされました。〔‥‥〕/ クイーンのアルバム『世界に捧ぐ』の40周年記念として2017年に新たに制作された「オール・デッド」のミュージック・ビデオも、フレディと猫好きには見逃せないものです。オリジナルの作曲と歌はブライアン・メイですが、この40周年記念ヴァージョンではそれまで未発表だったフレディのヴォーカルがフィーチュアされているのです。しかも、全編アニメーションで描かれた当ビデオの主役は、ブライアンが幼少時に共に暮らしたピクシーという名のハチワレの黒白猫とのこと。そして、この子の動きや仕草が実に生き生きと猫猫しくて見入ってしまうのです。ブライアンがピクシーを通して亡きフレディに思いを伝えているようにも見える本作は、きっとフレディもお気に入りなのではないでしょうか。
    『ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ』


  • #478│ガク│ノラ猫 ── 窓の向こうのニャンコ
    ガングロ・サビネコのガクちゃんはタクシー運転手の飼っていたネコだった。大柄で大人しい性格で、近づいても逃げ去ったりしない。被写体としては理想的なネコだった。最近見かけなくなったなぁと気に懸けていたら、裏手のアパートに住んでいた「運転手がネコを置いて引っ越してしまったので、今は私が室内で飼っている」と民家の女性が話してくれた。座敷ネコになったので、滅多に外に出ることはない。もう撮る機会はないのかと残念に思っていた。ある日家の前を通りかかると、都電A川線に面した窓からガクちゃんが外を眺めていた。カメラを向けると、興味深そうに見つめ返す。ガラス窓越しの撮影なのでペットショップや動物園の写真のように不鮮明だが、幸い後景の映り込みもなくピントも目に合っている。都電の見える眺めの良い部屋には他のネコもいるので、今後チャンスがあれば「盗撮」したい。

    #479│ソラン│飼い猫 ──カレンダー・キャット
    お気に入りのネコ・カレンダーを作るとしたら、黒ネコのソラン、長毛種のロン、白茶のソン、茶トラのレイ、三毛ネコのアン、スコティッシュ・フォールドのミス‥‥などの常連ネコたちが12カ月を飾るでしょう。春は桜、夏は海、秋は紅葉、冬は雪‥‥という風に四季の移ろいを反映させたいけれど、季節感の乏しい都会では難しい。どの月にどのネコ写真が入るかは未定ですが、5月だけはサバトラのサツキ(皐月)ちゃんに決まっています。ちなみに「CALENDAR」にネコ写真を使うようになったのは2012年からで(2011年までは花や「猫町ナーゴ・カレンダー」の写真だった)、ニャゴ(縞ネコ)、サクラ(鯖トラ)、ムンク(灰ネコ)、タバス(雉トラ)、アオ(白ネコ)、ソラン(黒ネコ)、グリ(三毛)が年間のカレンダー・キャットになっています。今まで「CALENDAR」に登場したことのない茶トラや白黒ブチなども入れたいなぁ。

    #480│キノ│飼い猫 ── 良く似た寄り目ちゃん
    ガクちゃんの棲む民家の並び、クルマが停車していたり空車だったりする1階ガレージの前や奥に良く似たサバトラ兄弟姉妹がいる。何匹いるのかどうかは不明だが、親子・親類・縁者などの一家だろうか。毛色や模様も容貌も寄り目なところも双子のように良く似ている。目の前は歩道と車道、その向こうは都電A川線である。都電沿いをMノ輪方面に歩いて行くと、A川車庫〜A川遊園地〜K野前に至る。左にO久図書館、S田川、右にT端・N日暮里というロケーション。寄り目ネコといえば、トルコ・イスタンブールのアヤソフィア博物館(旧大聖堂)に暮らす「オバマキャット」(2009年に同地を訪れたオバマ米大統領が躰を撫でたという)のグリちゃんが世界的に有名ですが、本ブログの一推し寄り目ネコは「2018年カレンダー・キャット」の三毛ちゃんです。

    #481│マオ│地域猫 ── ネコは何匹いるの?
    S井開運稲荷に3匹のネコがいた。黒ネコの左耳後方に1匹、その左奥に1匹‥‥一眼レフで撮ると後景がボケているので、この写真ではネコとは判別出来ないけれど、確かに3匹のネコが点在していたのだ。右耳先がカットされている前景の黒ネコは飼い猫で、首輪のメダルには飼い主の電話番号が記されている。赤い鳥井の開運稲荷は小さい祠のような佇まい。「S井コミュニティ広場」に人気はなく、ネコたちの集会場所になっているようだ。ネコたちの視線は広場の入口に向いていて、その先にはS井銀座商店街が連なっている。その真剣な眼差しから、夕飯を運んで来る人(ネコおばさんやネコおじさん)を待っていることが分かる。広場への入口は意外と狭いので、通行人や買い物客たちの多くは商店街の横に小さな稲荷のあることも、ネコたちが暮らしていることにも気づいていないかもしれない。

    #482│バル│飼い猫 ── 白い靴下をはいた猫
    シャッター音にもビクッと躰を震わせるほど敏感でセンシブルなバルちゃん。何度も通っているので顔を憶えてくれたのか、近寄って来て躰を撫でさせてくれるようになった。同じように逃げ回っていたチビ三毛も先日初めて擦り寄って来て、ブロガーの足に頭をスリスリするではないか。やっと馴れてくれたのかと感慨一入だったが、一番興味を惹かれるのはネコがヒトに対した時の態度‥‥その場に留まるのか、逃げ去るのか、近寄るかの判断を一体どのように行なっているのかということである。バルやチビ三毛の意識に如何なる心境変化があったのだろうか?‥‥ジョン・ブラッドショーは『猫的感覚』(早川書房 2014)の中で《ネコは決定を下すことのできる意識のある動物である。受けとっている情報や同じできごとの記憶だけではなく、その情報に対する自分の感情的な反応に基づいて決定を下せる》と書いている。ちなみにアンジェラ・カーターの「長靴をはいた猫」は飼い主の横恋慕を成就させるために奮闘する。

    #483│マル│飼い猫 ── 赤いクルマの上の猫
    民家のガレージに赤い乗用車が停まっている。そのまま通り過ぎようとしたが、気配を感じて目線を上げると、ルーフの上に1匹のネコが鎮座していた。岩合さん好みの大きな体躯、ボールのように丸い顔‥‥薄茶に白が混じったカフェオレ柄のデカ顔ネコだった。気持ち良く微睡んでいたのか、眠そうな目でカメラを向けても身動ぎしない。目を瞠らず半眼で、視線を合せようとしない。天井のある半屋内なので薄暗いけれど、灰色の壁と薄茶色のネコと紅いクルマの配色がバランス良く収まった写真が撮れた(この写真では見えないけれど、赤い首輪に鈴とメダルを着けている)。この地域には三毛スコのミスや白茶のバル、灰白のアキなどが暮らしていてネコ密度が高い。最低でも1匹のネコに出合える確率の高い「穴場」である。「赤いクルマの上の猫」は真夏の炎天下ならば、「熱いトタン屋根の猫」と化していたでしょう。

    #484│ハン│飼い猫 ── 猫パンチで攻撃にゃん
    茶トラのレイや三毛のマープルの暮らしている地域に新入りが加わった。黒白のハチ割れネコちゃんは小柄なのに血気盛んで勇ましい。写真を撮ろうとして近づくと、足早に逃げて行く。そのまま尻尾を巻いて去って行く小心者なのかと高を括っていたら、急に引き返して来た。何とネコパンチを一発喰らわしに戻って来たのだ。捨てゼリフならぬ、捨てパンチである。「ネコ通り魔」と称すべきかもしれない。ところがネコの鍵爪が手の甲に食い込んで抜けない。その時の困惑したような表情が興味深い。ネコも何かを失敗したり、失態を演じた時にはバツが悪いと感じるのだろうか。トラに肩を咬まれたムツゴロウ(畑正憲)さんがもっと咬めと促すと、当惑したような表情を浮かべたというエピソードを思い出した。トラは戯れているつもりでも、ヒトには大きな力なので大怪我することもあるのだ。ネコパンチごときを怖がっているようでは真の愛猫家とは言えません。

    #485│フジ│ノラ猫 ── 猫と藤
    『ねことはな』(クレヴィス 2018)の「まえがき」で「もしかして、ネコはわかっているのではと思うことがあるのです。決して華美ではない毛模様が、花と共にあると美しい色彩となることを」と岩合さんは書いているけれど、「猫と花」のコラボレーションは意外に難しい。百花繚乱の花々とネコの写真を撮りたいと思っても、気儘なネコは要望に応えてくれない。種子や花粉を運んでくれる小鳥や昆虫を誘惑するために甘い櫁や香りを出す花もネコのことは何も考えていないようだし、強い芳香に惹かれるというネコも熱心に草を食んだり匂いを着けたりするようには花に興味を示さない。S石図書館に通って来る近所の三毛ネコも中庭に咲く色とりどりの花よりも草や紙パック回収ボックスの方に関心があるらしい。白黒のフジちゃんは三毛のミミが産んだ3匹の子ネコの中では一番警戒心が少ない。目の上の藤の花を興味深そうに見つめているように見えますが、空を飛ぶ小鳥に関心があるのかもしれません。
     
    #486│エル│ノラ猫 ── 久々に撮れた三毛ちゃん
    「人間は約9500年前にネコを飼い始めたとされ、現在世界中で6億匹が一緒に暮らしている」‥‥J智大研究チームの実験によると「飼い猫は人間の言葉の中から自分の名前を聞き分けている」(朝日新聞 2019・4・5)という。中央図書館裏の遊歩道にいる長毛種のロンちゃんは名前(ロンは仮名です)を呼ぶと必ず駆けて寄って来るのに、少し離れたところに暮らすエルちゃんは知らんぷり。そもそも何という名前で呼ばれているのか分からないのだが、この日は偶然ネコおばさんが運んで来た夕飯を食べに来ている時に出喰わしたので、6年振りにエルちゃんの写真を撮れた。相変わらず愛くるしいネコである。食事の後もその場を離れることなく、ネコと旧交を温めることが出来た。暫く見かけなかったネコの元気な姿に出会うほど嬉しいことはない。研究チームは「ネコが自分の名前を認識しているというよりは、エサの時間や遊ぶ時などに繰り返し名前を呼ばれてきた経験によるものではないか」と分析している。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第54集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ480匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第54集の常連ネコはソランちゃん。ガクやエルちゃんのように、久々に撮れたネコもあります。『ボヘミニャン・ラプソディ』(シンコーミュージック・エンタテイメント 2019)は映画「ボヘミアン・ラプソディ」に便乗した写真集。フレディ・マーキュリーとインスタグラムに投稿されたネコ写真で構成されています。膨大なフレディのポートレイトと同じようなインスタ・ネコ写真を見つけ出すのは結構大変な作業だったと想われます。子ネコ・パロディ・アルバム集「The Kitten Covers」にも似て、安直なアイディアのようでありながらも意外と愉しめます。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました

    • 画像周りをプチ・カスタマイズ。外枠を点線から実線に変更して、四隅を丸めました

    • 「呼んだ? 飼い猫 名前聞き分け 上智大チーム実験」(朝日新聞)から引用しました
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    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    • 編集人:西村 浩一
    • 出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 発売日:2019/04/25
    • メディア:単行本
    • 目次:フレディとねこのはなし / ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん / フレディとうたおう!フレディをまねよう!/ ねこのさくいん


    ねことはな(IWAGO'S BOOK 4)

    ねことはな(IWAGO'S BOOK 4)

    • 著者:岩合 光昭
    • 出版社:クレヴィス
    • 発売日:2018/05/28
    • メディア:単行本
    • 内容:動物写真家・岩合光昭は、ネコを撮りはじめた40年以上も前から、花とともにいるネコを数多く撮影してきました。花の中でうたたねをするネコ、花の中にひっそりと佇むネコ、花をパクッと食べるネコ‥‥。ネコと花は風が苦手と言い、日当たりの良い場所を好むからこそ、一緒にいることが普通なのかもしれません

    バンクシーの子猫

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  • KITTEN
    子猫

    「自分のウェブサイトに写真を掲載することで
    ガザでの破壊行為にスポットを当てたかったが、
    ネットユーザーは子猫の写真しか見ないからね」
    バンクシーのウェブサイトより、2015年

    2014年、イスラエル国防軍が、
    表向きはハマスのロケット攻撃に対抗するという理由で、
    「境界防衛作戦」を開始。
    その結果、ガザで2,104人が死亡。
    国連によると犠牲者の69%は一般市民だった。
    イスラエル側の死亡者は兵士が67人、市民が6人だった。
    バンクシーがこの絵を描いた壁は、
    攻撃で破壊された18,000軒の家屋のうちのひとつ。

    ザビエル・タピエス 『バンクシー ビジュアル・アーカイブ』

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    • 写真は2015年、バンクシー(Banksy)がイスラエルの空爆によって破壊されたパレスチナ・ガザ地区の家屋の外壁に描いた子猫の壁画です

    • 「LASTEST ARTICLES」 から〈バンクシーの子猫〉を記事として独立させました

    • バンクシー(Banksy)については〈覆面画家バンクシー〉を参照して下さい
                        *


    バンクシー ビジュアル・アーカイブ

    バンクシー ビジュアル・アーカイブ

    • 著者:ザビエル・タピエス(Xavier Tapies)/ 和田 侑子(訳)
    • 出版社:グラフィック社
    • 発売日:2018/07/09
    • メディア:単行本
    • 内容紹介:世界で最も知られたストリートアーティスト、バンクシーの作品をマップ付きで網羅。名作「Rage the Flower Thrower」から、2017年にパレスチナ自治区でオープンした「ウォールド・オフ・ホテル」、最新作「バスキア」までを網羅。コアなバンクシーファンはもちろん、入門者も必携


    Wall and Piece

    Wall and Piece

    • 著者: バンクシー(Banksy)/ 廣渡 太郎(訳)
    • 出版社:パルコ
    • 発売日:2011/07/07
    • メディア:単行本(ソフトカバー)
    • 内容紹介:イギリスのロンドンを拠点に活動する覆面芸術家バンクシー。ロンドンのテート・モダンや、ニューヨークのメトロポリタン美術館への無許可展示など、常にスキャンダラスなパフォーマンスで話題の人物。世界中の壁、橋、街の動物園など、あらゆるストリートの一角に、ウィットに富み、破壊力のあるグラフィティで彩りを与え...


    BANKSY IN NEW YORK

    BANKSY IN NEW YORK

    • 著者:レイ・モック(Ray Mock)/ 毛利 嘉孝 / 鈴木 沓子(訳)
    • 出版社:パルコ
    • 発売日:2016/01/30
    • メディア:単行本
    • 内容紹介:憂鬱な遊園地 “Dismaland" をイギリスにて開催し、世界中で物議を醸し出したバンクシー。彼のニューヨーク市中をハックした1ヶ月を追った全記録。撤去された作品も全て見られる完全ドキュメント

    メタボ・バッテリ

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    数年前から騙し騙し使っていたMacBook Pro(13-inch, Late 2011)のトラックパッドが硬くなって、クリックし難くなった。腱鞘炎になるくらいの力を指先に込めて押さないと反応しなくなってしまった。秋から冬になると幾分軽減するが、暖かくなると悪化するので発熱による症状だと分かる。「MacBook Pro バッテリ 膨張」で画像検索すると、半開きの蛤やハンバーガーを想わせる筐体や、枕やクッションのようにパンパンに膨らんだ黒いバッテリの画像が次々に表示される。アルミ製のボディが変形したり、トラックパッド部分が罅割れてしまったノートブックもある。内部のバッテリが膨張してトラックパッドを圧迫していることが原因だった。ノートブックやスマホなどに使われているバッテリ(リチウムイオン電池)の膨張〜劣化は避けられないそうで、MacBookは膨張しても爆発しないように設計されているという。アップル・サポートに電話すると、古いモデルなのでバッテリ交換には応じられないが、取り外すことは可能かもしれないとのことだった。

    その場でジーニアスバーに予約を入れてもらって、その日の午後「アップルストア渋谷」へ向かった。「ジーニアスバー」という名称には敷居の高いイメージもあったが、3階は自由工作教室という感じでフレンドリー。MacBookよりもiPhoneやiPadを持ち込んでいる人たちの方が多かった。予約時間前に着いたのに速やかな対応で、座って待つこと十数分でバッテリを外してもらえた。バッテリ交換は2万円(一部モデルは無償交換プログラムの対象になっている)と聞いていたので、数千円の出費は覚悟していたが、意外にも無料だった。電源プラグを抜いた瞬間にブラックアウトしてしまうけれど、iMacのようなデスクトップ・パソコンとして使用していたので殆ど支障はない。膨らんだバッテリを外したら、見違えるような美しい体型にダイエットした。筐体のガタつきは一切しないし、クリック音も小気味好い。CPUの処理速度が低下して、レスポンスが多少遅くなったことには目を瞑ろう。

  • MacBook Proのバッテリ膨張
    • 症状
      ● 膨張したバッテリがトラックパッドを圧迫してクリックし難くなくなる
      ● アルミ製のボディが変形して、液晶パネルを閉じた際に隙間が空く
      ● 筐体がガタつく

    • 対処法
      ● トラックパッドの代わりにマウスを使う
      ●「システム環境設定」でクリックをタップに変更する
      ● フルキーボード・アクセスで対応

    • バッテリの交換(アップルストア・ジーニアスバー)
      ● 一部モデルは無償交換プログラムの対象になっている
      ● 代替バッテリ(在庫)があれば有償交換してくれる
      ● バッテリを外すだけならば無料!

    • バッテリを外すメリット
      ● 発熱・膨張の心配がなくなる
      ● 冷却ファンが回らなくなる
      ● 軽量化

    • バッテリを外すデメリット
      ● 停電時やマグセーフ(電源アダプタ)が外れるとブラックアウトしてしまう
      ● CPUの処理速度が抑制されてレスポンスが遅くなる
      ● パネル部を開く際、キーボード部を押さえないと後方に倒れてしまう^^;

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    懸案の「メタボ・バッテリ問題」が拍子抜けするほど呆気なく解消したので、時間が余ってしまった。「アップルストア渋谷」から公園通りを昇って、久し振りに「EL SUR」に立ち寄ることにした。店内は閑散としている。所在なげな店主と会話を交わす機会を得た。スマホやノートブックのバッテリ膨張、アナログ・レコードの致命的な欠陥(外周から内周へ進むほど音質が劣化する)、Bjorkを聴いたことがないという店主にビックリすると、「あなただって、これは聴いたことがないでしょう」と差し出されたのは、Sikiru Ayinde BarristerのCD《Superiority》だった。年間ベスト10には入らなかったが、《New Fuji Garbage》(Globe Style 1991)は愛聴盤である。仏マルセイユの2人組ユニット、バハ・フレケンシア (Baja Frequencia)の猫ジャケ・アルバム2枚(Frank Zappa《Hot Rats》とゴジラのパロディ「猫コシラ」)をオーダーして、メキシコ系スイス人女性カロリーナ・カトゥン(Carolina Katun)のデビュー・アルバム《Al Silencio》(Jazzland 2018)を購入。

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    • ミニ記事〈バッテリの膨張〉のリミックス・ロング・ヴァージョンです^^;

    • 現行のMacBook Proはキーボードに難ありなので、もう少しバッテリなしで使いたい
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    Al Silencio

    Al Silencio

    • Artist: Carolina Katun, Teol
    • Label: Jazzland
    • Date: 2018/10/26
    • Media: Audio CD
    • Songs: Paloma Negra / Au fil de l'eau / El Currucha / La Llorona / Sea Song / Automne / Alfonsina y el Mar / Arenita Azul / Dos Cruces / When I'm Laid / Zamba / Al Silencio / Pajarillo Verde

    Apple 渋谷

    Apple 渋谷

    • 住所:150-0041 東京都渋谷区神南1-20-9 公園通りビル
    • TEL:03-6670-1800
    • 営業時間:月曜日~日曜日(10:00~21:00)
    • アクセス:Apple 渋谷は、渋谷区宇田川町、渋谷公園通りの西武渋谷店の向かい側にあります。最寄りの駐車場は、公園通り反対側の西武渋谷店モヴィーダ館地下、西武パーキングセンターです。公共交通機関をご利用の場合は、副都心線、半蔵門線、銀座線の渋谷駅が最寄駅となります

    New Fuji Garbage

    New Fuji Garbage

    • Artist: Chief Dr Sikuru Ayinde Barrister
    • Label: Globe Style
    • Date: 1991/05/07
    • Media: Audio CD
    • Songs: Refined Fuji Garbage / Fuji Worldwide

    B E S T A L B U M S 2 0 1 9(So Far)

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  • BEST ALBUMS 2019(So Far)

  • Jun.
    ◎ Ra(Estudio Monteverdi 2019)Andre Mehmari, Bernardo Maranhao, Alexandre Andres
    ◎ Schlagenheim(Rough Trade 2019)Black Midi
    ◎ Designer(4AD 2019)Aldous Harding
    ◎ Soliloquy(Barclay 2019)Lou Doillon
    ◎ Grid Of Points(Kranky 2018)Grouper
    ◎ Al Silencio(Jazzland 2018)Carolina Katun, Teol
    ◎ Tourist History(Kitsune 2010)Two Door Cinema Club
    ◎ Manos De Cielo(Independiente 2018)Milagros Majo
    ◎ Desvelando Mares(Hunnia 2018)Bianca Gismonti Trio
    ◎ Atras / Alem(Risco 2019)O Terno

    May
    ◎ Proto(4AD 2019)Holly Herndon
    ◎ Placeholder(Saddle Creek 2019)Hand Habits
    ◎ U.F.O.F(4AD 2019)Big Thief
    ◎ Mars Audiac Quintet(Duophonic 2019)Stereolab 2CD
    ◎ Transient Random-Noise Bursts With Announcements(Duophonic 2019)Stereolab 2CD
    ◎ Collectiu Encontros Occitans(Outro Brasil 2011)Silverio Pessoa

    Apr.
    ◎ Bulls And Roosters(Nettwerk 2017)Together Pangea
    ◎ Buoys(Domino 2019)Panda Bear
    ◎ Avente Delirio(Sterns 2019)Saulo Duarte
    ◎ Perlas & Conchas(Femina 2019)Femina
    ◎ The Golden Morning Breaks(Leaf 2005)Colleen
    ◎ Miss Universe(Ato 2019)Nilufer Yanya
    ◎ Sprained Ankle(6131 Records 2015)Julien Baker

    Mar.
    ◎ Beware Of The Dogs(Secretly Canadian 2019)Stella Donnelly
    ◎ When We All Fall Asleep, Where Do We Go?(Darkroom 2019)Billie Eilish
    ◎ Passaros(Mills 2018)Duo Gisbranco
    ◎ Psycho Tropical Berlin(Disque Pointu 2013)La Femme 2CD
    ◎ Psycho Tropical Berlin(Disque Pointu 2014)La Femme
    ◎ Casa(Norte 2006)Natalia Y La Forquetina
    ◎ Live At Massey Hall(Reprise 2007)Neil Young CD+DVD
    ◎ Los Angeles(Universal 2017)Rosalia
    ◎ Brol(Angele Vl 2018)Angele
    ◎ Switched On Volumes 1-3(Duophonic 2018)Stereolab 4CD
    ◎ Feel The Music(Anthology Recordings 2017)Paul Major

    Feb.
    ◎ Remind Me Tomorrow(JagJaguwar 2019)Sharon Van Etten
    ◎ Quiet Signs(City Slang 2019)Jessica Pratt
    ◎ Us(Terrible 2018)Empress Of
    ◎ Desastre Solar(Slap 2018)Laura Lavieri
    ◎ Un Corpo No Mundo(Pommelo 2017)Luedji Luna
    ◎ Sick Scenes(Wichita 2017)Los Campesinos!
    ◎ Wax Chattels(Captured Tracks/Flying 2018)Wax Chattels
    ◎ European Heartbreak(Heavenly 2018)Amber Arcades
    ◎ Losing(Sub Pop 2017)Bully

    Jan.
    ◎ Azul Moderno(Risco 2018)Luiza Lian
    ◎ Ok Ok Ok(Biscoito Fino 2018)Gilberto Gil
    ◎ Future Me Hates Me(Carpark 2018)The Beths
    ◎ Time(Brainfeeder 2018)Louis Cole
    ◎ Boygenius(Matador 2018)boygenius EP
    ◎ Laisse Ca Etre(Crammed Discs 2017)Aquaserge
    ◎ Ominda(Tratore 2018)Andre Abujamra
    ◎ Stranger In The Alps(Dead Oceans 2017)Phoebe Bridgers
    ◎ Working Class Woman(Ninja Tune 2018)Marie Davidson
    ◎ Devotion(Domino 2018)Tirzah

                        *
    • 2019年上半期(1〜6月)の「BEST ALBUMS 10」です^^

    • 2019年上半期に自腹で購入したアルバム(輸入CD)をリストアップしました
                        *


    Remind Me Tomorrow SOLILOQUY Quiet Signs Beware Of The Dogs When We All Fall Asleep, Where Do We Go? U.F.O.F. Proto Atras / Alem Schlagenheim Ra

    クリムトの猫

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  • 新しい芸術が理解できない人は、カリフラワーあたまの紳士だけじゃなかった。グスタフが、ウィーン大学からたのまれて、大ホールに3枚の大きな天井画を制作したときも、大問題になったんだよ。/ 注文は、大学で教えている3つの学科 ── 「哲学」 「医学」 「法学」 ── を絵であらわしてほしいということだった。けれども、できあがった作品をみて教授たちはひどくおこった。教授たちは、どうどうとして威厳のある人物像が描いてあるだろうと思っていたのに、グスタフが描いたのは、夢のような、ぼんやりとした空間にただよう裸の人物たち。人間の生や死、恐れ、愛、苦しみといった感情を描きだした絵だった。あまりに批判がきびしかったので、グスタフは作品をひきあげて、売ることにした。/ グスタフは、ウィンクしながらいった。「私にとって大事なのは、どれだけ多くの人が、私の絵を気に入ってくれたかではなく、だれが気にいってくれたかなのだ」ってね。僕がどう思ったか、気にしているのさ。
    ベレニーチェ・カパッティ 『クリムトと猫』


  • ▢ クリムト展 ウィーンと日本 1900(東京都美術館 2019)
  • 鬱陶しい梅雨の合間を縫って「クリムト展」に行って来た。半年前の「ムンク展」は悪夢のような長蛇の列(90分待ち!)だったが、今回は待つこと数分で呆気なく入場出来た。もちろん会場内は混雑している。同時代にウィーンで活動した画家の作品や影響を受けたという日本の美術品なども展示されていて、クリムト(Gustav Klimt 1862-1918)の油彩画は28点と意外に少ない。〈エミーリエ・フレーゲの肖像〉〈パラス・アテナ〉などの主要作品が同時期に六本木で開催されている「ウィーン・モダン展」(国立新美術館)と泣き別れになってしまったのは残念である。お得な共通チケットとか、一方の半券で他方の入場料を割引するとか、国立と都美術館の連携があっても良かったのではないかと思う。閉室(夜間開室日は午後8時)まで粘るつもりだったが、長袖を着ていたのに躰が冷え切っちゃったので早目に退室した。この日はマンガ家の羽海野チカ(@CHICAUMINO)さんが母親と観に来ていたようです。

    「クリムトとその家族」 「修業時代と劇場装飾」 「私生活」 「ウィーンと日本 1900」 「ウィーン分離派」 「風景画」 「肖像画」 「生命の円環」 ‥‥年代順に8セクションに分かれた展示構成。鑑賞者は地下1階から1、2階をエスカレータに乗って回廊する。白黒ネコを抱くクリムトの写真〈モーリッツ・ネーア〉に期待も高まるが、意外にもネコの絵は1点もなかった。バルデュスやレオノール・フィニなど、ネコ好きの画家は例外なくネコを数多く描いているのに、クリムトは被写体としてのネコには興味が全くなかったらしい。人物画の多くは女性たちで、展示されている絵画の中の動物は蛇や鳥(鳳凰?)、鶏、雌牛くらい。男性も修業時代の〈男性裸体像〉や肖像画、女性を抱擁する後姿としてしか描かれない。自画像も描かなかった。クリムトといえば黄金を鏤めた装飾的な文様に彩られた恍惚の表情や妖艶な笑みを浮かべる女性画で知られるが、弟エルンストの娘の横顔を描いた〈ヘレーネ・クリムトの肖像〉は可憐で無垢‥‥おかっぱ髪とダブダブの白いドレスも清楚で清純である。

    〈草叢の前の少女〉はルノワールを想わせる印象派風の肖像画。白いドレスを着たモデルはクリムトの子供(長男グスタフ・ウセディー)を産むことになるマリア・ウチッカーで、年齢は不明だが少女というよりも若い娘として描かれている。〈17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像〉はパステル画。モデルは30歳で早世した弟エルンストの妻ヘレーネの妹エミーリエで、クリムトの生涯の伴侶となった。木製の額縁に描かれた梅の花には日本美術の影響があるという。〈赤子(ゆりかご)〉は様々な模様と色彩の布地がパッチワークのように積み重ねられた山の上に嬰児が仰向けに寝ている晩年の油彩画。図録の表紙やチラシにも使われた「黄金様式」の代表作品の1つ〈ユディト I〉の前は混雑していて容易に近寄れない。祖国を救うためにアッシリアの敵将軍ホロフェルネスの寝首を掻いた未亡人ユディトは斬首した生首を右腕で支え、左の乳房を露わにして恍惚の表情を浮かべている。モローやビアズリーの〈サロメ〉と同じく、男たちを快楽と死へ誘う「ファム・ファタル」として描いている。

    〈ユディト I〉の右隣には縦長の〈ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)〉が架かっている。ブロンド髪の全裸女性が右手に持った丸い手鏡(ペロペロ・キャンディのようにも見える)を前方に向け、足元には青い蛇が這い回る。「真実」を擬人化した挑発的なヌード絵画の上部には《もしお前の行動とアートですべての人を喜ばせないなら、数少ない人を喜ばせよ。多くの人を喜ばせるのは悪いことだ》という18世紀のドイツ詩人シラーの言葉が引用されている。〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉のモデルはウィーン工房の熱烈な支援者の1人、オットー・プリマフェージの妻。モザイクやパッチワークを想わせる色鮮やかなドレスを纏い、背後の黄色い壁に空いたアーチ状の窓と床には花々が咲き乱れる。右上には鳳凰のような鳥も描かれている。〈女の三世代〉は女性の一生‥‥ 「幼年」 「青年」 「老年」 を同一画面で構成。女児を幸せそうに抱く母親の傍らに、左手で顔を覆って項垂れる瘦せこけた老女が立つ。装飾的な小さな円と薄汚れた壁や真っ黒い背景も母子と老女の対比を際立たせる。

    〈ベートーヴェン・フリーズ〉(1984年に制作された原寸大複製)は第14回分離派展でゼツェシオン館(分離派会館)の一室(コの字型の三面)を飾った全長34mを超える壁画。ベートーヴェンの第九をワーグナーの解釈で絵画化しているという。黄金の騎士がゴルゴン三姉妹やゴリラのような怪物テュホンを倒して楽園に辿り着く物語で、「幸福への願い」 「敵対する力」 「歓喜」 の三面から成る。ウィーン大学から依頼された大講堂の天井画は「不道徳で、醜悪な芸術」と酷評され、第18回分離派展に〈哲学〉〈医学〉〈法学〉が出品されたもののクリムトは制作を断念する。第二次世界大戦中、疎開先のインメンドルフ城の火災で焼失してしまい、残念ながら習作やモノクロ写真から想像するしかない。〈アッター湖畔のカンマー城 III〉は正方形のカンヴァスに描かれた風景画。オーストリア・ザルツカンマーグート地方のアッター湖は夏の避暑地で、緑の樹々と背後の黄色い壁と赤茶色の屋根が川面に映る奥行きのないモザイク画のように描かれている。

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  • ▢ クリムトへの招待(朝日新聞出版 2019)
  • 美術初心者向けムック・シリーズ「名画への招待」の10冊目。巻頭から 「きんをたくさん使った」 「世紀末のウィーンに生まれた」 「美しい女性ばかりを描いた」 「見えないものを抽象化しデザインした」 という大きな文字が躍る。最高傑作〈接吻〉の解説(千足伸行)。〈ユディト I〉〈エミーリエ・フレーゲの肖像〉〈アッター湖畔のカンマー城 III〉の一部分を原寸大で表示。代表作品30点を一挙掲載‥‥クリムトは生涯独身だったのに「14人の婚外子がいた」とか、恋人エミーリエ・フレーゲが自分の肖像画に描かれた青と緑色のドレスのデザイン(装飾的な文様)が気に入らず、競売に賭けてしまったという女性週刊誌のゴシップもどきのエピソードも紹介されている。現代風に矮小化すれば、「彼氏から贈られた高級ブランド品をヤフオクで売っ払っちゃった」みたいな話でしょう。当時のウィーン市立歴史博物館(現ウィーン・ミュージアム)が1908年の州の芸術購入予算の全額を注ぎ込んで落札したという逸話も凄いなぁ。

  • ▢ グスタフ・クリムトの世界(パイインターナショナル 2018)
  • クリムトの絵画、壁画、フリーズ、デッサンなど約230点を収録した超豪華作品集。表紙の〈水蛇 I〉と裏表紙の〈メーダ・プリマヴェージの肖像〉も黄金色の額で飾られて、分厚くズッシリと重い(388頁)。クリムトだけではなく、ウィーン工房の建築・家具・舞台・ガラス・陶器・金工・ジュエリー・ファッション・グラフィック(ポスター、本、ポスタカード)、ウィーン分離派のオスカー・ココシュカ、エゴン・シーレ、オットー・ワーグナーなど11人の作品も紹介されている。クリムトのイメージを古代クレタ島の怪物ミノタウロスに重ね、「世紀末ウィーンの黄金迷宮に棲む黒い雄牛のようなたくましい怪人であり、迷宮にうごめく幻影の美女たちを狩り、壁に迷宮画を描きつづけていく」と妄想する海野弘の解説は定説から逸れることもあるが、それはそれで興味深い。「ウィーンの文学カフェの党派と派閥」「クリムトとナチス」など10のテーマ(1頁コラム)や「クリムトのイコノロジーと文様」も面白い。クリムトの魅力は妖艶な女性の生々しさや毒々しさを衣裳や背景の装飾・幾何学的な文様が中和(半抽象化)して、和らげているところあるのではないかしら。

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  • グスタフ・クリムト(1862‐1918)は、19世紀末から、20世紀初めにかけて、オーストリアの首都ウィーンで活躍した有名な画家です。1897年、クリムトは伝統的な美術に反抗して、「ウィーン分離派(ゼツェッション)」 というグループを創立し、同じ時代のエゴン・シーレやココシュカなどとともに、ウィーンの世紀末美術の立役者になりました。そのころのウィーンでは、音楽家のマーラーやシェーンベルク、精神分析学者のフロイト、哲学者のヴィトゲンシュタインが活躍していました。クリムトは、「黄金のクリムト」 といわれるように、絵画のなかに金色をたくさん使い、きらびやかで装飾的な画面と官能的な女性のイメージを結びつけています。彼は56年の生涯を独身ですごしましたが、大の猫好きで、8匹もの猫を飼っていたといわれます。巻末の有名な写真でも、猫を大切そうに抱いた彼がうつっています。これは、愛猫がみたグスタフ・クリムトの人生を、華麗で美しいビジュアルイメージとともに愛情をこめてよみがえらせた絵本です。
    森田 義之「ウィーン世紀末の画家 グスタフ・クリムト」


  • ▢ クリムトと猫(西村書店 2005)ベレニーチェ・カパッティ / オクタヴィア・モナコ
  • 漱石の「吾輩」と同じように、グスタフ・クリムトの愛猫(僕)が主人の人生を語る絵本。オクタヴィア・モナコ(Octavia Monaco)の描く鮮やかな色彩や女性の衣服の装飾的な模様はクリムト調だが、人物やネコたちはレオノーラ・キャリントン風にデフォルメされている。アトリエの庭の咲く薔薇の世話をする。弟のエルンストと一緒に天井画を描く。床に散らばったデッサンの紙束の僕らがオシッコする。ゼツェション(分離派)というグループを結成して、丸屋根の会館を建てる。ウィーン大学に頼まれて大ホールの天井画3枚を制作。女友達のエミリエは妹のヘレーネたちと「フレーゲ姉妹の店」を経営していて、夏は彼女の家族とアッター湖畔へヴァカンスに出かける‥‥。《いつだったかな、クリムトはいった。「話された言葉も、書かれた言葉も、私にはなじまない。とくに、私の仕事や、私自身のことを、表現するにはなじまない」その日から僕は、いちばん古かぶ猫として、いつでもグスタフのあとをついてまわり、グスタフのことを語りつぐことにきめたのさ》と語る「クリムトの猫」は主人(享年55歳)よりも長生きしたらしい。

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    クリムト展 ウィーンと日本 1900

    クリムト展 ウィーンと日本 1900

    • アーティスト:グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)
    • 会場:東京都美術館
    • 会期:2019/04/23 - 07/10
    • 主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)/ 朝日新聞社 / TBS / ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
    • 展示構成:クリムトとその家族 / 修業時代と劇場装飾 / 私生活 / ウィーンと日本 1900 / ウィーン分離派 / 風景画 / 肖像画 / 生命の円環


    クリムトへの招待

    クリムトへの招待

    • 編集・執筆:民輪めぐみ / 江六前一郎 / 東原じゅり / 柳本元晴 / 戸澤幾子 / 古川萌 / ...
    • 出版社:朝日新聞出版
    • 発売日:2019/04/19
    • メディア:単行本
    • 目次:What's クリムト? / STAGE クリムトが生きた時代 600年以上続いた帝都はクリムトにチャンスを与え、勲章を授与した / Biorhythm 5分でわかるクリムト 画風の変化と55年の生涯 / ONE and ONLY クリムトの最高傑作 クリムトの最高傑作は、なぜ『接吻』なのか? / 図解 このように西洋絵画は変わっていく! / パーフェクト鑑賞講座(ユディト I ...


    グスタフ・クリムトの世界 女たちの黄金迷宮

    グスタフ・クリムトの世界 女たちの黄金迷宮

    • 著者:グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)/ 海野 弘(解説・監修)
    • 出版社:パイインターナショナル
    • 発売日:2018/07/19
    • メディア:単行本(ソフトカバー)
    • 目次:グスタフ・クリムト 黄金迷宮の狩人 / 世紀末ウィーン夢紀行 / クリムトの絵画世界黄金の女たちの陰に / クリムトをめぐる人々ウィーン分離派とウィーン工房

    芸術新潮 2019年 6月号

    芸術新潮 2019年 6月号

    • 特集:時を超えるクリムト
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:2019/05/25
    • メディア:雑誌
    • 内容紹介:稲垣五郎が語るクリムトとベートーヴェン、そして僕 / 腕利き職人から“クリムト"へ / 新たなる芸術をめぐる戦い / 輝け! クリムト・レディーたち / 絡み合う生と死、拮抗する色と闇 / 1862〜1896 新生ウィーンで大躍進! / 1897〜1905 ウィーン分離派を率いて / 1906〜1910 黄金様式の極みへ / 1911〜1918 道なかばの死 / 自画...

    クリムトと猫

    クリムトと猫

    • 著者:ベレニーチェ・カパッティ(Berenice Capatti)/ 森田 義之(訳)
    • イラスト:オクタヴィア・モナコ(Octavia Monaco)
    • 出版社:西村書店
    • 発売日:2005/03/01
    • メディア:大型本
    • 内容:愛猫がみたグスタフ・クリムトの人生を、華麗で美しいビジュアルイメージとともに愛情をこめてよみがえらせた絵本です。アンデルセン賞受賞

    スニーズ・ラブ 54

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  • ♭ 令和回文(2019-07-06)
  • 〈つなぐ夏〉(回文シリーズ55)は三冠に輝いた小説『屍人荘の殺人』(双葉社 2017)、『飛ぶ孔雀』(文藝春秋 2018)や「令和」、暴走車事故、通り魔など‥‥多くの時事ネタが含まれている。ところが投稿前日の最終チェックで「令和回文」に欠陥が見つかった。回文になっていなかったのだ。回文ストーリも書いてしまった後なので大幅な改変は難しい。最小限の修正で済めば良いけれど、始めから新しく作り直した方が早いこともある。そもそも回文としての出来も余り良くなかったので、改変することにした。孫が新元号考案者(祖父)の牛革入れ(財布)から小遣いを貰うという欠陥回文を娘が革入れを父親にプレゼントするというストーリに変えた。〈令和元年、ジジイ意地悪。麗しい医師、新年革入れ〉‥‥ネット上には娘さんが医学部に在学中という噂もあったが、プライヴェートな穿鑿は本意ではない。「回文と本文はフィクションです」と末尾に記載しているように、実在の娘さんが「女医」であるのかどうかはどうでも良いのだ。

  • ♭ 飛ぶ孔雀(2019-07-13)
  • 山尾悠子の『ラピスラズリ』(国書刊行会 2003)は秋の終わりから春にかけて冬眠する種族の盛衰を描く連作長編だったが、『飛ぶ孔雀』(文藝春秋 2018)は「飛ぶ孔雀」と「不燃性について」のニ部構成。火が燃え難くなったり、石が動いて成長する異世界の物語で、前編は川中島Q庭園の大園遊会(茶会)で「火を運ぶ娘」に選ばれたタエが芝の孔雀に、後編ではシビレ山の鶏冠のある大蛇になってしまう。登場人物はK、Q、L、G、H、Pなどのイニシャルで表記されるが、スワ(ン)、サワ、トワダ、セツ、フキエ、リツなどは「頭髪のない丸い頭の女たち」(レオノーラ・キャリントンやレメディオス・ヴァロの描く女性を想わせる)が大温室で興じるカード・ゲームで裏返されて別キャラになったりする。KやQを翻弄する正体不明女たちの如何わしさは「仮面物語」(1980)、正十角形の修練ホテルに出現する吹き抜けの空洞は「遠近法」(1978)の《腸詰宇宙》を髣髴させる(泉鏡花文学賞と日本SF大賞をW授賞する前の「1万字インタビュー」が読めます)。

  • ♭ ロスアプソン?(2019-07-20)
  • レオノール・ブーランジェ(Leonore Boulanger)の4thアルバム《Practice Chanter》(Le Saule 2019)を購入した。《Feigen Feigen》(2016)は国内盤がリリースされたので入手しやすかったが、新作は大手レコード・ショップにもアマゾンにも見当たらない。都内の輸入レコード店では「LOS APSON?」にしかなかった。「LOS APSON?」は1994年、西新宿のマンション一室にオープンした後、2011年に幡ヶ谷、2015年に高円寺に移転。高円寺駅南口から徒歩5分とはいえ、駅前の繁華街からは少し外れた場所にある路面の店舗。木張りの壁に横長の小さな窓があり、大きな?マーク(「LOS APSON?」のロゴ入り)とブランコに乗った謎のキャラが描かれている。左側の青いドアにも縦長窓があるけれど、店内が良く見通せないので、店舗の前を通りかかった人はレコード・ショップとは気づかないかも?‥‥後日ツイッターで知ったのだが、店主の入院による1週間の休業開けで、数日前に営業再開したばかりだった。ロスアプソンに相応しい「耳垂れ」アルバムである。

  • ルー・ドワイヨン(2019-07-27)
  • ジェーン・バーキン(Jane Birkin)の末娘ルー・ドワイヨン(Lou Doillon)は若い頃の母親に生き写しだが、長女シャーロット(Charlotte Gainsbourg)のような母親譲りのウィスパー系ヴォイスを期待すると一蹴される。女性ロッカー並みの凄みを秘めたヴォーカルなのだから。フレンチ・ポップスには不向きな声質だからなのか、3rdアルバム《Soliloquy》(Barclay 2019)もロック色が濃い。サウンドもハードではないけれどヘヴィ。重く暗鬱な色調の真ん中で、Cat Power(ハーモニカ、ピアノ)とデュエットした〈It's You〉が淡いアクセントになっている。映画「E.T.」を想わせる人差し指の交感の絵を描くPVやパステル・カラーに彩られたアルバム・カヴァのポーズ(左右の指を右肩の上で近づける)からも、この曲がアルバムを象徴していることは明らかである。演奏には参加していないが、全曲彼女の作詞(英語詞)・作曲、全12曲・40分。歌詞ブックレット(16頁)付き。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2019-07)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    つなぐ夏(回文シリーズ #55)

    つなぐ夏(回文シリーズ #55)

    • 管理人:sknys
    • 記事:852
    • 投稿日:2019/06/21
    • メディア:ブログ
    • 回文:南へ瞬き「マハラジャ白浜」来た浜辺美波 / 帰途「飛ぶ孔雀」葉書破棄? ‥‥河馬悔しく不届き / 溶き卵・葱・麦‥‥猫・マタギと / つながる春来る遙か夏 / 血溜まり躍る、斬る通り魔たち /「屍人荘」の女子不憫。ゾロゾロ、ゾンビ腐女子、農村、死屍 / 逆走・子虎と高速・山羊 / 令和元年、ジジイ意地悪。...


    飛ぶ孔雀

    飛ぶ孔雀

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:文藝春秋
    • 発売日:2018/05/10
    • メディア:単行本
    • 目次:飛ぶ孔雀(柳小橋界隈 / だいふく寺、桜、千手かんのん / ひがし山 / 三角点 / 火種屋 / 岩牡蠣、低温調理 / 飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 I / 飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 II)/ 不燃性について(移行 / 眠り / 受難 / 喫煙者たち / 頭骨ラボ / 井戸 / 窃盗 / 富籤 / 修練ホテル / 階段 /(偽)燈火 / 雲海 / 復路 I / 復路 II / 復路 III / 燈火)

    ラピスラズリ

    ラピスラズリ

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日: 2012/01/01
    • メディア:文庫(ちくま文庫)
    • 目次:銅版 / 閑日 / 竈の秋 / トビアス / 青金石 / 文庫版あとがき / 解説・千野 帽子

    増補 夢の遠近法: 初期作品選

    増補 夢の遠近法 初期作品選

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日: 2014/11/10
    • メディア:文庫(ちくま文庫)
    • 目次:夢の棲む街 / 月蝕 / ムーンゲイト / 遠近法 / パラス・アテネ / 童話・支那風小夜曲集 / 透明族に関するエスキス / 私はその男にハンザ街で出会った / 傳説 / 遠近法・補遺 / 月齢 / 眠れる美女 / 天使論 / 自作解説 / 文庫版あとがき / 初出一覧


    LOS APSON?

    LOS APSON?

    • 住所:〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-3-2 三光ビル1F
    • TEL:03-6337-1595
    • 営業時間:15:00~20:00
    • 定休日:毎週水曜日
    • アクセス:JR中央線高円寺駅南口より徒歩5分。東京メトロ丸ノ内線新高円寺駅より徒歩10分。


    Practice Chanter

    Practice Chanter

    • Artist: Leonore Boulanger
    • Label: Le Saule
    • Date: 2019/04/19
    • Media: MP3
    • Songs: Le nouveau / La transe de son prochain / Bruyant qu'Brillant / Demain machine / Poème Poème Teltruc sa puissance / Shakespeare le constata / L'eau dans l'eau / Chant tomodachi / Premier Orchestre / Rouler sa tête La montagne / Tout ce siècle qui reste / Gush bédé ba...

    Feigen Feigen

    Feigen Feigen

    • Artist: Leonore Boulanger
    • Label: Windbell
    • Date: 2016/10/05
    • Media: Audio CD
    • Songs: Bluette / Tornade / Tourner / Le Signal / Mon Tout / Les Questions / Minuit / Toquade / Shiva Gris / Blaues / Long Fredon / Grimper

    Soliloquy

    Soliloquy

    • Artist: Lou Doillon
    • label: Barcly
    • Date: 2019/02/19
    • Media: Audio CD
    • Date: 2019/02/19
    • Songs: Brother / The Joke / All These Nights / Last Time / Too Much / It's You / Burn / Flirt / Nothings / Soliloquy / Widows / Snowed In

    Places

    Places

    • Artist: Lou Doillon
    • Label: Barclay
    • Date: 2012/09/25
    • Media: Audio CD
    • Songs: ICU / Devil Or Angel / One Day After Another / Defiant / Same Old Game / Jealousy / Make A Sound / Hushaby / Questions And Answers / Places / Real Smart

    Lay Low

    Lay Low

    • Artist: Lou Doillon
    • Label: Barclay
    • Date: 2015/10/09
    • Media: Audio CD
    • Songs: Left Behind / Above My Head / Where To Start / Nothing Left / Lay Low / Weekender Baby / Let Me Go / Good Man / Worth Saying / Robin Miller / So Still

    アニマル・ファーム

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  • すべてが終わると、残った動物たちはブタとイヌたち以外、一団となってひっそりとそこを立ち去りました。みんな震撼して惨めでした。どっちのほうが衝撃的だったかもわかりません──スノーボールに肩入れした動物たちの裏切りか、それともいま目撃した残虐な懲罰か、かつての時代も、同じくらいひどい流血の場面はありましたが、それが自分たち同士で行なわれているとなると、はるかにひどいものだとだれもが感じていたのです。ジョーンズが農場を去ってから今日に至るまで、動物が他の動物を殺したことはありませんでした。ネズミさえも殺されてはいません。みんな、半分完成した風車の立つ小さな丘へと向かいました。そして一斉に、まるで身を寄せ合って暖を取るかのように、みんな横になりました──クローバー、ミュリエル、ベンジャミン、ウシたち、ヒツジたち、ガチョウやニワトリみんなの群れ──まさに全員です。ただしナポレオンが動物たちに招集をかける直前に突然姿を消したネコだけは別でした。
    ジョージ・オーウェル 『動物農場』


  • 60年代後半から70年代初頭の「少年マガジン」は「巨人の星」と「あしたのジョー」という2枚看板の長期連載で読者年齢も上がり、今では考えられないほどに青年誌化していた。サキ原作の短篇を7人のマンガ家(真崎・守、松本零士、辰巳ヨシヒロ、上村一夫、川本コオなど)が競作するシリーズ「異色作家サキ短編」(1970)、6人のマンガ家(上村一夫、川本コオ、真崎・守、旭丘光志、辰巳ヨシヒロ、松本零士)による「短篇オリジナル・シリーズ」(1970)、永井豪、川本コオ、石森章太郎、山上たつひこ、松本零士の5人がSF小説(原作)とオリジナルの2作品で競うシリーズ「未来がまつ落し穴」(1971)など、意欲的な企画が続いた。ジョージ・オーウェルの風刺寓話「動物農場」(1945)を原作とする「アニマル・ファーム」(1970)も、この潮流に乗るもので、同誌に4週(8月23日第35~9月13日第38号)連載された。石森章太郎は小松左京のホラー短篇「くだんのはは」(1968)も劇画化(別冊少年マガジン 1970)している。

    荘園農場(MANOR FARM)の農主ジョウンズが夜中に酔っ払って帰宅する。寝室で鼾をかいている妻のベッドに潜り込む。主人が眠った後、農場の大納屋に動物たちが集合した。老ブタのメイジャーが同志諸君に演説する。動物たちを家畜として冷酷無残に奴隷化して屠殺する人間たちに反乱を起こすように檄を飛ばす。老メイジャーの見た夢‥‥人間が姿を消した未来で、動物たちが歌っていた「アースランドの動物」を大合唱する。彼らの歌声に目を覚ましたジョウンズが驚いて猟銃を発砲すると、流れ弾がメイジャーに命中して死亡してしまう(原作では射殺されたのではなく、3日後に寝たまま平和に死を迎える)。昼寝をしているジョウンズ、街へ遊びに行った作男たちの隙を突いて動物たちが暴動を起こす。ジョウンズ夫婦と帰って来た農夫たちを農場から追い出して呆気なく勝利する。「動物農場」の3匹のブタ、同志スノウボール、ナポレオン、フィクサーは「動物主義」の7カ条を掲げた。

  • 七戒
    • 二本足で立つものはすべて敵である。
    • 四本足で歩くもの もしくは翼や尻尾をもつものは すべて味方である。
    • いかなる動物も衣服を身につけるべからず。
    • いかなる動物もベッドに寝るべからず。
    • いかなる動物もアルコールを飲むべからず。
    • いかなる動物も他の動物を殺すべからず。
    • すべての動物は平等である。

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    「動物農場」は「動物共和国」として独立した。ブタたちが牝牛の乳を搾り、動物たちが牧草の刈り入れをする。酒場「Red Lion」では農場から追い出されたジョウンズが農夫仲間に愚痴を零していた。果樹園の裏手にある小さな放牧場を引退した同志の養老施設にしたいと思うスノウボールとリクリエーション・センターにしたいと考えるナポレオンとで意見が対立する。乳牛から搾ったミルクと果樹園から穫ったリンゴをブタたちが食しているという批判にフィクサーは牛乳とリンゴは頭脳労働者たるブタの健康保持に欠かせない特質を含んでいると詭弁を弄す。ブタが責務を遂行出来なくなった場合にはジョウンズが戻って来ると脅す。武器を持ったジョウンズたちが農場を襲撃するが、スノウボールの作戦によって「ウシ小屋の戦役」に勝利した。「風車建設計画案」に反対するナポレオンは手下のイヌたちに襲わせて、提案者のスノウボールを追放する。日曜日の集会廃止、同志ナポレオンへの忠誠と服従、そして風車の建設‥‥ナポレオンが提唱していた風車の設計図をスノウボールが盗み出したのだとフィクサーが言葉巧みに動物たちを言い包める。

    ナポレオンは干し草一山と小麦の収穫の一部、鶏卵週400個を売り渡す契約を二本足の人間と結ぶ。風車の建設費用や農場経営のために現金が必要になったからだ。ところが暴風雨が吹き荒れ、稲妻が光る嵐の夜に建設中の風車が崩壊してしまう。ナポレオンはスノウボールの仕業に違いないと断じ(最近発見された秘密文書によって、スノウボールはジョウンズと通じていたことが判明したとフィクサーが説明する)、動物たちに風車の再建を促す。農場主ピンチフィールドとの取り引きを止め、より高い値で収穫物を引き取ってくれるフォックスウッドに乗り換える。悪辣な交渉術で大金を得たブタたちはビールを飲み、ナポレオンは牝ブタを侍らせベッドを共にする。ブタたちの酒池肉林を窓の外から目撃したネコは動物たちに密告する。「七戒」に違反しているのではないかと疑った動物たちが翌朝見に行くと、いつの間にか書き変えられていた。ネコはナポレオンのイヌたちに咬み殺される。彼女はスノウボールのスパイだったとフィクサーが動物たちに明かす。

  • 七戒
    • 二本足で立つものの一部はすべて敵である。
    • 四本足で歩くもの もしくは翼をもつもののほとんどは味方である。
    • いかなる動物も必要以上の衣服を身につけるべからず。
    • いかなる動物もシーツをかけたベッドに寝るべからず。
    • いかなる動物も過度にアルコールを飲むべからず。
    • いかなる動物も他の善良な動物を殺すべからず。
    • すべての動物は平等である。しかしある動物は他の動物より平等である。

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    取り引きを止められた腹いせにピンチフィールドたちが動物農場を襲撃して、完成間近の風車を爆破した。怒り狂った牡馬ボクサーが人間たちを蹴散らして追い払う。度重なる重労働や人間たちとの戦いで疲弊したボクサーは納屋で静養していた。見舞いに来た老ロバのベンジャミンに、一連の「スノウボール犯行説」を疑っていると話す。ボクサーに総統・同志ナポレオンの命令で、動物たち全員が中庭に招集される。手下のイヌたちがブタ、ヒツジ、ニワトリ、ヤギ、ガチョウなどの「裏切り者たち」を咬み殺す。あろうことかボクサーにも襲いかかった。イヌたちを一蹴したものの、ボクサーは過労から生じた病で倒れてしまう。そしてフィクサーの手配した箱馬車で病院へ運ばれる。馬車の後部には「アルフレッド・シモンズ馬匹屠殺にかわ製造業 / ウイリントン皮革・骨粉商」と書かれていた。農主フォックスウッドとビールを飲み交わすブタたち。背広を着込んで、葉巻を咥えたナポレオンの顔は黒ブタから醜悪な人間へと変貌して行くのだった。

  • 原作『動物農場』
  • 「1984年」 で管理社会の恐ろしさを、「カタロニア讃歌」 で反ファシズムの理想と現実を描いたジョージ・オーウェルが、旧ソ連のスターリン体制を動物たちの革命劇にたとえ寓話的に描いたのが 「動物農場」 です。現在でも全体主義を風刺する作品として世界中で広く読まれています。
  • 1970年の少年マガジンに連載
  • 「アニマル・ファーム」 が連載された1970年の週刊少年マガジンでは横尾忠則が表紙構成を務め、ちばてつや / 高森朝雄 「あしたのジョー」、川崎のぼる / 梶原一騎 「巨人の星」 、ジョージ秋山 「アシュラ」、山上たつひこ 「光る風」、谷岡ヤスジ 「メッタメタガキ道講座」、影丸譲也 / 真樹日佐夫 「ワル」 などが連載されていました。上村一夫、辰巳ヨシヒロ、真崎守らの作品も掲載されています。時代の空気を切り取った、まさに伝説ともいえる季節でした。
  • ちくま文庫版『アニマル・ファーム』


  •                     *
    • 「石ノ森章太郎萬画大全集 12-19」(角川書店 2008)をテクストに使いました

    • 石ノ森版のネコは殺されたけれど、原作では粛清されずに生き延びたようです^^;

    • コミック版では農主ピルキントンとフレデリックがフォックスウッドとピンチフィールド(農場名)に、同志スクウィーラーもフィクサーという名前に変えられています

    • 「すべての動物は平等である。だが一部の動物は他よりもっと平等である」(新訳版)
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    アニマル・ファーム ── 石ノ森章太郎萬画大全集 12-19

    アニマル・ファーム ── 石ノ森章太郎萬画大全集 12-19

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/11/28
    • メディア:コミック
    • 目次:大演説 / 反乱 / 動物共和国 / 反撃 / ウシ小屋戦役 / 風車計画案 / 春 そして夏 / 秋 そして冬 / 生と死と‥‥/ 世はなべて こともなし / 扉絵コレクション


    アニマル・ファーム

    アニマル・ファーム

    • 著者:石ノ森 章太郎
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日:2018/11/09
    • メディア:文庫(ちくま文庫)
    • 目次:アニマル・ファーム(原作 ジョージ・オーウェル)/ くだんのはは(原作 小松 左京)/ カラーン・コローン / 解説・中条 省平


    動物農場〔新訳版〕

    動物農場〔新訳版〕

    • 著者:ジョージ・オーウェル(George Orwell)/ 山形 浩生(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2017/01/07
    • メディア:文庫(ハヤカワepi文庫)
    • 目次:動物農場 / 報道の自由:『動物農場』序文案 /『動物農場』ウクライナ語版への序文 / 訳者あとがき
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