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F A V O R I T E ー C A T S 1 4

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Elle 2019
「人間は約9500年前にネコを飼い始めたとされ、現在世界中で6億匹が一緒に暮らしている」‥‥J智大研究チームの実験によると「飼い猫は人間の言葉の中から自分の名前を聞き分けている」(朝日新聞 2019・4・5)という。中央図書館裏の遊歩道にいる長毛種のロン(仮名)ちゃんは名前を呼ぶと必ず駆けて寄って来るのに、少し離れたところに暮らすエルちゃんは知らんぷり。そもそも何という名前で呼ばれているのか分からないのだが...#486


Hun 2019
茶トラのレイや三毛のマープルの暮らしている地域に新入りネコが加わった。黒白のハチ割れネコちゃんは小柄なのに血気盛んで勇ましい。写真を撮ろうとして近づくと、足早に逃げて行く。そのまま尻尾を巻いて去って行く小心者なのかと高を括っていたら、急に引き返して来た。何とネコパンチを一発喰らわしに戻って来たのだ。捨てゼリフならぬ、捨てパンチである。「ネコ通り魔」と称すべきかもしれない。ところがネコの鍵爪が手の甲に...#484


Bal 2019
シャッター音にもビクッと躰を震わせるほど敏感でセンシブルなバルちゃん。何度も通っているので顔を覚えてくれたのか、近寄って来て躰を撫でさせてくれるようになった。同じように逃げ回っていたチビ三毛も先日初めて擦り寄って来て、ブロガーの足に頭をスリスリするではないか。やっと馴れてくれたのかと感慨一入だったが、一番興味を惹かれるのはネコがヒトに対した時の態度‥‥その場に留まるのか、逃げ去るのか、近寄るのかの判断を一...#482


Soran 2019
お気に入りのネコ・カレンダーを作るとしたら、黒ネコのソラン、長毛種のロン、白茶のソン、茶トラのレイ、三毛ネコのアン、スコティッシュ・フォールドのミス‥‥などの常連ネコたちが12カ月を飾るでしょう。春は桜、夏は海、秋は紅葉、冬は雪‥‥という風に四季の移ろいを反映させたいけれど、季節感の乏しい都会では難しい。どの月にどのネコ写真が入るかは未定ですが、5月だけはサバトラのサツキ(皐月)ちゃんに決まっています。...#479


Gaku 2019
ガングロ・サビネコのガクちゃんはタクシー運転手の飼っていたネコだった。大柄で大人しい性格で、近づいても逃げ去ったりしない。被写体としては理想的なネコだった。最近見かけなくなったなぁと気に懸けていたら、裏手のアパートに住んでいた「運転手がネコを置いて引っ越してしまったので、今は私が室内で飼っている」と民家の女性が話してくれた。座敷ネコになったので、滅多に外に出ることはない。もう撮る機会はないのかと残念に思...#478


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写真集 ねことじいちゃん

写真集 ねことじいちゃん

  • 著者:岩合 光昭
  • 出版社:クレヴィス
  • 発売日:2018/12/18
  • メディア:単行本(ソフトカバー)
  • 内容紹介:動物写真家・岩合光昭の初監督映画「ねことじいちゃん」の写真集が出来ました。 本作は、監督・岩合光昭が撮りおろしたスチールフォトを掲載。 映画をご覧になっていない方も楽しめる内容となっており、 「ねことじいちゃん」が暮らす島を巡るような、写真集「ねことじいちゃん」の世界観をお楽しみ下さい

モーの一族

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  • 「ポーの一族」のきっかけは、ある日「マントを翻した吸血鬼の少年が丘の上に立っている」というイメージがわいてきたこと。そこから少しずつ、お話を考えていったんです。その頃、「コスチュームの歴史」という大きな洋書をいただいたんですね。クラシカルで素敵な衣装がたくさん載っている本を眺めていたら、「バンパネラ(吸血鬼)は年をとらないので、いろいろな時代のコスチュームを描けたら楽しいだろうな」と思って。実は私、今でもホラーやオバケ系のものは本当に苦手なんです。ただ石ノ森章太郎先生に「きりとばらとほしと」(下線引用者)という吸血鬼を主人公にしたきれいな作品があったので、怖くない吸血鬼のお話なら描けるかもしれない、と。「ポーの一族」に関しては、エドガーとアランのキャラクターがよく立ち上がってくれているので、お話を考えるのは楽なんです。2人を公園や学校に連れて行くと、勝手に動いてくれますから。バンパネラ、異端者として存在している主人公の物語なので、もし2人がどこかの人間の少年だったら、立ち上がる風景も違うものになってくるでしょう。
    「萩尾望都さんインタヴュー」(朝日新聞 2019・7・23)


  • ▢ 萩尾望都 ポーの一族展(松屋銀座8階 イベントスクエア 2019)
  • 猛暑の8月某日、貧血状態のバンパネラのようにフラフラと会場へ向かう。銀座通りは歩行者天国になっていて、「ゆかたで銀ぶら」の男女もチラホラと‥‥車道には氷柱もあった。「クリムト展」で「ポーの一族展」のチラシを入手したので、割引料金(¥900)で入場。エントランス右には清水玲子から贈られた花が飾られていた。風に揺れる白いレースのカーテンに原作の絵(1コマ)がスライドショーのように映し出され、床にはアーチ型の窓とエドガーの影が落ちている‥‥「ポーの一族」(1972)のラストで、エドガーがアランを誘う有名なシーンの再現である(冷たい風は涼しくて心地良いけれど、風の音が煩い)。カラー原画中心だった「萩尾望都原画展」(西武ギャラリー 2009)や「萩尾望都SF原画展」(吉祥寺美術館 2016)に較べると、モノクロ原画が多い。左から右へ進む順路では見開き2頁で展示されている原画を逆に観て行くことになってしまう。

    「I ポーの一族の世界」は「別冊少女コミック」(1972-76)に掲載・連載された全15エピソード、「すきとおった銀の髪」「ポーの村」「グレンスミスの日記」「ポーの一族」「メリーベルと銀のばら」「小鳥の巣」「エヴァンズの遺書」「ペニー・レイン」「はるかな国の花や小鳥」(「週刊少女コミック」(1975)に掲載)、「リデル・森の中」「ランプトンは語る」「ピカデリー7時」「ホームズの帽子」「一週間」「エディス」の原画(一部・抜粋)を発表順に展示。ところどころに切り貼りやホワイト修整もあるけれど、とても綺麗で瑞々しい生原稿である。ガラスケースに収まった「予告カット」「扉カット」などの小物には直筆で「返却希望」と書いてある。作者の絵に対する愛着・愛情が感じられる一方、もし希望しなかったら、今日まで編集部に保存されていたのだろうかという疑問も湧く。「II 宝塚歌劇の世界」には全く興味がないのでスルー‥‥「ポーの一族」の公演で着用された衣裳は撮影可だった。

    「III トーマの心臓の世界」には「トーマの心臓」(1974)の原型となった短篇「11月のギムナジウム」(1971)、絵日記風に描かれたエーリク視点の後日譚「湖畔にて」(1976) 、オスカー・ライザーの子供時代を描いた「訪問者」(1980)、なぜか「残酷な神が支配する」(1992-2001)も展示されていた。「トーマの心臓」は「萩尾望都原画展」で観たことがあるけれど、「ポーの一族」と並ぶ代表作が本展に並列されているのは意義深い。今回は読者プレゼントの貴重な「扉イラスト」8点も当選者からの好意で展示されている。1点ものの「原画」を愛読者にプレゼントするなんて今では考えられないこと。人間国宝級の萩尾望都ならば尚更である。会場内は大混雑している。男女比は1:9にも満たず、圧倒的にオバさん度が高い(出来れば少女の頃にお会いしたかった)。年齢差のある2人連れは母と娘らしい。親子2世代の萩尾望都ファンなのでしょう。詳しい方がストーリを説明しながら見て回ったり、「訪問者」の前で泣いている女性もいました。

    「IV 萩尾望都の世界」には高校3年生の頃に描いた「闇の中」、デビュー作「ルルとルミ」「ケーキケーキケーキ」「精霊狩り」「キャベツ畑の遺産相続人」「11人いる!」「メッシュ」「とってもしあわせモトちゃん」「ゴールデンライラック」「この娘うります!」「スター・レッド」「銀の三角」「A−A'」「4/4カトルカース」「X+Y」「半神」「マージナル」「イグアナの娘」「バルバラ異界」「スフィンクス」「なのはな」「王妃マルゴ」と年代順に主要作品が並ぶ。ガラスケースの中には花郁悠紀子・波津彬子姉妹に贈ったイラスト(メリーベルやメッシュなど6点)も特別公開されていた。最終コーナーには「ポーの一族」の新シリーズ「春の夢」「ユニコーン」、描き下ろしカラー原画「バラのロンド」もある。会場で流れている「ヴィデオ・インタヴュー」で、「ポーの一族」を連載させてもらえないので、短篇として3作掲載されたところでバレてしまった。キャラクターが一緒ですから(笑)‥‥と、47年前のことを昨日のことのように話すモーさまが菩薩に見えて来た。

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  • ▢ ポーの一族 春の夢(小学館 2017)萩尾 望都
  • 2016年、月刊フラワーズ7月号に第1話が掲載されて大反響を呼び起こした「ポーの一族」40年ぶりの最新作。1944年1月、ロンドンからウェールズ地方アングルーシー島の赤い家に移り住んだエドガーとアランはドイツ人の姉弟ブランカとノアに出会う。エドガーに好意を寄せるブランカ。去年の夏、リヴァプールから来たオットマー家。体を壊して療養中の主人ダン・オットマー、妹のベス、ドーバーで従軍看護婦をしている妻ザブリナ、ブランカとノア(ザブリナの妹ヨハンナの子供)、ブランカの従姉マージ、祖母、車夫アシュトン‥‥。眠りに入ったアランを気遣ったエドガーは1925年のパリ万博で出遭った女装趣味の同族ファルカを呼び寄せる。オットマー家の男たちは代々原因不明の不眠症に罹って発病し、40代で死んでしまう。大老ポー、クロエ、シルバー、サルヴァトーレなど、バンパネラ一族も登場する予想外の展開に血湧き肉躍る。不老不死は「バルバラ異界」でも主要テーマの1つだった。周到に張り巡らされた伏線、繊細な心理描写、凝縮された濃密なストーリ展開など‥‥少女マンガ本来の醍醐味が堪能出来る。

  • ▢ ポーの一族 ユニコーン(小学館 2019)萩尾 望都
  • ブランカを仲間に引き入れた「春の夢」は新たな序章という感じだったが、「ユニコーン」は最終話「エディス」(1976)に直結するエピソードである。2016年、ドイツ・ミュンヘンでファルカはエドガーと会う。1976年、ロンドン古物商の火災で消息を絶ったエドガーは "グールの丘" の地下墓地にある崩れた洞窟の中で眠っていた。怪物(グール)として目覚めた彼はアランの亡骸を抱きしめていた。アーサーの許で回復したエドガーがファルカに会いに来た目的はトランクの中のアランを元の姿に戻すことだった。マリエン広場のカフェで話す2人に辻音楽仲間のダイモンが現われる。ファルカはダイモンを怖れるが、エドガーは惹かれる。「わたしに触れるな」でダイモン、「ホフマンの舟歌」(1958)でミューズ、「バリー・ツイストが逃げた」(1975)でバリーと名乗り、「カタコンベ」(1963)で本名が明かされる、ポーの村から追放された男が「ユニコーン」の主人公である。バリーはアランを復活させられるのか、ポーの村の薔薇畑の地下に拘束された兄フォンティーンは救出されるのか、天敵大老ポーとの全面対決は?‥‥など興味は尽きない。

  • ▢ 少女マンガ講義録(新潮社 2018)萩尾 望都・矢内 裕子
  • 2009年にイタリアのナポリ東洋大学、ボローニャ大学、ローマの日本文化会館で行なわれた萩尾望都の講演会&インタヴュー集。「イタリアでの少女マンガ講義録」では「リボンの騎士」から「大奥」までの少女マンガ史を語り、「半神」「柳の木」「ローマへの道」「イグアナの娘」を例に挙げて自作解説して、イタリア人聴講者と質疑応答する。「少女マンガの魅力を語る」では日本の読者向けに矢内裕子のインタヴューに応える。描くペースやコマ割り、短篇と長編の違いなど、創作法についても詳しく語っている。2017年初夏に行なわれたインタヴュー「自作を語る」では3・11後の「なのはな」「王妃マルゴ」「AWAY」「春の夢」について‥‥「なのはな」や放射性物質3部作を描くことで「自分の精神が保たれた」こと、「ポーの一族」の新作が16頁の番外編として構想されたことなど、興味深い話が聞ける。ジョルジョ・アミトラーノ(Giorgio Amitrano)の「重力のない世界に存在しているような感覚」という指摘も言い当て妙である。

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  • ▢ 芸術新潮7月号(新潮社 2019)
  • 「画業50周年記念大特集 萩尾望都」。サブタイトルに「少女マンガの神が語る、作画のひみつ」とあるように、エドガーとアランの描き下ろし表紙、「オール原画!至福の名作劇場」「アトリエ訪問」、自選年譜「モーさま選り抜きライフ・ストーリー」、「クロッキー帳はイメージの宝石箱」、小野不由美の特別寄稿「神域」、「70's、80's、90's、2000's〜年代別に見る画風の変遷」「タイプ別キャラクター名鑑」、「いにしえの皇女に思いをはせて」抄録『斎王夢語』、「モーさま、ロンドンをゆく」など。「『少女マンガ』の向こうへ‥‥」 と題された特別インタヴューでは、葛飾北斎やピカソ、トーマス・ロレンスの「ランプトンの肖像」やフランツ・アントン・マウルベルチュの「囚われた処女」など「ポーの一族」や「メッシュ」に登場した絵画、コマ割りなどの作画術、植物・風・窓・階段など、お気に入りのモティーフ、アラン・阿修羅王・由良・オスカーなどのキャラクター、東日本大震災〜原発事故後の「グローバル化とマンガの未来」について語っている。

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    萩尾望都 ポーの一族展

    萩尾望都 ポーの一族展

    • 会場:松屋銀座 8階 イベントスクエア
    • 会期:2019/07/25 - 08/06
    • 主催:朝日新聞社
    • メディア:コミック(原画)
    • 展示構成:ポーの一族の世界 / トーマの心臓の世界 / 宝塚歌劇の世界 / 萩尾望都の世界


    ポーの一族(上・下巻セット)

    ポーの一族(上・下巻セット)

    • 著者:萩尾 望都
    • 出版社:小学館
    • 発売日:2019/02/26
    • メディア:コミック(プレミアムエディション)
    • 目次:ポーの一族 / すきとおった銀の髪 / ポーの村 / グレンスミスの日記 / メリーベルと銀のばら / ペニーレイン / リデル森の中 / はるかな国の花や小鳥 / 一週間 / 小鳥の巣 / エヴァンスの遺書 / ランプトンは語る / ピカデリー7時 / ホームズの帽子 / エディス / イラストギャラリー /「ポーの一族」年表


    ポーの一族 春の夢

    ポーの一族 春の夢

    • 著者:萩尾 望都
    • 出版社:小学館
    • 発売日:2017/07/10
    • メディア:コミック(フラワーコミックススペシャル)
    • 内容:永遠の時を生きるバンパネラ(吸血鬼)であるエドガーとアランは、1940年代戦火のヨーロッパ、イギリス郊外でナチスドイツから逃れてきたドイツ人姉弟と出逢う‥‥そして、その出逢いが新たな運命の歯車をまわす


    ポーの一族 ユニコーン

    ポーの一族 ユニコーン

    • 著者:萩尾 望都
    • 出版社:小学館
    • 発売日:2019/07/10
    • メディア:コミック(フラワーコミックススペシャル)
    • 目次:わたしに触れるな / ホフマンの舟歌[前編]/ ホフマンの舟歌[後編]/ バリー・ツイストが逃げた / カタコンベ


    私の少女マンガ講義

    私の少女マンガ講義

    • 著者:萩尾 望都 / 矢内 裕子
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:2018/03/30
    • メディア:単行本
    • 目次:イタリアでの少女マンガ講義録 / 少女マンガの魅力を語る / 自作を語る


    芸術新潮 2019年 7月号

    芸術新潮 2019年 7月号

    • 大特集:画業50周年記念 萩尾望都 少女マンガの神が語る、作画のひみつ
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:2019/06/25
    • メディア:雑誌
    • 目次:アトリエ訪問 / クロッキー帳はイメージの宝石箱 /「少女マンガ」の向こうへ‥‥ / 軽やかに、しなやかに進化し続ける人 / タイプ別キャラクター名鑑 / いにしえの皇女に思いをはせて / モーさま、ロンドンをゆく / 小野 不由美「神域」/ ...

    スペシャル・スキン

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    「スキン・スイッチャー」で色調を5色(赤・灰・緑・青・紫)に変更出来るようにカスタマイズしているが、これだけでは面白くない。記事限定の「スペシャル・スキン」を作ってみたことがある。変更方法は「テンプレート管理」にあるCSS編集のカラー指定を任意の色に変えて、直接ブログ記事内に追記するだけ。記事内のCSSの方が優先されるので、簡単に変えられる(もちろんカラーだけではなく、全く別のスキンに変更することも可能)。〈ハロー・ウィーン〉はハロウィン仕様のパンプキン・カラー、〈月の時計のAlice〉はヴァレンタインのチョコレート色、〈メレットの夢魔(1998)〉はブラック、〈クリムトの猫〉はゴールド・スキンにしてみた。一番苦労したのは意外にもブラック・スキンだった。通常のモノクロ・カラーの黒と白を「反転」させるだけではないかと思われるかもしれないが、黒地に白抜き文字への改変は難しい。〈クリムトの猫〉を作った際に、過去3種の「スペシャル・スキン」も若干手直ししました。

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    • 「スペシャル・スキン」は「スキン・スイッチャー」で通常スキンに戻せます^^;
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    Encore(Deluxe Edition)

    Encore(Deluxe Edition)

    • Artist: The Specials
    • Label: Universal
    • Date: 2019/02/19
    • Media: Audio CD(2CD)
    • Songs: Black Skin Blue Eyed Boys / B.L.M. / Vote For Me / The Lunatics / Breaking Point / Blam Blam Fever / 10 Commandments / Embarrassed By You / The Life And Times (Of A Man Called Depression) / We Sell Hope / Gangsters / A Message To You, Rudy / ...

    真夏のアルバム 2019

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  • ◎ Proto(4AD)Holly Herndon
  • 米テネシー生まれの作曲家、ミュージシャン、アーティストのホリー・ハーンダン(Holly Herndon)は3rdアルバムでMat Dryhurst、Jules LaPlaceと共同開発した人工知能(AI)とコラボしている。「赤ちゃん」スポーン(Spawn)と名付けられたAIが学習〜成長する過程で、彼女自らが歌い、演奏するようになったという。アルバム・タイトルの「Proto」は「プロトコル」(Protocol)から採られている。「人間のアンサンブルで作業することを選ぶのは私たちのプロトコルの一部です。人間が舞台裏で自動化される世界に住みたくない」と語る彼女にはテクノロジーの進歩によって、人間性が失われることへの危惧がある。インストやクワイア(讃美歌)、ライヴ・トレーニングなどを挿み、〈Extreme Love〉ではドイツ人現代美術家ジェンナ・ステラ(Jenna Sutela)のテクストをLily Anna Haynesが朗読し、〈Bridge〉では米黒人女性アーティストのマルティーヌ・シムズ(Martine Syms)が自らテクストを引用。〈Godmother〉にはJlinがゲスト参加している。

  • ◎ Schlagenheim(Rough Trade)black midi
  • ブラック・ミディ(black midi)は英ロンドンで結成された4人組。バンド名はMIDIファイルを利用した日本の電子音楽ジャンル「Black MIDI」に由来するという。ポスト・パンク、マス・ロック、クラウト・ロック、ポスト・ハードコアなどのジャンルを超えた彼らの音楽は弾幕系シューティング・ゲームのような「黒楽譜」のアナロジーなのかもしれない。ドイツ語タイトルのデビュー・アルバムは6拍子と5拍子が激しく交錯する〈953〉、人を喰った羊頭狗肉な〈Reggae〉、高速爆走パンクの〈Near DT, MI〉、牧歌的なアルペジオから始まる〈Western〉、爆撃機からの大量投下を想わせる〈Bmbmbm〉など全9曲・43分。デイヴィッド・ラドニック(David Rudnick)のコラージュ・カヴァ(廃棄物の集積)が何か忌まわしいオブジェに変貌するように、black midiの音楽も怪物的なアッサンブラージュとして姿を現わす。CDシングル用プラケース仕様。8つ折り歌詞・ポスター封入。

  • ◎ ∞ Ra ∞(Monteverdi)Andre Mehmari, Bernardo Maranhao, Alexandre Andres
  • 梅雨時にCDリリースされたからか「青い蛙」のカヴァが人目を惹く。アルバム・タイトルの「Ra」はポルトガル語で「カエル」という意味で、歌詞ブックレット(24頁)にもカエルのイラストが多数掲載されている。Andre Mehmari(ピアノ、シンセ、フィドル、フレンチホルン、クラリネット、アコーディオン、バンドリン、琴など)、Alexandre Andres(フルート、ギター)、Bernardo Maranhao‥‥3人連名になったのは2人に歌詞を提供しているBernardoも歌声を披露しているからだと思われる。Andreの〈Proezas de Alexandre〉、Bernardoの〈O Mantra de Miguel〉、Alexandreが「メマーリさん、こんにちは」と日本語混じりで歌う〈Mehmari San〉、Maria Joao Granchaが紅一点の花を添える〈Tanka Do Gato〉‥‥Alexandreの大傑作アルバム《Macaxeira Fields》(2012)を髣髴させる浮游感に包まれる全16曲・64分。昨年クリスマスに配信されたデジタル版「カエル」とはジャケ違いのデジパック仕様です。

  • ◎ Practice Chanter(Le Saule)Leonore Boulanger
  • 仏SSWレオノール・ブーランジェ(Leonore Boulanger)の4thアルバム。Juana Molinaを解体して立体的に再構成したような摩訶不思議な音楽世界。シャンソン、民族音楽、現代音楽などをシュールにコラージュしたアヴァン・ポップ。「Leonore Boulangerというモザイクのもう1つの顔」ジャン=ダニエル・ボッタ(Jean-Daniel Botta)との共作である。「あらゆる声域で、あらゆる言語で、絶えず歌っていることが好き」と語っているように、〈Chant Tomodachi〉は日本語で歌われる。妙に人懐っこくて変幻自在のヴォイスに魅惑される。女性画家クレア・モレル(Claire Morel)の描いたアルバム・カヴァ「箱女」(La boite)も謎めいている。3rdアルバム《Feigen Feigen》(2016)は国内盤もリリースされたので入手しやすかったが、早々に売れ切れてしまったのか都内の輸入レコード・ショップでは高円寺の「LOS APSON?」にしかなかった。全16曲・43分、見開き紙ジャケ仕様。

  • ◎ After Its Own Death/Walking In A Spiral Towards The House(W.25TH)Nivhek
  • Liz Harris(Grouper)《Grid Of Points》(Kranky 2018)は全7曲・22分という短さだったが、Nivhek(ヒンディー語で「ネット」という意味らしい)名義で自主リリースしたアルバムは2部構成(アナログは2枚組)で、タイトルも演奏時間も長い。映像作家のマルセル・ウェーバー(Marcel Weber)とコラボした視聴覚インスタレーションのための音楽で、映像はロシア最北端の都市ムルマンスクで撮影された。「After Its Own Death」というタイトルはマイク・ケリー(Mike Kelley)のエッセイから採られている。インスト・パートが多く、彼女のヴォーカルは少ない。「メロトロン、ギター、フィールド・レコーディング、テープ、壊れたFXペダル(エフェクター)の不明瞭なアッサンブラージュ」と本人が述べているように、アンビエント〜ドローン色も濃い。全13曲・59分、三面デジパック仕様。〈Cloudmouth〉と〈Crying Jar〉の歌詞カード(黒と白の2枚)入り。

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    7月の長雨・冷夏から一転して炎天・猛暑となった令和元年の8月。熱中症で亡くなる高齢者は後を絶たず、急激な気候・気温変化に適応出来ずに体調を崩す人も少なくない。お盆休みには大型颱風10号も日本に上陸した。「夏のクリアランス」も「アウトレット」もなさそうなので、旧譜漁りのレコード店巡りも自重した。今年(2019)は趣向を変えて、上半期にリリースされたアルバムをレヴューすることにした。〈BEST ALBUMS 2019(So Far)〉でリストアップした10枚から、Holly Herndon《Proto》、black midi《Schlagenheim》 、Andre Mehmari, Bernardo Maranhao, Alexandre Andres《Ra》の3枚、7月以降に購入した新譜から、Leonore Boulanger《Practice Chanter》、Nivhek《After Its Own Death / Walking In A Spiral Towards The House》の2枚をピックアップしてみた。いずれも「年間ベスト・アルバム」の有力候補です。

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    • 黒ネコ(写真)の背後に写っている青い網は「カラス除けのゴミネット」です^^;

    • 《Proto》の国内仕様輸入盤(デジパック仕様)は歌詞ブックレット(16頁)付き

    • 《Ra》のアルバム・カヴァに使われているのはRawpixelの「Shrinking frog」です

    • Leonore Boulangerの発言は「月刊ラティーナ 2019年6月号」から引用しました
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    Proto

    Proto

    • Artist: Holly Herndon
    • Label: 4AD
    • Date: 2019/05/10
    • Media: Audio CD
    • Songs: Birth / Alienation / Canaan / Eternal / Crawler / Extreme Love / Frontier / Fear, Uncertainty, Doubt / SWIM / Evening Shades / Bridge / Godmother / Last Gasp


    Schlagenheim

    Schlagenheim

    • Artist: black midi
    • Label: Rough Trade
    • Date: 2019/06/21
    • Media: Audio CD
    • Songs: 953 / Speedway / Reggae / Near DT, MI / Western / Of Schlagenheim / Bmbmbm / Years Ago / Ducter

    <atras/alem>

    <atras/alem>

    • Artist: O Terno
    • Label: Tratore Music Brasil
    • Date: 2019/06/07
    • Media: Audio CD
    • Songs: Tudo O Que Eu Não Fiz / Pegando Leve / Eu Vou / Atrás/Além / Nada/Tudo / Pra Sempre Será / Volta E Meia / Bielzinho/Bielzinho / O Bilhete / Profundo/Superficial / Passado/Futuro / E No Final

    ∞ Ra ∞

    ∞ Ra ∞

    • Artist: Andre Mehmari, Bernardo Maranhao, Alexandre Andres
    • Label: Estudio Monteverdi
    • Date: 2019/01/10
    • Media: Audio CD
    • Songs: Dança / Baião de Cohen / Proezas de Alexandre / Sumaúma / Nós Outros / O Mantra de Miguel / Mehmari San / O Nome de Lídia / Festa dos Pássaros / Ligeti Lullaby / Rubrica / Olinda / Tanka do Gato / Juá / Mais Água Mais Luz / Agualuz

    Margem

    Margem

    • Artist: Adriana Calcanhotto
    • Label: Sony Music
    • Date: 2019/07/07
    • Media: Audio CD
    • Songs: Margem / Os Ilheús / Dessa Vez / Lá Lá Lá / Tua / O Príncipe das Marés / Era Para Ser / Ogunté / Meu Bonde

    Practice Chanter

    Practice Chanter

    • Artist: Leonore Boulanger
    • Label: Le Saule
    • Date: 2019/04/19
    • Media: MP3
    • Songs: Le nouveau / La transe de son prochain / Bruyant qu'Brillant / Demain machine / Poème Poème Teltruc sa puissance / Shakespeare le constata / L'eau dans l'eau / Chant tomodachi / Premier Orchestre / Rouler sa tête La montagne / Tout ce siècle qui reste / Gush bédé ba...


    After It's Own Death / Walking In A Spiral Towards The House

    After It's Own Death / Walking In A Spiral Towards ...

    • Artist: Nivhek
    • Label: W.25th
    • Date: 2019/06/21
    • Media: Audio CD
    • Songs: Cloudmouth / Blue Room / Night-walking / Funeral Song / Thirteen (Version) / Crying Jar / Entry / Walking In A Spiral Towards The House / Weightless // Night-walking / Funeral Song / Thirteen / Walking In A Spiral Towards The House
    声のきめ

    声のきめ

    • 著者:ロラン・バルト(Barthes Roland)/ 松島 征 / 大野 多加志(訳)
    • 出版社:みすず書房
    • 発売日: 2018/07/18
    • メディア:単行本
    • 目次:パロールからエクリチュールへ / 物は何かを意味するのか? / 映画について / わたしは影響を信じない / 記号学と映画 /「ヌーヴェル・クリティック」の名のもとに、ロラン・バルトがレーモン・ピカールに答える /『モードの体系』および物語の構造分析について /『モードの体系』/ 一篇の科学的な詩をめぐる対話 /『S/Z』と『記号の国』について / ...

    スニーズ・ラブ 55

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  • ♭ クリムトと猫(2019-08-03)
  • 『クリムトと猫』(西村書店 2005)は漱石の「吾輩」と同じように、グスタフ・クリムトの愛猫(僕)が主人の人生を一人称で語る絵本。イタリア人女性画家オクタヴィア・モナコ(Octavia Monaco)の描く鮮やかな色彩や女性の衣服の装飾的な模様はクリムト調だが、人物やネコたちはシュールにデフォルメされている。子供向けに描いたらしく、本来はレオノール・フィニやレオノーラ・キャリントン直系の女シュルレアリストである。クリムトは8匹ものネコを飼い、アトリエの庭に咲く薔薇の手入れをしていた。カラフルな花々は魅惑的な女性たちの肖像画を飾り、風景画にも描かれているが、不思議なことに大好きなネコも自画像も描くことはなかった。ネコ好きの画家バルテュスやフィニは描いているのに。一体どうして描かなかったのかと言わんばかりに、オクタヴィア・モナコはネコたちやクリムトを描き捲っている。「僕」の名前は明かされないけれど、クリムトが抱いている有名な写真のネコはカッツェ(Katze:ドイツ語でネコの意味)と呼ばれていたという。

  • ♭ 猫ゴジラ(2019-08-10)
  • 「EL SUR」に立ち寄ると、注文していた《Catzilla》(Chinese Man 2017)が入荷していた。《Hot Kats》(2019)は某Dユニオンの「お買い得セール」(新譜を2枚買うと500円引きになる)で入手済なので、「猫ゴジラ」だけ購入した。言うまでもなくネコとゴジラの合体獣で、裏カヴァには「猫コシラ」と表記されている。駄洒落ならば「猫ジラ」とするところだが、フランス人デュオのBaja Frequenciaは日本語が分かっているようで分かってない?‥‥《Hot Kats》はFrank Zappa《Hot Rats》(1969)のパロディ。アルバム・カヴァに起用された女性モデルはガール・グループ The GTOsのMiss Christine(Christine Frka)で、Zappaの最初の娘(Moon Unit Zappa)のベビーシッターをしていたという。1972年11月、Christine睡眠薬バルビツレートの過剰摂取で急逝している。ハリウッド男優エロール・フリン(Errol Flynn)の所有していた邸宅の空のプールから出ようとしているのだが、今となっては墓場から這い出てくるように見えなくもない。

  • ♭ 真夏のカウワーリー(2019-08-17)
  • 「バダル・アリー&バハードゥル・アリー兄弟楽団」のライヴを「EL SUR」店主のツイッター(8/11)で知った。見逃してしまったのかと思って「Pakisitan & Japan Friendship Festival」のステージ・スケジュールを確認すると、明日・明後日(12日・13日)も出演することが分かった。お茶の水ディスクユニオンで輸入CD(ブラジル盤未開封品)を2枚購入して、上野公園へ向かう。大噴水広場前の竹の台広場に設置されたテントで行なわれたカウワーリー(Badar Ali & Bahadur Ali Qawwali)‥‥バダル&バハードゥル兄弟を中心に、6人のメンバーが座ってハルモニウムとタブラを伴奏。合唱、手拍子、身振りなどを交えながら神への讃歌を熱唱する。〈Mast Qalandar〉で盛り上がり、日本語(幸せなら手をたたこう)も飛び出す。最後にはステージ前の観客も踊り出し、お布施も舞う大盛況だった。32年前のヌスラット・ファテ・アリー・ハーン(国立劇場 1987)の記憶が甦りました。

  • ♭ 黒猫ワッフル(2019-08-24)
  • 『ミスターワッフル!』(BL出版 2014)は殆ど文字のない絵本。女主人がネコに語りかける言葉があるだけで、黒ネコとエイリアンの判読不明な会話が続く。黒猫のワッフルは金魚、ネズミ、キャットニップ、シャトルなど‥‥飼主が購入した市販のネコ用玩具には無関心。ところが全く見向きもされなかった玩具の並ぶ床に紛れ込んでいた小さな円盤(UFO)には興味津々。小型宇宙船を弄ぶワッフルだが、小さな異星人たちにとって地球のネコはゴジラ(猫ジラ?)にも匹敵する大脅威である。隙を窺い、壊された機器を抱えて壁の隙間に逃げ込む。そこはラスコー洞窟の壁画みたいなネコの絵が描かれていたアリたちの棲家だった。エイリアンはアリやテントウ虫と親交を深め、協力して機器を修復する。危機一発、ワッフルから逃れて窓から野外へ脱出した宇宙船‥‥彼らにとっての地球は友好的なアリと狂暴な黒ネコの棲息する惑星だったのだ。メアリー・ノートンの「小人の冒険シリーズ」にも相通じる魅惑的なミニアチュール世界である。

  • かがみの孤城(2019-08-31)
  • デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』(講談社 2004)が登場人物の「脳内世界」だったように、辻村深月のミステリはSFやファンタジーの要素も濃い。こころ、アキ、リオン、フウカ、マサムネ、スバル、ウレシノ‥‥7人の不登校中学生(リオンはハワイに留学中)が鏡を通り抜けて異世界へ通う『かがみの孤城』(ポプラ社 2017)も「鏡の国のアリス」や「ナルニア物語」などのファンタジーを思い起こさせる。城主の狼面少女(オオカミさま)は7人の「赤ずきんちゃん」にゲームを仕掛ける。5月から来年3月30日までの開城中に、城内に隠されている "願いの部屋" の鍵を見つけた1人だけが願いを叶えられるという(ただし朝9時から夕方5時までに退城しないとオオカミに食われてしまう)。安西こころ(雪科第五中学校1年生)は「心の教室」の喜多嶋先生と面談する。11月にリオンを除く5人も第五中の生徒であることが分かったのに、なぜか現実世界の中学校では出会えない。パラレル・ワールドなのか、それともタイムスリップなのか、狼面少女の正体は?‥‥師匠・綾辻行人譲りの「叙述トリック」を駆使した驚くべき真実が次々に明かされる。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2019-08)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    クリムトと猫

    クリムトと猫

    • 著者:ベレニーチェ・カパッティ(Berenice Capatti)/ 森田 義之(訳)
    • イラスト:オクタヴィア・モナコ(Octavia Monaco)
    • 出版社:西村書店
    • 発売日:2005/03/01
    • メディア:大型本
    • 内容:愛猫がみたグスタフ・クリムトの人生を、華麗で美しいビジュアルイメージとともに愛情をこめてよみがえらせた絵本です。アンデルセン賞受賞


    Catzilla

    Catzilla

    • Artist: Baja Frequencia
    • Label: Chinese Man
    • Date: 2017/10/06
    • Media: MP3
    • Songs: El Palo / Piranha / Que Calor / Badman A Badman / Know Who You Are / Ride On / Shenhai Dance

    Hot Kats

    Hot Kats

    • Artist: Baja Frequencia
    • Label: Chinese Man
    • Date: 2019/04/12
    • Media: MP3
    • Songs: De La Locura / Windrush Scandal / Se Come Tambien / Crisis / Vitamin P / Mad Grade / O Galop / Hasta El Piso / Colombia / Brindo Mi Carino / Mermaid / Smokin' Loud / La Kumbia Se Baila Asi / Dembowgorgon / Holy Moly (Bonus Track)

    Pakistan & Japan Friendship Festival 2019

    Pakistan & Japan Friendship Festival 2019

    • 会場:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)
    • 日時:2019/08/10~14
    • メディア:野外ライヴ(無料)
    • 出演:SCRAWLS / Mehndi CNC Performance / Kathak カタックダンス / BANZAI JAPAN / スリジエ&スリジエ候補生 / QAWWALI カッワーリー / 保科まり(Hoshina Mari)/ 織彩色舞(しきさいしきぶ)/ 三味線奏者 川上浩市 / 紅桜剣舞会 / SUNAO / JEWEL.&黒猫ダンサーズ / Rili. / RYO / 仮面女子候補生 / 杉原下神管弦楽団 / 月元英里 / jazzdanceREIKA / 株式会社令和応援団


    ミスターワッフル!

    ミスターワッフル!

    • 著者:デイヴィッド・ウィーズナー(David Wiesner)
    • 出版社:BL出版
    • 発売日:2014/05/01
    • メディア:大型本
    • 内容:くろねこのワッフルは、毎日たいくつしています。ご主人が次々と買ってくるおもちゃにも、ちっとも興味がわきません。そんなある日、ワッフルは、格好のおもちゃを見つけました。それは‥‥。コールデコット賞オナーブック


    かがみの孤城

    かがみの孤城

    • 著者:辻村 深月
    • 出版社:ポプラ社
    • 発売日: 2017/05/11
    • メディア:単行本
    • 目次:様子見の一学期(五月・六月・七月・八月)/ 気づきの二学期(九月・十月・十一月・十二月)/ おわかれの三学期(一月・二月 ・閉城・エピローグ)

    スニーズ・コメンツ #55

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  • スワンが喋っている。/「ちょっといろいろやり過ぎちゃったかな。反動が怖いや、この道をこう行けば、今夜のお使いは終わりだね。あねじゃはどうしていることやら、あのひと何だか頼りないというかウェットだからさあ、いもうと相手にじっと色気出されても困るんですけど。しかしいつの間にか秋になったもんだね、虫は集くし萩にススキ、秋の七草だよどうなのこれ。ミツンはもううちに帰って猫でも抱いているかしら。それならいいんだけどね。大事なミっちゃんなんだ」/「あっ電気消された。うわほんっとにぜんぶ消えたよ、やっだなあもう、誰だよ急に電気落としたの。ライトアップもう終わりかよ、こんなちっぽけなローソクの火だけじゃ、たいして何も見えやしないよ。それに帰りはいったいどうすればいいんだか。ああもう歩き難いったらありゃしない。うわ芝踏んだ。踏んじゃったよどうしよう。波柵がないなんて。仕方がないから、こうなればどんどん踏んでいきますよ。妙な歩き心地だなあ、ふかふかして気持ちいいけどあれあれ、これは変な気持ちというか、変な歩き心地ですね。あれあれあれ。うわ。ああっ」
    山尾 悠子 「飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 II」


  • ♭ 薔薇の陶板
  • ノートブックのバッテリが膨張して、内部からトラックバッドを圧迫‥‥クリックが硬くなって、腱鞘炎になりそう。アップルストアに持ち込んでメタボ・バッテリを外してもらいました。型番が古くてバッテリ交換には応じてくれなかったけれど、外すだけならば無料とのこと。陶器も熱膨張するので、陶板を冷蔵庫で冷やしてから額に嵌めるとか?
    by sknys (2019-06-24 15:23)

  • ♭ 六号機
  • 山尾悠子が泉鏡花文学賞と日本SF大賞をW授賞する前の「1万字インタビュー」の関連記事で知ったのですが、角川文庫から『ドラコニアの夢』(2018)というアンソロジー(東雅夫 編)が出ていました。某都知事の「ポートレイト」かと思いましたが。
    by sknys (2019-06-30 14:43)

  • ♭ 感心してしまう
  • RSSに登録しているブログでも、更新しなくなった人が少なくありません。10年前の熱気は一体何だったのかと思います。作家の森博嗣は 「ブログを書き続ける人がずいぶん減ってきた」の中で、次のように書いています。

  • ツイッタの方が気軽だし、簡単だし、時間も取られない。自然に低い方へシフトする。〔‥‥〕ブログを続けられる人は、仕事としての報酬を得ているか、あるいはボランティアか、のいずれかである。いずれも、不可欠なのは不特定多数に対する「奉仕」の気持ちである。サービス精神がなくては続かない。自分が得たい、自分を売り込みたい、では続かないということだ。

  • by sknys (2019-07-02 19:26)

  • ♭ 国立新美術館「ウィーン・モダン」展
  • 「クリムト展」(東京都美術館)に行って来ました。会場内は混雑していましたが、クリムトの油彩画は意外に少ない。「ウィーン・モダン」と泣き別れになってしまったのは残念です 。閉館(午後8時)まで粘るつもりでしたが、躰が冷え切っちゃったので早目に退室しました。この日は羽海野チカ(@CHICAUMINO)さんが母子連れで来ていたようです。
    by sknys (2019-07-05 20:49)

  • ♭ 葉っぱの小皿 その3
  • クリムトは8匹のネコを飼い、アトリエの庭に咲く薔薇の手入れをしていた。カラフルな花花は女性たちの肖像画や風景画にも描かれていますが、大好きなネコも自画像も描くことはなかった。ネコ好きの画家バルテュスやレオノール・フィニは描いているのに?‥‥不思議にゃん。
    by sknys (2019-07-21 14:01)

  • ♭ 毎日が夏休み #2
  • 7月21日、参議院選挙に行って来ました。比例区は「新元号」を平仮名で書きました。今コメントを書きながら、Joanna Sternbergのアルバム《Then I Try Some More》(Team Love 2019)を聴いています。
    by sknys (2019-07-23 22:41)

  • ♭ 天気の子
  • 「ポーの一族展」(松屋銀座)に行って来ました。こんなにも大勢のオバさんたちと一緒に見て回ることになるとは‥‥。「訪問者」の前で泣いている女性もいました。出来れば少女の頃にお会いしたかったような。花郁悠紀子・波津彬子姉妹に贈ったイラストや週刊少女コミックで読者プレゼントした「トーマの心臓」の「扉イラスト」も特別公開されています。
    by sknys (2019-08-08 12:27)

  • ♭ ZEBRA
  • 毎日クソ暑いですね。今日(8/12)は「バダル・アリー&バハードゥル・アリー兄弟団」(@elsurrecords)を観に行きました。午後6時30分頃から1時間超の無料ライヴに熱狂にゃん。明日(8/13)は午後3時からのステージです。
    by sknys (2019-08-12 23:29)

  • ♭ BAJA FREQUENCIA / HOT KATS
  • 《Hot Kats》はFrank Zappa《Hot Rats》(1969)のパロディ。アルバム・カヴァに起用された女性モデルはガール・グループ The GTOsのMiss Christine(Christine Frka)で、Zappaの最初の娘(Moon Unit Zappa)のベビーシッターをしていたという。1972年11月、Christineは睡眠薬バルビツレートの過剰摂取で急逝している。ハリウッド男優エロール・フリン(Errol Flynn)の所有していた邸宅にある空のプールから出ようとしているのだが、今となっては墓場から這い出てくるように見えなくもない。by sknys


  • ♭ あいちトリエンナーレ2019 その1「表現の不自由展・その後」の中止
  • どのような作品であっても、展示された作品を観てから批評すべきです。政治的な圧力や暴力的な脅迫にビビって中止するなんて、そもそも腰が引けていませんか。
    その一方で、真の芸術は同時代人には理解されないのではないかと思う。19世紀人にはゴッホの絵の価値が分からなかったし、ロンドン・タイムズ紙はジョン・エヴァレット・ミレイの〈オフィーリア〉を「雑草だらけの溝」の中で横たわっているように見えると腐し、クリムトの〈天井画〉もウィーン大学の教授たちから激しく批判された。
    鑑賞者を挑発し、不愉快にさせるアートもある。ムンクやフランシス・ベーコンの絵画は不安や不快感を引き起こすし、マシュー・バーニーのパフォーマンスは変態的で、ダミアン・ハーストのホルマリン漬けされた水槽の動物も気味悪い。
    上に立つ人(為政者や権力者)たちが「芸術オンチ」なのも致命的‥‥名古屋市長にマルセル・デュシャンの〈泉〉や〈L.H.O.O.Q.〉を見せたら、何と言うでしょうか?
    by sknys (2019-08-28 22:33)

  • ♭『かがみの孤城』 辻村 深月
  • デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』(講談社 2004)と同じように、登場人物の「脳内世界」を舞台にした『かがみの孤城』(ポプラ社 2017)にも師匠・綾辻行人譲りの伏線やヒント、ミスリード、同一人物などの「叙述トリック」が遺憾なく発揮されています。平易な文体からは大人だけでなく、小学校高学年〜中学生に読んで欲しいという切実な思いも感じられます。小6の時に読んだ『十角館の殺人』(1987)に感動して綾辻行人に100通ものファンレターを送ったら、作者本人から返信が来たという有名なエピソードやペンネームに「辻」が入っているのも伊達や酔狂ではない。筋金入りの「綾ツジドレン」です。
    by sknys (未投稿)

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    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第55集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載‥‥事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註)をして、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2019/06/01~2019/08/31)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。今季のトピックは「クリムト展」(東京都美術館)と「ポーの一族展」(松屋銀座)‥‥自画像とネコを絵を描かなかったクリムトの代わりに、イタリア人女性画家のオクタヴィア・モナコが「クリムトと猫」(西村書店 2005)を描き捲っています。「ポー展」には読者プレゼントした「トーマの心臓」の扉イラスト8点と花郁悠紀子・波津彬子姉妹に贈ったイラスト6点も特別展示・公開されていました(花郁さんを見舞ったモーさまが手渡した「メッシュ」のイラスト2点は必見)。ヌスラット・ファテ・アリー・ハーン以来のカウワーリーにも心躍りました。

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    飛ぶ孔雀

    飛ぶ孔雀

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:文藝春秋
    • 発売日:2018/05/10
    • メディア:単行本
    • 目次:飛ぶ孔雀(柳小橋界隈 / だいふく寺、桜、千手かんのん / ひがし山 / 三角点 / 火種屋 / 岩牡蠣、低温調理 / 飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 I / 飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 II)/ 不燃性について(移行 / 眠り / 受難 / 喫煙者たち / 頭骨ラボ / 井戸 / 窃盗 / 富籤 / 修練ホテル / 階段 /(偽)燈火 / 雲海 / 復路 I / 復路 II / 復路 III / 燈火)


    ドラコニアの夢

    ドラコニアの夢

    • 著者:澁澤 龍彦 / 東 雅夫(編)
    • 出版社:KADOKAWA
    • 発売日: 2018/02/24
    • メディア:文庫(角川文庫)
    • 目次:編者序言 / 三つの髑髏 / 髑髏 / 夢のコレクション / 豪華な白 / 林檎 / 秘密結社の輪廓 / 犯罪的結社 その他 / 横浜で見つけた鏡 / ランプの廻転 / 地震と病気 谷崎文学の本質 /『亂菊物語』と室津のこと / 江戸川乱歩『パノラマ島奇談』解説 /『夢野久作全集』第一巻 / 小栗虫太郎『黒死館殺人事件』解説 /『銀河鉄道の夜』宮澤賢治著 / 石川淳と坂口...


    冷たい校舎の時は止まる

    冷たい校舎の時は止まる

    • 著者:辻村 深月
    • 出版社:講談社
    • 発売日:2019/06/07
    • メディア:単行本(限定愛蔵版)
    • 目次:フラッシュバック / 初雪 / きっかけの日 / 女友達 / 事件当日 / おばけなんかいないさ / 明るい絶望 / 消えた1人 / ガラスの森 / 暗闇から手をのばせ / 不幸自慢 / CRAZY FOR YOU / スカーレット / あたしはここよ / HERO / カウントダウン / 解決編 / 冷たい校舎の時は止まる / 雪の終わり / ひとつだけ / エピローグ


    十角館の殺人(新装改訂版)>

    十角館の殺人(新装改訂版)

    • 著者:綾辻 行人
    • 出版社:講談社
    • 発売日: 2007/10/16
    • メディア:文庫(講談社文庫)
    • 目次:一日目・島 / 一日目・本土 / 二日目・島 / 二日目・本土 / 三日目・島 / 三日目・本土 / 四日目・島 / 四日目・本土 / 五日目 / 六日目 / 七日目 / 八日目 / エピローグ / 新装改訂版あとがき / 旧版解説(鮎川 哲也)/ 解説(戸川 安宣)


    Then I Try Some More

    Then I Try Some More

    • Artist: Joanna Sternberg
    • Label: Team Love Records
    • Date: 2019/07/12
    • Media: MP3
    • Songs: This Is Not Who I Want To Be / Step Away / My Angel / For You / Pimba / Nothing Makes My Heart Sing / Trying To Say No / You Have Something Special / Don't You Eve


    Hot Kats

    Hot Kats

    • Artist: Baja Frequencia
    • Label: Chinese Man
    • Date: 2019/04/12
    • Media: MP3
    • Songs: De La Locura / Windrush Scandal / Se Come Tambien / Crisis / Vitamin P / Mad Grade / O Galop / Hasta El Piso / Colombia / Brindo Mi Carino / Mermaid / Smokin' Loud / La Kumbia Se Baila Asi / Dembowgorgon / Holy Moly (Bonus Track)

    エレクトロニック・ミュージック 1

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  • ◎ TECHNIQUE (Factory 1989) New Order

  • New Orderの5thアルバムはスペイン・イビザ島と英リアル・ワールドのスタジオで録音されたこともあってか、アシッド・ハウス色が濃い。先行シングル〈Fine Time〉のカヴァにカプセル錠剤のシルエットが使われたことからも、ドラッグ・カルチャーにドップリ浸かったというイメージに拍車をかけた。お世辞にも決して上手いとは言えない演奏、Bernard Sumnerの下手クソなヴォーカル、Peter Hookのリード・ベースに「テクニーク」という逆説的なアルバム・タイトルをつける…#01



  • ◎ LUST (Elektra 1991) Ambitious Lovers

  • 《Envy》(1984)、《Greed》(1988)に続く「7つの大罪」シリーズ3作目は「色欲」。ホワイトアウトした半開きの口唇から真っ黒い歯とピンク色の舌が覗くアルバム・カヴァは卑猥に見えなくもない。Ambitious LoversはArto Lindsay (ギター、ヴォーカル)とPete Scherer(キーボード、サンプラー、シンセベースなど)のデュオ。サウンドとプロデュースはPete Scherer(作曲)に任せて、Arto Lindsay (作詞)がプレイヤーとして前面に立つ役割分担となっている。…#02



  • ◎ BLUE LINES (Wild Bunch 1991) Massive Attack

  • Massive Attackのデビュー・アルバムと「湾岸戦争」は分ち難く結び着いている。なぜならばリリース時が戦争勃発時と重なったために「ATTACK」(攻撃)という言葉がアルバム・カヴァから消し去られてしまったのだから。検閲や自粛、抗議の表明とも取れるエピソードは逆に彼らの知名度を上げることになった(手許にあるUK盤は「massive attack」と表記されているが、CD盤面には「MASSIVE」としか記されていない)。英ブリストルはパンク〜ニュー・ウェイヴの80年代から...#03



  • ◎ MAXINQUAYE (Fourth & Broadway 1995) Tricky

  • 1995年はトリップホップ・イヤーとして記憶されているかもしれない。しかし、Trickyのデビュー・アルバムはダークな空間で女性ヴォイスが妖しく浮游するトリップホップよりは内面へ深く沈み込むダウン・ビートに近い。Trickyの内省的な呟きとMartina Topley-Birdの耽美系ヴォイスは、解体されて鉄骨が剥き出しになった建造物や、半壊して骨組みだけが残った廃墟の中で流れる幽霊たちの歌声のように気味が悪い。陰鬱だが閉ざされた暗黒空間ではない。瓦礫の中の読経のような...#04



  • ◎ TIMELESS (Metalheads 1995) Goldie

  • 19世紀末芸術が20世紀に衰退したように、ドラムンベースは20世紀末に咲いた徒花だったのだろうか?‥‥人力では決して叩けない超絶ドラミング、シンコペーションする高速ビート。ドラムマシンによる超人的なプレイはサイボーグやアンドロイドたちが闊歩する近未来世界を想わせるものだった。新世紀は未だドラムンベースが描いた未来に追い尾いていないけれど、最先端音楽としてのドラムンベースは失速して前世紀の遺物となった。しかし、色褪せて古色蒼然となってしまったRo...#05



  • ◎ DO YOU LIKE MY TIGHT SWEATER? (Echo 1995) Moloko

  • 90年代中頃、雨後の筍のように出現したトリップ・ホップ・ユニット(男女2人組)の中でも、Moloko(ロシア語で「ミルク」という意味)の存在は異質だった。「私のピタ短セーターが気に入った?」という変テコリンなアルバム・タイトル。ピタ短セーターを着た子供の周りにキモ可愛い妖怪深海魚やモンスターたちが浮游する不思議なイラスト・カヴァ。無機的な変態ビート、ブヒブヒ・ブヒョブヒョなアナログ・シンセ、ウィアードな女性ヴォイス。トークボックス(ヴォコーダ?…#06



  • ◎ EMPEROR TOMATO KETCHUP (Electra 1996) Stereolab

  • John McEntire(Tortoise)がメンバーと共同プロデュースして、Sean O'Hagan(High Llamas)がストリングス・アレンジャー兼プレイヤーとして参加した《トマト・ケチャップ皇帝 》(寺山修司の映画タイトルから採った!)はポスト・ロックとマジカル・ポップスの夢に満ち溢れている。Lætitia Sadierの投げ遺り風な低温ヴォイスとMary Hansen嬢の甘ったるいコーラスとの鮮やかな対比。ブヒョブヒョなアナログ・シンセと硬質で軽やかなヴィブラフォンの競演。ブリッジ部分…#07



  • ◎ LAMB (Fontana 1996) Lamb

  • 90年代後半に出現したトリップホップ系のユニットの多くはデビュー・アルバムが最高で、2作目以降は何故か急激に色褪せて輝きを失ってしまう。Andy BarlowとLouise Rhodesの男女デュオLambも、その例外に漏れず同名タイトルのデビュー作が素晴しい。トリップホップ〜ドラムンベースの見本のようなアブストラクト・サウンド。人工的にシンコペートするリズム。ダークな空間に浮游する内省的な女性ヴォイス。7拍子の〈Lusty〉、6拍子の〈Gold〉、Bjorkっぽいヴォイス...#08



  • ◎ 60 SECOND WIPE OUT (DHR 1999) Atari Teenage Riot

  • 2007年の暮れ「アップルストア渋谷」に立ち寄ったら、ちょうどAlec Empireの店内ライヴが始まるところだった。デジタル・ノイズの嵐!‥‥駆けつけたファンは狂喜乱舞でも、一般客にとっては騒音以外の何者でもない(営業妨害?)。ATR名義の3rdアルバムはタイトル通りの内容で、9曲入りのライヴCD(Philadelphia 1997)がオマケに付く。ハードコア・パンク、インダストリアル、ヒップホップ、ラップ、テクノ、ダブ、ドラムンベース‥‥すべてに「ノイズ」という香辛料…#09



  • ◎ ULTRA ー OBSCENE (XL) Breakbeat Era

  • ドラムンベースの革新者Roni Sizeが結成した新プロジェクトBreakbeat Eraのデビュー・アルバム。Roni Size、DJ Die、Leonie Laws(ヴォイス)の3人組で、かつてのトリップホップ・ユニットのように女性ヴォーカルがフィーチャーされている(ポスト・トリップホップを狙った?)。「超ワイセツ」というタイトルに反し、硬質でストイックなトラックが全15曲、74分以上に渡って繰り広げられる。トリップホップのように暗鬱でも淫靡でも耽美でも変態でもゴシックでもない。実…#10



  • ◎ AFTERGLOW (Heavenly 1999) Dot Allison

  • 夕闇の中に浮かび上がる金髪女性の横顔。物憂げに歩道に座って気怠そうに路上を歩く。黄昏は逢魔の時間?‥‥〈Colour Me〉や〈Close Your Eyes〉の蠱惑的なヴォイス(目を閉じて / 私を太陽まで連れて行って / ゆっくりと燃えるわ / 天国で一緒になるの)に瞬殺されちゃう。Dot Allisonのソロ・デビュー・アルバムはダビーでダウナー系のトリップホップで、Magnus Fiennesと共同プロデュースしている。〈Tomorrow Never Comes〉は儚げな妖精の囁き。〈Message Pers…#11



  • ◎ ENDLESS SUMMER (Mego 2001) Fennesz

  • 「終わらない夏」──1年中常夏の第3新東京のような、レトロ・フューチャーな日常と超現実的な暴力世界。2001年の夏の終わりの心象風景としてのFennesz。海面をオレンジ色に染める夕焼け空。夏の思い出にメジャー7thコードの甘い響きは良く似合う‥‥なぁんて感傷的な気分に浸ってしまうのは、思春期にインプットされたポップ・ソングのメロディ──実際はヴァーチャルで擬似的なノスタルジーに過ぎないのだが──が甘酸っぱい記憶と共に甦って来るからだろうか。「♪So...#12



  • ◎ VESPERTINE (One Little Indian 2001) Bjork

  • 《Vespertine》は不思議な親和力に満ち溢れている。今までの外部への執拗な攻撃・破壊性は暴風雨後の凪のように影を潜め、Bjorkの新たな冒険は内面ヘ向かう。いつの間にか、どこか人間離れした近寄り難い存在になってしまった彼女は、昆虫が完全変態の過程で「蛹」になるような劇的な変貌を遂げつつあるらしい。内向性と言っても、それは自閉症的な「引きこもり」でも、自らを傷つける行為でもなく、むしろ逆に親密な、Bjorkという「繭」に包まれる──彼女の中に溶け込む──…#13



  • ◎ NuMBERS LIFE (Tigerbeat 6 2002) Numbers

  • ベースレスの3人組、Numbersの紅一点インドラ・ドゥニス(Indra Dunis)はドラムを叩きながら絶叫するのだろうか。Gang Of Fourみたいなギター・リフ、低音部を支えるアナログ・シンセ、パンキッシュな女性ヴォーカル‥‥DevoとThe B-52'sの「隠し子」なのか、君たちは。デビュー・アルバムはKid606(Miguel De Pedro)が運営する「Tigerbeat 6」からミャオ〜。全10曲・19分!‥‥これでフル・アルバムなのと訝しがるリスナーもいるかもしれない。アナログ時代…#14



  • ◎ RuBY BLUE (Echo 2005) Roisin Murphy

  • Roisin Murphyと言えば、男女2人組トリップホップ・ユニットMolokoの女性ヴォーカリスト。従ってソロ・アルバムというよりはプロデュースを手掛けたMatthew Herbert版モロコに近い。90年代、雨後のタケノコのように英国庭園に繁茂したトリップホップ・グループの多くはデビュー・アルバムこそ目新しかったが、2nd以降急速に失速して行った。Molokoの出世作《Do You Like My Tight Sweater?》(1995)も、その奇妙なジャケ画と共に変態的サウンドが素晴しかったが…#15


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    「エレクトロニック・ミュージック」というジャンルは茫洋としていて捉えどころがない。「エレクトロニック・ミュージック・アルバム・ベスト 100」(ミュージック・マガジン 2019年8月号)は「テクノやハウスなどのクラブ・ミュージックのみならず、黎明期の電子音楽や現代音楽、クラウトロックやヒップホップなどの作品も対象」にしたオールタイム・ベストだが、そこまで幅広く年代的にも遡って聴いていない。ブログでレヴューした「年間ベスト・アルバム」(Rewind)の中から選んだ、過去30年の「エレクトロニック・ミュージック・ベスト30」である。1アーティスト・1アルバムという縛りで、順位はつけずに年代順(1989-2018)とした。〈90年代UKアルバム・ベスト20〉と7枚、〈ゼロ年代アルバム・ベスト20〉と4枚、〈21世紀のシンガー・ソングライター30〉と7枚重複してしまったのは仕方ない。メインストリームよりも、そこから派生〜進化した周縁のエレクトロニック・ミュージックに興味があるのかもしれない。

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    • 記事が長くなってしまったので、15枚ずつ前後編2つの記事(1・2)に分けました

    • 《Endless Summer》のアルバム画像はリマスター盤(2007)の新カヴァです^^
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    ミュージック・マガジン 2019年 8月号

    ミュージック・マガジン 2019年 8月号

    • 特集:コーネリアス / エレクトロニック・ミュージック・アルバム・ベスト100
    • 出版社:ミュージック・マガジン
    • 発売日:2019/07/20
    • メディア:雑誌
    • 執筆者:安藤優 / 石川真一 / 石川真男 / 石田昌隆 / 今村健一 / 宇川直宏 / 大石始 / 大鷹俊一 / 小野島大 / 門井隆盛 / 川崎弘二 / 河村祐介 / 木津毅 / 近藤真弥 / 坂本哲哉 / 佐久間英夫 / 佐々木渉 / 四方宏明 / 高岡謙太郎 / 高橋健太郎 / 田山三樹 / 寺下光彦 / デンシノオト / 土佐有明 / 原雅明 / 廣川裕 / 松村正人 / 松山晋也 / ムードマン / 宗像明将 / ...

    猫のオインゴ

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  • Nothing To Fear(A&M 1982)Oingo Boingo
  • オインゴ・ボインゴ(Oingo Boingo 1979-1995)はティム・バートンの映画音楽作曲家として知られるダニー・エルフマン(Danny Elfman)が率いていたニュー・ウェイヴ・バンド。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムス、キーボードに、3ピースのホーンセクションを加えた8人組はアメリカのXTCという趣き。2ndアルバムのカヴァ・イラスト2は本足で直立している猫エイリアンみたいな黒斑灰色のネコとクリスマスツリーの下にいる極彩色のイグアナが会話しているように見える。両手を差し伸べているので、「Nothing To Fear」というタイトルは宇宙猫人の発した言葉なのかもしれない。アルバム・カヴァを描いたジョージアン・ディーン(Georganne Deen)はシュルレアリスム系の女性アーティストで、公式サイトには摩訶不思議な絵画がアップされている。裏カヴァにはマッチョなポーズを決める白塗り顔のDanny Elfman(ヴォーカル)と呆れ顔のSteve Bartek(ギター)の2人が写っている‥‥化猫や骸骨に魅せられたダニーの変態パフォーマンスは若気の至りでしょうか?

  • Pascal Pinon(Morr Music 2010)Pascal Pinon
  • パスカル・ピノン(Pascal Pinon)はアイスランド・レイキャヴィク出身のアウスズヒルヅル(Ásthildur)とヨフリヅル(Jófríður)による双子姉妹デュオ。ユニット名が双頭のメキシコ人フリークス(サーカス芸人)の名前パスカル・ピノン(Pasqual Pinon)に由来することからも、可愛いだけじゃないという2人の強い思いが込められている。14歳の時に自主制作したデビュー・アルバムの再発盤のカヴァにはパステルカラーのパッチワークに鼻先を黒く塗って、口の両端にヒゲを描いた全身黒づくめの子供がコラージュされている。黒いネズミに見えなくもないけれど、左右の耳が尖っているので(ネズミならばミッキーマウスの耳のように丸くなっているはず)、黒猫のコスプレのように見える。黒ネコやロビン少年みたいな黒マスクの子供(裏カヴァ)には女性写真家クリスタマス・クローシュ(Kristamas Klousch)の「バステト」(Bastet)を想わせる妖しさも秘めている。

  • Tourist History(Kitsune 2010)Two Door Cinema Club
  • Two Door Cinema Clubは2007年、北アイルランド・バンガー / ドナガディーで結成されたインディ・ロック・バンド。 Alex Trimble(ヴォーカル、ギター、シンセ、ビーツ)、Sam Halliday(ギター)、Kevin Baird(ベース)のドラムレス・トリオで、バンド名は地元の映画館「Tudor Cinema」をSam Hallidayが言い間違った(誤って発音した)ことに由来する。デビュー・アルバムのカヴァには夜間のフラッシュ撮影で瞳が緑色に発光したトラ縞ネコ(王冠を冠っている)が写っている。いわゆる「ネコ写真」としては失敗作だが、凝っているのは透明プラケースにプリントされた「TWO DOOR CINEMA CLUB」という太字ロゴの「C」「O」だけが細い円形文字になっていて、「DOOR」の「OO」がネコの両目を白く囲み、まるで丸眼鏡をしているように見えること(アルバム・タイトルも「T◯URIST HIST◯RY」となっている)。さらにカヴァを兼ねた4枚綴り歌詞カードに記載されている曲ナンバー、曲目、歌詞の「0・C・O」も同じように表記するという凝りようである。

  • Malinalli(Elefante En La Habitacion! 2016)Maria Pien
  • マリア・ピエン(Maria Pien)はブエノスアイレス・アルマグロ生まれの生ギター弾き語りタイプのSSW。ブックレット仕様(限定500部)の初回限定盤(2014)のカヴァは蛙や蝶や手などを描いた2色イラストだったが、ジャケ違いの再発・通常盤は黒地に女性の横顔や家屋、椅子‥‥そして妖しいネコちゃんが描かれている(デビュー・アルバム《La Vuelta Manzana》(2012)の「裏カヴァ」にも2匹のネコがいた)。歌詞や楽譜、ギター・コード、イラストなどが掲載された豪華版のブックレット(48頁)も欲しくなるけれど、エルダ・ブロージョ(Elda Broglio)による「猫ジャケ」も超可愛い。三面デジパック仕様、全10曲・28分。M字開脚した股間をテレキャスターで隠したカヴァ・アルバム《Afuera El Sol Estalla》(2018)ではエレクトリック・サウンドに進化している。

  • Catzilla(Chinese Man 2017)Baja Frequencia
  • 個体の大小は比較によって決まる。たとえば蟻のように小さな異星人たちにとって、可愛い黒猫ワッフルも怪獣ゴジラにも匹敵する大脅威となる。口から黄色い放射熱線を吐く巨大黒ネコはネコとゴジラの合体獣(Catzilla)で、裏カヴァにはタイトルとアーティスト名が「猫コシラ」「低周波」と表記されている。駄洒落ならば「猫ジラ」とするところだが、日本語が分かっているようで分かっていない? ‥‥バハ・フレケンシア(Baja Frequencia)は仏マルセイユのDJ、AzuleskiとGoodjiuのデュオで、ゲスト・ヴォーカルを招いてクンビア、アフロ、レゲエ、ヒップホップなどを混ぜ合わせたトロピカル・ベース・ミュージックを作る。「猫コシラ」も放射熱線攻撃を止めて踊り出す愉しさである。8曲入りEP《Catzilla》に続く、デビュー・アルバム《Hot Cats》(2019)も「猫ジャケ」(Frank Zappa《Hot Rats》(1969)のパロディ)だった。

  • Bulls And Roosters(Nettwerk 2017)Together Pangea
  • 「牡牛と雄鶏」というアルバム・タイトルなのに牛も鶏もいない。黄色でコーディネイトされた祭壇めいた空間に4人のメンバーが写っている。裏カヴァには誰もいなくなったマットの上で白っぽいネコちゃんが寝そべっているではないか。もしかして?‥‥と思ってアルバム・カヴァを見返すと、草色の四角いマットの上で胡座を掻いてフェンダー・ムスタングを抱えているWilliam Keegan(ギター、ヴォーカル)の背後にネコが隠れていた。(危うく「猫ジャケ」を見逃すところだった)。Together Pangeaは2009年に米カリフォルニア・サンタクラリタで結成されたインディ・ロック・バンド。仕事が上手くいかず、酔い潰れた男が意識を失って地獄へ落ちる〈The Cold〉、同棲する男女の諍いを描いた〈Money On It〉、疾走するガレージ・パンクの〈Better Find Out〉、グランジ風のタイトル曲〈Bulls And Roosters〉‥‥全13曲・37分。歌詞ブックレット(8頁)付き。

  • Wax Chattels(Captured Tracks / Flying Nun 2018)Wax Chattels
  • Wax Chattelsは「Guitarless Guitar Music」を標榜するニュージーランド・オークランドのノイズ・ロック・トリオ。デビュー・アルバムは僅か2日間で、殆どライヴ・レコーディングされたという。Amanda Cheng(ベース、ヴォーカル)、Peter Ruddell(オルガン、ヴォーカル)、Tom Leggett(ドラムス)という男女混成トリオでギターレスのノイズを撒き散らす。暴走パンクの〈Stay Disappointed〉、紅一点のAmandaがダウナーなヴォーカルから一転して絶叫する〈It〉、ノイズの洪水で溺れそうになる〈Career〉、アナログ・シンセ・ノイズがシューゲイズっぽく聴こえる〈Parallel Lines〉‥‥全10曲、39分。歌詞ブックレット(8頁)付き。米テネシー・ノックスヴィル出身のアンダーグラウンド画家ザカリー・ウィドグレン(Zachary Widgren)のカヴァ・アートは峻立する山の上空に威嚇するようなネコの顔が浮ぶモノクロ画である。チェシャ・キャットは笑みだけを残して虚空から消えるが、ワックス・シャトルズの怒りも消えない。

  • Never For Ever(Fish People 2018)Kate Bush
  • 白鳥、蝙蝠、鯨、蝶、鳩、鰐、小鳥、魚、猫‥‥風に吹かれて舞い上がったスカートから、多種多様な動物や魑魅魍魎たちが溢れ出て来る。ピーテル・ブリューゲルやヒエロニムス・ボスの絵の中から抜け出して来たような奇怪な生物たちも混じっているようだ。《多くの人たちは、私のスカートからすべてのアイディアが出て来るのは面白いと思います。でも、良いものも悪いものも音楽として私から流れ出ます。酷い下痢のように出ます! その多くは性的な欲求として、私の中から出て来ることを示唆しています。私の胃の中の‥‥私の排泄物なのかもしれませんが‥‥》とKate Bushは英音楽誌に語っている(Sounds magazine, August 30, 1980)。ニック・プライス(Nick Price)のカヴァ・イラストはスカートを背後から扇風機で煽った彼女の写真を元に描かれているが、英挿絵画家アーサー・ラッカム(Arthur Rackham)の「風の中のウンディーネ」(Undine in the Wind)にも酷似しているという。ネコはカヴァに描かれた多くの動物の中の1匹にすぎないけれど、〈Egypt〉の「ネコ女王」(Pussy Queen)に敬意を表して「猫ジャケ」に加えたい。

  • Wallop(Warp 2019)!!!(Chk Chk Chk)
  • ピンクと深緑色分けされた対角線上を目を光らせた1匹の子猫が左上から右下へ向かって歩く‥‥ !!!(Chk Chk Chk)の8thアルバム《Wallop》は「打ちのめす」という意味。ニック・オファー(Nic Offer)がドラムマシンを弄っていた時、飼いネコのパーシーが気を惹くために彼の頭を叩いたことに由来する。「ワロップ」とは猫パンチのことなのだ。パーシーちゃんは一緒に遊んでくれない飼主に怒り心頭して堪忍袋の尻尾が切れてしまったかもしれない。「ちなみに、ネコ好きですか?」という質問に、Nic Offerは次のように答えている。《好きかどうかがわからない、というのが問題だよね。ネコは、人間の脳をおかす病気を持っていて、その病気にかかると人間はネコの中毒になってしまうという。そうなるんだよね? よくわからないけど、俺もその病気に感染していることはたしかだ(笑)。俺は初めて会ったときからネコが大好きだ。今回のアルバム・カヴァーの主役となったパーシーも大好きだ。ちょうどこのアルバムの制作に入るときに、子ネコのパーシーをもらってきたから、パーシーは今作に本質的に関連していたのさ》(eleking interview, August 30, 2019)

  • Feel The Music(Anthology Recordings 2017)Various Artists / Paul Major
  • Paul Major(Endless Boogie)はレコード・ディーラー&コレクターのパイオニア。半世紀以上に渡り、音楽業界から見捨てられた奇妙で気味の悪い音楽を発掘・蒐集している。Ray Harlowe & Gyp Foxの〈Run〉は壊れたブルーズ・ロック。Justyn Reesの〈Behold〉は浮世離れしたサイケ・フォーク。The Yays & Naysの〈Let It All Hang Out〉はギター弾き語りゴスペル。Merkinの〈Ruby〉はポップ・ロック。Sebastianの〈Passages〉は感傷的なバラード、Joint Effortの〈Blue Lightning〉はアシッド・フォーク、Jerry Solomonの〈Denied〉は執拗にディレイ加工されたヴォイスが薄気味悪い。Dariusの〈I Feel The Need To Carry On〉はBread風のソフト・ロック‥‥全12曲・46分。なぜ「猫ジャケ」なのかは分かりませんが、アルバムを聴いていると、必死に何かを訴えている不憫な捨てネコのようにも思えて来ました。

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    • お気に入りの「猫ジャケ」10枚を紹介するネコード・シリーズの第12集です^^;

    • アルバム・タイトル前の ◆ をクリックすると、拡大した「猫ジャケ」が見れます

    • 記事タイトルの右に一覧カタログのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました

    • Kate Bushの《Never For Ever》については「MUSIC TO EAT」を参照しました

    • 《Pascal Pinon》《Malinalli》《Bulls And Roosters》は再録(一部加筆・改稿)
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    Nothing To Fear

    Nothing To Fear

    • Artist: Oingo Boingo
    • Label: A&M Super Budget
    • Date: 1990/10/25
    • Media: Audio CD
    • Songs: Grey Matter / Insects / Private Life / Wild Sex (In The Working Class) / Running On A Treadmill / Whole Day Off / Nothing To Fear (But Fear Itself) / Why'd We Come / Islands / Reptiles And Samurai

    Pascal Pinon

    Pascal Pinon

    • Artist: Pascal Pinon
    • Label: Morr Music
    • Date: 2010/12/07
    • Media: Audio CD
    • Songs: Undir Heiðum Himni / Árstíðir / Baldursbrár / Ósonlagið / Djöflasnaran / I Wrote A Song / New Beginning / Moi / Sandur / Kertið Og Húsið Brann / En Þú varst Ævintyri

    Malinalli

    Malinallie

    • Artist: Maria Pien
    • Label: Elefante En La Habitacion!
    • Date: 2014/04/15
    • Media: MP3
    • Songs: Sol de Septiembre / Madera y Mano / Le Jardin / Lunes por la Madrugada / Los Hermanos / Una Palabra / Malinalli / El Muerto en la Heladera / Bachicha / El Sapo

    Tourist History

    Tourist History

    • Artist: Two Door Cinema Club
    • Label: Kitsune
    • Date: 2010/03/09
    • Media: Audio CD
    • Songs: Cigarettes In The Theatre / Come Back Home / Undercover Martyn / Do You Want It All? / This Is The Life / Something Good Can Work / I Can Talk / What You Know / Eat That Up, It's Good For You / You're Not Stubborn

    Catzilla

    Catzilla

    • Artist: Baja Frequencia
    • Label: Chinese Man
    • Date: 2017/10/06
    • Media: MP3
    • Songs: El Palo / Piranha / Que Calor / Badman A Badman / Know Who You Are / Ride On / Shenhai Dance

    Bulls & Roosters

    Bulls & Roosters

    • Artist: Together Pangea
    • Label: Nettwerk Records
    • Date: 2017/09/22
    • Media: Audio CD
    • Songs: Sippy Cup / The Cold / Kenmore Ave. / Money On It / Better Find Out / Peach Mirror / Gold Moon / Friend Of Nothing / Stare At The Sun / Southern Comfort / Bulls And Roosters / Is It Real? / Alison

    Never  For Ever(2018 REMASTER)

    Never For Ever(2018 REMASTER)

    • Artist: Kate Bush
    • Label: Warner Music
    • Date: 2018/11/16
    • Media: Audio CD
    • Songs: Babooshka / Delius / Blow Away / All We Ever Look For / Egypt / The Wedding List / Violin / The Infant Kiss / Night Scented Stock / Army Dreamers / Breathing

    Wax Chattels

    Wax Chattels

    • Artist: Wax Chattels
    • Label: Captured Tracks
    • Date: 2018/05/18
    • Media: Audio CD
    • Songs: Concrete / Stay Disappointed / It / Gillian / In My Mouth / Shrinkage / Career / NRG / Parallel Lines / Facebook

    Wallop

    Wallop

    • Artist: !!! (Chk Chk Chk)
    • Label: Warp
    • Date: 2019/08/30
    • Media: Audio CD
    • Songs: Let It Change U / Couldn't Have Known / Off The Grid / In The Grid / Serbia Drums / My Fault / Slow Motion / Slo Mo / $50 Million / Domino / Rhythm Of The Gravity / UR Paranoid / This Is The Door / This Is The Dub
    Feel The Music

    Feel The Music

    • Artist: Various Artists / Paul Major
    • Label: Anthology Recordings
    • Date: 2017/10/27
    • Media: Audio CD
    • Songs: The Travesty Of My Life / Run / Behold / Let It All Hang Out / Ruby / Passages / Blue Lightning / Saturday Thought / Denied / Where Do Clouds Go? / Captain Zella Queen / I Feel the Need To Carry On

    エレクトロニック・ミュージック 2

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  • ◎ ? (Tigersushi 2005) Sir Alice

  • Emilie SimonとNumbersを掛け合せたような感じでしょうか (Marianne Nowttonyも少し入っているかもしれない?‥‥ Sir AliceことAlice Daquetはフランスの女パンク〜エレクトロ・クラッシュ・ギャル。デビュー・アルバム《?》(“?”というのがタイトル名)はパンク、エレクトロニカ、ディスコ、テクノ、音響、ノイズ、ヴォイス・パフォーマンスが混然一体化した異色作。仏語なので意外とオドロオドロしくないし、舌足らずの可愛いラップ曲もある。輸入CDショップで偶然…#16



  • ◎ SCALE (Accidental 2006) Herbert

  • Doctor Rockit、Wishmountain、Radio Boyなど‥‥6つの顔を持つ男、Matthew Herbert。Herbert名義では《Bodily Functions》(2001)以来、5年振りのソロ作だが、前作との相違点は自ら歌っていること。と言ってもメイン・ヴォーカルにDani Scilianoを起用しているので、彼女のソロ・アルバムとの違いを見い出し難い。地と風と火の〈9月〉を引用した〈Something Isn't Right〉、シック風に洒落た〈Moving Like A Train〉、アブストラクト版Tom Tom Clubの...#17



  • ◎ UNTURE (Hyperdub 2007) Burial

  • ダブはレゲエからヴォイスを消したカラオケに、エコー&ディレイ処理加工を施したインスト音楽である。そのアナーキーなサウンドが暴力的に言葉を剥奪された人間の抵抗と絶望感を想像させる。1979年にDennis Bovellのプロデュースした2枚のアルバム──The Pop Group《Y》とThe Slits《Cut》が当時のニュー・ウェイヴに与えた影響は計り知れない。その後、英国で一世を風靡するグラウンドビート〜トリップホップ〜ドラムンベースも、進化したダブの一形態と捉えることも可...#18



  • ◎ MERRIWEATHER POST PAVILION (Domino 2009) Animal Collective

  • アニコレこと、Animal Collectiveの8thアルバム・タイトルになっている「Merriweather Post Pavilion」は米メリーランド州コロンビアにある野外コンサート会場(音響効果に優れている)の名称だが、そこでライヴ録音されたというわけではない。サイケデリックな「ウォール・オヴ・サウンド」。多幸感溢れる祝祭的なコーラス&ハーモニーの奔流に包まれる。音楽で作られたファンタスティックな桃源郷。《Sung Tongs》(Fat Cat 2004)や《Feels》(2005)の中に潜んで…#19



  • ◎ CERULEAN (Anticon 2010) Baths

  • Bathsは米カリフォルニア・ロス在住の宅録ミュージシャン、ウィル・ウィーゼンフェルド(Will Wiesenfeld)のソロ・プロジェクト。白地に水色の球体が描かれたデビュー・アルバム《空色》には驚かれる。心地良いグラウンドビート風トラックの上をシンセ、ギター、ピアノ、サンプリング、ノイズ、ヴォイス、コーラス‥‥などがアクロバティックに浮游するサウンドはアングラ・サーカス団の綱渡りや空中ブランコを観ているようで愉しい。蛇行回転する最新のジェットコースター…#20



  • ◎ EKSTASIS (Rvng International 2012) Julia Holter

  • Laurie Andersonの姪、それともJulianna Barwickの双子姉妹なのか?‥‥米ロサンゼルス出身のSSW、マルチ奏者の2ndアルバムは夢幻的なエレクトロニカでリスナーを魅惑する。可愛らしいヴォーカルとキーボードに、クラリネット、ヴィオラ 、アルト・サックスなどが響く異世界へトリップする。Julia Holterの神秘的なヴォイスは妖精の囀りにも、セレーンの誘惑にも聴こえる。カナダの詩人アン・カーソンのエッセイ集から採ったというアルバム・タイトルの〈Ekstasis〉はギリ…#21



  • ◎ QUARANTINE (Hyperdub 2012) Laurel Halo

  • 米ミシガン・アナーバー生まれのローレル・ヘイロー(Laurel Halo)はデトロイトやタイに移り住み、フリー・ジャズやテクノ・ミュージック、フォーク・ソングの洗礼を受けたという。その後、NYブルックリンに活動の拠点を移し、King Felix名義のEPなどで注目された彼女がダブステップを牽引する英レーベル(Hyperdub)からデビュー・アルバムをリリース。「検疫 ・隔離」(Quarantine)というアルバム・タイトルが示唆しているようなダーク・ポップ。シンセ・ドローンの幾重…#22



  • ◎ R PLUS SEVEN (Warp 2013) Oneohtrix Point Never

  • Oneohtrix Point NeverはNYブルックリンを拠点に活動するダニエル・ロパティン(Daniel Lopatin)のソロ・プロジェクト。《Replica》(Software Recording Co. 2011)の髑髏カヴァ‥‥手鏡に映った吸血鬼の真の姿は鬼面人を驚かす(リスナーを限定する)類いのものだったが、悪趣味なヴァージル・フィンレイ(Virgil Finlay)のモノクロ・イラストから一変して、スイスのアニメ作家ジョルジュ・シュヴィツゲベル(Georges Schwizgebel)の映像作品から採った4thア…#23



  • ◎ RUINS (Kranky 2014) Grouper

  • 法人類学者のテンペランス・ブレナンは「グルーピーよりもグルーパーの方が理に適っている」と発言していたが、諧謔的に自らGrouper(ハタ科の海水魚)と名乗るLiz Harrisのソロ・プロジェクトも良い感じ。2011年、彼女がポルトガル・アルジェズール滞在中にレコーディングしたというアルバムはオープニング曲の〈Made Of Metal〉とラストの〈Made Of Air〉(この曲だけは2014年に米ペタルーナの母の実家で録音されている)が呼応する構成になっている。今までのシュー…#24



  • ◎ PLATFORM (4AD 2015) Holly Herndon

  • Julia Holter、Laurel Halo、Jenny Hval‥‥Bjorkが切り拓いた前人未踏の荒野を女性たちが探検に出かける。米テネシー生まれの作曲家、ミュージシャン、音楽アーティストのHolly Herndon(灰色の瞳と赤毛の三つ編みヘアがトレードマーク)も女性探検隊の1人である。2ndアルバム《Platform》のエレクトロ〜エクスペリメンタル系のサウンドには気味悪さと心地良さが奇妙に混在している。耳触りが良くて、脳内もゾワゾワしちゃう?‥‥谷口暁彦(Akihiko Taniguchi)のPVで…#25



  • ◎ VARMINTS (Moshi Moshi 2016) Anna Meredith

  • BBCスコティッシュ交響楽団のコンポーザーだったという経歴を持つアンナ・メレディス(Anna Meredith)のデビュー・アルバム。Anna(エレクトロニクス、クラリネット、ヴォーカル)、Gemma Kost(チェロ)、Sam Wilson(ドラムス、シロフォン)、Jack Ross(ギター)という編成。高らかにファンファーレを鳴らすオープニングの〈Nautilus〉、Jack Rossと歌う変則リズムの〈Taken〉、インスト・ポリリズムの〈Scrimshaw〉、ヴォーカル多重唱の〈Something …#26



  • ◎ HOPELESNESS (Rough Trade 2016) Anohni

  • アントニー・ヘガティ(Antony Hegarty)から改名・性転換したアノーニ(Anohni)のソロ・アルバム。男なのか、女なのかという性別の穿鑿は意味がない。Anohniはフロルベリチェリ・フロルのようなトランスジェンダーなのだから。傾聴すべきは女性化したことで、一体どのように彼・彼女の音楽が変化したかである。Oneohtrix Point Never(Daniel Lopatin) 、Hudson Mohawke(Ross Birchard)の2人と共同プロデュースしたデュー・アルバムはエレクトロ色が濃い。…#27



  • ◎ HALO (Crammed Discs 2017) Juana Molina

  • 1人だけで録音した《Wed 21》(2013)から3年半‥‥フアナ・モリーナの7thアルバムは宅録から、スタジオ・レコーディングへ1歩踏み出す。テキサス郊外のスタジオで録音したアルバムにはライヴ・サポート・メンバーのOdin Schwartz (ベース、シンセ、ギター)とDiego Lopez de Arcaute(ドラムス)が参加している。John Dieterich(Deerhoof)がギターを弾く〈In The Lassa〉、6拍子の〈Paraguaya〉と〈Estalacticas〉、7拍子の〈Cosoco〉‥‥アルバム・…#28



  • ◎ SUIS UnE ILE (Heavenly 2018) Halo Maud

  • アロー・モード(Maud Nadal)はフランス・オーヴェルニュ出身の女性SSW。デビュー・アルバムはGwenno、Melody's Echo Chamber、Jane Weaverなどに通じる最新流行型のサイケデリック・ドリーム・ポップだが、「Francoise HardyからBjorkにひとっ飛びする弾力性のあるヴォーカル」に魅了される。共同プロデュースしたRobin LeducやBenjamin Gilber (Aquaserge)、Pablo Padovani(Moodoïd)が彼女を好サポート。英・仏語混じりで歌うBjorkっぽい〈Tu Sais C…#29



  • ◎ DoUBLE NEGATIVE (Sub Pop 2018) Low

  • アニコレの《Merriweather Post Pavilion》(2009)のように、良くも悪くも1年を象徴してしまうアルバムがある。米ミネソタ・ダルースで結成された3人組の12thアルバムもメンバーたちの思惑は兎も角、2018年に蔓延していた閉塞感を音像化している。自分だけが良ければという排他的利己主義、監視カメラの映像やクレジットカードの情報(閲覧履歴や購入記録)などでプライヴァシーが暴かれ、個人の行動や嗜好がビッグデータとして利用されてしまう管理社会。遅れて来た…#30


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    音楽月刊誌「ミュージック・マガジン」は「創刊50周年記念ランキング〜2020年代への視点」と題して2019年2月号からラップ / ヒップホップ、AOR / ヨット・ロック、50年の邦楽、ブラジル音楽、21世紀のシンガー・ソングライター、アフリカ音楽、エレクトロニック・ミュージック、50年のジャズ‥‥あらゆるジャンルの「オールタイム・ベスト100」を選出している。10月号は「R&B アルバム・ベスト100」とのことなので、年内に限れば残るところ後2回(11、12月号)‥‥ロックやパンク/ ニュー・ウェイヴ・ベスト 100はあるのだろうか(「エレクトロニック・ミュージック・アルバム・ベスト 100」にもBjorkは選ばれていなかった)。ジャンル別の「アルバム・ベスト100」をここまで延々と特集するとは思わなかった。創刊50周年企画ならば、オールジャンル、オールタイムで「ベスト500」を選出した方が分かりやすかったと思う。延べ1000枚にもなるような「ベスト・アルバム」が音楽ディスク・ガイドとして適切なのでしょうか。

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    • 記事が長くなってしまったので、15枚ずつ前後編2つの記事(1・2)に分けました

    • 「ミュージック・マガジン 8月号」 とは4枚、高橋健太郎とも4枚被っています^^;
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    ミュージック・マガジン 2019年 8月号

    ミュージック・マガジン 2019年 8月号

    • 特集:コーネリアス / エレクトロニック・ミュージック・アルバム・ベスト100
    • 出版社:ミュージック・マガジン
    • 発売日:2019/07/20
    • メディア:雑誌
    • 執筆者:安藤優 / 石川真一 / 石川真男 / 石田昌隆 / 今村健一 / 宇川直宏 / 大石始 / 大鷹俊一 / 小野島大 / 門井隆盛 / 川崎弘二 / 河村祐介 / 木津毅 / 近藤真弥 / 坂本哲哉 / 佐久間英夫 / 佐々木渉 / 四方宏明 / 高岡謙太郎 / 高橋健太郎 / 田山三樹 / 寺下光彦 / デンシノオト / 土佐有明 / 原雅明 / 廣川裕 / 松村正人 / 松山晋也 / ムードマン / 宗像明将 / ...

    6つも桃包む

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  • 街の噂の運び屋の一人、〈夢喰い虫〉のバクは、その日も徒労のまま劇場の奈落から這い出し、その途中ひどい立ち眩みを起こした。/ 劇場が一切の活動を停止して以来、すでに数箇月たつ。他の仲間たちはとうに劇場に見切りをつけて別の河岸へ移っていき、分厚く埃の積もった円形劇場の通路に足跡をつけるのは、今ではバクただ一人になっていた。複雑な浮き彫りに覆われた漆黒の硝子製円天井には、あちこちに灯とりの小さな穴が透かし彫りのように穿たれ、その無数の隙間から射しこむ薄い光線はドームのはるかな高みでジグザグに交差し、劇場内の空間に豊かな広がりを与えている。しかし最近はその光線も妙に埃っぽくなり 、今日も地下の楽屋には数人の雑役夫が眠りこけているだけだった。そして何一つ新しい情報を得られないまま無人の客席の長い階段をバクは一人で登ってゆき、その途中で貧血を起こしたのである。
    山尾 悠子 「夢の棲む街」


  • ⃞ 鳴いて露地またぐ獏、恋う告白、玉城ティナ
    近所を散歩していた玉城ティナは甲高い声を耳にした。子ネコが鳴いているのかと思って露地裏に入ると、白黒ツートンカラーの獏がいた。動物園から逃走したのだろうか、それとも民家から脱走したペットなのだろうか?‥‥突然の出遭いにビックリしていると、人に馴れているのか獏の方から近寄って来た。さらに驚いたことに人間の言葉を喋ったのだ。〈夢喰い虫〉のバクは街の噂を収集して街中に広める仕事をしていた。ある夜、漏斗状の街の中央広場にある円形劇場が崩落して奈落の底へ落ちた。硝子天井が砕け散り、虚空に舞い降る夥しい羽毛の渦を浴びて何も見えなくなり、羽毛が気管に詰まって息が止まって意識を失ったが、気がづくと見知らぬ街にいたという。「ここは一体どこなのですか?‥‥誰かの夢の中に入り込んでしまったのでしょうか」と彼女に訊ねる。「これは私の見ている夢なのかもしれない」とティナは疑う。「夢の棲む街」を読んで就寝した昨夜の夢なのではないかと。

    ⃞ ニャンドロイドは十色問屋に
    『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』(1968)の舞台は最終世界大戦後、死の灰(放射能物質)に汚染された地球。米サンフランシスコの高層集合住宅に住むリック・デッカード刑事は去年破傷風で死んでしまった羊のグルーチョの代わりに屋上で「電気羊」を飼っているが、植民惑星の火星から逃亡して来たアンドロイドの懸賞金で本物の動物を買うことを決心する。稀少な動物を所有していることがステータスになっていたからだ。アイボ(AIBO)は20年前にソニーが開発・販売していた「自律型エンタテインメントロボット」。PKD流にいえば「電気犬」である。ロボット事業からの撤退によって、2006年に製造中止となってしまったが、2017年に新アイボ(aibo)として復活した。アップルもアイボよりも一回り小さなネコ型ロボット(iCat)の開発を極秘に進めていた。2019年末のクリスマス商戦に発売予定。赤・青・緑・黄・黒・灰・橙・紫・茶・ピンク‥‥アップル製品を取り扱う問屋にはカラバリ全10色の可愛いニャンドロイドたちが出荷を待っている。

    ⃞ キャット棄権、力むキリン、激突山羊
    202X年夏、灼熱地獄の東京で「第1回アニマル・オリンピック」が開催された。ライオン、トラ、ゾウ、キリン、サイ、ゴリラ、クマ、パンダ、コアラ、カンガルー、ワニ、コンドル、イルカ、ペンギン‥‥など、世界各地の棲息する野生動物たちが新国立競技場に集結する。各国の代表ではなく、それぞれの動物の代表として参加しているところがヒューマン五輪との大きな違い。陸上競技の花形といわれる「100m走」の決勝は優勝候補ナンバー1のチーターが体調不良(下痢)で急遽棄権するというアクシデントが起き、金メダル争いは混沌として来た。決勝に進出した四つ足動物はライオン、クマ、オオカミ、キリン、ガゼル、バッファロー、ダチョウ、ウサギ、ネコの8頭。スタート直後、1コースを走っていたキリンが暴走してコースを外れて審判員の山羊に激突(失格)。身の危険を感じた2コースのネコは走行を途中で止めて棄権した。優勝したのは皮肉にも可愛いガゼルちゃんだった。

    ⃞ どーもくんは反撃。機嫌はパンク・モード
    「NHKをぶっ壊す!」という威勢の良いスローガンを掲げて参院選挙に当選した「N国」代表の物騒な言動は兎も角、「スクランブル有料放送化」という主張には賛同する。家にTVがあるだけで、NHKを視聴可能な環境にあるだけで受信料を毎月支払わなければならないという徴収制度には納得が行かない。そもそもNHKを殆ど視ることがないというか、民放局を含めて余りTVを視ない。日本国内にTVが普及する前、紙芝居のオジさんから只見はダメと注意されたものだが、視てもいない「電気紙芝居」に金を払わなければならないのは子供心にも理不尽と映るだろう。民放BSやCSのようにスクランブル放送にして、視たい人だけが料金を支払う方が理に適っている。地震や津波、台風情報など国民の生命に関わる緊急情報は無料放送日のようにスクランブルを解けば良いだけの話だ。地上波だけでなく、BSやオンデマンドからも使用料金を別途徴収するというのだから呆れる。NHK(の集金人)は村上春樹を「ウソつき呼ばわり」するよりも、お金を払っても視たい番組作りに精進するべきである。

    ⃞ ヤンバルクイナ午後来ない、来る?‥‥パン屋
    チコちゃんが3人に質問する。「なんで恐竜はいないの?」‥‥永遠の5歳児の解答は意外にも「恐竜はいる」だった。脊椎動物は進化の過程で魚類と両生類に分かれ、両生類から哺乳類、爬虫類に枝分かれして来た。爬虫類はトカゲ、ワニ、翼竜、恐竜に分類され、さらに恐竜は鳥盤類(トリケラトプス、ステゴサウルスなど)と竜盤類(ティラノサウルス、鳥類など)に分かれる。爬虫類の肢は横向きに生えているが、鳥類や恐竜の肢は下向きに生えている。1990年代に羽毛恐竜の化石が数多く発見されたことからも、鳥類と恐竜が仲間であることが分かって来た。6600万年前、地球に巨大隕石が衝突して恐竜は絶滅したけれど、環境の変化に適応した鳥類は生き延びた。巨大な恐竜は絶滅したのではなく、可愛い鳥類に進化したと考えると、都会の鳩やカラスまでもが愛おしくなる。沖縄本島北部に生息する天然記念物で絶滅危惧種のヤンバルクイナ(山原水鶏)ならば尚更である。

    ⃞ 「帰ってきた時効警察」 罪は3つ。在家、雨後死、滝で杖が
    「帰ってきた時効警察」(テレ朝 2007)から12年振りに「時効警察」(2006)が復活した。総武署・時効管理課の霧山修一朗(オダギリジョー)は迷宮入りした未解決事件を趣味で捜査する。時効になっているので事件を解明しても「犯人」を罪には問えない。「この件は誰にも言いません」と書かれたカードを手渡すだけである。2010年に殺人事件の時効が撤廃されたが、時効管理課は存続していた。米FBIに出向していた霧山が帰国して「怪訝の滝・殺人事件」を再調査する。1994年、上総武市の滝で溺死していた在家の男の死因は撲殺だった。凶器は滝壺の底に沈んでいた金属製の杖。死亡時刻は前夜に降った大雨の後と断定された。殺人・強盗・放火の凶悪事件。被害者の家は全焼し、金品も盗まれていた。三日月しずか(麻生久美子)、十文字疾風(豊原功補)、又来(ふせえり)、サネイエ(江口のりこ)、蜂須賀(緋田康人)、諸沢(光石研)、熊本(岩松 了)‥‥一癖も二癖もあるレギュラー陣に、新人刑事の彩雲真空(吉岡里帆)、鑑識課の又来康知(磯村勇斗)が加わる。

    ⃞ 公家、奈良で巫女穢した。わたし駆け込み寺、嘆く
    日本の僧侶が結婚して子供までいるのは腑に落ちない。世俗から離れ、煩悩を絶ち、家庭生活を捨てて出家した男に妻子がいるのは明らかに矛盾していないだろうか。生臭坊主・破壊僧という誹りから間逃れない。尼僧も結婚・出産しても良いことになっているらしいが、たとえば出家して仏門に入った瀬戸内寂聴に家族がいたら世間にどう思われるだろうか。閑話休題。ある公家が奈良の神社で巫女をレイプした。公家とは日本の朝廷に仕える貴族、今風に言えば政府に仕える高級官僚であろうか。特権階級の地位と権力を笠に着て幼気な処女を穢すとは鬼畜にも劣る言語道断の残虐行為である。ところが昔も今も変わらぬ世の常、時の権力者よって握り潰されてしまった。このまま泣き寝入りするかと思われた巫女は身の危険を感じて、京都の駆け込み寺へ逃げ込んだ。少女は嘆いて泣きながら住職に懇願した。その後出家して尼僧になった少女は小鳥に変身して空を自由に飛翔したという‥‥「これは少しの教訓を無しともしない昔むかしの絵ものがたり」。

    ⃞ 寝屋酷い!‥‥寸断、停電、断水、飛び屋根
    2019年9月9日未明、関東地方に上陸した台風15号は千葉県一帯に甚大な被害を及ぼした。「コンパクト」という気象庁の予報が1人歩きして甘く見ていたのか、行政機関の初期対応の遅れも指摘されている。台風一過から1週間も経つのに、千葉県内の約11万戸で停電が続いている。最大瞬間風速57.5m(千葉市中央区)の暴風で、電柱や鉄柱などが倒壊、街路樹なども倒木、民家の瓦屋根も吹き飛んだ。交通・情報網は寸断され、停電と断水でライフラインも絶たれた。ある民家の住人は耳を劈く途轍もない轟音で目が覚めると、寝室から夜空が見えた。屋根が吹き飛んで、寝室は一瞬にして青天井となった!‥‥エアコンが使えずに熱中症で緊急搬送される高齢者も続出、復旧した際の漏電による通電火災も起きている。早急に屋根を修復したくても屋根瓦は入手困難。瓦職人(瓦葺き工事業者)も後継者難で人手不足。壊れた屋根などを覆うブルーシートも足りないという。

    ⃞ 寒天売り「おあしす」が逗子あおり運転か?
    「あおり運転」が頻繁にニュースで報じられている。どうしてこんなに危険な案件が急増しているのかと不審に思うかもしれないが、何十年も前から連綿として繰り返されている事案である。「あおり運転」によって重大事故が発生したから(死亡者が出たから)、クローズアップされているだけのこと。高齢者の自動車事故(ブレーキとアクセルの踏み間違いによる暴走)も同じ。ケータイやドラレコの普及で事件や事故の映像が残っていることもメディアで喧伝されるで要因になっている。コンビニや飲食店の「迷惑動画」も然り。幼児虐待や児童苛めなども日常茶飯事で、被害者が死亡や自殺しないとニュースにはならない。痴漢や盗撮も警察官や自衛官、代議士や教師などが捕まらないと新聞記事にも載らない。逗子で起きた「あおり運転」も連日行列が絶えない老舗「おあしす」の搬送トラックだったから、ワイドショーなどで大きく取り上げられることになった。甘味処「おあしす」のフルーツ餡蜜は絶品なのですが。

    ⃞ 岡上淑子の切り貼りキノコ、詩と絵、鵜の顔
    「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」(東京都庭園美術館 2019)では全コラージュ作品113点を展示していたが、展覧会終了後に未発表のフォトコラージュ1点が発見された。処分されずに残ってた米グラフ誌、コラージュの素材として使用した「LIFE」の中に紛れ込んでいたという。黒地にマジック・マッシュルームのような巨大キノコと「不思議の国のアリス」を想わせる少女、彼女のフォトコラージュには珍しく、数行の「詩」が添えられている。スカートを穿いた少女の顔が鳥(鵜)の頭部に挿げ替えられているところが、いかにも岡上淑子らしいシュールな作品である。黒い羅紗紙を使用していることから、初期のコラージュだと思われる。その当時、文化学院デザイン科の学生だった彼女はマックス・エルンストのコラージュ画集を見るまで、エルンストもシュルレアリスムも全く知らなかったというから驚きである。「国が負けて、女性が解放され、自由を探る時代になったと、若い私は単純に思っていました。コラージュは、そんな私の青春でした」と語っている。

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     スニンクスなぞなぞ回文 #56

     ◯▢△◇かがみの孤城◎☆◎うよ死後の身がか◇△▢◯

     回文作成:sknys

     ヒント:死んだ◎☆の脳内世界


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    夢の棲む街

    夢の棲む街

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:1978/06/30
    • メディア:文庫(ハヤカワ文庫JA)
    • 目次:夢の棲む街 / 月蝕 / ムーンゲイト / 遠近法 / シメールの領地 / ファンタジア領 / 解説・荒巻 義雄

    時効警察

    時効警察

    • 出演:オダギリジョー / 麻生 久美子 / 豊原 功補 / ふせえり / 光石 研 / 岩松 了
    • メーカー:ポニーキャニオン
    • 発売日:2019/04/17
    • メディア:DVD-BOX(5DVD)
    • 内容:時効の事件には、おいしいご飯の湯気が似合うと言っても過言では無いのだ / 偶然も極まれば必然となると言っても過言ではないのだ! / 百万人に無視されても、一人振りむいてくれれば人はしあわせ…じゃない? / 犯人の575は崖の上 / キッスで殺せ! 死の接吻は甘かったかも? / 恋の時効は2月14日であるか否かはあなた次第 / 主婦が裸足になる理由...

    帰ってきた時効警察

    帰ってきた時効警察

    • 出演:オダギリジョー / 麻生 久美子 / 豊原 功補 / ふせえり / 光石 研 / 岩松 了
    • メーカー:ポニーキャニオン
    • 発売日:2019/04/17
    • メディア:DVD-BOX(5DVD)
    • 内容:嘘は真実を食べる怪物だと言っても過言では無いのだ! / 好きな理由よりも嫌いな理由の方がハッキリしてると言っても過言では無いのだ! / えっ!? 真犯人は霧山くん!? / 催眠術は、推理小説にはタブーだと言っても過言ではないのに… / 幽霊を見ても決して目をそらしてはいけないのだ / 青春に時効があるか否かは熊本さん次第! / ごく普通の主婦が...

    スニーズ・ラブ 56

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  • ♭ ネコが教えるアート史(2019-09-07)
  • 古代エジプト→ビザンティン→ルネサンス→ロココ→印象派→後期印象派→点描画法→象徴主義→フォーヴィズム→キュビズム→ダダイズム→デ・ステイル→マジックリアリズム→アール・デコ→シュルレアリスム→象徴表現主義→コブラ→ポップアート→ミニマリズム→グラフティ→ヤング・ブリティッシュ・アーティスト‥‥『21匹のネコがさっくり教えるアート史』(すばる舎 2019)はバステト神からダミアン・ハーストまで、21の芸術運動をネコが自らモデルとなって解説する美術入門書。モンドリアンの提唱した新造形主義(ネオ・プラスティシズム)の「デ・ステイル」、一般的にはシュルレアリスムと看做されるフリーダ・カーロの「マジックリアリズム」、短命に終わった美術集団「コブラ」(CoBrA)など、新しい視点もある。ニア・グールド(Nia Gould)のネコ・イラストは、それぞれのスタイル(技法)で描いていても、スーザン・ハーバートやシュー・ヤマモトの「ネコ名画」のように絵まで似せていないので、「オリジナル」を知らないと面白さが半減してしまう。

  • ♭ 夢の遠近法(2019-09-14)
  • 『夢の遠近法』(筑摩書房 2014)は『山尾悠子作品集成』(国書刊行会 2000)の廉価版として出版された初期作品自選集(2010)に「パラス・アテネ」「遠近法・補遺」を追加した増補文庫版。「夢の棲む街」と「遠近法」を抱き合せたようなタイトルは澁澤龍彦の『夢の宇宙誌』(1964)や『記憶の遠近法』(1978)とも響き合う。〈夢喰い虫〉のバクが円形劇場の崩壊「夢の棲む街」。大学生の叡里が従姉の娘・真赭(ますほ)と夏の京都の宵闇を散策する「月蝕」。水蛇と銀眼が月の門を目差す「ムーンゲイト」、〈腸詰宇宙〉をボルヘス流に描いた「遠近法」、糸を吐いて繭籠る種族が刺客に滅ぼされる「パラス・アテネ」(連作「破壊王」の1作目)、シノワズリ(中国趣味)のショート・ショート5篇から成る「童話・支那風小夜曲集」、風に乗って浮游する侏儒たちを素描した「透明族に関するエスキス」、分身(かれ)を射殺した「私」がエレヴェータ内に閉じ込められる「私はその男にハンザ街で出会った」‥‥など全11篇を収録。巻末の「自作解説」のメチャ面白い。

  • ♭ 接合された少女(2019-09-21)
  • 「表現の不自由展」(あいちトリエンナーレ2019)の中止で思い出した作品がある。「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」(森美術館 2008)のカタログに載っていたチャップマン兄弟(Jake & Dinos Chapman)の〈昇華されないリビドーモデルとしての接合子の増殖〉(Zygotic Acceleration, Biogenetic De-sublimated Libidinal Model (Enlarged x 1000) 1995)である。気になって調べてみたら、初の個展(1996)のために出品しようとしたが、税関の検閲で英国へ返還されてしまったという。「マネキン少女たち」は展示中止どころか、入国さえ出来なかったのだ。〈猫のオインゴ〉で紹介した《Never For Ever》(1980)の「CDカヴァ」が日本ではトリミングされていたことも初めて知った。少女のスカートの中から出て来る魑魅魍魎を猥褻だと思ったのでしょうか?‥‥ピーテル・ブリューゲルやヒエロニムス・ボスは良くても、ニック・プライスは自主検閲する人間の思考回路の方が魑魅魍魎よりも不気味ではないかしら?

  • ♭ 少女と小鳥たち(2019-09-28)
  • 『小鳥たち』(スチュディオ・パラボリカ 2019)は幻想作家と人形作家によるコラボ本。山尾悠子の歌集『角砂糖の日 新装版』(LIBRAIRIE6 2016)の挟み込み付録品だった手篇「小鳥たち」、『夜想#中川多理──物語の中の少女』(2018)に掲載された続編「小鳥たち、その春の廃園の」、書き下ろし「小鳥たちの葬送」‥‥〈小鳥に変身する城館勤めの侍女たち〉のイメージを気に入った中川多理が〈物語の中の少女〉シリーズの1つとして作品化した。3篇の小説と人形たち(写真30点)が織りなす可憐で妖しい幻想譚。「小鳥たちの葬送」に登場する黒衣の人形たちは伊フィレンツェ、ピサ、チンクエテッレで撮影されている。「鳥に変身する少女」は『飛ぶ孔雀』(文藝春秋 2018)にも登場する作者お気に入りのイメージ。『小鳥たち』も「鳥少女」の変奏曲であろうか。今どき珍しい薄桃色の糸綴じ製本で、奥付にはミルキィ・イソベ(発行人)や今野裕一(編集)の名前もある。


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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2019-09)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    21匹のネコがさっくり教えるアート史

    21匹のネコがさっくり教えるアート史

    • 著者:ニア・グールド(Nia Gould)/ 上杉 隼人 (訳)
    • 出版社:すばる舎
    • 発売日:2019/06/16
    • メディア:単行本
    • 目次:古代エジプト / ビザンティン / ルネサンス / ロココ / 印象派 / 後期印象派 / 点描画法 / 象徴主義 / フォーヴィズム / キュビズム / ダダイズム / デ・ステイル / マジックリアリズム / アール・デコ / シュルレアリスム / 象徴表現主義 / コブラ / ポップアート / ミニマリズム / グラフティ / ヤング・ブリティッシュ・アーティスト


    山尾悠子作品集成

    山尾悠子作品集成

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:国書刊行会
    • 発売日: 2000/06/01
    • メディア:単行本
    • 目次:夢の棲む街 / 月蝕 / ムーンゲイト / 堕天使 / 遠近法 / シメールの領地 / ファンタジア領 / 耶路庭国異聞 / 街の人名簿 / 巨人 / 触 / スターストーン / 黒金 / 童話・支那風小夜曲集 / 透明族に関するエスキス / 私はその男にハンザ街で出会った / 遠近法・補遺 / 破壊王(パラス・アテネ / 火焔円 / 夜半楽 / 繭「饗宴」抄)/ 支那の禽 / 秋宵 / 菊 / ...


    Zygotic Acceleration, Biogenetic De-sublimated Libidinal Model (Enlarged x 1000)

    Zygotic Acceleration, Biogenetic De-sublimated Libidinal Model (Enlarged x 1000)

    • Artist: Jake & Dinos Chapman
    • Date: 1995
    • Media: Mannequin / Mixed Media / Wigs And Trainers


    魔物語

    魔物語

    • アーティスト: ケイト・ブッシュ
    • レーベル:東芝EMI
    • 発売日: 1987/02/25
    • メディア: CD
    • 曲目: バブーシュカ / ディーリアス(夏の歌)/ 死者たち / わずかな真実 / エジプト / ウエディング・リスト / バイオリン / 少年の口づけ / 木の精は夜の香り / 夢見る兵士 / 呼吸


    小鳥たち

    小鳥たち

    • 著者:山尾 悠子 / 中川 多理
    • 出版社:ステュディオ・パラボリカ
    • 発売日: 2019/07/29
    • メディア:単行本
    • 目次:小鳥たち/ 小鳥たち、その春の廃園の / 小鳥たち / 小鳥たちの葬送 / 中川多理さんと小鳥たちのこと──あとがきに代えて・山尾 悠子 / あとがき・中川 多理


    角砂糖の日(新装版)

    角砂糖の日(新装版)

    • 著者:山尾 悠子
    • 挿画:合田 佐和子 / まりの・るうにい / 山下 陽子
    • 出版社:LIBRAIRIE6
    • 発売日:2016/12/15
    • メディア:単行本(歌集)
    • 内容: 1982年に深夜叢書社より刊行された山尾悠子による唯一の歌集『角砂糖の日』を2016年12月LIBRAIRIE6より新装版として復刊致しました!新装版特典として書き下し掌編小説『小鳥たち』を収録


    夜想#中川多理──物語の中の少女

    夜想#中川多理──物語の中の少女

    • 著者:中川 多理
    • 出版社:ステュディオ・パラボリカ
    • 発売日::2018/05/31
    • メディア: 単行本
    • 目次:人狼の少女「カファルド」ボナ・ド・マンディアルグ / ヴァニーナ「海の百合」アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ / マルスリーヌ・カイン「仔羊の血」アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ / エレンディラ「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」ガルシア・マルケス / アルビノの少女「氷」アンナ・カヴァン / 皆川博子 そこは、わたしの人形の / 山尾悠子 小鳥たち、その春の廃園の / 森島章人 指紋...

    ネコ・ログ #55

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  • 猫はしっぽでしゃべる。たとえば、毛の流れと逆方向に撫でられたり、耳元で大声を出されたりしたら、いらいらしてパタパタとしっぽをたたくようにふる。ほっといてくれ、と言っている。寝ているときに名前を呼ぶと、面倒くさいからしっぽだけで返事する。はいはい 、って感じだろう。ご機嫌なときは、しっぽがぴんと真上に立っている。甘えたいときは、ねえねえと、長いしっぽを人間の体に添わせてくる。/ 人間にも、しっぽがあればいいのにとたまに思う。しっぽでしゃべることが出来れば、もしかしたら、言葉を使うより意思の疎通が楽かもしれない。考えていることを言葉に置き換えるということは、何十年生きていても、とても難しい。間違ってばかりいる気がする。しっぽをぱたぱたしている猫の気持ちのほうが確実だ。
    田尻 久子 「路地裏の猫」


  • #487│イラ│飼い猫 ── 僕もボヘミニャン
    『ボヘミニャン・ラプソディ』(シンコーミュージック・エンタテイメント 2019)は映画「ボヘミアン・ラプソディ」に便乗した写真集。フレディ・マーキュリーとインスタグラムに投稿されたネコ写真で構成されている。ボヘミアン(Bohemian)とは「自由奔放な生活をしている人」のこと。個人情報を抜き取られてビッグデータ化される高度管理・監視社会での生活を余儀なくされる現代人よりも、自由気儘に生きているネコちゃんにこそ相応しい言葉である。これからはノラ猫のことを「ボヘミニャン」と呼ぼう。イラは同じロシアンブルーのジョジやスコティッシュ・フォールドのリリ、ノルウェーの森のノルちゃんなどと共に低層住宅が立ち並ぶ地区で暮らしている。久し振りに訪れたら、ビックリ眼のイラちゃんと出会えた。他のネコたちを探していると、民家に住む事情通のオバさんたちが地域限定の「ネコ情報」を教えてくれる。最近ネコたちを見かけなくなったという。

    #488│ロン│ノラ猫 ── ピントは目に合わせてね
    連日の猛暑で注意力が散漫になっていたのか、デジカメのレンズキャップを無くしてしまった。キャップだけならば今までに何度か紛失したことがあるけれど、今回はプロテクト・レンズごと落としてしまった。首から下げているミラーレス・カメラ(NEX-5N)から散歩中に脱落したのだから気づきそうなものだが、何時何処で落としたのか全く分からない。高温でレンズの捻じ切りが膨張して緩んだのだろうか。8年間も使用して来たので、今さらレンズキャップやプロテクト・レンズだけを新たに購入する気にはなれない。タイミング良く今秋発売されるミラーレス(α6600)と標準ズームレンズ(E16-55mm F2.8 G)に買い替えようかと思案しているところだ。動物の目にも自動でピントが合う「リアルタイム瞳AF」と2.8通しの明るさに惹かれる。ネコ撮りに携帯するカメラとしてはギリギリの大きさと重さ(カメラとレンズで約1kg)だが、30万という金額が重量以上に重く伸しかかる。

    #489│サツキ│飼い猫 ── ウインクするネコ
    先日通ったことのない細い裏道から都電沿線に出ると、民家の前に三毛ネコが座っていた。初対面だったので挨拶して写真を撮っていたら、隣家の住人が「ミーちゃんは飼主だけにお手をする」と教えてくれた。ネットには招き猫みたいに片手を上げて飼主とハイタッチする「ネコ動画」などもアップされているが、ネコを躾けて芸を仕込むのは難しい。「お手」と言って、掌を目の前に出しても無反応。舌でペロペロと舐めてくれるだけ。ネコの柔らかくてプニュプニュした肉球を手で掴むと、ネコは嫌がって手(前肢)を引っ込めてしまう。T図書館裏のサツキ(本名)ちゃんは大人しくて撮りやすいネコ。茶系サバトラと淡い緑色の目、金色のペンダントがアクセントになっている。黒ネコのソランちゃんは上空の鳥を見上げる時に片目を瞑って見ていたが、サツキちゃんは気を惹こうとしてウインクしたわけではない。左の台座に凭れかかっているので、左頬が圧迫されているだけです。

    #490│メタ│ノラ猫 ── ダイエットするの?
    メタボ体型化したMacBook Pro(13-inch, Late 2011)のバッテリを外したら、CPUの処理速度が抑制されてレスポンスが遅くなった。冷却ファンは回らなくなったが、虹色の丸いカーソルが回転するようになってしまった。それでもトラックパッドをクリック出来ない、膨張したバッテリがトラックパッドを圧迫している最悪の状態が無料で修繕されたのだから良しとしよう。デスクトップ(据え置き型パソコン)として使用しているので、バッテリ無しでも殆ど支障はない。K浜東北線沿いの歩道で時々見かけるメタちゃんはノラ猫なのに栄養状態が良いのか丸々と肥っている。日中はフェンスの向こう側の空き地で寝ているのか、日暮れ時に出会うことが多い。耳先カットされた左耳が痛々しいけれど、本人は気にしていないようで、人懐っこくて可愛い。

    #491│セン│飼い猫 ── 図書館猫シャミー
    S石図書館のエントランス前に三毛ネコが寝ている。近所の民家で飼われている老齢ネコなのだが、毎日欠かさず図書館へ通って来るという。猛暑の夏場も冷房の効いた図書館内に入ろうとはしない。リードに繋がれた犬ならば、図書館から出て来る主人を待っていると分かるけれど、図書館前のセンちゃんが人待ちしているわけではない。頻繁に出入りする利用者も意に介さない。顔見知りの人が近寄って柔らかな毛並みを撫でるとニャーと鳴く。子供たちに手荒く弄られても逃げ出さない(逃走するのが億劫なのかもしれない)。ネコは明らかに嫌がっているのに、保護者は口頭で注意するだけで傍若無人の行為を制止しようとはしない。暫くすると図書館の中庭を歩き、門を潜って棲家へ帰って行く。センちゃんの後ろ姿を見送っていると、事情通の男性が「◯◯(本名)ちゃんは一緒に暮らしている飼いネコとの折り合いが悪くて外に出て来るらしい」と話してくれた。

    #492│レイ│ノラ猫 ── 令和ニャンニャン組
    2019年5月1日、年号が「平成」から「令和」になっても世の中は余り変わり映えしない。日本人のメンタリティに深く沁み入ることなので表面上の変化は見られない。10月1日からの消費税アップ(8→10%)の方が世間的には大きいかもしれない。僅か2%の上昇なのに(軽減税率も一部で適用される)、トイレットペーパーやシャンプーなどの生活必需品を買い溜めしてしまうのは消費者の悲しい習性でしょうか。新年号も消費税もネコたちには殆ど関係ない。ネコおばさんがレイちゃんに運んで来るキャットフードの味が多少落ちることになるかもしれないけれど。「令和」の考案者とされる国文学者・中西進氏は新聞のインタヴューの中で 「もがき苦しんで死んでいったのです。そんな戦争を知る人間が軍国化へと向かうことを、いいと言えますか」 「もののふが出たがっている。『改憲』の中身が問題だ」 「『令和』は、麗しく、争わない国のことです。いまの日本人の皮膚感覚に合っているのです」 と語っている。

    #493│アニ│飼い猫 ── すべてのネコも平等である
    ジョージ・オーウェルの『動物農場』(1945)をコミック化した石森章太郎の『アニマル・ファーム』(1970)に登場するネコはスノウボールのスパイと看做されてナポレオンのイヌたちに咬み殺されてしまうが、原作では搾取される動物たちの群れから姿を消して生き延びたようだ。「すべての動物は平等である」という動物主義の七戒は「すべての動物は平等である。だが一部の動物は他よりもっと平等である」というスローガンに掏り替えられてしまう。「一部の動物」とは指導者ナポレオンたち(ブタ)のことである。皮肉なことに亥年の令和元年(2019)、野生の猪から感染した「豚コレラ」によって、数万頭もの豚が殺処分された。家畜として人間に摂取されてしまう牛、豚、鶏などは兎も角、ペットショップで売られている純血種もヴォランティアに保護された捨てネコも家ネコもノラ猫も‥‥すべてのネコは平等である。昨年生まれたアニちゃんは人間たちに反旗を翻したりはしないけれど。

    #494│アオ│ノラ猫 ── 黒い猫と青い網
    往来する多くの老若男女、密集する飲食・歓楽街、軒を連ねる家並み、狭い道路を走る自動車や自転車‥‥都会は環境も景観も悪く、ネコたちが日々生活するには不向きで、写真もインスタ映えしない。人混みやゴチャゴチャした人工物の少ない田舎や、海外の風光明媚なところで暮らすネコを撮りたいと切に思う。ところが殺風景な都会(23区内)をネコ歩きしていて、不思議な「ナニコレ珍百景」に出遭ってしまうことがある。たとえば2年前に撮った「黄色い人と茶虎ネコ」‥‥ゴミ置き場の手摺りに纏めてある黄色いネットが、跪く人間に見えたので、写真を撮っていたら絶妙のタイミングでネコちゃんが来た。集合住宅の入口にある小さな公園で黒ネコを撮っていたら、たまたまカラス除けの青いゴミネットの前で静止した。まるでレースのカーテン越しに大雨で氾濫した川や屋外プールが映っているように見えなくもない。偶然の産物ですが、「ネコとネットは使いよう」と思ったりして。

    #495│ペタ│飼い猫 ──腹這いするネコ
    子ネコの成長は早い。約1年前に生まれたペタちゃんやアニちゃんも立派な大人ネコになった。三毛母ネコの庇護の許で見守られていた子猫時代は草葉の陰で身を潜めていたが、自立して自由気儘な単独行動をするようになってからは人が来ると慌てて逃げ去るようになってしまった。自ら身を護るための警戒心が芽生えたのだろうか。通路を自転車で往来する男性も「通りかかっただけで逃げ出すようになった」と残念そうに話す。母ネコも「もう子育ては終わったわ」と言わんばかりに、もう可愛い子供たちを護るために人と対峙‥‥強い眼差しで睨んだりはしない。つまり母子の写真を撮り難くなったということである。それでも日日根気良く、辛抱強く手招きして、ネコたちとの距離を縮めようと試みている。いつか馴れてくれるのではないかという淡い期待を抱いて。
     
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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第55集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリック490匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第55集の常連ネコはノルウェーの森のロンちゃん。図書館ネコのサツキちゃんとセンちゃんも準レギュラー化しました。『猫はしっぽでしゃべる』(ナナロク社 2018)は熊本県で小さな本屋「橙書店」を営む田尻久子のエッセイ集。尻尾が欲しいという切実な思いは谷崎潤一郎もエッセイ「客ぎらひ」の中で書いていました。人と会話するのが面倒な時に、シッポで返事(意志表示)出来るのは便利にゃん。シッポではなくても、魔猫ギュスターヴくんのようなアンテナが頭上にあるだけで愉しい。ネコミミならぬネコアンテナを頭に立てる‥‥嫌いな人が近づいて来ると、パトカーの赤色灯みたいに点滅するとか?

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました

    • 中西進氏の発言は「一語一会」(朝日新聞 夕刊 2019・9・5)から引用しました
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    猫はしっぽでしゃべる

    猫はしっぽでしゃべる

    • 著者:田尻 久子
    • 出版社:ナナロク社
    • 発売:2018/05/23
    • メディア:単行本
    • 目次:小さな本屋が町にあるということ / 蛇口と涙腺 / 丁度読みたかった本 / 路地裏の猫 / 団地 / 遠くへ行く / 被災地とことば / 坂口恭平について / 酔っぱらったいきおいで詩を買う / 写っていないもの / おわりとはじまり / 清志郎の命日 / お店 / 錆びたトタン / ことば / 自習室 / お祝い / ふりかえる / あとがき / 書籍リスト /「橙書店・田尻久子さんに寄せて」

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    • 編集人:西村 浩一
    • 出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 発売日:2019/04/25
    • メディア:単行本
    • 目次:フレディとねこのはなし / ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん / フレディとうたおう!フレディをまねよう!/ ねこのさくいん

    動物農場〔新訳版〕

    動物農場〔新訳版〕

    • 著者:ジョージ・オーウェル(George Orwell)/ 山形 浩生(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2017/01/07
    • メディア:文庫(ハヤカワepi文庫)
    • 目次:動物農場 / 報道の自由:『動物農場』序文案 /『動物農場』ウクライナ語版への序文 / 訳者あとがき

    スニーズ・ラブ 53

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  • ♭ アナタも眠れない(2019-06-01)
  • 〈アルゼンチン音楽を聴こう〉という記事で、21世紀以降にリリースされたアルバム15枚を選出して感じたことは2002年に逝去したSpinettaの影響力、失ったものの大きさだった。弟Gustavo(ドラムス)のバンドAmelは兄の遺志を継ぐようなアルバム《2853》 (Epsa 2015)、Flor Oteroはオマージュ・アルバム《El Juego Verdadero》(2016) をリリースした。Spinettaのライヴ・アルバム《Obras En Vivo》(Interdisc 2002)には《Silver Sorgo》(2001)から3曲‥‥〈El Mar Es De Llanto〉、〈El Enemigo〉の異名同曲〈La Verdad De Las Grullas〉、ボーナス・トラックとして〈Tonta Luz Remix〉も収録されている。〈Don't Bother Me〉は1カ月前に死去したGeorge Harrisonへ捧げたオマージュ。ハード・ロックの〈Ana No Duerme〉(1969)は姉Anaのことを歌ったわけではないが(映画プロデューサーのAna Aizenbergのことらしい)、「アナは眠らない」のではなく、こんなに騒々しくては姉さんでなくても「眠れない」のではないかと勘繰ってしまう。

  • ♭ ニール・ヤング回想(2019-06-08)
  • 2巻本の『ニール・ヤング自伝』(白夜書房 2012)に続く『ニール・ヤング 回想』(河出書房新社 2019)は愛車に纏わるエピソードを中心に綴った「自伝」の特別版。最初は「車と犬」について書く予定だったが自己分析した結果、ある晩遅く「世界一ひどい犬の飼い主かもしれない」と気づいて、「歴代の愛車」に変更したという。ステージ上での癇癪、マリファナやコカインの摂取、妻と子供たち、亡くなった友人たちへの追悼‥‥音楽については余り語っていないが、文中に自作曲の歌詞を多く引用。「SPECIAL DELUXE」という原題も音楽アルバム用語ではなく、1950年型プリムス・スペシャル・デラックス・セダンから採られた。しかし、これほどまでのヴィンテージカー・マニアとは知らなかった。本人も「ほとんど病気だ」と書いているくらいだ。最終章は二酸化炭素を大量放出する化石燃料車による地球温暖化を憂慮し、新たな発電システムとバイオ燃料で走る愛車を開発するために自ら立ち上げたリンクヴォルト(LincVolt)に割かれている。全40章の扉絵は《Storytone》(Reprise 2014)のアルバム・カヴァのような愛車の自筆イラストで飾られている。

  • ♭ 猫はボヘミニャン(2019-06-015)
  • 1991年に亡くなったフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)は大のネコ好きだった。トム、ジェリー、ミコ、リリー、ロメオ、オスカー、ティファニー、ドロシー、ゴライアス、デライア‥‥愛猫に捧げた〈Deliah〉という曲もあるくらい。『ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ』(シンコーミュージック 2019)は大ヒットした映画「ボヘミアン・ラプソディ」(Bohemian Rhapsody 2018)に便乗したネコ写真集。生前のフレディとインスタグラムに投稿されたネコ写真で構成されている。「フレディとねこのはなし」ではネコの登場する場面が40カットもあるという映画やブライアン・メイに代わってフレディが歌う〈All Dead, All Dead〉のネコ・アニメ・ヴァージョンPVなどを紹介。「ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん」ではフレディの口髭と同じように鼻の下が黒いネコが集合。「フレディとうたおう!フレディをまねよう」ではネコたちがフレディと同じポーズを決める。いつだって猫はボヘミニャン。

  • ♭ バッテリの膨張(2019-06-22)
  • 数年前から騙し騙し使っていた MacBook Pro(13-inch, Late 2011)のトラックパッドが硬くなって、クリックし難くなった。腱鞘炎になるくらいの力を指先に込めて押さないと反応しなくなってしまった。内部のバッテリが膨張して圧迫していることが原因だった。アップル・サポートに電話すると、古い型番なのでバッテリ交換には応じられないが、取り外すことは可能かもしれないという。その場でジーニアスバーに予約を入れてもらって、「アップルストア渋谷」へ行った。予約時間前に着いたのに速やかな対応で、十数分後に修理完了(バッテリ交換は2万円と聞いていたので、数千円の出費は覚悟していたが、意外にも無料だった)。電源プラグを抜いた瞬間にブラックアウトしてしまうけれど、iMacのようなデスクトップ・パソコンとして使用していたので殆ど支障はない。異常に膨らんだバッテリを外したら、見違えるような美しい体型にダイエットした。筐体のガタつきは一切しないし、クリック音も小気味好い。レスポンスが多少遅くなったことには目を瞑ろう。

  • ♭ イントロ異聞(2019-06-29)
  • 「天声人語」(2017・12・27)にイントロが短くなっているという記事が掲載されていたが、前奏だけでなく曲全体も短くなっているようだ。Pitchforkの「年間ベスト・アルバム第1位」に選ばれた日本人女性Mitkiの《Be The Cowboy》(Dead Oceans 2018)は全14曲・33分だった。アルバムの収録時間も短くなっていて、ジャンルに関わらず20数分も珍しくない。Tierra Whackの《Whack World》(同9位)に至っては全15曲・15分という潔さである。これは音楽の聴き方(購買形態)が変わったことと無関係ではない。ネットから1曲単位で買えるようになってからアルバムを通して聴くことが少なくなり、定額制になってからは1曲も聴かなくなってしまった(聴こうが聴くまいが同じ金額なのだから、長いイントロはスキップしても痛くも痒くもない)。慣れというのは怖しいもので、アルバム収録時間は30分が普通、40分もあると逆に長いと感じてしまう。The Beatlesの《Revolver》(1966)は全14曲・35分‥‥60年代にタイム・スリップしたような奇妙な気分である。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2019-06)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    Obras En Vivo

    Obras En Vivo

    • Artist: Spinetta
    • Label: Polygram
    • Date: 2002/08/01
    • Media: Audio CD
    • Songs: No Te Busques Ya En El Umbral / Ekate / Don't Bother Me / El Mar Es De Llanto / Mi Sueño De Hoy / No Ves Que Ya No Somos Chiquitos / Al Ver Verás / Sagrado Tesoro / Perdido En Tí / La Verdad De Las Grullas / Ana No Duerme / Tonta Luz Remix (Bonus Track)


    Storytone(Deluxe Edition)

    Storytone(Deluxe Edition)

    • Artist: Neil Young
    • Label: Reprise / Wea
    • Date: 2014/11/10
    • Media: Audio CD(2CD)
    • Songs: Plastic Flowers / Who's Gonna Stand Up? / I Want To Drive My Car / Glimmer / Say Hello To Chicago / Tumbleweed / Like You Used To Do / I'm Glad I Found You / When I Watch You Sleeping / All Those Dreams / Plastic Flowers / Who's Gonna Stand Up? / I Want To Drive ...

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    • 編集人:西村 浩一
    • 出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 発売日:2019/04/25
    • メディア:単行本
    • 目次:フレディとねこのはなし / ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん / フレディとうたおう!フレディをまねよう!/ ねこのさくいん

    Apple 渋谷

    Apple 渋谷

    • 住所:150-0041 東京都渋谷区神南1-20-9 公園通りビル
    • TEL:03-6670-1800
    • 営業時間:月曜日~日曜日(10:00~21:00)
    • アクセス:Apple 渋谷は、渋谷区宇田川町、渋谷公園通りの西武渋谷店の向かい側にあります。最寄りの駐車場は、公園通り反対側の西武渋谷店モヴィーダ館地下、西武パーキングセンターです。公共交通機関をご利用の場合は、副都心線、半蔵門線、銀座線の渋谷駅が最寄駅となります


    Be The Cowboy

    Be The Cowboy

    • Artist: Mitski
    • Label: Dead Oceans
    • Date: 2018/08/17
    • Media: Audio CD
    • Songs: Geyser / Why Didn't You Stop Me? / Old Friend / A Pearl / Lonesome Love / Remember My Name / Me And My Husband / Come Into The Water / Nobody / Pink In The Night / A Horse Named Cold Air / Washing Machine Heart / Blue Light / Two Slow Dancers


    Whack World

    Whack World

    • Artist: Tierra Whack
    • Label: Tierra Whack
    • Date: 2018/5/30
    • Media: MP3
    • Songs: Black Nails / Bugs Life / Flea Market / Cable Guy / 4 Wings / Hookers / Hungry Hippo / Pet Cemetery / Fuck Off / Silly Sam / Fruit Salad / Pretty Ugly / Sore Loser / Dr. Seuss / Waze

    ネコ・ログ #54

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  • フレディは亡くなるまで猫を愛しました。トム、ジェリー、ミコ、リリー、ロメオ、オスカー、ティファニー、ドロシー、ゴライアス、デライア‥‥これらは彼が可愛がった猫達の名前です。その中のデライア(三毛猫)は、「愛しのデライア」という歌にまでしてもらうほど大事にされました。〔‥‥〕/ クイーンのアルバム『世界に捧ぐ』の40周年記念として2017年に新たに制作された「オール・デッド」のミュージック・ビデオも、フレディと猫好きには見逃せないものです。オリジナルの作曲と歌はブライアン・メイですが、この40周年記念ヴァージョンではそれまで未発表だったフレディのヴォーカルがフィーチュアされているのです。しかも、全編アニメーションで描かれた当ビデオの主役は、ブライアンが幼少時に共に暮らしたピクシーという名のハチワレの黒白猫とのこと。そして、この子の動きや仕草が実に生き生きと猫猫しくて見入ってしまうのです。ブライアンがピクシーを通して亡きフレディに思いを伝えているようにも見える本作は、きっとフレディもお気に入りなのではないでしょうか。
    『ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ』


  • #478│ガク│ノラ猫 ── 窓の向こうのニャンコ
    ガングロ・サビネコのガクちゃんはタクシー運転手の飼っていたネコだった。大柄で大人しい性格で、近づいても逃げ去ったりしない。被写体としては理想的なネコだった。最近見かけなくなったなぁと気に懸けていたら、裏手のアパートに住んでいた「運転手がネコを置いて引っ越してしまったので、今は私が室内で飼っている」と民家の女性が話してくれた。座敷ネコになったので、滅多に外に出ることはない。もう撮る機会はないのかと残念に思っていた。ある日家の前を通りかかると、都電A川線に面した窓からガクちゃんが外を眺めていた。カメラを向けると、興味深そうに見つめ返す。ガラス窓越しの撮影なのでペットショップや動物園の写真のように不鮮明だが、幸い後景の映り込みもなくピントも目に合っている。都電の見える眺めの良い部屋には他のネコもいるので、今後チャンスがあれば「盗撮」したい。

    #479│ソラン│飼い猫 ──カレンダー・キャット
    お気に入りのネコ・カレンダーを作るとしたら、黒ネコのソラン、長毛種のロン、白茶のソン、茶トラのレイ、三毛ネコのアン、スコティッシュ・フォールドのミス‥‥などの常連ネコたちが12カ月を飾るでしょう。春は桜、夏は海、秋は紅葉、冬は雪‥‥という風に四季の移ろいを反映させたいけれど、季節感の乏しい都会では難しい。どの月にどのネコ写真が入るかは未定ですが、5月だけはサバトラのサツキ(皐月)ちゃんに決まっています。ちなみに「CALENDAR」にネコ写真を使うようになったのは2012年からで(2011年までは花や「猫町ナーゴ・カレンダー」の写真だった)、ニャゴ(縞ネコ)、サクラ(鯖トラ)、ムンク(灰ネコ)、タバス(雉トラ)、アオ(白ネコ)、ソラン(黒ネコ)、グリ(三毛)が年間のカレンダー・キャットになっています。今まで「CALENDAR」に登場したことのない茶トラや白黒ブチなども入れたいなぁ。

    #480│キノ│飼い猫 ── 良く似た寄り目ちゃん
    ガクちゃんの棲む民家の並び、クルマが停車していたり空車だったりする1階ガレージの前や奥に良く似たサバトラ兄弟姉妹がいる。何匹いるのかどうかは不明だが、親子・親類・縁者などの一家だろうか。毛色や模様も容貌も寄り目なところも双子のように良く似ている。目の前は歩道と車道、その向こうは都電A川線である。都電沿いをMノ輪方面に歩いて行くと、A川車庫〜A川遊園地〜K野前に至る。左にO久図書館、S田川、右にT端・N日暮里というロケーション。寄り目ネコといえば、トルコ・イスタンブールのアヤソフィア博物館(旧大聖堂)に暮らす「オバマキャット」(2009年に同地を訪れたオバマ米大統領が躰を撫でたという)のグリちゃんが世界的に有名ですが、本ブログの一推し寄り目ネコは「2018年カレンダー・キャット」の三毛ちゃんです。

    #481│マオ│地域猫 ── ネコは何匹いるの?
    S井開運稲荷に3匹のネコがいた。黒ネコの左耳後方に1匹、その左奥に1匹‥‥一眼レフで撮ると後景がボケているので、この写真ではネコとは判別出来ないけれど、確かに3匹のネコが点在していたのだ。右耳先がカットされている前景の黒ネコは飼い猫で、首輪のメダルには飼い主の電話番号が記されている。赤い鳥井の開運稲荷は小さい祠のような佇まい。「S井コミュニティ広場」に人気はなく、ネコたちの集会場所になっているようだ。ネコたちの視線は広場の入口に向いていて、その先にはS井銀座商店街が連なっている。その真剣な眼差しから、夕飯を運んで来る人(ネコおばさんやネコおじさん)を待っていることが分かる。広場への入口は意外と狭いので、通行人や買い物客たちの多くは商店街の横に小さな稲荷のあることも、ネコたちが暮らしていることにも気づいていないかもしれない。

    #482│バル│飼い猫 ── 白い靴下をはいた猫
    シャッター音にもビクッと躰を震わせるほど敏感でセンシブルなバルちゃん。何度も通っているので顔を憶えてくれたのか、近寄って来て躰を撫でさせてくれるようになった。同じように逃げ回っていたチビ三毛も先日初めて擦り寄って来て、ブロガーの足に頭をスリスリするではないか。やっと馴れてくれたのかと感慨一入だったが、一番興味を惹かれるのはネコがヒトに対した時の態度‥‥その場に留まるのか、逃げ去るのか、近寄るかの判断を一体どのように行なっているのかということである。バルやチビ三毛の意識に如何なる心境変化があったのだろうか?‥‥ジョン・ブラッドショーは『猫的感覚』(早川書房 2014)の中で《ネコは決定を下すことのできる意識のある動物である。受けとっている情報や同じできごとの記憶だけではなく、その情報に対する自分の感情的な反応に基づいて決定を下せる》と書いている。ちなみにアンジェラ・カーターの「長靴をはいた猫」は飼い主の横恋慕を成就させるために奮闘する。

    #483│マル│飼い猫 ── 赤いクルマの上の猫
    民家のガレージに赤い乗用車が停まっている。そのまま通り過ぎようとしたが、気配を感じて目線を上げると、ルーフの上に1匹のネコが鎮座していた。岩合さん好みの大きな体躯、ボールのように丸い顔‥‥薄茶に白が混じったカフェオレ柄のデカ顔ネコだった。気持ち良く微睡んでいたのか、眠そうな目でカメラを向けても身動ぎしない。目を瞠らず半眼で、視線を合せようとしない。天井のある半屋内なので薄暗いけれど、灰色の壁と薄茶色のネコと紅いクルマの配色がバランス良く収まった写真が撮れた(この写真では見えないけれど、赤い首輪に鈴とメダルを着けている)。この地域には三毛スコのミスや白茶のバル、灰白のアキなどが暮らしていてネコ密度が高い。最低でも1匹のネコに出合える確率の高い「穴場」である。「赤いクルマの上の猫」は真夏の炎天下ならば、「熱いトタン屋根の猫」と化していたでしょう。

    #484│ハン│飼い猫 ── 猫パンチで攻撃にゃん
    茶トラのレイや三毛のマープルの暮らしている地域に新入りが加わった。黒白のハチ割れネコちゃんは小柄なのに血気盛んで勇ましい。写真を撮ろうとして近づくと、足早に逃げて行く。そのまま尻尾を巻いて去って行く小心者なのかと高を括っていたら、急に引き返して来た。何とネコパンチを一発喰らわしに戻って来たのだ。捨てゼリフならぬ、捨てパンチである。「ネコ通り魔」と称すべきかもしれない。ところがネコの鍵爪が手の甲に食い込んで抜けない。その時の困惑したような表情が興味深い。ネコも何かを失敗したり、失態を演じた時にはバツが悪いと感じるのだろうか。トラに肩を咬まれたムツゴロウ(畑正憲)さんがもっと咬めと促すと、当惑したような表情を浮かべたというエピソードを思い出した。トラは戯れているつもりでも、ヒトには大きな力なので大怪我することもあるのだ。ネコパンチごときを怖がっているようでは真の愛猫家とは言えません。

    #485│フジ│ノラ猫 ── 猫と藤
    『ねことはな』(クレヴィス 2018)の「まえがき」で「もしかして、ネコはわかっているのではと思うことがあるのです。決して華美ではない毛模様が、花と共にあると美しい色彩となることを」と岩合さんは書いているけれど、「猫と花」のコラボレーションは意外に難しい。百花繚乱の花々とネコの写真を撮りたいと思っても、気儘なネコは要望に応えてくれない。種子や花粉を運んでくれる小鳥や昆虫を誘惑するために甘い櫁や香りを出す花もネコのことは何も考えていないようだし、強い芳香に惹かれるというネコも熱心に草を食んだり匂いを着けたりするようには花に興味を示さない。S石図書館に通って来る近所の三毛ネコも中庭に咲く色とりどりの花よりも草や紙パック回収ボックスの方に関心があるらしい。白黒のフジちゃんは三毛のミミが産んだ3匹の子ネコの中では一番警戒心が少ない。目の上の藤の花を興味深そうに見つめているように見えますが、空を飛ぶ小鳥に関心があるのかもしれません。
     
    #486│エル│ノラ猫 ── 久々に撮れた三毛ちゃん
    「人間は約9500年前にネコを飼い始めたとされ、現在世界中で6億匹が一緒に暮らしている」‥‥J智大研究チームの実験によると「飼い猫は人間の言葉の中から自分の名前を聞き分けている」(朝日新聞 2019・4・5)という。中央図書館裏の遊歩道にいる長毛種のロンちゃんは名前(ロンは仮名です)を呼ぶと必ず駆けて寄って来るのに、少し離れたところに暮らすエルちゃんは知らんぷり。そもそも何という名前で呼ばれているのか分からないのだが、この日は偶然ネコおばさんが運んで来た夕飯を食べに来ている時に出喰わしたので、6年振りにエルちゃんの写真を撮れた。相変わらず愛くるしいネコである。食事の後もその場を離れることなく、ネコと旧交を温めることが出来た。暫く見かけなかったネコの元気な姿に出会うほど嬉しいことはない。研究チームは「ネコが自分の名前を認識しているというよりは、エサの時間や遊ぶ時などに繰り返し名前を呼ばれてきた経験によるものではないか」と分析している。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第54集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ480匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第54集の常連ネコはソランちゃん。ガクやエルちゃんのように、久々に撮れたネコもあります。『ボヘミニャン・ラプソディ』(シンコーミュージック・エンタテイメント 2019)は映画「ボヘミアン・ラプソディ」に便乗した写真集。フレディ・マーキュリーとインスタグラムに投稿されたネコ写真で構成されています。膨大なフレディのポートレイトと同じようなインスタ・ネコ写真を見つけ出すのは結構大変な作業だったと想われます。子ネコ・パロディ・アルバム集「The Kitten Covers」にも似て、安直なアイディアのようでありながらも意外と愉しめます。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました

    • 画像周りをプチ・カスタマイズ。外枠を点線から実線に変更して、四隅を丸めました

    • 「呼んだ? 飼い猫 名前聞き分け 上智大チーム実験」(朝日新聞)から引用しました
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    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    • 編集人:西村 浩一
    • 出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 発売日:2019/04/25
    • メディア:単行本
    • 目次:フレディとねこのはなし / ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん / フレディとうたおう!フレディをまねよう!/ ねこのさくいん


    ねことはな(IWAGO'S BOOK 4)

    ねことはな(IWAGO'S BOOK 4)

    • 著者:岩合 光昭
    • 出版社:クレヴィス
    • 発売日:2018/05/28
    • メディア:単行本
    • 内容:動物写真家・岩合光昭は、ネコを撮りはじめた40年以上も前から、花とともにいるネコを数多く撮影してきました。花の中でうたたねをするネコ、花の中にひっそりと佇むネコ、花をパクッと食べるネコ‥‥。ネコと花は風が苦手と言い、日当たりの良い場所を好むからこそ、一緒にいることが普通なのかもしれません

    バンクシーの子猫

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  • KITTEN
    子猫

    「自分のウェブサイトに写真を掲載することで
    ガザでの破壊行為にスポットを当てたかったが、
    ネットユーザーは子猫の写真しか見ないからね」
    バンクシーのウェブサイトより、2015年

    2014年、イスラエル国防軍が、
    表向きはハマスのロケット攻撃に対抗するという理由で、
    「境界防衛作戦」を開始。
    その結果、ガザで2,104人が死亡。
    国連によると犠牲者の69%は一般市民だった。
    イスラエル側の死亡者は兵士が67人、市民が6人だった。
    バンクシーがこの絵を描いた壁は、
    攻撃で破壊された18,000軒の家屋のうちのひとつ。

    ザビエル・タピエス 『バンクシー ビジュアル・アーカイブ』

  •                     *
    • 写真は2015年、バンクシー(Banksy)がイスラエルの空爆によって破壊されたパレスチナ・ガザ地区の家屋の外壁に描いた子猫の壁画です

    • 「LASTEST ARTICLES」 から〈バンクシーの子猫〉を記事として独立させました

    • バンクシー(Banksy)については〈覆面画家バンクシー〉を参照して下さい
                        *


    バンクシー ビジュアル・アーカイブ

    バンクシー ビジュアル・アーカイブ

    • 著者:ザビエル・タピエス(Xavier Tapies)/ 和田 侑子(訳)
    • 出版社:グラフィック社
    • 発売日:2018/07/09
    • メディア:単行本
    • 内容紹介:世界で最も知られたストリートアーティスト、バンクシーの作品をマップ付きで網羅。名作「Rage the Flower Thrower」から、2017年にパレスチナ自治区でオープンした「ウォールド・オフ・ホテル」、最新作「バスキア」までを網羅。コアなバンクシーファンはもちろん、入門者も必携


    Wall and Piece

    Wall and Piece

    • 著者: バンクシー(Banksy)/ 廣渡 太郎(訳)
    • 出版社:パルコ
    • 発売日:2011/07/07
    • メディア:単行本(ソフトカバー)
    • 内容紹介:イギリスのロンドンを拠点に活動する覆面芸術家バンクシー。ロンドンのテート・モダンや、ニューヨークのメトロポリタン美術館への無許可展示など、常にスキャンダラスなパフォーマンスで話題の人物。世界中の壁、橋、街の動物園など、あらゆるストリートの一角に、ウィットに富み、破壊力のあるグラフィティで彩りを与え...


    BANKSY IN NEW YORK

    BANKSY IN NEW YORK

    • 著者:レイ・モック(Ray Mock)/ 毛利 嘉孝 / 鈴木 沓子(訳)
    • 出版社:パルコ
    • 発売日:2016/01/30
    • メディア:単行本
    • 内容紹介:憂鬱な遊園地 “Dismaland" をイギリスにて開催し、世界中で物議を醸し出したバンクシー。彼のニューヨーク市中をハックした1ヶ月を追った全記録。撤去された作品も全て見られる完全ドキュメント

    メタボ・バッテリ

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    数年前から騙し騙し使っていたMacBook Pro(13-inch, Late 2011)のトラックパッドが硬くなって、クリックし難くなった。腱鞘炎になるくらいの力を指先に込めて押さないと反応しなくなってしまった。秋から冬になると幾分軽減するが、暖かくなると悪化するので発熱による症状だと分かる。「MacBook Pro バッテリ 膨張」で画像検索すると、半開きの蛤やハンバーガーを想わせる筐体や、枕やクッションのようにパンパンに膨らんだ黒いバッテリの画像が次々に表示される。アルミ製のボディが変形したり、トラックパッド部分が罅割れてしまったノートブックもある。内部のバッテリが膨張してトラックパッドを圧迫していることが原因だった。ノートブックやスマホなどに使われているバッテリ(リチウムイオン電池)の膨張〜劣化は避けられないそうで、MacBookは膨張しても爆発しないように設計されているという。アップル・サポートに電話すると、古いモデルなのでバッテリ交換には応じられないが、取り外すことは可能かもしれないとのことだった。

    その場でジーニアスバーに予約を入れてもらって、その日の午後「アップルストア渋谷」へ向かった。「ジーニアスバー」という名称には敷居の高いイメージもあったが、3階は自由工作教室という感じでフレンドリー。MacBookよりもiPhoneやiPadを持ち込んでいる人たちの方が多かった。予約時間前に着いたのに速やかな対応で、座って待つこと十数分でバッテリを外してもらえた。バッテリ交換は2万円(一部モデルは無償交換プログラムの対象になっている)と聞いていたので、数千円の出費は覚悟していたが、意外にも無料だった。電源プラグを抜いた瞬間にブラックアウトしてしまうけれど、iMacのようなデスクトップ・パソコンとして使用していたので殆ど支障はない。膨らんだバッテリを外したら、見違えるような美しい体型にダイエットした。筐体のガタつきは一切しないし、クリック音も小気味好い。CPUの処理速度が低下して、レスポンスが多少遅くなったことには目を瞑ろう。

  • MacBook Proのバッテリ膨張
    • 症状
      ● 膨張したバッテリがトラックパッドを圧迫してクリックし難くなくなる
      ● アルミ製のボディが変形して、液晶パネルを閉じた際に隙間が空く
      ● 筐体がガタつく

    • 対処法
      ● トラックパッドの代わりにマウスを使う
      ●「システム環境設定」でクリックをタップに変更する
      ● フルキーボード・アクセスで対応

    • バッテリの交換(アップルストア・ジーニアスバー)
      ● 一部モデルは無償交換プログラムの対象になっている
      ● 代替バッテリ(在庫)があれば有償交換してくれる
      ● バッテリを外すだけならば無料!

    • バッテリを外すメリット
      ● 発熱・膨張(爆発・発火?)の心配がなくなる
      ● 冷却ファンが回らなくなる
      ● 軽量化

    • バッテリを外すデメリット
      ● 停電時やマグセーフ(電源アダプタ)が外れるとブラックアウトしてしまう
      ● CPUの処理速度が抑制されてレスポンスが遅くなる
      ● パネル部を開く際、キーボード部を押さえないと後方に倒れてしまう^^;

                        *

    懸案の「メタボ・バッテリ問題」が拍子抜けするほど呆気なく解消したので、時間が余ってしまった。「アップルストア渋谷」から公園通りを昇って、久し振りに「EL SUR」に立ち寄ることにした。店内は閑散としている。所在なげな店主と会話を交わす機会を得た。スマホやノートブックのバッテリ膨張、アナログ・レコードの致命的な欠陥(外周から内周へ進むほど音質が劣化する)、Bjorkを聴いたことがないという店主にビックリすると、「あなただって、これは聴いたことがないでしょう」と差し出されたのは、Sikiru Ayinde BarristerのCD《Superiority》だった。年間ベスト10には入らなかったが、《New Fuji Garbage》(Globe Style 1991)は愛聴盤である。仏マルセイユの2人組ユニット、バハ・フレケンシア (Baja Frequencia)の猫ジャケ・アルバム2枚(Frank Zappa《Hot Rats》とゴジラのパロディ「猫ゴシラ」)をオーダーして、メキシコ系スイス人女性カロリーナ・カトゥン(Carolina Katun)のデビュー・アルバム《Al Silencio》(Jazzland 2018)を購入。

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    • ミニ記事〈バッテリの膨張〉のリミックス・ロング・ヴァージョンです^^;

    • 現行のMacBook Proはキーボードに難ありなので、もう少しバッテリなしで使いたい
                        *


    Apple 渋谷

    Apple 渋谷

    • 住所:150-0041 東京都渋谷区神南1-20-9 公園通りビル
    • TEL:03-6670-1800
    • 営業時間:月曜日~日曜日(10:00~21:00)
    • アクセス:Apple 渋谷は、渋谷区宇田川町、渋谷公園通りの西武渋谷店の向かい側にあります。最寄りの駐車場は、公園通り反対側の西武渋谷店モヴィーダ館地下、西武パーキングセンターです。公共交通機関をご利用の場合は、副都心線、半蔵門線、銀座線の渋谷駅が最寄駅となります


    Al Silencio

    Al Silencio

    • Artist: Carolina Katun, Teol
    • Label: Jazzland
    • Date: 2018/10/26
    • Media: Audio CD
    • Songs: Paloma Negra / Au fil de l'eau / El Currucha / La Llorona / Sea Song / Automne / Alfonsina y el Mar / Arenita Azul / Dos Cruces / When I'm Laid / Zamba / Al Silencio / Pajarillo Verde


    New Fuji Garbage

    New Fuji Garbage

    • Artist: Chief Dr Sikuru Ayinde Barrister
    • Label: Globe Style
    • Date: 1991/05/07
    • Media: Audio CD
    • Songs: Refined Fuji Garbage / Fuji Worldwide


    Hot Kats

    Hot Kats

    • Artist: Baja Frequencia
    • Label: Chinese Man
    • Date: 2019/04/12
    • Media: MP3
    • Songs: De La Locura / Windrush Scandal / Se Come Tambien / Crisis / Vitamin P / Mad Grade / O Galop / Hasta El Piso / Colombia / Brindo Mi Carino / Mermaid / Smokin' Loud / La Kumbia Se Baila Asi / Dembowgorgon / Holy Moly (Bonus Track)


    Hot Rats

    Hot Rats

    • Artist: Frank Zappa
    • Label: Universal
    • Date: 2012/07/27
    • Media: Audio CD
    • Songs: It Must Be A Camel / Little Umbrellas / Peaches En Regalia / Son Of Mr. Green Genes / The Gumbo Variations / Willie The Pimp

    B E S T A L B U M S 2 0 1 9(So Far)

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  • BEST ALBUMS 2019(So Far)

  • Jun.
    ◎ Ra(Estudio Monteverdi 2019)Andre Mehmari, Bernardo Maranhao, Alexandre Andres
    ◎ Schlagenheim(Rough Trade 2019)Black Midi
    ◎ Designer(4AD 2019)Aldous Harding
    ◎ Soliloquy(Barclay 2019)Lou Doillon
    ◎ Grid Of Points(Kranky 2018)Grouper
    ◎ Al Silencio(Jazzland 2018)Carolina Katun, Teol
    ◎ Tourist History(Kitsune 2010)Two Door Cinema Club
    ◎ Manos De Cielo(Independiente 2018)Milagros Majo
    ◎ Desvelando Mares(Hunnia 2018)Bianca Gismonti Trio
    ◎ Atras / Alem(Risco 2019)O Terno

    May
    ◎ Proto(4AD 2019)Holly Herndon
    ◎ Placeholder(Saddle Creek 2019)Hand Habits
    ◎ U.F.O.F(4AD 2019)Big Thief
    ◎ Mars Audiac Quintet(Duophonic 2019)Stereolab 2CD
    ◎ Transient Random-Noise Bursts With Announcements(Duophonic 2019)Stereolab 2CD
    ◎ Collectiu Encontros Occitans(Outro Brasil 2011)Silverio Pessoa

    Apr.
    ◎ Bulls And Roosters(Nettwerk 2017)Together Pangea
    ◎ Buoys(Domino 2019)Panda Bear
    ◎ Avente Delirio(Sterns 2019)Saulo Duarte
    ◎ Perlas & Conchas(Femina 2019)Femina
    ◎ The Golden Morning Breaks(Leaf 2005)Colleen
    ◎ Miss Universe(Ato 2019)Nilufer Yanya
    ◎ Sprained Ankle(6131 Records 2015)Julien Baker

    Mar.
    ◎ Beware Of The Dogs(Secretly Canadian 2019)Stella Donnelly
    ◎ When We All Fall Asleep, Where Do We Go?(Darkroom 2019)Billie Eilish
    ◎ Passaros(Mills 2018)Duo Gisbranco
    ◎ Psycho Tropical Berlin(Disque Pointu 2013)La Femme 2CD
    ◎ Psycho Tropical Berlin(Disque Pointu 2014)La Femme
    ◎ Casa(Norte 2006)Natalia Y La Forquetina
    ◎ Live At Massey Hall(Reprise 2007)Neil Young CD+DVD
    ◎ Los Angeles(Universal 2017)Rosalia
    ◎ Brol(Angele Vl 2018)Angele
    ◎ Switched On Volumes 1-3(Duophonic 2018)Stereolab 4CD
    ◎ Feel The Music(Anthology Recordings 2017)Paul Major

    Feb.
    ◎ Remind Me Tomorrow(JagJaguwar 2019)Sharon Van Etten
    ◎ Quiet Signs(City Slang 2019)Jessica Pratt
    ◎ Us(Terrible 2018)Empress Of
    ◎ Desastre Solar(Slap 2018)Laura Lavieri
    ◎ Un Corpo No Mundo(Pommelo 2017)Luedji Luna
    ◎ Sick Scenes(Wichita 2017)Los Campesinos!
    ◎ Wax Chattels(Captured Tracks/Flying 2018)Wax Chattels
    ◎ European Heartbreak(Heavenly 2018)Amber Arcades
    ◎ Losing(Sub Pop 2017)Bully

    Jan.
    ◎ Azul Moderno(Risco 2018)Luiza Lian
    ◎ Ok Ok Ok(Biscoito Fino 2018)Gilberto Gil
    ◎ Future Me Hates Me(Carpark 2018)The Beths
    ◎ Time(Brainfeeder 2018)Louis Cole
    ◎ Boygenius(Matador 2018)boygenius EP
    ◎ Laisse Ca Etre(Crammed Discs 2017)Aquaserge
    ◎ Ominda(Tratore 2018)Andre Abujamra
    ◎ Stranger In The Alps(Dead Oceans 2017)Phoebe Bridgers
    ◎ Working Class Woman(Ninja Tune 2018)Marie Davidson
    ◎ Devotion(Domino 2018)Tirzah

                        *
    • 2019年上半期(1〜6月)の「BEST ALBUMS 10」です^^

    • 2019年上半期に自腹で購入したアルバム(輸入CD)をリストアップしました
                        *


    Remind Me Tomorrow SOLILOQUY Quiet Signs Beware Of The Dogs When We All Fall Asleep, Where Do We Go? U.F.O.F. Proto Atras / Alem Schlagenheim Ra

    クリムトの猫

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  • 新しい芸術が理解できない人は、カリフラワーあたまの紳士だけじゃなかった。グスタフが、ウィーン大学からたのまれて、大ホールに3枚の大きな天井画を制作したときも、大問題になったんだよ。/ 注文は、大学で教えている3つの学科 ── 「哲学」 「医学」 「法学」 ── を絵であらわしてほしいということだった。けれども、できあがった作品をみて教授たちはひどくおこった。教授たちは、どうどうとして威厳のある人物像が描いてあるだろうと思っていたのに、グスタフが描いたのは、夢のような、ぼんやりとした空間にただよう裸の人物たち。人間の生や死、恐れ、愛、苦しみといった感情を描きだした絵だった。あまりに批判がきびしかったので、グスタフは作品をひきあげて、売ることにした。/ グスタフは、ウィンクしながらいった。「私にとって大事なのは、どれだけ多くの人が、私の絵を気に入ってくれたかではなく、だれが気にいってくれたかなのだ」ってね。僕がどう思ったか、気にしているのさ。
    ベレニーチェ・カパッティ 『クリムトと猫』


  • ▢ クリムト展 ウィーンと日本 1900(東京都美術館 2019)
  • 鬱陶しい梅雨の合間を縫って「クリムト展」に行って来た。半年前の「ムンク展」は悪夢のような長蛇の列(90分待ち!)だったが、今回は待つこと数分で呆気なく入場出来た。もちろん会場内は混雑している。同時代にウィーンで活動した画家の作品や影響を受けたという日本の美術品なども展示されていて、クリムト(Gustav Klimt 1862-1918)の油彩画は28点と意外に少ない。〈エミーリエ・フレーゲの肖像〉〈パラス・アテナ〉などの主要作品が同時期に六本木で開催されている「ウィーン・モダン展」(国立新美術館)と泣き別れになってしまったのは残念である。お得な共通チケットとか、一方の半券で他方の入場料を割引するとか、国立と都美術館の連携があっても良かったのではないかと思う。閉室(夜間開室日は午後8時)まで粘るつもりだったが、長袖を着ていたのに躰が冷え切っちゃったので早目に退室した。この日はマンガ家の羽海野チカ(@CHICAUMINO)さんが母親と観に来ていたようです。

    「クリムトとその家族」 「修業時代と劇場装飾」 「私生活」 「ウィーンと日本 1900」 「ウィーン分離派」 「風景画」 「肖像画」 「生命の円環」 ‥‥年代順に8セクションに分かれた展示構成。鑑賞者は地下1階から1、2階をエスカレータに乗って回廊する。モーリッツ・ネーアの写真〈猫を抱くグスタフ・クリムト、‥‥〉に期待も高まるが、意外にもネコの絵は1点もなかった。バルテュスやレオノール・フィニなど、ネコ好きの画家は例外なくネコを数多く描いているのに、クリムトは被写体としてのネコには興味が全くなかったらしい。人物画の多くは女性たちで、展示されている絵画の中の動物は蛇や鳥(鳳凰?)、鶏、雌牛くらい。男性も修業時代の〈男性裸体像〉や肖像画、女性を抱擁する後姿としてしか描かれない。自画像も描かなかった。クリムトといえば黄金を鏤めた装飾的な文様に彩られた恍惚の表情や妖艶な笑みを浮かべる女性画で知られるが、弟エルンストの娘の横顔を描いた〈ヘレーネ・クリムトの肖像〉は可憐で無垢‥‥おかっぱ髪とダブダブの白いドレスも清楚で清純である。

    〈草叢の前の少女〉はルノワールを想わせる印象派風の肖像画。白いドレスを着たモデルはクリムトの子供(長男グスタフ・ウセディー)を産むことになるマリア・ウチッカーで、年齢は不明だが少女というよりも若い娘として描かれている。〈17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像〉はパステル画。モデルは30歳で早世した弟エルンストの妻ヘレーネの妹エミーリエで、クリムトの生涯の伴侶となった。木製の額縁に描かれた梅の花には日本美術の影響があるという。〈赤子(ゆりかご)〉は様々な模様と色彩の布地がパッチワークのように積み重ねられた山の上に嬰児が仰向けに寝ている晩年の油彩画。図録の表紙やチラシにも使われた「黄金様式」の代表作品の1つ〈ユディト I〉の前は混雑していて容易に近寄れない。祖国を救うためにアッシリアの敵将軍ホロフェルネスの寝首を掻いた未亡人ユディトは斬首した生首を右腕で支え、左の乳房を露わにして恍惚の表情を浮かべている。モローやビアズリーの〈サロメ〉と同じく、男たちを快楽と死へ誘う「ファム・ファタル」として描いている。

    〈ユディト I〉の右隣には縦長の〈ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)〉が架かっている。ブロンド髪の全裸女性が右手に持った丸い手鏡(ペロペロ・キャンディのようにも見える)を前方に向け、足元には青い蛇が這い回る。「真実」を擬人化した挑発的なヌード絵画の上部には《もしお前の行動とアートですべての人を喜ばせないなら、数少ない人を喜ばせよ。多くの人を喜ばせるのは悪いことだ》という18世紀のドイツ詩人シラーの言葉が引用されている。〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉のモデルはウィーン工房の熱烈な支援者の1人、オットー・プリマフェージの妻。モザイクやパッチワークを想わせる色鮮やかなドレスを纏い、背後の黄色い壁に空いたアーチ状の窓と床には花々が咲き乱れる。右上には鳳凰のような鳥も描かれている。〈女の三世代〉は女性の一生‥‥ 「幼年」 「青年」 「老年」 を同一画面で構成。女児を幸せそうに抱く母親の傍らに、左手で顔を覆って項垂れる瘦せこけた老女が立つ。装飾的な小さな円と薄汚れた壁や真っ黒い背景も母子と老女の対比を際立たせる。

    〈ベートーヴェン・フリーズ〉(1984年に制作された原寸大複製)は第14回分離派展でゼツェシオン館(分離派会館)の一室(コの字型の三面)を飾った全長34mを超える壁画。ベートーヴェンの第九をワーグナーの解釈で絵画化しているという。黄金の騎士がゴルゴン三姉妹やゴリラのような怪物テュホンを倒して楽園に辿り着く物語で、「幸福への願い」 「敵対する力」 「歓喜」 の三面から成る。ウィーン大学から依頼された大講堂の天井画は「不道徳で、醜悪な芸術」と酷評され、第18回分離派展に〈哲学〉〈医学〉〈法学〉が出品されたもののクリムトは制作を断念する。第二次世界大戦中、疎開先のインメンドルフ城の火災で焼失してしまい、残念ながら習作やモノクロ写真から想像するしかない。〈アッター湖畔のカンマー城 III〉は正方形のカンヴァスに描かれた風景画。オーストリア・ザルツカンマーグート地方のアッター湖は夏の避暑地で、緑の樹々と背後の黄色い壁と赤茶色の屋根が川面に映る奥行きのないモザイク画のように描かれている。

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  • ▢ クリムトへの招待(朝日新聞出版 2019)
  • 美術初心者向けムック・シリーズ「名画への招待」の10冊目。巻頭から 「金(きん)をたくさん使った」 「世紀末のウィーンに生まれた」 「美しい女性ばかりを描いた」 「見えないものを抽象化しデザインした」 という大きな文字が躍る。最高傑作〈接吻〉の解説(千足伸行)。〈ユディト I〉〈エミーリエ・フレーゲの肖像〉〈アッター湖畔のカンマー城 III〉の一部分を原寸大で表示。代表作品30点を一挙掲載‥‥クリムトは生涯独身だったのに「14人の婚外子がいた」とか、恋人エミーリエ・フレーゲが自分の肖像画に描かれた青と緑色のドレスのデザイン(装飾的な文様)が気に入らず、競売に賭けてしまったという女性週刊誌のゴシップもどきのエピソードも紹介されている。現代風に矮小化すれば、「彼氏から贈られた高級ブランド品をヤフオクで売っ払っちゃった」みたいな話でしょう。当時のウィーン市立歴史博物館(現ウィーン・ミュージアム)が1908年の州の芸術購入予算の全額を注ぎ込んで落札したという逸話も凄いなぁ。

  • ▢ グスタフ・クリムトの世界(パイインターナショナル 2018)
  • クリムトの絵画、壁画、フリーズ、デッサンなど約230点を収録した超豪華作品集。表紙の〈水蛇 I〉と裏表紙の〈メーダ・プリマヴェージの肖像〉も黄金色の額で飾られて、分厚くズッシリと重い(388頁)。クリムトだけではなく、ウィーン工房の建築・家具・舞台・ガラス・陶器・金工・ジュエリー・ファッション・グラフィック(ポスター、本、ポスタカード)、ウィーン分離派のオスカー・ココシュカ、エゴン・シーレ、オットー・ワーグナーなど11人の作品も紹介されている。クリムトのイメージを古代クレタ島の怪物ミノタウロスに重ね、「世紀末ウィーンの黄金迷宮に棲む黒い雄牛のようなたくましい怪人であり、迷宮にうごめく幻影の美女たちを狩り、壁に迷宮画を描きつづけていく」と妄想する海野弘の解説は定説から逸れることもあるが、それはそれで興味深い。「ウィーンの文学カフェの党派と派閥」「クリムトとナチス」など10のテーマ(1頁コラム)や「クリムトのイコノロジーと文様」も面白い。クリムトの魅力は妖艶な女性の生々しさや毒々しさを衣裳や背景の装飾・幾何学的な文様が中和(半抽象化)して、和らげているところあるのではないかしら。

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  • グスタフ・クリムト(1862‐1918)は、19世紀末から、20世紀初めにかけて、オーストリアの首都ウィーンで活躍した有名な画家です。1897年、クリムトは伝統的な美術に反抗して、「ウィーン分離派(ゼツェッション)」 というグループを創立し、同じ時代のエゴン・シーレやココシュカなどとともに、ウィーンの世紀末美術の立役者になりました。そのころのウィーンでは、音楽家のマーラーやシェーンベルク、精神分析学者のフロイト、哲学者のヴィトゲンシュタインが活躍していました。クリムトは、「黄金のクリムト」 といわれるように、絵画のなかに金色をたくさん使い、きらびやかで装飾的な画面と官能的な女性のイメージを結びつけています。彼は56年の生涯を独身ですごしましたが、大の猫好きで、8匹もの猫を飼っていたといわれます。巻末の有名な写真でも、猫を大切そうに抱いた彼がうつっています。これは、愛猫がみたグスタフ・クリムトの人生を、華麗で美しいビジュアルイメージとともに愛情をこめてよみがえらせた絵本です。
    森田 義之「ウィーン世紀末の画家 グスタフ・クリムト」


  • ▢ クリムトと猫(西村書店 2005)ベレニーチェ・カパッティ
  • 漱石の「吾輩」と同じように、グスタフ・クリムトの愛猫(僕)が主人の人生を語る絵本。オクタヴィア・モナコ(Octavia Monaco)の描く鮮やかな色彩や女性の衣服の装飾的な模様はクリムト調だが、人物やネコたちはレオノーラ・キャリントン風にデフォルメされている。アトリエの庭の咲く薔薇の世話をする。弟のエルンストと一緒に天井画を描く。床に散らばったデッサンの紙束に僕らがオシッコする。ゼツェション(分離派)というグループを結成して、丸屋根の会館を建てる。ウィーン大学に頼まれて大ホールの天井画3枚を制作。女友達のエミリエは妹のヘレーネたちと「フレーゲ姉妹の店」を経営していて、夏は彼女の家族とアッター湖畔へヴァカンスに出かける‥‥。《いつだったかな、クリムトはいった。「話された言葉も、書かれた言葉も、私にはなじまない。とくに、私の仕事や、私自身のことを、表現するにはなじまない」その日から僕は、いちばん古かぶ猫として、いつでもグスタフのあとをついてまわり、グスタフのことを語りつぐことにきめたのさ》と語る「クリムトの猫」は主人(享年55歳)よりも長生きしたらしい。

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    クリムト展 ウィーンと日本 1900

    クリムト展 ウィーンと日本 1900

    • アーティスト:グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)
    • 会場:東京都美術館
    • 会期:2019/04/23 - 07/10
    • 主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)/ 朝日新聞社 / TBS / ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
    • 展示構成:クリムトとその家族 / 修業時代と劇場装飾 / 私生活 / ウィーンと日本 1900 / ウィーン分離派 / 風景画 / 肖像画 / 生命の円環


    クリムトへの招待

    クリムトへの招待

    • 編集・執筆:民輪めぐみ / 江六前一郎 / 東原じゅり / 柳本元晴 / 戸澤幾子 / 古川萌 / ...
    • 出版社:朝日新聞出版
    • 発売日:2019/04/19
    • メディア:単行本
    • 目次:What's クリムト? / STAGE クリムトが生きた時代 600年以上続いた帝都はクリムトにチャンスを与え、勲章を授与した / Biorhythm 5分でわかるクリムト 画風の変化と55年の生涯 / ONE and ONLY クリムトの最高傑作 クリムトの最高傑作は、なぜ『接吻』なのか? / 図解 このように西洋絵画は変わっていく! / パーフェクト鑑賞講座(ユディト I ...


    グスタフ・クリムトの世界 女たちの黄金迷宮

    グスタフ・クリムトの世界 女たちの黄金迷宮

    • 著者:グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)/ 海野 弘(解説・監修)
    • 出版社:パイインターナショナル
    • 発売日:2018/07/19
    • メディア:単行本(ソフトカバー)
    • 目次:グスタフ・クリムト 黄金迷宮の狩人 / 世紀末ウィーン夢紀行 / クリムトの絵画世界黄金の女たちの陰に / クリムトをめぐる人々ウィーン分離派とウィーン工房

    芸術新潮 2019年 6月号

    芸術新潮 2019年 6月号

    • 特集:時を超えるクリムト
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:2019/05/25
    • メディア:雑誌
    • 内容紹介:稲垣五郎が語るクリムトとベートーヴェン、そして僕 / 腕利き職人から“クリムト"へ / 新たなる芸術をめぐる戦い / 輝け! クリムト・レディーたち / 絡み合う生と死、拮抗する色と闇 / 1862〜1896 新生ウィーンで大躍進! / 1897〜1905 ウィーン分離派を率いて / 1906〜1910 黄金様式の極みへ / 1911〜1918 道なかばの死 / 自画...

    クリムトと猫

    クリムトと猫

    • 著者:ベレニーチェ・カパッティ(Berenice Capatti)/ 森田 義之(訳)
    • イラスト:オクタヴィア・モナコ(Octavia Monaco)
    • 出版社:西村書店
    • 発売日:2005/03/01
    • メディア:大型本
    • 内容:愛猫がみたグスタフ・クリムトの人生を、華麗で美しいビジュアルイメージとともに愛情をこめてよみがえらせた絵本です。アンデルセン賞受賞

    スニーズ・ラブ 54

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  • ♭ 令和回文(2019-07-06)
  • 〈つなぐ夏〉(回文シリーズ55)は三冠に輝いた小説『屍人荘の殺人』(双葉社 2017)、『飛ぶ孔雀』(文藝春秋 2018)や「令和」、暴走車事故、通り魔など‥‥多くの時事ネタが含まれている。ところが投稿前日の最終チェックで「令和回文」に欠陥が見つかった。回文になっていなかったのだ。回文ストーリも書いてしまった後なので大幅な改変は難しい。最小限の修正で済めば良いけれど、始めから新しく作り直した方が早いこともある。そもそも回文としての出来も余り良くなかったので、改変することにした。孫が新元号考案者(祖父)の牛革入れ(財布)から小遣いを貰うという欠陥回文を娘が革入れを父親にプレゼントするというストーリに変えた。〈令和元年、ジジイ意地悪。麗しい医師、新年革入れ〉‥‥ネット上には娘さんが医学部に在学中という噂もあったが、プライヴェートな穿鑿は本意ではない。「回文と本文はフィクションです」と末尾に記載しているように、実在の娘さんが「女医」であるのかどうかはどうでも良いのだ。

  • ♭ 飛ぶ孔雀(2019-07-13)
  • 山尾悠子の『ラピスラズリ』(国書刊行会 2003)は秋の終わりから春にかけて冬眠する種族の盛衰を描く連作長編だったが、『飛ぶ孔雀』(文藝春秋 2018)は「飛ぶ孔雀」と「不燃性について」のニ部構成。火が燃え難くなったり、石が動いて成長する異世界の物語で、前編は川中島Q庭園の大園遊会(茶会)で「火を運ぶ娘」に選ばれたタエが芝の孔雀に、後編ではシビレ山の鶏冠のある大蛇になってしまう。登場人物はK、Q、L、G、H、Pなどのイニシャルで表記されるが、スワ(ン)、サワ、トワダ、セツ、フキエ、リツなどは「頭髪のない丸い頭の女たち」(レオノーラ・キャリントンやレメディオス・ヴァロの描く女性を想わせる)が大温室で興じるカード・ゲームで裏返されて別キャラになったりする。KやQを翻弄する正体不明女たちの如何わしさは「仮面物語」(1980)、正十角形の修練ホテルに出現する吹き抜けの空洞は「遠近法」(1978)の《腸詰宇宙》を髣髴させる(泉鏡花文学賞と日本SF大賞をW授賞する前の「1万字インタビュー」が読めます)。

  • ♭ ロスアプソン?(2019-07-20)
  • レオノール・ブーランジェ(Leonore Boulanger)の4thアルバム《Practice Chanter》(Le Saule 2019)を購入した。《Feigen Feigen》(2016)は国内盤がリリースされたので入手しやすかったが、新作は大手レコード・ショップにもアマゾンにも見当たらない。都内の輸入レコード店では「LOS APSON?」にしかなかった。「LOS APSON?」は1994年、西新宿のマンション一室にオープンした後、2011年に幡ヶ谷、2015年に高円寺に移転。高円寺駅南口から徒歩5分とはいえ、駅前の繁華街からは少し外れた場所にある路面の店舗。木張りの壁に横長の小さな窓があり、大きな?マーク(「LOS APSON?」のロゴ入り)とブランコに乗った謎のキャラが描かれている。左側の青いドアにも縦長窓があるけれど、店内が良く見通せないので、店舗の前を通りかかった人はレコード・ショップとは気づかないかも?‥‥後日ツイッターで知ったのだが、店主の入院による1週間の休業開けで、数日前に営業再開したばかりだった。ロスアプソンに相応しい「耳垂れ」アルバムである。

  • ♭ ルー・ドワイヨン(2019-07-27)
  • ジェーン・バーキン(Jane Birkin)の末娘ルー・ドワイヨン(Lou Doillon)は若い頃の母親に生き写しだが、長女シャーロット(Charlotte Gainsbourg)のような母親譲りのウィスパー系ヴォイスを期待すると一蹴される。女性ロッカー並みの凄みを秘めたヴォーカルなのだから。フレンチ・ポップスには不向きな声質だからなのか、3rdアルバム《Soliloquy》(Barclay 2019)もロック色が濃い。サウンドもハードではないけれどヘヴィ。重く暗鬱な色調の真ん中で、Cat Power(ハーモニカ、ピアノ)とデュエットした〈It's You〉が淡いアクセントになっている。映画「E.T.」を想わせる人差し指の交感の絵を描くPVやパステル・カラーに彩られたアルバム・カヴァのポーズ(左右の指を右肩の上で近づける)からも、この曲がアルバムを象徴していることは明らかである。演奏には参加していないが、全曲彼女の作詞(英語詞)・作曲、全12曲・40分。歌詞ブックレット(16頁)付き。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2019-07)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    つなぐ夏(回文シリーズ #55)

    つなぐ夏(回文シリーズ #55)

    • 管理人:sknys
    • 記事:852
    • 投稿日:2019/06/21
    • メディア:ブログ
    • 回文:南へ瞬き「マハラジャ白浜」来た浜辺美波 / 帰途「飛ぶ孔雀」葉書破棄? ‥‥河馬悔しく不届き / 溶き卵・葱・麦‥‥猫・マタギと / つながる春来る遙か夏 / 血溜まり躍る、斬る通り魔たち /「屍人荘」の女子不憫。ゾロゾロ、ゾンビ腐女子、農村、死屍 / 逆走・子虎と高速・山羊 / 令和元年、ジジイ意地悪。...


    飛ぶ孔雀

    飛ぶ孔雀

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:文藝春秋
    • 発売日:2018/05/10
    • メディア:単行本
    • 目次:飛ぶ孔雀(柳小橋界隈 / だいふく寺、桜、千手かんのん / ひがし山 / 三角点 / 火種屋 / 岩牡蠣、低温調理 / 飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 I / 飛ぶ孔雀、火を運ぶ女 II)/ 不燃性について(移行 / 眠り / 受難 / 喫煙者たち / 頭骨ラボ / 井戸 / 窃盗 / 富籤 / 修練ホテル / 階段 /(偽)燈火 / 雲海 / 復路 I / 復路 II / 復路 III / 燈火)


    ラピスラズリ

    ラピスラズリ

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日: 2012/01/01
    • メディア:文庫(ちくま文庫)
    • 目次:銅版 / 閑日 / 竈の秋 / トビアス / 青金石 / 文庫版あとがき / 解説・千野 帽子

    増補 夢の遠近法: 初期作品選

    増補 夢の遠近法 初期作品選

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日: 2014/11/10
    • メディア:文庫(ちくま文庫)
    • 目次:夢の棲む街 / 月蝕 / ムーンゲイト / 遠近法 / パラス・アテネ / 童話・支那風小夜曲集 / 透明族に関するエスキス / 私はその男にハンザ街で出会った / 傳説 / 遠近法・補遺 / 月齢 / 眠れる美女 / 天使論 / 自作解説 / 文庫版あとがき / 初出一覧

    LOS APSON?

    LOS APSON?

    • 住所:〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-3-2 三光ビル1F
    • TEL:03-6337-1595
    • 営業時間:15:00~20:00
    • 定休日:毎週水曜日
    • アクセス:JR中央線高円寺駅南口より徒歩5分。東京メトロ丸ノ内線新高円寺駅より徒歩10分。


    Practice Chanter

    Practice Chanter

    • Artist: Leonore Boulanger
    • Label: Le Saule
    • Date: 2019/04/19
    • Media: MP3
    • Songs: Le nouveau / La transe de son prochain / Bruyant qu'Brillant / Demain machine / Poème Poème Teltruc sa puissance / Shakespeare le constata / L'eau dans l'eau / Chant tomodachi / Premier Orchestre / Rouler sa tête La montagne / Tout ce siècle qui reste / Gush bédé ba...

    Feigen Feigen

    Feigen Feigen

    • Artist: Leonore Boulanger
    • Label: Windbell
    • Date: 2016/10/05
    • Media: Audio CD
    • Songs: Bluette / Tornade / Tourner / Le Signal / Mon Tout / Les Questions / Minuit / Toquade / Shiva Gris / Blaues / Long Fredon / Grimper

    Soliloquy

    Soliloquy

    • Artist: Lou Doillon
    • label: Barcly
    • Date: 2019/02/19
    • Media: Audio CD
    • Date: 2019/02/19
    • Songs: Brother / The Joke / All These Nights / Last Time / Too Much / It's You / Burn / Flirt / Nothings / Soliloquy / Widows / Snowed In

    Places

    Places

    • Artist: Lou Doillon
    • Label: Barclay
    • Date: 2012/09/25
    • Media: Audio CD
    • Songs: ICU / Devil Or Angel / One Day After Another / Defiant / Same Old Game / Jealousy / Make A Sound / Hushaby / Questions And Answers / Places / Real Smart

    Lay Low

    Lay Low

    • Artist: Lou Doillon
    • Label: Barclay
    • Date: 2015/10/09
    • Media: Audio CD
    • Songs: Left Behind / Above My Head / Where To Start / Nothing Left / Lay Low / Weekender Baby / Let Me Go / Good Man / Worth Saying / Robin Miller / So Still

    アニマル・ファーム

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  • すべてが終わると、残った動物たちはブタとイヌたち以外、一団となってひっそりとそこを立ち去りました。みんな震撼して惨めでした。どっちのほうが衝撃的だったかもわかりません──スノーボールに肩入れした動物たちの裏切りか、それともいま目撃した残虐な懲罰か、かつての時代も、同じくらいひどい流血の場面はありましたが、それが自分たち同士で行なわれているとなると、はるかにひどいものだとだれもが感じていたのです。ジョーンズが農場を去ってから今日に至るまで、動物が他の動物を殺したことはありませんでした。ネズミさえも殺されてはいません。みんな、半分完成した風車の立つ小さな丘へと向かいました。そして一斉に、まるで身を寄せ合って暖を取るかのように、みんな横になりました──クローバー、ミュリエル、ベンジャミン、ウシたち、ヒツジたち、ガチョウやニワトリみんなの群れ──まさに全員です。ただしナポレオンが動物たちに招集をかける直前に突然姿を消したネコだけは別でした。
    ジョージ・オーウェル 『動物農場』


  • 60年代後半から70年代初頭の「少年マガジン」は「巨人の星」と「あしたのジョー」という2枚看板の長期連載で読者年齢も上がり、今では考えられないほどに青年誌化していた。サキ原作の短篇を7人のマンガ家(真崎・守、松本零士、辰巳ヨシヒロ、上村一夫、川本コオなど)が競作するシリーズ「異色作家サキ短編」(1970)、6人のマンガ家(上村一夫、川本コオ、真崎・守、旭丘光志、辰巳ヨシヒロ、松本零士)による「短篇オリジナル・シリーズ」(1970)、永井豪、川本コオ、石森章太郎、山上たつひこ、松本零士の5人がSF小説(原作)とオリジナルの2作品で競うシリーズ「未来がまつ落し穴」(1971)など、意欲的な企画が続いた。ジョージ・オーウェルの風刺寓話「動物農場」(1945)を原作とする「アニマル・ファーム」(1970)も、この潮流に乗るもので、同誌に4週(8月23日第35~9月13日第38号)連載された。石森章太郎は小松左京のホラー短篇「くだんのはは」(1968)も劇画化(別冊少年マガジン 1970)している。

    荘園農場(MANOR FARM)の農主ジョウンズが夜中に酔っ払って帰宅する。寝室で鼾をかいている妻のベッドに潜り込む。主人が眠った後、農場の大納屋に動物たちが集合した。老ブタのメイジャーが同志諸君に演説する。動物たちを家畜として冷酷無残に奴隷化して屠殺する人間たちに反乱を起こすように檄を飛ばす。老メイジャーの見た夢‥‥人間が姿を消した未来で、動物たちが歌っていた「アースランドの動物」を大合唱する。彼らの歌声に目を覚ましたジョウンズが驚いて猟銃を発砲すると、流れ弾がメイジャーに命中して死亡してしまう(原作では射殺されたのではなく、3日後に寝たまま平和に死を迎える)。昼寝をしているジョウンズ、街へ遊びに行った作男たちの隙を突いて動物たちが暴動を起こす。ジョウンズ夫婦と帰って来た農夫たちを農場から追い出して呆気なく勝利する。「動物農場」の3匹のブタ、同志スノウボール、ナポレオン、フィクサーは「動物主義」の7カ条を掲げた。

  • 七戒
    • 二本足で立つものはすべて敵である。
    • 四本足で歩くもの もしくは翼や尻尾をもつものは すべて味方である。
    • いかなる動物も衣服を身につけるべからず。
    • いかなる動物もベッドに寝るべからず。
    • いかなる動物もアルコールを飲むべからず。
    • いかなる動物も他の動物を殺すべからず。
    • すべての動物は平等である。

                        *

    「動物農場」は「動物共和国」として独立した。ブタたちが牝牛の乳を搾り、動物たちが牧草の刈り入れをする。酒場「Red Lion」では農場から追い出されたジョウンズが農夫仲間に愚痴を零していた。果樹園の裏手にある小さな放牧場を引退した同志の養老施設にしたいと思うスノウボールとリクリエーション・センターにしたいと考えるナポレオンとで意見が対立する。乳牛から搾ったミルクと果樹園から穫ったリンゴをブタたちが食しているという批判にフィクサーは牛乳とリンゴは頭脳労働者たるブタの健康保持に欠かせない特質を含んでいると詭弁を弄す。ブタが責務を遂行出来なくなった場合にはジョウンズが戻って来ると脅す。武器を持ったジョウンズたちが農場を襲撃するが、スノウボールの作戦によって「ウシ小屋の戦役」に勝利した。「風車建設計画案」に反対するナポレオンは手下のイヌたちに襲わせて、提案者のスノウボールを追放する。日曜日の集会廃止、同志ナポレオンへの忠誠と服従、そして風車の建設‥‥ナポレオンが提唱していた風車の設計図をスノウボールが盗み出したのだとフィクサーが言葉巧みに動物たちを言い包める。

    ナポレオンは干し草一山と小麦の収穫の一部、鶏卵週400個を売り渡す契約を二本足の人間と結ぶ。風車の建設費用や農場経営のために現金が必要になったからだ。ところが暴風雨が吹き荒れ、稲妻が光る嵐の夜に建設中の風車が崩壊してしまう。ナポレオンはスノウボールの仕業に違いないと断じ(最近発見された秘密文書によって、スノウボールはジョウンズと通じていたことが判明したとフィクサーが説明する)、動物たちに風車の再建を促す。農場主ピンチフィールドとの取り引きを止め、より高い値で収穫物を引き取ってくれるフォックスウッドに乗り換える。悪辣な交渉術で大金を得たブタたちはビールを飲み、ナポレオンは牝ブタを侍らせベッドを共にする。ブタたちの酒池肉林を窓の外から目撃したネコは動物たちに密告する。「七戒」に違反しているのではないかと疑った動物たちが翌朝見に行くと、いつの間にか書き変えられていた。ネコはナポレオンのイヌたちに咬み殺される。彼女はスノウボールのスパイだったとフィクサーが動物たちに明かす。

  • 七戒
    • 二本足で立つものの一部はすべて敵である。
    • 四本足で歩くもの もしくは翼をもつもののほとんどは味方である。
    • いかなる動物も必要以上の衣服を身につけるべからず。
    • いかなる動物もシーツをかけたベッドに寝るべからず。
    • いかなる動物も過度にアルコールを飲むべからず。
    • いかなる動物も他の善良な動物を殺すべからず。
    • すべての動物は平等である。しかしある動物は他の動物より平等である。

                        *

    取り引きを止められた腹いせにピンチフィールドたちが動物農場を襲撃して、完成間近の風車を爆破した。怒り狂った牡馬ボクサーが人間たちを蹴散らして追い払う。度重なる重労働や人間たちとの戦いで疲弊したボクサーは納屋で静養していた。見舞いに来た老ロバのベンジャミンに、一連の「スノウボール犯行説」を疑っていると話す。ボクサーに総統・同志ナポレオンの命令で、動物たち全員が中庭に招集される。手下のイヌたちがブタ、ヒツジ、ニワトリ、ヤギ、ガチョウなどの「裏切り者たち」を咬み殺す。あろうことかボクサーにも襲いかかった。イヌたちを一蹴したものの、ボクサーは過労から生じた病で倒れてしまう。そしてフィクサーの手配した箱馬車で病院へ運ばれる。馬車の後部には「アルフレッド・シモンズ馬匹屠殺にかわ製造業 / ウイリントン皮革・骨粉商」と書かれていた。農主フォックスウッドとビールを飲み交わすブタたち。背広を着込んで、葉巻を咥えたナポレオンの顔は黒ブタから醜悪な人間へと変貌して行くのだった。

  • 原作『動物農場』
  • 「1984年」 で管理社会の恐ろしさを、「カタロニア讃歌」 で反ファシズムの理想と現実を描いたジョージ・オーウェルが、旧ソ連のスターリン体制を動物たちの革命劇にたとえ寓話的に描いたのが 「動物農場」 です。現在でも全体主義を風刺する作品として世界中で広く読まれています。
  • 1970年の少年マガジンに連載
  • 「アニマル・ファーム」 が連載された1970年の週刊少年マガジンでは横尾忠則が表紙構成を務め、ちばてつや / 高森朝雄 「あしたのジョー」、川崎のぼる / 梶原一騎 「巨人の星」 、ジョージ秋山 「アシュラ」、山上たつひこ 「光る風」、谷岡ヤスジ 「メッタメタガキ道講座」、影丸譲也 / 真樹日佐夫 「ワル」 などが連載されていました。上村一夫、辰巳ヨシヒロ、真崎守らの作品も掲載されています。時代の空気を切り取った、まさに伝説ともいえる季節でした。
  • ちくま文庫版『アニマル・ファーム』


  •                     *
    • 「石ノ森章太郎萬画大全集 12-19」(角川書店 2008)をテクストに使いました

    • 石ノ森版のネコは殺されたけれど、原作では粛清されずに生き延びたようです^^;

    • コミック版では農主ピルキントンとフレデリックがフォックスウッドとピンチフィールド(農場名)に、同志スクウィーラーもフィクサーという名前に変えられています

    • 「すべての動物は平等である。だが一部の動物は他よりもっと平等である」(新訳版)
                        *


    アニマル・ファーム ── 石ノ森章太郎萬画大全集 12-19

    アニマル・ファーム ── 石ノ森章太郎萬画大全集 12-19

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/11/28
    • メディア:コミック
    • 目次:大演説 / 反乱 / 動物共和国 / 反撃 / ウシ小屋戦役 / 風車計画案 / 春 そして夏 / 秋 そして冬 / 生と死と‥‥/ 世はなべて こともなし / 扉絵コレクション


    アニマル・ファーム

    アニマル・ファーム

    • 著者:石ノ森 章太郎
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日:2018/11/09
    • メディア:文庫(ちくま文庫)
    • 目次:アニマル・ファーム(原作 ジョージ・オーウェル)/ くだんのはは(原作 小松 左京)/ カラーン・コローン / 解説・中条 省平


    動物農場〔新訳版〕

    動物農場〔新訳版〕

    • 著者:ジョージ・オーウェル(George Orwell)/ 山形 浩生(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2017/01/07
    • メディア:文庫(ハヤカワepi文庫)
    • 目次:動物農場 / 報道の自由:『動物農場』序文案 /『動物農場』ウクライナ語版への序文 / 訳者あとがき
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