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スニンクス 6 0 0

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  • ニューヨークが目覚めたあとも、醜悪な幻は1、2週間消えなかった。あの有名な火星人襲来のラジオドラマが現実だったとしても、そのあと長い行列を作って火星人の残骸とやらを見にきた人々は、自分のだまされやすさに驚きあきれたことだろう。いまや怪物は檻の閉じこめられ、見られ、声を聞かれ、体をつねられ、報道され、記事を読まれ、同情すらされている。ニューヨークじゅうの人間が列をなした。遅れて気づいたことが事件後にわかった事実と噛み合い、恥ずべき話の種が街じゅうに撒かれたが、いまとなっては安全で愉快とさえ言える話題だった。〈猫〉はただのいかれた老いぼれだ。市にとって、ひとりの精神異常者にどれほどの力があるというのか。書類を閉じて忘れるがいい。もうじき感謝祭だ。ニューヨークは声をあげて笑った。それでも、イギリスの従兄であるシェシャー猫のように、体が消えたあとも〈猫〉のにやにや笑いは漂っていた。独房にいる老人の笑い顔ではなかった。あの老人は笑わない。
    エラリイ・クイーン 「九尾の猫」


  • ♭ 子猫にも貼れる Google 検索 1.2〔original skin〕2008-01-16
  • 記事の中でも書いているように、ソネ風呂の「検索ボックス」は使い勝手が悪い。グーグルが無償提供していた「Google Search」をカスタマイズしてみた。前者は検索文字列を含む記事が羅列される(レイアウトも一部崩れる)だけだが、「Google Search」は検索文字を含む本ブログ内の全文章がピンポイントでヒットする。その精度はOS Xの「Spotlight」よりも強力で、あの文章を一体どの記事に書いたのか忘れてしまった時、過去に同じ主旨の文章を書いたかどうか曖昧な時などに重宝する(たとえば「川島なお美」で検索すると「美しく川島なお美、ロミオ「生皺」隠し‥‥苦痛!」という回文が1番上に表示されるのだ)。読者よりもブロガー本人(sknys)の必要性に逼られて作ったような気もしないではない。〈子猫にも出来るプチ・カスタマイズ〉では「検索ボックス」に「Google カスタム検索」風の文字(sknys site search)を入れてみた。

  • ♭ 悪魔の手毬少女〔visual〕2009-05-11
  • 仏・伊オムニバス映画『世にも怪奇な物語』(Histoires Extraordinaires 1967)を紹介した記事。3人の監督(ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ)と出演者(ジェーン・フォンダ、ピーター・フォンダ、アラン・ドロン、ブリジット・バルドー、テレンス・スタンプ)の豪華絢爛なる競演。どこか近親相姦の愛憎劇を想わせる「黒馬の哭く館」(Metzengerstein)、ドSで残虐な性癖の主人公がドッペルゲンガーと対峙する影を殺した男」(William Wilson)も捨て難いが、白眉は「悪魔の首飾り」(Never Bet the Devil Your Head)でしょう。フェリーニが撮った超A級ホラー映画。アル中、フェラーリ、イタリアの国際映画祭にゲストとして招待された英シェイクスピア俳優は泥酔状態に陥り、赤いフェラーリ(マセラッティ)を疾駆させる。トビー・ダミットの首が白いボールのように少女の足許に転がる!‥‥これは美少女という名の「悪魔のフェティシズム」だ。黒ネコ写真に触れると「手毬少女」が現われるギミックになっています。

  • ♭ 真夏のクリアランス 2013 〔music〕2013-08-01
  • 「タワレコ・クリアランス」で発掘したアルバムを7枚レヴューするシリーズの第7弾。何故この記事だけ閲覧数が突出しているのかは依然として不明だが、赤い郵便ポストの上のネコちゃんに由るところが案外大きいのかもしれない。Louise Attaque、Anna Calvi、Sonic Youth、Emiliana Torrini、Jorge Fandermole、Pato Fu、Adriana Partimpim‥‥英米中心のロックやポップスではなく、仏・英・米・アイスランドやアルゼンチンなど、グローバルな選出になっているところが「スニーズ・スタイル」。ブラジルではサッカーと音楽が常に子供たちの身近にある。おもちゃの楽器で名曲をカヴァした《Musica De Brinquedo》(2010)のライヴ・アルバム《Musica De Brinquedo Ao Vivo》(Rotomusic 2011)も子供のための「みんなのうた」というコンセプトでカヴァや自作曲を披露するライヴ・ヴィデオ《Partimpim Dois E Show!》(Sony Music 2010)も天真爛漫で愉しい。

  • ♭ インナー・シティ・ライフ(1995)〔rewind〕2009-07-01
  • 個人的な年間ベスト・アルバム10枚を1年ずつ遡って行く〔rewind〕シリーズ。1995年はトリップ・ホップ〜ドラムンベースが一世風靡した年として記憶されるだろう。20年後の今日も現役で活動しているTricky。2枚組のデビュー・アルバムが鮮烈だったGoldie。変態トリップ・ホップ・デュオのMolokoも雨後の筍たちに紛れてデビューを飾った。Molokoはロシア語で「milk」という意味だが、「時計じかけのオレンジ」に登場するミルク・カクテル「Moloko Plus」から採られたと書けば、腑に落ちるレスナーも少なくないでしょう。The Exの《Mudbird Shivers》(Ex 1995)は強力無比。2本のギターが絡み合いながらノイズを撒き散らすサウンドは爆撃機の大空襲のようにも聴こえる。Herb Rittsの撮ったMylene Farmerの黒い下着姿もエロティックだった。
     
  • ♭ トロピカリア(1993)〔rewind〕2010-04-01
  • 1993年の「ベスト・アルバム」はBjorkのデビュー・アルバムかもしれない。飛行機や汽車、ボートなどを乗り継いで非西欧世界を旅行する少女の心象風景が鮮やかに描写されている。「インドとカリブ海が混在し、2つの太陽が輝き、火山が噴火して花火が上がり、アンドロギュヌスが存在し、ミルク・バーのトイレの中がカラオケ・ボックスと化してしまう世界」‥‥夜になると少女は海の底に錨を下ろして眠るのだ。25年振りのCaetano VelosoとGilberto Gilの共闘は若々しい実験精神に溢れている。シミー・ディスク(Shimmy Disc)を主宰するKramerの2枚組ソロ・アルバムにも圧倒された(アルバム・カヴァはGeorge Harrison《All Things Must Pass》(Apple 1970)のパロディなのだ)。The HonkiesやTrumans Waterのアルバムはメジャーを凌駕するUSインディーズの地殻変動が20年前から起こっていたことを告げていた。

  • ♭ ターナーの彼方へ 〔art〕2008-08-11
  • 〈英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展〉(森美術館 2008)は25周年を迎えた「ターナー賞」を回顧する現代アート展。第1回授賞者マルコム・モーリー(Malcolm Morley)の作品は「絵画」だったが、その後「ターナー賞」は立体的なオブジェやヴィデオ、インスタレーションなどが多数を占めるようになる。デミアン・ハースト(Damien Hirst)の〈母と子、分断されて〉(1993/2007)は真正面から真2つに切断された牛の母子をホルマリン浸けにして、4つの強化ガラス・プラスティックケースの中に封印。ジリアン・ウェアリング(Gillian Wearing)のヴィデオ・アート〈60分間の沈黙〉(1996)は警官26名(女性5名を含む)の「記念ヴィデオ」で、動くことを禁止され静止したままの姿勢で1時間ヴィデオが回される。マーク・ウォリンジャー(Mark Wallinger)の〈スリーパー〉(Sleeper 2004ー05)はベルリン新国立美術館のガラス張りの1階ギャラリー内をクマ・コスプレ姿のウォリンジャーが夜間に彷徨するパフォーマンスを撮った映像作品である。

  • ♭ PALINDROME〔200〕〔palindrome〕2010-03-26
  • 回文シリーズで発表した100篇の中から10篇を厳選して自作解説する「ベスト・オブ・パリンドローム」の第2集。〈路地、猫屋敷、空き車庫、根城〉〈睫だけ‥‥髪の毛の見かけだけ妻〉など‥‥「PALINDEX」で5つ星(★★★★★)を獲得した回文から選出。いずれも勝るとも劣らない傑作回文(自画自賛?)揃いです。〈水墨画を描くボイス〉というシンプルな回文に触発されて、1984年に来日したヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys 1921-86)の美術展やパフォーマンスを回顧する記事になりました。資本主義が多様性の幻想を振り撒いて、人間を「エゴイスティックな豚」として孤立化させているというヨーゼフ・ボイスの発言は30年後の今日を予見していたかのようです。写真はタワレコ渋谷店で行なわれたナタリア(Natalia Lafourcade)ちゃんの「インストア・ライヴ」(2009)の様子です。

  • ♭ ネコ・ログ #13 〔catalog〕2009-04-26
  • 各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第13集。主に近所の常連ネコや新参ネコたちを撮っていますが、ネコ写真よりも紹介文の方が難しい。マンネリ化して同じような内容になりながらも書き続けられるのはネコの行動や生態の多様性に負うところが少なくない。今はもう見かけることのないトミーやハナやラッキーには心から感謝している。今日もオキはお気に入りの場所で寛ぎ、サビは家の中で暮らし、ソランはテリトリー内をパトロールしているに違いない。冒頭の引用文はシークリット・ヌーネス の『ミッツ』(水声社 2008)から。「ヴァージニア・ウルフのマーモセット」のミッツが古道具屋の飾り窓越しに1匹の黒ネコを見つけて、ロンドンの街角にも故郷の南アメリカと同じ黒豹がいたことに驚く場面(「ひどく小柄になってしまった。クモザルほどに縮んでしまった」と訝るのだが)は何度読んでも微笑ましい。
     
  • ♭ 血眼な街 〔palindrome〕2007-12-01
  • 回文シリーズ第11集。この頃のブログは愉しかったなぁ。コメント欄も賑やかで、出前回文や「なぞなぞ回文」などブロガー同士の交流もあった。8年も経つと、街のネコたちやブロガーの顔触れも移り変わって行く。世論調査などで国民の意識が変化したと報道されるけれど、個人の考え方が変わったというよりも日々の生死によって日本人が入れ代わったと考えるべきでしょう。遺伝子治療や医学の進歩で人間の寿命が飛躍的に延びない限り、100年後には今生きている人類の殆どは地球上から消えている。天寿を全うする前に自爆してしまう可能性も否定出来ない。栄枯盛衰、驕れる者も久しからず。しかし、綾瀬はるか、ヴェルーカ・サルト、愛子、ホリエモン、リボンの騎士、ミキティ(安藤美姫)‥‥回文世界の登場キャラは「不思議の国」の住人たちと同じく、いつまでも変わらずに生き続ける。現実世界の人物も出て来ますが、回文ストーリはフィクションなので悪しからず。

  • ♭ 猫のコクーン 〔cat's cradle〕2011-03-21
  • 猫ジャケ・シリーズ第5集。軽い乗りで始めた「麗しきネコードの世界」ですが、意外に奥が深かった。アルバム・カヴァを彩るネコたち‥‥女性に抱かれてキスされるCocoonの子猫、Miss Kittinの「妖怪ネコウモリ」、Modusの「子猫カジノ」、Luba Masonとネコの「恋の破局」、Eliza Doolittleの緑色のスライムで顔の左半分を覆われてしまったロシアンブルー、Klaxonsの凛々しいネコ宇宙飛行士、Wavvesのサイケな「猫王」、Kleenex / LiLiPUTのネコと魚の骨、カシオ製キーボードの前で寛ぐDOM(Dominic)の子ネコちゃん、Squeezeのシンプルに図案化された黒ネコ。「妖怪ネコウモリ」のアートワークから、ゴスロリ少女エミリー(Emily The Strange)と4匹の黒ネコ(サバス、ニーチェ、マイルス、ミステリ)に出逢えたのは嬉しかった。Best Coast、MGMT、Klaxons、Wavvesなど‥‥2010年は寅年ではなく、猫年(ネコードの当たり年)だったのかもしれません。

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    祝記事数600!‥‥100本記念の時は「アクセス・ランキング・トップ10」、200本記念の時は「トップ20」の記事について「自作解説」したので、今回も60位以内に入った記事の中から過去5回と被らないように10本を選んで自作解説しました。41字×10行の段落を10ブロック並べるのが「スニーズ・スタイル」(skny-style)の基本型。写真や動画を貼っただけの空疎なブログに反発して、出来るだけ長い記事を書くように心懸け、徒らに記事数を増やさないという方針で、漸く600本に辿り着きました。今年(2015)の12月で本ブログを始めてから丸10年になります。ソネ風呂は1つの記事に5万字も書けるのだから、短い記事(文章)はブログにアップするまでもなく、TwitterやFacebook、LINEなどのSNSで事足りるでしょう。サイドバーの「アクセス・ランキング」にトップ5を表示。見出しタイトルが記事別総閲覧数の一覧表「ACCESS RANKING」へのリンクになっています。

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    • これからもスニンクス(sknynx)をよろしくにゃん^^;
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    s k n y s - s y n k s 6 0 0

    s k n y s - s y n k s 6 0 0

    • Author: sknys
    • Articles: 600
    • Provider: So-net blog
    • Date: 2015/10/26
    • Media: Internet

    A C C E S S R A N K I N G 6 0

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    A C C E S S R A N K I N G 6 05 04 03 02 0 ~2015/11/01
    1猫のアートcat's cradle 19756
    2オレンジとレモンmusic 17618
    3ミレーヌの憂鬱comic 14119
    41998年のコンピュータ・ゲームarchives 13334
    5シミーにシビレてmusic 11045
    6哀愁のブルーマculture 10962
    74シーズンズbooks 10328
    8子猫にも貼れる Google 検索 1.2original skin 8311
    9ファンカデリックな子供たちarchives 7789
    10猫にふたたびcat's cradle 7165
    11猫のバディcat's cradle 6017
    12nice!を消す方法 2.2blog 5770
    13空を這う僕たちbooks 5533
    14悪魔の手毬少女visual 5527
    15FAVORITE ー VIDEOS 1favorites 5329
    16マグリットじゃない!art 5266
    17ダリとリアart 5200
    18さようなら WAVEculture 5009
    19那古野の人々(すべてがVになる?)books 4947
    20猫のスリスリcat's cradle 4933
    21辻斬り気質palindrome 4924
    22ルドンの蜘蛛art 4922
    23空中ブランコ乗りのレイbooks 4807
    24ルビー・ブルー(2005)rewind 4720
    25ドラコニア少女books 4659
    26FAVORITE ー ALBUMS 1favorites 4652
    27真夏のクリアランス 2013music 4646
    28猫にも出来るオリジナル・スキン 4.1original skin 4451
    29居留守はズルいpalindrome 4472
    30インナー・シティ・ライフ(1995)rewind 4437
    31バイオ女になる?game 4346
    32レモン缶漏れpalindrome 4310
    33リュウの道程comic 4296
    34ゴールド・フラップ(2000)rewind 4287
    35トロピカリア(1993)rewind 4279
    36ターナーの彼方へart 4210
    37次男も文無しpalindrome 4173
    38フィニの少女たちart 4169
    39猫のゆりかごcat's cradle 4162
    40パリンドル(なぞなぞ回文集)palindrome 4121
    41PALINDROME〔200〕palindrome 4119
    42FAVORITE ー ALBUMS 5favorites 4102
    43ヴェルーカ・サルトbooks 4089
    44ネコ・ログ #13catalog 4036
    45少年ヴィーナスmusic 4036
    46すべてはFから始まるbooks 3962
    47猫にも出来るオリジナル・スキン 1.2original skin 3941
    48血眼な街palindrome 3922
    49FAVORITE ー ALBUMS 2favorites 3881
    50猫のコクーンcat's cradle 3864
    51うどん麺道palindrome 3856
    52三日月もぎつかみpalindrome 3825
    53サイ・ビョークが行くmusic 3814
    54ムンクの娘art 3784
    55猫とおさんぽcat's cradle 3782
    56サキ短篇傑作集comic 3771
    57FAVORITE ー BOOKS 3favorites 3759
    58乳出しモンチ(1996)rewind 3730
    59終わらない夏(2001)rewind 3635
    60デジカメ貸して!palindrome 3625

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    • 記事別閲覧数トップ60の一覧表です。サイドバーのタイトル「ACCESS RANKING」にリンクしました。赤色表示 は前回更新時から順位がアップした記事です
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    S K N Y S ー A R T I C L E S

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  • S K N Y S ー A R T I C L E S 8 0 06 0 04 0 02 0 0

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    • 写真は「都電おもいで広場」(荒川区西尾久)で撮りました

    • 閲覧数が1000pvを越えた記事に ★(=1000pv)が付きます^^
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    都電おもいで広場

    都電おもいで広場

    • 場所:都電荒川線「荒川車庫前」下車
    • 開場日時:土・日・祝日の午前10時~午後4時(振替休日含む)
    • 展示車両:5500形(5501号車)/ 旧7500形(7504号車)
    • 車内展示物:おもいでジオラマ / おもいでグラフィティーボックス

    スーパースターの悲劇

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  • 『Goo』(DGC 1990)収録曲のひとつに「チュニック(ソング・フォー・カレン)」がある。カレン・カーペンターは私にとって昔から興味をそそられる存在だった。カーペンターズは見事に太陽の光を浴びたアメリカン・ドリーム、ビーチ・ボーイズみたいな心あたたまる家族のサクセス・ストーリー。そして、その表面下ではビーチ・ボーイズと同じ闇が渦巻いているのだった。どうみてもカレン・カーペンターは、偉大なプロデューサーだが専制的な支配者である兄のリチャードと、奇妙な関係を築いていた。カレンは自分の人生においてただひとつ自分の自由にできると感じた力を、自らの体に行使した。彼女は、多くの女性を苦しめているものを示す極端な例だ。すなわち、自分の体以外の物事に力がおよばないこと、したがって自分の体が権力の道具にされること ── 善人だろうが悪人だろうがみにくかろうが関係ない。
    キム・ゴードン 「GIRL IN A BAND」


  • ◎ If I Were A Carpenter(A&M 1994)Various Artists
  • Carpentersのトリビュート・アルバムには「もし私が大工さんだったら」という洒落たタイトルが付けられていた。それにも拘らず、RichardとKaren兄妹のデカ目イラスト・カヴァやインナー・スリーヴの笑顔が薄気味悪く感じられてしまうのは「カレンの死」が暗い影を落としているからかもしれない。Carpentersのヒット曲をカヴァした14組のバンドやSSWにも少なからず反映されている。Shonen Knifeの〈Top Of The World〉やThe Cranberriesの〈(They Long To Be) Close To You〉は元気で愉しげ、Sheryl Crowの〈Solitaire〉は物憂げで、Johnette Napolitano and Marc Morelandの〈Hurting Each Other〉はハードに決めている。Babes In Toylandの〈Calling Occupants Of Interplanetary Craft〉はメイン・ヴォーカル、ギターのKat Bjellandではなく、Lori Barbero(ドラムス)が歌う変化球。Crackerの〈Rainy Days And Mondays〉は呟くようなダウナー系。Matthew Sweetの〈Let Me Be The One〉は心優しい。

    Sonic Youthの〈Superstar〉はトリビュート盤の中の白眉である。暗鬱なトーン、お通夜のような陰々滅々たるThurston Mooreのヴォーカル、歪んだギターやシンセ、テープによるノイジーで不気味な効果音!‥‥今にもカレンの幽霊が出て来そうな気配に満ちている。Delaney And Bonnie(Leon Russell / Bonnie Bramlett 1969)のオリジナル曲はロック・ミュージシャン(ギタリスト)に恋するグルーピー娘の心情をストレートに吐露していたが、強権的な兄は歌詞の一部を変えて(「And I can hardly wait / To sleep with you again」→「And I can hardly wait / To be with you again」)、スーパースターに憧れる少女のロマンティックな恋物語に改変した。しかし、Sonic Youthは「スーパースター」になってしまったKarenの苦悩や絶望を代弁するかのような内省的な鎮魂歌としてカヴァしたのだ。兄のRichardがSonic Youthヴァージョンの〈Superstar〉を心良く思わないのも当然だった。

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  • ◎ Goo(DGC 1990)Sonic Youth
  • 1990年、結成10周年を迎えたSonic Youthはメジャー・レーベルと契約を交わした。テレンス・マリック「地獄の逃避行」(Badlands 1973)の主演男女キットとホリーを元にしたレイモンド・ペティボン(Raymond Pettibon)のモノクロ・イラストはメジャーらしくないが、6つ折りのインナー・スリーヴは鮮烈な色彩に溢れている。オープニング曲の〈Dirty Boots〉に続いて演奏される〈Tunic〉はサブタイトルに「Song For Karen」と記されているように、拒食症で死去したKaren Carpenterのことを歌っている。トリビュート盤に収録された〈Superstar〉がThurston Mooreのヴォーカルだったのに対して、〈Tunic〉はKim Gordonのオリジナルである。リチャード(Richard)姓・名の男たちを次々と槍玉に挙げて葬り去るFree Kittenの〈Dick〉(1992)に中には写真家・映像作家のリチャード・カーン(Richard Kern)やパンク・ロッカーのリチャード・ヘル(Dick Hell)などと並んで、リチャード・カーペンター(Richard Carpenter)の名前も出て来るのだ。

    Kim GordonはCarpentersの兄Richardには批判的で、妹のKarenには同情的である。一切の食事を拒否して痩せ細って行くKarenの姿に無言の抵抗の意志を読み取る。彼女の「死」は多くの女性たちを苦しめているものからの解放だったと看做す。〈Tunic〉という奇妙なタイトルは痩せ細った骨に引っかかっている衣服が「聖書の登場人物のローブのように棚引いていた」というイメージから採られている。トニー・アウスラー(Tony Oursler)の撮った〈Tunic〉のPVにはThurston Mooreが入手したCarpentersの映像の断片が挿入されていたが、メジャーからのリリースだったので肖像権に配慮してボカシを入れざるを得なかったという。痩せ細った体の隠喩である「Sicon」(小枝)は「Sonic」 のアナグラム。Karenの魂(エクトプラズム?)を呑み込んだKim Gordonが彼女の半生を追体験する。抑制された歌唱、ぎこちない演技のキム姐さんは怒りに燃えている?‥‥彼女は「親愛なるカレンへ」という公開書簡を、ある雑誌に寄稿していた。

  • 親愛なるカレンへ
    テレビでカーペンターズの特別番組が放映されていた年月、私はあなたがオレオ・クッキー・アンド・ミルク色の瞳をした、隣の家に住んでいそうな無垢な女の子から、やせ細ってうつろな目をしたキャンディ・カラーのセットの中のさまよい人に変わっていくのを見ていました。あなたとリチャードは、最後のほうには朦朧としているようでした ── すごく弱った状態で。ことばはあなたの口から出てくるけれど、あなたの目は他のことを言っています。「助けて、おねがい。わたしはわたしのひかえめな反抗の中で迷子になって、なにかがおかしくなっている。わたしは彼らにコントロールされてるわたしを消し去りたい。わたしの両親、リチャード、わたしに『お尻が大きいデブ』と言った記者たち。わたしは、ほとんどの女の子がそうであるように、礼儀正しく優しい人になるよう育てられたから、なにかがおかしいなんて誰も気づきはしないでしょう ── 表面上、わたしが自分に期待されていることをやり続けている限りは。

    彼らはわたしの人生の外側にまつわるすべての要素をコントロールできるかもしれないけれど、わたしの体はわたしがコントロールできる。わたしは自分自身を小さくできる。わたしは消えることができる。わたしは自分を死ぬまで飢えさせることができ、彼らはそれに気づかない。わたしの声は決してわたしを差し出しはしない。あれはわたしのことばじゃない。誰もわたしの痛みを見抜きはしない。でもわたしはことばをわたし自身のものにする、わたしはなんとか自分自身を伝えなければならないから。痛みは完璧なものではないから、リチャードの人生にその場所はない。わたしも完璧にならなけれないけない。わたしは痩せていなければならない。そうすればわたしは完璧。わたしはかつてティーンエイジャーだったっけ? もう忘れてしまった。いまやわたしは中年のよう、変なパーマとカントリー・ウエスタンの服で」

    私はあなたに聞きたいのです。カレン、あなたのロールモデルは誰でしたか? あなたのお母さん? どんな本を読むのが好きでしたか? 誰かに「音楽業界の女性でいるのはどんな感じですか?」と聞かれたことはありますか? あなたの夢は? 女友達はいますか、それともあなたとリチャードとママとパパ、あとA&Mだけですか? 砂の上を駆け回って、足のあいだにせりあがってくる波を感じたことがありますか? カレン・カーペンターはいったい何者なのですか? とてつもなく美しくソウルフルな声をした悲しい女の子だという以外に、本当は。
    あなたのファン ── 愛を込めて、キム

  •                     *

  • ▢ グリーン・フーズ(Asuka 1987)山岸 凉子
  • 金髪碧眼のトビー・ウィルソンは名子役だった。6歳の時に出演したミュージカル映画が大ヒット。当時の大スターと次々に共演したことで全米の人気者となった。エンジェル・フェイスとボーイ・ソプラノのトビーとは対照的な容姿の妹マーシャは兄の活躍を陰から見守るしかなかった。しかし人気絶頂のトビーにも翳りが出始める。変声期を向かえて悪声の持ち主である父親と同じ声になり、骨太の少年に成長して童顔と不釣り合いになってしまった。長男の変貌を憂慮した母親はピアノを習得させ、ゴースト・ライターを付けてSSWとしてデビューさせるが成功せず、「トビー・ウィルソン神話」が残っている地方都市を巡業〜ドサ回りする日々。ステージ・ママの死去を契機にロスへ出た家族の許へ、兄のゴースト・ライターだったチャック・アレンがカムバックの話を持って来る。トビーの歌唱レッスンの様子を袖から見ていたマーシャは思わず声を出して歌ってしまう。妹のマーシャに歌の才能を見出したチャックは歌手としてデビューさせようとするが、トビーは兄妹デュオとしての再デビューを主張して譲らない。

    5分間のTV出演‥‥マーシャはリハーサルなしのぶっつけ本番に緊張して実力を発揮出来なかった。ところが東洋で開催されたオリンピック衛星中継の遅延の場繋ぎとして流れたマーシャの歌(観光地風景映像のBGM)への問い合わせがラジオ局に殺到し、スタジオで「レインボー」を歌うことになる。大手レコード会社からデビューしたトビー&マーシャ。新曲の「ハープ・ムーン」は全米で空前の大ヒットを記録する。次々とヒットを飛ばしてスーパースターとなった兄妹。5年後、トビーが連れて来た美人女優の卵に嫉妬して傷つくマーシャ。彼女はスタッフのジョージ・ワトスンと交際するが、トビーの奸計によって破局させられてしまう。食欲が無くなって次第に痩せ細って行くマーシャ。兄とセクシー女優の結婚。新婚旅行のためにデビュー以来初めての長期休暇を取ったトビー&マーシャ。別荘へ1人で引きこもったマーシャは食事を摂らずに衰弱し、休暇明けの日に救急車で病院へ搬送される。病室で思いもかけない話をするトビーを目の前にベッドで横たわるマーシャは遠のいて行く意識の中でパーティで出会った、幼い兄妹の運命を予言した黒服の女の言葉を再び聞く。

                        *

    NYのスティーヴン・レヴェンクロンの診療所を訪れたKaren Carpenterはダルコラックス(下剤)を毎晩大量に服用していた。彼女が不自然に汗ばんでいたのは薬瓶に貼るラベルのタイプミスで、甲状腺治療薬を処方箋の10倍も摂取していたからだった。代謝率が増加することで、心臓に負担が生じていた。拒食症者の体重は35kgしかなかった。1982年4月、治療中の中休みということで、カリフォルニアの実家へ2週間だけ帰った。心理療法士によってKarenの体重は41kgまでに回復していたが、この期間の下剤の使用によって再び減少してしまったという。カリフォルニア滞在中に彼女はレコーディングしている。治療期限の6カ月が過ぎ、9月になって体調が危機的状態であることに気づいたKarenは自らレヴェンクロンに電話して、マンハッタンのレノックス・ヒル病院に緊急入院することになる。点滴で体重が増加し、快方に向かったKarenは11月8日に退院する。NYからダウニーに帰った彼女は旺盛な活力で気丈に振る舞う。1983年2月4日、心不全で死去。享年32歳。

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    • 構想6年?‥‥タイトルは決まっっていたのに記事になるまでが長かったにゃぁ^^;

    • 「スイマセン。またもちょっぴり「カーペンターズ」兄妹をモデルにしました」凉子

    • 『カレン・カーペンター 栄光と悲劇の物語』(福武書店 1995)を参照しました
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    If I Were A Carpenter

    If I Were A Carpenter

    • Artist: Various Artists
    • Label: A&M
    • Date: 1994/09/13
    • Media: Audio CD
    • Songs: Goodbye To Love / Top Of The World / Superstar / (They Long To Be) Close To You / For All We Know / It's Going To Take Some Time / Solitaire / Hurting Each Other / Yesterday Once More / Callin Occupants Of Interplanetary Craft / Rainy Days And Monday / Let M...


    Goo

    Goo

    • Artist: Sonic Youth
    • Label: Geffen
    • Date: 1990/06/15
    • Media: Audio CD
    • Songs: Dirty Boots / Tunic (Song For Karen) / Mary-Christ / Kool Thing / Mote / My Friend Goo / Disappearer / Mildred Pierce / Cinderella's Big Score / Scooter + Jinx / Titanium Expose


    GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝

    GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝

    • 著者:キム・ゴードン(KIm Gordon)/ 野中 モモ(訳)
    • 出版社:DU BOOKS
    • 発売日:2015/07/03
    • メディア:単行本(横書き)
    • 目次:ソニック・ユース、ラストステージ / NYロチェスターからカリフォルニアへ / 父と母とその仲間、夏の想い出 / 1960年代のロサンゼルス~ヒップスター、ビートニク / アカデミックな家族 / 兄・ケラーの心の病 / ハワイ、そして香港で育ったローティーン時代 / ゆっくりと壊れていくケラー / 高校時代、仲良くした男の子たち /「アーティストになり...


    鬼子母神(山岸凉子スペシャルセレクション 9)

    鬼子母神(山岸凉子スペシャルセレクション 9)

    • 著者:山岸 凉子
    • 出版社:潮出版社
    • 発売日: 2010/12/20
    • メディア:コミック
    • 収録作品:鬼子母神 / グリーン・フーズ / かぼちゃの馬車 / 緘黙の底 / 副馬 / 死者の家 / ひいなの埋葬


    カレン・カーペンター 栄光と悲劇の物語

    カレン・カーペンター 栄光と悲劇の物語

    • 著者:レイ・コールマン(Ray Coleman)/ 安藤 由紀子・小林 理子(訳)
    • 出版社:福武書店
    • 発売日:1995/02/15
    • メディア:単行本
    • 目次:ニューヨーク・シティ、1982年 / カリフォルニア州ダウニー、1983年 / 天才少年とおてんば少女 /「わたしは将来‥‥」/ 西海岸がほほえむとき / ヒット・メーカー誕生 / 悲劇の予兆 / 相いつぐヒットの陰で / ショービズ界の恋 / 自立 / リチャードの失速 / なぜ食べないの? / ソロ活動の試み / 結婚 / 拒食症との闘い / 謎につつまれた悲劇 / 壊れた夢...

    F A V O R I T E ー B O O K S 10

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  • ニャーヴル美術館 ねこあーと in ルーヴル(講談社 2015)シュー・ヤマモト


  • 名画に描かれた人物をネコに変えたパロディ画集『CAT ART』(求龍堂 2012)の第2弾。ルーヴル美術館所蔵の彫刻(6点)と絵画(69点)のネコ・パロディで、もちろんニャーヴル美術館の来館者もネコたち。序文は仏日猫交流協会日本支部長のキャトリーヌ・ニャランソワ。作品解説はモニャ・リザのモナちゃんが担当している。15世紀から19世紀の絵画が中心なので肖像画や宗教画が多い。巻末に「ニャーヴルの歴史」「こうして描かれたニャーヴル絵画」「参照画作品リスト」を併録。「制作アシスタント」のMollyとNekoちゃんも健在 181


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    タイムマシンにお願い

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    MacBook Pro(13-inch, Late 2011)を購入して丸4年になる。無償電話サポートと製品保証期間を1年から3年間に延長する「AppleCare Protection Plan」(非加入だった)も1年前に切れたので、万が一に備えてバックアップについて考えることにした。理想はOS Xの「Time Machine」とアップルのワイヤレス・ハードドライヴ「AirMac Time Capsule」を使ったバックアップだが、外付けHDDは狭いデスク・スペースを占有するし、容量が最小でも2TBある。購入時にストレージをHDD(500GB)をSSD(128GB)にカスタマイズしたMBPは1/4(約30GB)しか使用していない。もっとコンパクトで安価なバックアップ用のストレージはないかと探していて、SDカードを利用出来ることに気づいた。MacBook Airなどのストレージ容量を手軽に増設するためのSDカードがバックアップにも使えるのだ。SDカードならば省スペースで、手軽に扱える。

    Mac Fan(Nov. 2015)に紹介されていた「Nifty MiniDrive」はMacBook専用のSDアダプタとmicroSDのセット。MacBookシリーズのSDカードスロットに差しても出っ張らないように工夫されている。使用する機種やディスプレイ・サイズによってスロットの形状が微妙に異なるらしく、MacBook Pro、Air、Retina、13"&15"用に4タイプある。カラーはシルバーとレッドの2色(SDスロットから見える部分)。カード取り外し用のフック付き。付属のmicroSDカード(4GB)はバックアップ用には容量不足なので、microSDXC(64GB)を別途購入した(128GBまで使用可能)。「Nifty MiniDrive」をSDカードスロットに入れるとダイアログが表示されるので、SDカードをフォーマットする。後は「バックアップディスクとして使用」をクリックするだけ。「Time Machine」の設定は超簡単だったので楽観していたのに、初回バックアップに約1日半も費やすとは!‥‥。

    Time-Machine.jpg

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    「Time Machine」で約30GBをバックアップするのに1日半もかかってしまった。進捗状況を示するプログレス・バーの下に「about two days」と表示された時には目を疑いましたが、翌日の午前中に突如として「about two hours」に変わった(プログレス・バーは余り信用しない方が良いかもしれない)。初回バックアップが完了すると、その後は1時間ごとに自動的に変更ファイルだけをバックアップするようになる。正確には「過去24時間分の毎時間のバックアップ。過去1カ月分の毎日のバックアップ。過去のすべての月の1週間ごとのバックアップを自動的に作成」する。バックアップ・ドライヴの容量が一杯になると、一番古いバックアップから削除されて行く。「Power Nap」に対応していればスリープ状態でもバックアップが続行されるそうですが、残念ながら非リテナのMacBook Proにはない。内臓ストレージを圧迫する「ローカルスナップショット」の問題は「Time Machine」を一時的にオフ(OFF)にすることで、無効化(0GB)出来る。

    「Nifty MiniDrive」に付属していたmicroSDカード(4GB)を使って、iPhotoに取り込んだ古い写真を外部へ退避させることにした。デジカメ(NEX-5N)からの読み込みに時間がかかるようになって来たし、容量(枚数)も増えて来たから。「Time Machine」を一時的に中止して「Nifty MiniDrive」を取り出しておく。microSDXC(64GB)に付いているSDアダプタにmicroSDカードを入れて、MacBook ProのSDカードスロットに差す。Cyber-shot(DSC-P8)で撮った写真は1.5GBほどあった。iPhotoを丸ごとバックアップする方法もあるけれど、アプリの開発自体が終了しているので、今後も使い続けられるという保証はない。「Pictures」→「iPhoto Library」のコンテキストメニューを開いて、「パッケージの内容を表示させる」(Show Package Contents)。「Masters」(オリジナル画像)、「Previews」(修整画像)「Thumnails」(サムネイル)の中の該当ファイルをSDカードにコピーした後、iPhotoを開いて古い写真を削除するだけである。

    About-This-Mac-Storage.jpg

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    iBook(Late 2001)のHDD(20GB)は10年間使用しても壊れなかった。電源アダプタのコードが縒れて切れ、火を噴いて断線したのを機に2011年秋に惜しまれつつ現役から引退した。ちなみにHDDは東芝製だった。2代目MacBook ProのSSD(128GB)もサムソンではなく、東芝製(APPLE SSD TS128C)だった。東芝は「不適切会計問題」や「原子力事業子会社の巨額減損処理問題」などの不祥事で揺れているが、HDDやSSDなどストレージの信頼性は高い‥‥というわけで、microSDカードも東芝製にした。ネットでは格安のSDカードが多数販売されているけれど、余り安すぎるのも気味が悪い。家電量販店で正規国内品を購入した。「アップルの公式サイト」には「原則として、バックアップ用のハードディスクには、バックアップするコンピュータの2倍以上の容量が必要です」と書いてある。MacBook Proは約30GBしか使用していないので、バックアップ用ストレージの容量は64GBあれば充分だと思う。

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    Nifty MiniDrive Pro

    Nifty MiniDrive Pro(MacBook Pro 13" & 15")

    • メーカー:Nifty
    • 発売日:2014/03/04
    • 型番:MD3-RP-PRO SR4G
    • メディア:エレクトロニクス
    • 付属品:microSDカード(4GB)/ 取り外し用フック


    microSDXCメモリカード(MU-Bシリーズ)

    microSDXCメモリカード(MU-Bシリーズ)

    • メーカー:東芝
    • 発売日:2013/06/18
    • 型番:MU-B064GX
    • メディア:エレクトロニクス
    • 付属品:SD変換アダプタ


    Mac Fan 2015年11月号

    Mac Fan 2015年11月号

    • 特集:アップル秋の新製品 全部欲しいぞ!
    • 出版社:マイナビ出版
    • 発売日:2015/09/29
    • メディア:雑誌
    • 目次:3年ぶりに大きく生まれ変わった Apple TVの全貌 / 知れば知るほど欲しくなる iPad Proの全貌 / 自分好みのモデルがきっと見つかる Apple Watchの全貌 / 触ると思わず欲しくなる魔法 iPhone 6s & iPhone 6s Plusの全貌 / すべて覚えて自慢したい iOS 9の新機能 / iPhoneの基本設定を100%正しく理解 / 新しいiPhoneへの移行を完全マス...

    スニーズ・ラブ 10

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  • ♭ 災厄の町(2015-11-07)
  • エラリイ・クイーンの新訳版『災厄の町』(早川書房 2014)。アメリカの架空都市ライツヴィルを訪れた作家エラリイ・クイーン氏。小説執筆のために借りた家は地元の名士(銀行頭取)ジョン・F・ライトの次女ノーラと婚約者ジム・ヘイトの新居だった。3年前の結婚式前日に失踪していたジムがライツヴィルに戻って来る。2人の婚礼。新婚旅行。ノーラが落としたジムの本(毒物学)に挿まれていた3通の手紙。ノーラの砒素中毒。大晦日のパーティ中にジムの姉ローズマリーが毒入りカクテルを飲んで死ぬ。ノーラを毒殺するためのカクテルだったのか?‥‥殺人罪で逮捕〜起訴されたジムの裁判が開かれる。ノーラの妊娠〜出産と衰弱死。ノーラの葬式(埋葬)に参列したジムが車で逃走〜自殺する。ノーラとジムの死によって一件落着したかに思われた殺人事件の真相をエラリイ・クイーンが三女パットとカーター・ブラッドフォード検事に明かす。名探偵の推理によって、180度覆された驚愕の「真実」が浮かび上がるのだ。

  • ♭ バックアップ(2015-11-14)
  • 2011年秋に購入したMacBook Pro 13"も丸4年経った。無償電話サポートと製品保証期間を3年間に延長する「AppleCare Protection Plan」(非加入)も切れたので、万が一に備えてバックアップすることにした。理想はアップル純正の「AirMac Time Capsule」を使ったバックアップだが、スペースを占有するし、容量が2TBもある。購入時にHDD(500GB)をSSD(128GB)にカスタマイズしたMBPは1/4(約30GB)しか使用していない。もっとコンパクトで安価な外付けストレージはないかと探していて、SDカードが利用出来ることに気づいた。MacBook Airなどのストレージ容量を手軽に増やすためのものだが、バックアップにも使える。Mac Fan(Nov. 2015)に紹介されていた「Nifty MiniDrive」はMacBookのSDカードスロットに差しても出っ張らないように工夫されている。付属のmicroSDカード(4GB)では容量不足なので、microSDXC(64GB)を別途購入した。「Time Machine」の設定は超簡単だったのに、初回バックアップに約1日半も費やすとは!‥‥。

  • ♭ キム・ゴードン自伝(2015-11-21)
  • 夫婦で構成されるデュオやバンドは2人の仲が拗れると活動停止や解散の危機に直面する。StereolabやSonic Youthも例外ではない。Kim Gordonの自伝『GIRL IN A BAND』(DU BOOKS 2015)はSonic Youthのラスト・ライヴから始まり、クロノロジカルに彼女の少女時代から回想して行く。ミドルクラスの家庭で育った少女。父ウェインは大学教授を退官後にパーキンソン病を発症。兄ケラーは統合失調症を患い、カリフォルニアの施設で暮らす。母は晩年交通事故に遭う。Thurston Mooreとの出会い。Sonic Youth結成。インディーズ(Blast First)からのデビュー・アルバム。メジャー・レーベル(Geffin)との契約。アルバムやミュージシャン(Neil Young、Kurt Cobain、Kathleen Hannaなど)に纏わるエピソード。Thurstonとの結婚、愛娘ココの誕生、X-girl(ファッション・ブランド)、Free Kitten(サイド・プロジェクト)、夫の浮気〜離婚、バンドの解散、アート、絵画展‥‥などがエッセイ風に綴られる。

  • ♭ れなぴょん聖誕祭(2015-11-28)
  • 河井玲奈(れなぴょん)ちゃんの「17歳聖誕祭」に行って来た。東京芸術劇場前で待ち合わせ、従妹弟や叔母たちと共に「池袋シアター YES」へ。家族は無料で入場出来るのだ。アーミー系アイドル・ユニット「loop」の月一ライヴで、今回は11月19日に17歳の誕生日を迎えた玲奈ぴょんがメインの1時間。彼女たちのライヴを観るのは約1年半振りだが、いつの間にか玲奈ぴょんが5人組のセンターになっていた。ピンク色のサイリウムやクラッカー、バースデイ・ケーキで誕生会を盛り上げる。ライヴハウスではないので、音響的には厳しいけれど、ダンス・パフォーマンスの躍動的な熱気は伝わってくる。従妹からCDや雑誌、クリアファイルなどを貰う。終演後、近くの飲食店で祝杯(ノンアルコール・ビール!)をあげた。れなぴょんは2回目のステージがあるので欠席。歌、踊り、物販(ファンとの会話、握手、写真)‥‥地下アイドルも大変そうです。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの一覧集(2015-11)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    災厄の町〔新訳版〕

    災厄の町〔新訳版〕

    • 著者:エラリイ・クイーン(Ellery Queen)/ 越前 敏弥(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2014/12/05
    • メディア:文庫
    • 目次:クイーン氏、アメリカを発見する / 災厄の町 / "有名作家ライツヴィルに住む" / 三姉妹 / 恋人の帰還 / "ライト家とヘイト家、本日婚礼" / ハロウィン──仮面 / ハロウィン──緋文字の手紙 / 焼かれた贈り物 / ジムと享楽 / 感謝祭──第一の警告 / クリスマス──第二の警告 / 元日──最後の晩餐 / 余波 / ノーラは語る / アラム人 / アメリカ、ライツヴィルを発...


    Nifty MiniDrive Pro

    Nifty MiniDrive Pro(MacBook Pro 13" & 15")

    • メーカー:Nifty
    • 発売日:2014/03/04
    • 型番:MD3-RP-PRO SR4G
    • メディア:SD変換アダプタ
    • 付属品:microSDカード(4GB)/ 取り外し用フック


    GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝

    GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝

    • 著者:キム・ゴードン(KIm Gordon)/ 野中 モモ(訳)
    • 出版社:DU BOOKS
    • 発売日:2015/07/03
    • メディア:単行本(横書き)
    • 目次:ソニック・ユース、ラストステージ / NYロチェスターからカリフォルニアへ / 父と母とその仲間、夏の想い出 / 1960年代のロサンゼルス~ヒップスター、ビートニク / アカデミックな家族 / 兄・ケラーの心の病 / ハワイ、そして香港で育ったローティーン時代 / ゆっくりと壊れていくケラー / 高校時代、仲良くした男の子たち /「アーティストになり...


    河井 玲奈(loop)

    河井 玲奈(loop)

    • ニックネーム:れなぴょん
    • 出身地:千葉県
    • 誕生日:1998/11/19
    • 血液型:A型
    • 特技:新体操

    スニーズ・コメンツ #40

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  • 旅のはじまりはラムセス王のころだった。棚に置かれ、王の足もとにしまわれた彼女は、ミイラにされてリンネルにくるまれたほかのたくさんの猫とともに数世紀を眠って過ごし、目をさますと、ナポレオンの殺し屋たちが、ライオンの体をもつスフィンクスの顔を銃弾であばただらけにしようとしたあと、マムルークの砲弾に海へ追いはらわれたころだった。そのあと猫たちは、この女王猫とともに、商店街をぶらついた。やがてヴィクトリア女王の蒸気機関車がエジプトを横断し、墓場の盗掘品やアスファルトのしみこんだリンネルでくるまれた死体を燃料がわりにするようになった。骨と燃えやすいタールから成るこれらの小さな束は、ネフェルティティ=タット急行と呼ばれるものの煙突のなかでぐるぐると渦巻いた。エジプトの空を焦がす黒煙は、息を吹いて火の粉を風に散らすクレオパトラのいとこたちの幽霊だったのだ。
    レイ・ブラッドベリ 「アヌバの到来」


  • ♭『チェシャーチーズ亭のネコ』カーメン・アグラ・ディーディ&ランダル・ライト
  • 「その昔、チェシャチーズというチーズがあって、その片面に歯をむきだして笑っているネコの顔が描かれていた」とデズモンド・モリスも書いているように、チーズはネコの大好物。びっけさんと同じく、「ネコ本」ばかり読んでいます。

  • 『九尾の猫』(早川書房 2015)エラリイ・クイーン
  • 『ニャーヴル美術館』(講談社 2015)シュー・ヤマモト
  • 『怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関』(講談社 2015)法月 綸太郎
  • 『吾輩は猫画家である』(集英社 2015)南條 竹則
  • 『コトラ、母になる』(クレヴィス 2015)岩合 光昭
  • 『ねこ輝く』(辰巳出版 2015)岩合 光昭
  • 『ネコ学入門』(築地書館 2014)クレア・ベサント
  • 『アーティストが愛した猫』(エクスナレッジ 2015)アリソン・ナスタシ
  • 『愛しの猫プリン』(ポプラ社 2009)小手鞠 るい
  • 『カラスも猫も』(筑摩書房 1995)武田 花

  • by sknys (2015-09-26 00:43)

  • ♭ スプリング・ブルー ──「オータム・レッド」の休日。
  • 渋谷タワレコ・クリアラアンスで《Mi Burbuja》(Pelo 2013)見つけました。「ヘン顔」のアルゼンチン人かと思っていましたが、Mariana Vegaは南米ヴェネズエラのSSWなんですね。
    by sknys (2015-10-13 0:37)

  • ♭ ご無沙汰しております ── ぶーけさんが転んで骨折!
  • 高校の体育で柔道を必須履修しました。1カ月間の「受け身」は痛くて辛かったけれど、今にして思えば、意外と実生活で役立っているのかも。あの時から、ン十年?‥‥転んで骨折したことは一度もありません。ぶーけさんも柔道入門してみるにゃん?
    by sknys (2015-10-30 22:59)

  • ♭ 乱歩奇譚 ── モバサム中年探偵団?
  • 渋谷のハロウィンは凄かったにゃん。マリオ、セーラームーン、ゾンビ、ナース、囚人、綾波レイ‥‥怪人二十面相もいたかもしれません。ハチ公前のスクランブル交差点が渡れないので、地下道からヒカリエ〜エル・スールへ行ったけれど、リクエストしていた「アルバム」は未入荷。「El Sur」は老朽化した宮益坂ビルの取り壊しで、近々移転するそうです。
    by sknys (2015-11-01 14:35)

  • ♭ 猫記事集めました。Ⅱ ── ビッグ・キャット・ラプソディ
  • トミー。さん、こんばんは。近所のネコたちを観察していると、図体の大きなネコほど臆病な小心者で、体の小さいネコの方が勇敢で気が強いように感じられます。メタボ猫ちゃんの多くは、自慢げに抱いている飼主の責任ではないかしら「ハフポスト日本版」にもネコに関する記事が定期的に掲載されています。
    by sknys (2015-11-09 19:30:08)

  • ♭ パリのテロ事件
  • ぶーけさん、こんばんは。死を覚悟した自爆テロは防ぎようがない。アメリカやロシアが空爆を続けてもテロはなくならない。憎しみの連鎖に終わりはない。テロと戦うのではなく、テロの起きない社会や世界を目指すべきではないでしょうか。バタクラン劇場でライヴを行なっていたのは、Eagles Of Death Metalというバンドです。Ringo Deathstarがシューゲイザーであるように、Eagles Of Death Metalもデスメタルではありません。
    by sknys (2015-11-20 00:00)

  • ♭ カサブランカ(Casablanca Records)
  • カサブランカから1枚選ぶとしたら、引用文中にもあるParliamentの《Trombipulation》(Casablanca 1980)でしょうか。George Clinton総帥が「サー・ノーズ」に扮したアルバム・カヴァはインパクトありました。♪ゾウさん、ゾウさん、お鼻が長いのね。そうよ、サー・ノーズも長いのよ。
    by sknys (2015-11-25 23:10)

  • ♭『銀の実を食べた』 大島 弓子
  • miyucoさん、こんばんは。門外漢の読み手としては正直分かり難いところもある少女マンガ。「銀の実をたべた?」(1974)を再読したら、遠野秀野と尾花沢笑の未来を想像して、目頭が熱くなってしまった。当時リアルタイムで読んでいた少女たちは大島作品の深度(萩尾望都は「精神的な奥行き」と書いている)をどこまで理解していたのかしら?‥‥小学館文庫(1977)の解説「ユミコ風」はエッセイ集『一瞬と永遠と』(幻戯書房 2011)に収録されています。福田里香(お菓子研究家)のヲタク魂が爆発した『大島弓子にあこがれて』(ブックマン 2014)も必読にゃん。
    by sknys (2015-11-25 23:32)

  • ♭ The Beatles「And I Love Her」訳
  • ポールが当時恋人だったジェーン・アッシャー(Jane Asher)の家で書いた名曲。ジョージの弾いているガット・ギターはホセ・ラミレス。シンプルな構成ですが、間奏でEからFに転調しています。中学生の時、レコードを聴きながらギターを弾いた時に気づいて、思わず引っくり返りそうになりました。「プレミアムXTC廃盤CD/レコードセール」がdiskunion新宿で開催されます。
    by sknys (2015-11-26 19:55)

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    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第40集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載‥‥事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註)を加え、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2015/09/01~11/30)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。ハロウィンの夜、渋谷ハチ公前のスクランブル交差点が渡れず地下通路へ避難。やっと辿り着いた「エル・スール」は入居しているマンション(某ホラー映画のロケ地にもなった!)の老朽化による建て替えで、近々閉店〜移転するという。「パリ同時多発テロ」ではロック・コンサート・ホールとサッカー・スタジアムが標的となった。11月22日、池袋西口公園で従妹弟や叔母と待ち合わせて「れなぴょん聖誕祭」へ‥‥1年半振りに観た従妹の娘は5人組のセンターになっていた。

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    Trombipulation

    Trombipulation

    • Artist: Parliament
    • Label: Universal Music
    • Date: 2015/05/13
    • Media: Audio CD
    • Songs: Crush It / Trombipulation / Long Way Around / Agony Of Defeet / New Doo Review / Let's Play House / Body Language / Peek-A-Groove


    銀の実をたべた? ―傑作短編集―

    銀の実をたべた? ―傑作短編集―

    • 著者:大島 弓子
    • 出版社:小学館
    • 発売日:1977/07/20
    • メディア:文庫
    • 目次:銀の実をたべた? / 季節風にのって / なごりの夏の / 誕生 / あとがき・大島 弓子 / 解説・萩尾 望都


    塵よりよみがえり

    塵よりよみがえり

    • 著者:レイ・ブラッドベリ
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2005/10/05
    • メディア:文庫
    • 目次:麗しき者ここにあり / 町と屋敷 / アヌバの到来 / 高い屋根裏 / 眠れる者とその夢 / さまよう魔女 / ティモシーはどこから? / 屋敷と蜘蛛と子供 / はるばるたびをしてkたネズミ / 集会 / 十月の西 / 多くの帰還 / オリエント急行は北へ / ナストラム・パラセルシウス・クルック / 十月の民 / アイナーおんじさん / ささやく者たち /テーベの声 / 生きる...


    EL SUR RECORDS

    EL SUR RECORDS

    • 店主:原田 尊志
    • 住所:東京都渋谷区渋谷2-19-15 宮益坂ビル10F
    • 営業時間:15時過ぎ~21時頃
    • 定休日:水曜
    • メディア:レコード / CD

    スニーズ・シンクス 2 0 1 5

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  • 取締役は服をぬぎ、シャワーを浴び、背広を外の物干にかけて乾かそうとした。すると妙なことに気がついた。背広のポケットに入れておいた例の手紙の何通かの切手の色が落ちて、ほとんど白くなっているのだ。ガソリンで印刷インクが溶けてしまったにちがいないと思った。何の気なしに1枚の切手をはがしたところ、とつぜん消音器つき郵便喇叭の形が見えた。喇叭の透かしを通して自分の掌の肌がはっきり出ているのだ。「何かの符号だ」と彼はささやいた ──「符号としか言いようがない」。宗教的な人間だったらひざまずいたところだ。彼の場合は、大まじめに、こう宣言しただけだった ──「ぼくの大きな過ちは愛というものだった。きょうこの日からぼくは愛に近づかないことを誓う ── 異性愛、同性愛、両性愛、愛犬、愛猫、愛車、あらゆる種類の愛に近づかない。孤立する者の協会を設立してこの目的に奉仕する。そしてこの印、ぼくの命を奪うところだったガソリンの力で示現した印を協会の記章としよう」。そして彼はそれを実行した。
    トマス・ピンチョン 「競売ナンバー49の叫び」


  • 10年目のスニンクス(sknynx)は63本の記事をアップした(2014.12~2015.11)。回文シリーズは新年恒例の「回文かるた」を含めて5本。ネコ・ログは4本。音楽記事は年間ベスト、タワレコ・クリアランス、ファブ・フォーやゼップのリマスター・アルバムなど計12本。石ノ森シリーズは「イナズマン」や「仮面ライダー」など4本。アート記事はマグリットとネコ写真展「世界ネコ歩き」「ふるさとのねこ」。猫ゆりシリーズは〈猫のマジー〉(猫盤)、〈猫のミツ〉(猫本)の2本をアップ。10年越しの懸案だった〈スーパースターの悲劇〉が書けたのは感慨深い。ブログ記事などを書いているノートブック(MacBook Pro)を「Time Machine」でバックアップした〈タイムマシンにお願い〉もデータ保護という面では大きかった。ストレージを丸ごと、1時間ごとに差異分をバックアップしているので、いつトラブルに見舞われても元の環境に復元することが出来るようになったのだ。

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    回文シリーズは〈デビュー、指で〉〈ヒツジも失費〉(回文かるた)〈理屈屋しゃっくり〉〈糞・泥・土足〉〈イカ部オフ会〉の5本をアップ。〈パリンドル 4〉〈パリンド・キャット 3〉の2本はテーマ別(なぞなぞ、ネコ)に編集した回文選集。「パリンデックス」のレイティング(5段階評価)で5つ星を獲得したのは〈筏、雷鳴り、波が高い〉〈世界ハヤブサ、杉降らし。ゴジラ吹き荒ぶヤバい旋風〉〈熱気球追う雪キツネ〉〈絵馬、消え薮?‥‥深夜に走るジバニャン、渋谷駅前〉〈痛み庇い走る猿芝居、バカみたい〉〈魔窟、ラリッた力石徹落とし、いきり立つリラックマ〉〈怒って四苦八苦、イライラ幾つ白紙撤回?〉〈朽木、津軽、箱根、能登去る冬、「ふるさとのねこ」春、活気づく〉の8回文。そこはかとなくマンネリ感が漂っているような気もするけれど、意外と動物キャラ回文が多かった。『アニマルマニア』(講談社 2003)という回文集があったように、動物と回文は相性が良いのかもしれません。

    街で出会う外ネコの数が減っているように感じられる。その原因の1つは耳先カットの効果が表われていること。去勢・不妊手術を施したネコからは新たな生命は産まれないので、ノラや地域ネコの個体数は減少して行く。もう1つはニュースでも報じられている小動物(猫や兎など)の虐殺事件の影響がある。飼主が心配して、今まで自由に出入りしていたネコを外へ出さずに屋内で飼うようになったことは容易に想像出来る。外ネコたちにもネコ撮り人にも厳しい時勢になってしまったが、長毛種のロンや黒ネコのソラン、茶トラのレイちゃんなど‥‥姿は見えなくても、猫語で話せば駆け寄ってくる常連ネコも少なからずいる。今年出遭った三毛スコ(三毛のスコティッシュ・フォールド)は天然系ではないかと想われるくらい人懐っこくて可愛い。「ネコ・ログ」は各記事のトップを飾るネコ写真9枚をサムネイル化してアルバム風に並べた記事。〈ネコ・ログ #36〉〈ネコ・ログ #37〉〈ネコ・ログ #38〉〈ネコ・ログ #39〉の4本で延べ36匹のネコたちのプロフィールを紹介した。

    石森章太郎の「そして‥‥だれもいなくなった」(1967)はギャグ、ストーリ・マンガ、ドキュメント風の劇画などタイプの異なる5つの物語が同時進行する当時としては劃期的な作品だった。「ワイルドキャット」(1968-69)は青年誌に連載されたセクシー路線のスパイ活劇。「009ノ1」と良く似た世界観だが、ヒロインの山猫ネネはサイボーグではなく超能力者である。「仮面ライダー」(1971)は作画的に最も美しい時代の変身ヒーローもので、大胆で洗練されたコマ割り、スタイリッシュでカッコ良い仮面ライダーズやショッカーの怪人(改造人間)たちのアクションを堪能出来る。「イナズマン」(1973-74)は「幻魔大戦」と変身ヒーローを合体させたもの。作者が物語の主人公を2つのタイプ、サイボーグ(島村ジョー、ミレーヌ・ホフマン、本郷猛&一文字隼人)とエスパー(ミュータント・サブ、山猫ネネ、風田三郎)を使い分けていることは興味深い。

    実に13年振りの「マグリット展」(国立新美術館)である。〈マグリットじゃない!〉でジョルジュ・ロックの『マグリットと広告 ── これはマグリットではない』(リブロポート 1991)をサブ・テキストに使ったので、〈マグリットかもしれない?〉では『マグリット事典』(創元社 2015)や『マグリット 光と闇に隠された素顔』(マール社 2012)を読んでみた。林檎や花束など偏愛的なオブジェで顔を隠したマグリットの実像に少し迫れたような気がする。石森章太郎も「ジュン」(1967-69)の中でルネ・マグリットへのオマージュを愉しそうに描いていた。〈ネコと歩けば 2〉〈猫のコトラさん〉は岩合光昭写真展の記事。「世界ネコ歩き」(日本橋三越本店)ではミラーレス一眼で撮ったネコ写真が大きく引き伸ばしても鮮明なことに驚いた。「ふるさとのねこ」(渋谷ヒカリエ)は東北の四季の移ろいと子ネコたちの成長が調和していて美しい。

    病院の待合室で読む本は分厚いミステリに限る。エアコンの効きすぎた院内でエラリイ・クイーンの『九尾の猫』(ハヤカワ文庫 2015)や『災厄の町』(ハヤカワ文庫 2014)を読んだ。前者の「猫」は連続絞殺魔のニックネームで、尻尾の本数が犠牲者の人数を暗示している。文字通りの「ネコ本」ではないけれど、邦題(原題は「Cat Of Many Tailes」)には惹かれるものがある。後者は名作の誉れ高いミステリ。アメリカの都市(NYマンハッタンとライツヴィル)を震撼させた殺人事件、意外な真犯人など‥‥2作品には共通点がある。トマス・ピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』(サンリオ文庫 1985)は中篇なのに読み応えがあった。長くて難解と言われるピンチョン入門書には最適かもしれない。レメディオス・ヴァロの〈大地のマントを織り紡ぐ〉が表紙カヴァの本書は絶版ですが、短編「殺すも生かすもウィーンでは」を併録した増補改訂版『競売ナンバー49の叫び』(ちくま文庫 2010) が出ています。

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      NME's Top 10 Albums of 2015
    • Art Angels - Grimes
    • To Pimp A Butterfly - Kendrick Lamar
    • In Colour - Jamie xx
    • My Love Is Cool - Wolf Alice
    • Currents - Tame Impala
    • Every Open Eye - CHVRCHES
    • Honeymoon - Lana Del Rey
    • What Went Down - Foals
    • Marks To Prove It - The Maccabees
    • Multi-Love - Unknown Mortal Orchestra


      MOJO's Top 10 Albums Of 2015
    • Have You In My Wilderness - Julia Holter
    • To Pimp A Butterfly - Kendrick Lamar
    • Music Complete - New Order
    • Currents - Tame Impala
    • Simple Songs - Jim O'Rourke
    • West Kirby County Primary - Bill Ryder-Jones
    • Music In Exile - Songhoy Blues
    • From Kinshasa - Mbongwana Star
    • Key Markets - Sleaford Mods
    • Carrie & Lowell - Sufjan Stevens

    毎年11月下旬から順次発表される年間ベスト・アルバム。英米音楽誌や新聞紙、レコード・ショップ、ウェブ・サイトなど様々なメディアが「Best Albums」を選出している。発表されるアルバムの数はベスト10から100まで色々あるが(ベスト50が多い)、順位をつけない方針のところもある。最速なのは「Rough Trade」、保守的な「Rolling Stone」、辛口レヴューの「Pitchfork」、アヴァギャン志向の「WIRE」‥‥など、各メディアが独自色を出そうとしている(みんな同じリストでは意味がない)。それでも年間ベストの上位が毎年数枚のアルバムに集中してしまうのは面白い。「Rewind 2015」は上半期のベスト10〈BEST ALBUMS 2015(So Far)〉を挙げたので、余り迷うことはないと楽観している。「年間ベスト・アルバム」の愉しみは同じ嗜好のメディアやレヴュワー(評者)を見つけて欣喜雀躍することだけでなく、聴き逃した(買い逃した?)未知のアルバムを探しに師走の街へ出かけることにある。

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    s k n y s - s y n k s

    s k n y s - s y n k s

    • Author: sknys
    • Articles: 608
    • Date: 2014/12/11
    • Page View: 2,334,001
    • Media: Internet

    F A V O R I T E ー V I D E O S 6

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  • Stonemilker (One Little Indian 2015) Bjork



  • 黄色いコスチュームを身に纏ったBjorkが人気のない海岸で歌うだけのPVだが、左上に表示されている「グーグル・マップ」みたいなボタンをクリックすることでアングルを上下左右自由自在に動かせる(360 degree virtual reality)。Bjorkは画面右へフレーム・アウトしてしまうので、視聴者は横にスクロールさせて彼女の後を追い駆けなければならない。撮影現場のカメラマンになったようで面白い。一体どうやって撮ったのかしら? 101


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    • サイド欄に貼っているYouTubeのヴィデオを纏めて一覧表示しました。削除されたり、リンクを切られたりして視聴出来なくなる場合も想定されますが、御了承下さい
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    Vulnicura

    Vulnicura

    • Artist: Bjork
    • Label: One Little Indian
    • Date: 2015/03/17
    • Media: Audio CD
    • Songs: Stonemilker / Lionsong / History Of Touches / Black Lake / Family / Notget / Atom Dance / Mouth Mantra / Quicksand

    スニーズ・ラブ 11

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  • ♭ らもセレクション(2015-12-05)
  • 2004年7月に急逝した作家・ミュージシャン・中島らもの「エッセイ・コレクション」(筑摩書房 2015)。「生い立ち・生と死」「酒・煙草・ドラッグ」「文学・映画・笑い」「不条理と不可思議」「性・そして恋」の5つのテーマに分けて、全81篇を収録。編者の小堀純も解説で書いているように、膨大なエッセイ群の中から選び出すのは至難の業。1巻本で一部しか収録されていないのだから「コレクション」ではなく、「セレクション」と言うべきかもしれない。軽妙洒脱なエッセイ集の中にあって、「死」「ドラッグ」「恐怖」‥‥などヘヴィなテーマも散在される。衒いや迷いを脱ぎ去り、真っ裸になって核心を衝く筆致は小気味好い。「わが葬儀」の中では自分の死を56歳と予測していたけれど、現実の死は4年早かったことになる‥‥《僕という存在の喪失が、しばらくの間人々の間に影を落とし、やがてその影が薄れていって、僕はほんとうの「無」になる。そういうのがいい》。

  • ♭ 閉店セール(2015-12-12)
  • 入居しているマンション「宮益坂ビルディング」の老朽化(築62年!)による建て替えのため、来年1月中に退去することになった「EL SUR RECORDS」。まだ移転先は決まっていないものの、12月5日から閉店セール(ALL20%OFF)が始まった。途中で道草して、ネコ写真を撮ったりしていたので、「EL SUR」に辿り着いた時は午後4時を回っていた。店内には4〜5人の先客がいる。リクエストしていたLou Doillonのニュー・アルバム《Lay Low》(Barclay 2015)、南米アルゼンチンの棚に隠匿しておいたCandelaria Zamar《Un Vaso De Agua》(Eden Srl 2014)、店主から勧められたDimartinoの《Un Paese Ci Vuole》(Picicca 2015)を購入。某ホラー映画のロケ地にもなった建物には余り近寄りたくないけれど、未知なるワールド・ミュージックの誘惑には勝てない。割引率が上がったら、猫(ネコード)狩りに行きたいにゃん。

  • ♭ エディション・ノエル(2015-12-19)
  • 《Love Songs》(Barclay 2013)の「デラックス・エディション」が某ディスク・ユニオンにあった。Vanessa Paradisの6thアルバムは2枚組(全20曲)だったが、クリスマス・ヴァージョンの「Edition Noel」(2CD+DVD)は写真集やブックレット、特大ポスターを同梱したハードカヴァ仕様(20×20cm)。CDは4曲多く、DVDにはライヴ映像やPVなどが収録されている。2年落ちの未開封新品。アマゾン(Amazon.co.jp)よりも千円以上安い(ニャンキュッパー!)のだから、お買い得だと思う。ちょっと早いクリスマス・プレゼント(クリぼっち?)として購入した。リアル店舗にはネット通販では決して味わえない驚きと愉しみがある。オリジナル・アルバムはBenjamin Biolayが全面プロデュース。20曲目の〈Les Roses Roses〉ではデュエットまでしています。

  • (2015-12-26)


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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの一覧集(2015-12)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    中島らもエッセイ・コレクション

    中島らもエッセイ・コレクション

    • 著者:中島 らも / 小堀 純(編)
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日:2015/07/08
    • メディア:文庫
    • 目次:あの日の風景──生い立ち・生と死 / 酒の正体──酒・煙草・ドラッグ / エンターテイメント職人の心得──文学・映画・笑い / こわい話──不条理と不可思議 / サヨナラにサヨナラ──性・そして恋 / 初出一覧 / 編者解説 / 解説・いとうせいこう


    EL SUR RECORDS

    EL SUR RECORDS

    • 店主:原田 尊志
    • 住所:東京都渋谷区渋谷2-19-15 宮益坂ビル10F
    • 営業時間:15時過ぎ~21時頃
    • 定休日:水曜
    • メディア:レコード / CD


    Love Songs(Edition Noel)

    Love Songs(Edition Noel)

    • Artist: Vanessa Paradis
    • Label: Barclay
    • Date: 2013/12/10
    • Media: Audio CD(2CD+DVD)
    • Songs: L'au-Dela / Love Song / C'est Quoi? / Les Espaces Et Les Sentiments / Prends Garde A Moi / Tu Pars Comme On Revient / The Dark It Comes / Rocking-Chair / Station Quatre-Septembre / Tu Vois C' Que J' Vois / La Creme / Le Rempart / Mi Amor / New Year / Tu Si N...

    澄み真水

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  • 敵機が低空飛行してきたな! と思った瞬間、ドカ〜〜ン! と爆弾が落ちて、爆風とともに左腕に痛みが走った。「やられた!」と思っているうちに痛みはだんだんひどくなり、やがてモノが言えないくらいになってきた。世の中にこんな痛いことってあるのだろうか、というほどだ。/ 衛星兵が来て止血してくれたが、血はバケツ2杯ほども出たような気がした。「輸血したほうがいい」と言ってぼくに血液型を聞いたが、ぼくは頭がもうろうとしてわからなくなっていた。そこで輸血はやめたが、このままでは命が危ういと言う。/ 翌日、軍医が来て、軍用の七徳ナイフのようなもので腕を切断した。ぼくは意識を失った。/ 気がついたのは、あくる日の午後だった。/ 軍医は目医者だったが、親切だった。しかし、薬も足りなければ栄養状態も悪かったので、腕を切ったあとはなかなかよくならなかった。/ わずかに残った短い左腕は顔よりも大きくはれあがり、ウジ虫がわいて大変だった。/「これでマラリヤが発症したら終わりだ」と言われた。
    「水木 しげる のんのん人生」


  • ⃞ 逃げた石原さとみ。シジミとさらば、椎茸煮
    昨夜は酒を少し呑み過ぎたらしい。ビールとワイン、ハイボールまでは覚えているけれど、その後の記憶が一切ない。頭痛もするし、吐き気もある。二日酔いの朝はシジミ汁を飲むことに決めている。シジミに含まれるオルニチン(アミノ酸)が体内のアルコールを分解してくれるからだ。何となく健康にも良い気がして、体調も回復していたように思っていたのだが、単なるプラシーボ効果だったのかしら?‥‥先日、某TV番組に出演して「シジミ健康法」を紹介したら、シジミ汁1杯分の摂取量では殆ど効果がないと医師に宣告されてしまったからだ。さらに衝撃的な新事実を知らされた。医者曰く「シジミよりもシイタケの方が何十倍も二日酔いに効く」。そして世にも怖しい、真っ黒に煮染められた「椎茸の甘辛煮」が目の前に出て来た。「ギャッ!」と叫んで、収録中のスタジオから逃げ出した。私はシイタケが大嫌いなのだ。

    ⃞ 靴履く神父、ゴソゴソ5分、四苦八苦
    結婚式の当日、自宅を出ようとした神父は冠婚葬祭用の靴の片方がないことに気づいた。昨晩、念入りに磨いておいた革靴の左だけが、不思議なことに見つからない。飼い犬のシューが咥えて中庭のどこかへ隠してしまったのだろうか?‥‥子犬の頃はスリッパが室内から消えてしまったことが良くあったけれど、重い革靴が無くなったのは初めてだった。綺麗に磨き過ぎたのが逆効果だったのかもしれない。挙式の時刻が迫っている。挙式のリハーサルも行なわなければならないし、一刻の猶予のままならない。探すのを諦めた神父は仕方なく靴箱の奥から以前履いていた革靴を取り出した。ところが久しく履いていなかったからか、革が固くなっていて両足がスムーズに入らない。数年振りに靴ベラを使わなければならなかった。神父は玄関で5分間、古靴と悪銭格闘することになった。

    ⃞ 既読スルー、彼キレ、ガールズ口説き
    ツイッターやフェイスブック、ラインなどのSNSは世界に開かれた最新のネット・メディアだと思っていたが、日本ではイジメや仲間外れ、リベンジ・ポルノなどが横行する偏狭な村社会と化している。自由でグローバルな世界のはずなのに、ドメスティックで閉鎖的な空間になってしまった。本来フリーなインターネットが資本主義に乗っ取られたように、現実世界の閉塞感がネット内にも色濃く反映されているわけだ。お互いに顔の見えないヴァーチャルな関係が言動を過激にしているという側面もあるかもしれない。読んだら即座に返信しなければならないという暗黙のルールも、相互監視システムが張り巡らされているようで気味が悪い。私が「既読スルー」したことに彼氏がキレて、手当り次第に複数の「女友達」を口説き出したのには唖然とした。こんなにも料簡の狭い自己チューで浮気性のクズ野郎だったのか、私の目は節穴だったのか!‥‥と憤怒して落ち込む。これも現実世界の過剰な投影なのかしら?

    ⃞ 茄子・味噌・白滝・鱈・紫蘇・水菜
    NNK「きょうの料理」は寒い冬に絶好の温か鍋だった。美玲之ラビ(料理愛好家)が作る特製「茄子と水菜の鍋」。今日のレシピはとっても簡単だ。土鍋に水を入れて、鱈、白滝、茄子、水菜、紫蘇‥‥の具材を投入するだけ。味つけも味噌だけのシンプルな鍋である。「茄子と水菜の鍋」は美玲之家に代々伝わる鍋料理だという。1人娘ラビの父親は著名な仏文学者だったが、その祖父が料理研究家だったことは余り世に知られていない。「茄子と水菜の鍋」も祖父が考案した創作料理の1つだと伝え聞く(番組の収録時間が余ったのか、ラビの早口弁舌が止まらない)。幼い頃、お爺ちゃんに「茄子と水菜の鍋」を作ってもらった記憶がラビにはある。その祖父には回文作家としての意外な一面もあった。創作料理の大半は回文から思いついたという珍説もあるほどである。

    ⃞ 敵機、水木しげる見る景色、澄み切って‥‥
    水木サン(武良茂)は大正11年3月8日、大阪の西成郡粉浜村で生まれた。「茂」という名前は曾爺さんの「茂三郎」から1字もらって名付けられたという。生後1カ月後、武良一家は鳥取県境港市へ引っ越す。ある日、食いしん坊(ズイボ)の水木少年は国民の祝日に立てて飾る日の丸の先端に付いている金色の玉を食べて気分が悪くなり、気絶したところを家の手伝いをしていた「のんのんばあ」に介抱される。老婆から聞かされた妖怪の話や奇妙な体験が後の「鬼太郎」などの作品に生かされることになる。昭和18年、召集令状が届いて水木サンは入営する。2カ月後にラッパ卒となるが、上手く吹けない。人事係の軍曹にラッパ吹きを辞めたいと直訴すると、南方への野戦行きを命じられてしまう‥‥。敵機が低空飛行して爆弾を投下する。爆風と共に左腕に痛みが走った。大量の出血。衛生兵に止血してもらったが、頭が朦朧としていて血液型が分からず、輸血は行なわれなかった。翌日、軍医が来て軍用ナイフで腕を切断!‥‥麻酔なしの外科手術に水木サンは意識を失った。

    ⃞ さだめ、路地裏の子ネコ、野良、後ろめたさ
    都会で暮らすネコたちを撮っている写真家のS氏は憂慮していた。最近、街中で見かけるネコの個体数が減って来たように思うからだ。東京23区ではネコやウサギやハトなどの小動物が惨殺される猟奇事件が頻発している。危機感を持った飼主は飼いネコを外へ出さなくなった。地域ネコに施される耳先カット効果も影響しているのかもしれない。それでも近所を散策していて、顔馴染みのネコに出会うと安堵する。ある日、路地裏に1匹に子ネコが佇んでいた。ミャーミャーと鳴いて頻りに何かを訴えている。ネコ好きの人ならば即座に保護するところだが、S氏は躊躇する。自宅マンションではネコやイヌなどのペットを飼えない規則になっている。様子を見ながら写真を撮っていると、奥の細い路地から母親らしきネコが姿を現わした。鋭い眼光でS氏を睨む。「良かった、母ネコと一緒だった!」‥‥多少の後ろめたさを感じながら、S氏は路地裏を後にした。

    ⃞「ハロウィン、危ないな」‥‥不安、言う驢馬
    2015年10月31日、渋谷駅周辺は仮装・コスプレした若者たちで埋め尽くされていた。ハチ公前のスクランブル交差点が渡れない(交通警察官が規制線を張っていた)。スーパーマリオ、セーラームーン、ゾンビ・ナース、ミニスカ・ポリス、囚人、綾波レイ、キグルミン‥‥ゲームやアニメのキャラたちで溢れるセンター街。ラッシュアワー並みの混雑で身動きが取れない。記念写真(プリクラ)を撮るためなのか、ゲームセンターの前には長蛇の列が出来ていた。JRの改札を通ってハチ公前に出たロバくんは身の危険を感じて、地下通路へ避難することに。ヒカリエ経由で「エル・スール・レコーズ」(築62年の幽霊マンション10階)に漸く辿り着く。店主にハロウィンの大混雑ぶりを伝えると、iMacで渋谷の様子を確認する。狭い店内はCDやレコードなどで溢れている。幸いゾンビやモンスターはいなかった。帰途も地下街から渋谷駅へ向かう。ゾンビ青年が東急のれん街で食料品を物色していたのには笑っちゃいましたが。

    ⃞ ギャル巨乳、揺蕩う。湯に過る山羊
    巨乳娘Qは温泉旅行が大好き。今日もリュックを背負って1人旅に出た。行き先は九州某所にある秘湯。鄙びた旅館に着いたQは早速、目的地を目指す。人気のない山道を歩くこと数十分、足取りが重くなって一服したいなぁ‥‥と思っていた矢先に目当ての秘湯があった。露天風呂に併設されている簡易脱衣場で服を脱いで、徐ろに湯の中へ入る。適度に疲れた躰に温泉が心地良い。肌の中に温かい湯が沁み込むようだ。「穴場の秘湯」と呼ばれるだけあって、辺りに人の気配が全然ない。もし覗き目的の盗撮魔が隠れていたとしても、湯煙で殆ど見えないのだが‥‥。湯の中でQの巨乳がユラユラと揺れる。耳を澄ますと野鳥や野生動物らしき鳴き声が遠くの方から聞こえて来る。全身を解放してリラックスしていると、都会の喧騒や軋轢が湯の中に解消して行くのが感じられる。湯煙の向こうで何かが動いたような気がして、Qは目を凝らす。「獰猛なクマだったら一体どうしよう」と一瞬不安になったが、鳴き声を聞いて安堵した。露天風呂を横切ったのは一頭の山羊さんだった。

    ⃞ 隠すマイナンバー、ノーパン‥‥ない、マスクが!
    悪の組織ショッカーの「10月計画」は富士山麓の地下基地にあるスーパー・コンピュータを使って日本人をロボット化することだった(ショッカーの計画は仮面ライダーズによって阻止された)。その悪名高い国民総背番号制度が「マイナンバー」という名称で45年後に実現されようとしている。正義の味方の月よりの使者「けっこう仮面Z」も国民の個人情報を国家が管理して丸裸にするマイナンバー制の実施には断乎反対である。下半身は露出(ノーパン)しているけれど、私の「マイナンバー」は隠さなければならない。郵便配達人が届けに来た簡易書留は受け取り拒否。抗議のために役所へ走った「けっこう仮面Z」は我が身の異変を肌に感じて赤面した。激高仮面していたからなのか、赤いマフラー、グローブ、ブーツは身に着けていたのに、肝腎のマスクで顔を隠すのを忘れてしまったのだ。これでは正体バレバレのストリーキングではないか!‥‥猥褻物陳列罪で逮捕されちゃうわ。「どこの誰かは知らないけれど、体はみんな知っている。けっこう仮面Zは誰でしょう?」

    ⃞ 異界・幻魔スナイパーはイナズマン警戒?
    「新人類帝国」から新たな刺客が放たれた。凄腕の幻魔スナイパーの標的は風田サブロウではなく、改心して「少年同盟」に寝返ったルビイである。「裏切り者には死を‥‥」というのが領主バンバからの勅令だった。もちろんイナズマンがミッション遂行の障碍として立ちはだかることは想定していた。その場合には風田サブロウも抹殺しなければならない。公園を散歩するルビイと風田サブロウを幻魔スナイパーが遠距離から狙う。M16(アサルトライフル)でルビイに標準を定めて狙撃したが外れた。引き金を引いた瞬間、風田サブロウがルビイに体当たりしたからである。右肩を負傷したサブロウは蛹になって蹲る。次に繭を破ったサナギマンが狙撃手を追う。スナイパーが再び発砲するとイナズマンに変身!‥‥幻魔スナイパーとイナズマンの2人が対峙する。風田サブロウは幻魔スナイパーの正体を見て驚いた。魔界転生したデューク東郷(ゴルゴ13)だったとは !?

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    • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

    • 水木しげる回文は『水木しげる のんのん人生』(大和書房 2004)を参照しました

    • イナズマン回文は「スニンクスなぞなぞ回文 #42」の解答です^^

     スニンクスなぞなぞ回文 #43

     喜多嶋舞◯▽△☆◎☆△▽◯いまま下着

     回文作成:sknys

     ヒント:夜になっても遊び続けろ


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    包帯クラブ

    包帯クラブ

    • 出演:石原 さとみ / 柳楽 優弥 / 田中 圭 / 貫地谷 しほり / 関 めぐみ / 佐藤 千亜妃
    • 監督:堤 幸彦
    • メーカー:ポニーキャニオン
    • 発売日:2008/02/15
    • メディア:DVD


    水木しげる のんのん人生 ── ぼくはこんなふうに生きてきた

    水木しげる のんのん人生

    • 著者:水木 しげる
    • 出版社:大和書房
    • 発売日:2004/12/10
    • メディア:単行本
    • 目次:まえがき / のんのん人生はじめのはじめ / ケンカと絵と妖怪と / 戦争はタイヘンだ / とにかくイロイロやりました / マンガ家人生も甘くない / 売れた! 倒れた! 南の島だ!/ それでも水木サンは進む

    猿と踊るさ(回文かるた 2 0 1 6)

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     あ 愛で目立ったメディア あいでめだっためでぃあ
     い イカ部オフ会 いかぶおふかい
     う 紆余曲折 急く余興 うよきょくせつせくよきょう
     え 選ぶ 赤い絵画・油絵 えらぶあかいかいがあぶらえ
     お オカルトで撮る顔 おかるとでとるかお
     か カリブ・アフリカ かりぶあふりか
     き キャバレー「レバ焼き」 きゃばれーればやき
     く 糞・泥・土足 くそどろどそく
     け 怪我し 那覇で話しかけ けがしなはではなしかけ
     こ 零し 和紙 反古 こぼしわしほご
     さ 三音音叉 さんおんおんさ
     し 尻刺すと後退りし しりさすとあとずさりし
     す 澄み真水 すみまみず
     せ 銭・金が贋 ぜにかねがにせ
     そ 痩躯で空疎 そうくでくうそ
     た 短足 損だ! たんそくそんだ
     ち 誓い悔いがち ちかいくいがち
     つ 通貨危機が鬱 つうかききがうつ
     て 撤退だって !? てったいだって
     と 飛ばすメモ 雌鳩 とばすめもめすばと
     な 鳴戸巻き 葱間 取るな! 
     に 苦いイカ煮 にがいいかに
     ぬ 濡れ羽色 黒い‥‥バレぬ ぬればいろくろいばれぬ
     ね 熱心 連日ね ねっしんれんじつね
     の 飲み込む 婿 ミノ のみこむむこみの
     は 裸のあの方は‥‥ はだかのあのかたは
     ひ 1人蹴り跳び ひとりけりとび
     ふ 文士と神父  ぶんしとしんぷ
     へ 偏向コンペ へんこうこんぺ
     ほ 本妻 酔い 散歩 ほんさいよいさんぽ
     ま まさか囲碁 いかさま? まさかいごいかさま
     み 見かけ倒し 獅子 尾だけ噛み みかけだおしししおだけかみ
     む むっつり 海苔 包む むっつりのりつつむ
     め 飯かな?‥‥流し目 めしかなながしめ
     も 藻・波・水面 もなみみなも
     や 柳 空き納屋 やなぎあきなや
     い 医学博士が爆買い いがくはかせがばくがい
     ゆ 湯浴み 美味 鮎 ゆあみびみあゆ
     え 江戸っ子 ネコ集え! えどっこねこつどえ
     よ 4回 快感よ / 4階 開館よ よんかいかいかんよ
     ら 辣腕男と温和面 らつわんおとことおんわづら
     り 理屈屋しゃっくり りくつやしゃっくり
     る 留守番して 新パズル るすばんしてしんぱずる
     れ レオナルド 太る 名折れ れおなるどふとるなおれ
     ろ 路地裏の野良 後ろ ろじうらののらうしろ
     わ 和菓子食い‥‥串 皮 わがしくいくしかわ
     ゐ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
     う うら若い陛下笑う うらわかいへいかわらう
     ゑ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
     を ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 
     ん ンビラ 久遠 お蔵品 んびらくおんおくらひん

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    • 回文かるたはフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

    • 10周年記念新春恒例企画「回文かるた 2016」です。タイトルを含めて全50作。回文にコメントは付けないので、読者各自で想像力を脹らませてね

    • 「一機撃墜」「ワンダフル・ゴルフ談話」など、検索でヒットした回文は外しました

    • 絵札の「踊る猿のイラスト(申年・干支)」「いらすとや」から拝借しました^^
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    るとおどるささるとおどるさ

    サルと踊るさ(回文かるた 2016)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net
    • Date: 2016/01/01
    • Media: Palind-carta
    • Palta: 愛で目立ったメディア / イカ部オフ会 / 紆余曲折 急く余興 / 選ぶ 赤い絵画・油絵 / オカルトで撮る顔 / カリブ・アフリカ / キャバレー「レバ焼き」/ 糞・泥・土足 / 怪我し 那覇で話しかけ / 零し 和紙 反古 / 三音音叉 / 尻刺すと後退り / 澄み真水 / 銭・金が贋 / 痩躯で空疎 / 短足 損だ!/ 誓い悔いがち / 通貨危機が鬱 / 撤退だっ...

    回文かるた 2 0 1 6 ー 2 0 0 7

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    るとおどるささるとおどるさ

    猿と踊るさ(回文かるた 2016)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net
    • Date: 2016/01/01
    • Media: Palind-carta
    • Palta: 愛で目立ったメディア / イカ部オフ会 / 紆余曲折 急く余興 / 選ぶ 赤い絵画・油絵 / オカルトで撮る顔 / カリブ・アフリカ / キャバレー「レバ焼き」/ 糞・泥・土足 / 怪我し 那覇で話しかけ / 零し 和紙 反古 / 三音音叉 / 尻刺すと後退り / 澄み真水 / 銭・金が贋 / 痩躯で空疎 / 短足 損だ!/ 誓い悔いがち / 通貨危機が鬱 / 撤退だっ...


    つじもしっぴひつじもしっぴ

    ヒツジも失費(回文かるた 2015)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net
    • Date: 2015/01/01
    • Media: Palind-carta
    • Palta: 後ずさり‥‥槍刺すドア / 遺産 散財 / 動けず 明日下校 / 絵師また「だまし絵」/ お使い 鯛 カツオ / 掻き毟る 苦しむ飢餓/ 刻み 紙裂き / 口惜しい媒酌 / 齧歯目も躾け / 豪雨・風雨後 / 3度も頓挫 / 心霊痙攣死 / スマホ阿呆増す / 急かし足枷 / 染まりロリ・マゾ / 高跳び 首と肩 / 血糊 狩りの血 / 罪人と秘密 / デビュー、指で / 飛び...


    まもししもまううまもししもまう

    馬も獅子も舞う(回文かるた 2014)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net
    • Date: 2014/01/01
    • Media: Palind-carta
    • Palta: 兄 マヨ・マニア / 異界 冥界 / 羽毛濛々 / 駅 汽車と屋敷消え / お神酒片手で高樹澪 / 肩はだけた裸 / 金星‥‥マジ本気?/ 草木引き裂く / 決意言い告げ / コバンザメ詰め3箱 / 五月雨 晴れたミサ / 私物目潰し / 図鑑 本貸す / ゼブラ獲る 虎伏せ / そっちが窒素 / 体罰撤廃だ!/ チンピラ フラフラ ピンチ / 罪 起訴 機密 / 鉄塔撮って!/


    びたびへへびたびへ

    ヘビ旅へ(回文かるた 2013)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net
    • Date: 2013/01/01
    • Media: Palind-carta
    • Palta: アプリ売りプア / 囲碁は5位 / 姥桜 蕁麻這う / 選り抜き塗り絵 / お知らせラジオ / 花粉撒布か?/ 綺麗・恋歴 / クラウドで道楽 / 下卑た髭 / コレクター抱くLEGO / 3km銀座 / 4月懐かし / Suica 迂回す / 背中怪我なぜ?/ 束縛はクソ!/ 太鼓 羽子板 / 乳首・指・口 / 通学 僕が鬱 / 手が逆手 / 冬瓜買うと‥‥ / 名高い刀 / 妻ママつ...


    つどしとったたつどしとった

    辰年撮った(回文かるた 2012)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net
    • Date: 2012/01/01
    • Media: palind-carta
    • Carta: あれば湯葉‥‥レア / いつアンマン熱い? / 動いて抵抗 / 絵馬・奈良・寺・名前 / お菓子 欲し顔 / 寒暖温暖化 / 気づかない長月 / 軍人泣くな苦難辛苦 / 景色・沖・時化 / 濃い眉 舞妓 / 3点差 / 震災大惨事 / 水没、壷、椅子 / 背伸びし レシピ載せ / 葬儀 泣き 嘘 / 談志が死んだ / 血みどろ‥‥ヨロヨロと道 / 罪消え 機密 / 手伝い...


    どしどう?うどしどう?

    卯年どう?(回文かるた 2011)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net blog
    • Date: 2011/01/01
    • Media: palind-carta
    • Palta: ABBA(アバ)は婆 / イレヴン憂い / うがい水買う / エア・ギター抱き合え / 狼ガオォ!/ 開発 初発売か?/ 強風予期 / 黒豚ブログ / 家来 鯛 平らげ / 小娘試す婿 / 3姉妹は今審査 / しめた!‥‥ただ飯 / スカンク君 ガス / 戦国混セ / 疎開過疎 / 食べすぎて キス下手 / 地下都市・十勝 / TONIGHT 酷い夏 / 鉄板張って / 遠野の斧の音 /


    らとことらととらとことらと

    トラと子トラと(回文かるた 2010)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net blog
    • Date: 2010/01/01
    • Media: Palind-carta
    • Palta: 愛撫ママ 妻マフィア / イカした歌・司会 / うつ俯せ普通 / 絵文字萌え / お魚と長棹 / 賢い子鹿 / 客に鳥と肉焼き‥‥ / 黒の6 / 毛皮剥ぎは若気 / 紺色 白インコ / 魚の尾の長さ / 死んだ美男子 / 隙あり 掏摸 空き巣 / セミの店 / 遭難 みんなウソ!/ 垂れた 爛れた / 地デジカ蹴る 怪我して血 / 釣りキチたち 起立!/ 手長ザル逆撫で /


    らならば‥‥うばらならば‥‥

    薔薇ならば‥‥(回文かるた 2009)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net blog
    • Date: 2008/12/26
    • Media: Palind-carta
    • Palta: アベック 靴ペア / 井川遥 光る歯若い / ウルウル潤う / 絵描きは着替え / おかま 馬顔 / カツ丼特価!/ 奇抜な花椿 / 苦学 復学 / 怪我した 血出し 崖 / ゴキブリ武器庫 / 3段 段差 / 下着濡れ 脱ぎ出し‥‥ / スイカ・夏・長椅子 / セクハラは癖?/ 倉庫番は控訴 / 田島令子 婿入れました / 違い問いがち / 津波・海・夏 / 手形は裸で / ...


    なかいえいがなどとなかいえいがなど

    トナカイ映画など(回文かるた 2008)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net blog
    • Date: 2007/12/26
    • Media: Palind-carta
    • Palta: あれ食えば?‥‥エクレア / 怒り 無理解 / うどん麺道 / 絵はがきが映え‥‥ / オレ 理科5 ガリレオ / カイロの呪いか?/ 危険 剣劇 / 寛ぐロック / 毛虫 西向け!/ 濃い湯麺(タンメン)明太子 / 昨夜のヤクザ / シモンさん3文字 / 炭焼きすぎ「すき家」ミス!/ 世界が向かい風 / 空耳は「ミ・ミ・ラ・ソ」/ 断乎 離婚だ!/ 血眼な街 /


    てきなきですすてきなきです

    素敵な木です(回文かるた 2007)

    • Author: sknys
    • Provider: So-net blog
    • Date: 2006/12/16
    • Media: Palind-carta
    • Palta: あなた斬る 殺る気だなぁ / 居留守はズルい!/ 嘘です 手相 / えみる丸見え / 惜しい! 濃い塩 / 悲しそう‥‥粗品か / 決まりの海苔巻き / グラビア(BoA)開く / 検察 いつ懺悔?/ 5人はパン2個 / 次男も文無し / すだれ巻き 隙間レタス / 絶対 立つぜ!/ ゾウ・若い犀・獺 / タイヤキ焼いた / 痴漢とトンカチ / 爪剥ぐ 裂く 破滅 / ...


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    • 当初は「クリスマス企画」だったのですが、2010年から元日にアップしています

    • 絵札のイラスト(干支やクリスマスなど)は「いらすとや」から拝借しました^^
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    キャリーとローウェル(2 0 1 5)

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  • ◎ NO CITIES TO LOVE*(Sub Pop)Sleater-Kinney
  • 1994年、米ワシントン・オリンピアで結成された女性トリオ、Sleater-Kinneyは12年間で7枚のアルバムをリリースした後、2006年に活動停止。2014年に再結成して、翌年1月に10年振りの8thアルバムを発表した。Corin Tucker、Carrie Brownstein(ヴォーカル、ギター)、Janet Weiss(ドラムス)という3ピース・バンドで、JSBXやThe Exと同じようにベースレスなのが彼女たちのスタイル。2人のヴォーカルと2本のギターが絡み合うサウンドはスリリングで厚みがある。ギターの下降ラインに痺れる〈Surface Envy〉、人気アニメ「ボブズ・バーガーズ」(Bob's Burgers)と共演したPVが愉しい〈A New Wave〉、ハード・ディスコ調の〈Bury Our Friends〉‥‥。ライオット・ガルーの咆哮は若い娘から齢を重ねてオバさんになっても衰えず、丸くなるどころか逆に凄みを増した。アルバム・カヴァの「萎れた花束」はアルチンボルド風女性の横顔のように見えなくもない。

  • ◎ VIET CONG(Jagjaguwar)Viet Cong
  • Viet Congはカナダ・カルガリーで結成されたポスト・パンク・バンド。悪趣味なバンド名は泥沼化したヴェトナム戦争を否が応でも思い出させる。Matt Flegel(ヴォーカル、ベース)、Mike Wallace (ドラムス)、Scott "Monty" Munro(ギター、シンセ)、Daniel Christiansen(ギター)という4人組で、トライバルなドラムスや耳障りなギター、自己嫌悪と自己陶酔の入り混じったヴォーカルなどがニュー・ウェイヴの記憶をフラッシュバックさせる。モントリオール出身のOughtがTelevisionならば、Viet Congはエコバニ(Echo & The Bunnymen)なのかもしれない。デビュー・アルバムの曲数が全7曲と少ないのはポスト・パンクにしては演奏時間が長いからで、ラストの〈Death〉に至っては11分に及ぶ。それだけに曲構成も複雑で、「迷宮的ポスト・パンク」(labyrinthine post-punk)と評するレヴューもある。「ヴェト・コン」という名称を変更するかどうかで揺れているらしいが、これ以上にインパクトのある名前を付けるのは難しいでしょう。

  • ◎ UN VASO DE AQUA(Eden Srl)Candelaria Zamar
  • 藍色や緑色の絵具を溶かしたような白い空間に映るラファエル前派風女性の横顔ポートレイト‥‥Candelaria Zamarはアルゼンチン・コルドバ出身の女性SSW。デビュー・アルバム「水のグラス」は24秒の〈Intro〉を含めた全9曲、約26分という短さだが、清冽な透明感に溢れている。彼女の弾くピアノ、ローズ・ピアノ、シンセ、ウーリッツアに不穏なサンプリング(ノイズ)やエフェクト、口笛、ウクレレ、多重録音されたコーラスやスキャットなどを加えた音数の少ないサウンドはシンプルなゆえに音の1つ1つが際立つ。彼女のヴォイスも飾り気がなく、ストレートで麗しい。「一服の清涼剤」という常套句を色褪せさせる小世界が煌めいている。ラストの〈Aeiou〉が母音だけで歌われるという意外性も微笑ましい。

  • ◎ SORGA(Buda Musique)Dupain
  • Dupainは南仏オクシタニアのミクスチャー系フォーク・ロック・バンド。10年振りの4thアルバムは、Sam Karpienia(ヴォーカル、マンドール)、Pierre-Laurent Bertolino(ヴィエル・ア・ルー)、Gurvant Le Gac(フルート)、Emmanuel Reymond (コントラバス)、François Rossi(ドラムス)という新編成の5人で録音。マンドール(Mandole)、ハーディ・ガーディ(Vielle à roue)、フルート、ドラムスが一丸となって疾走する切れ味鋭いサウンドはパンキッシュでプログレッシヴ。5拍子の〈Au Còr De Mon Silensi〉、6拍子の〈Cada Vouta〉。〈Beveire D'Aucèus〉の咆哮は何度聴いても目頭が熱くなる。アルバム・タイトルの「Sorga」はオック語で「水源」(Source)という意味。アルバム・カヴァには2つの水瓶から水を流す女神が描かれている。全12曲はオック語で歌われていて、歌詞ブックレット(36頁)には仏語と英訳詞が併記されている(公式リリースは3月だったが、「猫の日」に「El Sur Records」でフラゲにゃん。帰宅してネットにアクセスすると、カストール爺さんの「ソルガ男の生きる道」がアップされていた)。

  • ◎ VULNICURA*(One Little Indian)Bjork
  • ネット(iTunes)では2015年1月20日に先行配信されていたBjorkの9thアルバム。CDはブリッジをして胸の赤い裂け目を見せているグロテスクな青銅像のような「限定盤」と黒いコスチューム姿のBjorkが後光のようなケープ(headpiece)を纏っている「通常盤」(限定盤のカヴァは歌詞ブックレットの表紙になっている)の2種が同時リリースされている。アルバム・カヴァやスリーヴなどパッケージ・デザインの違いだけで、収録されている9曲に異同はない。オープニングの〈Stonemilker〉はデビュー・アルバムに収録されていても違和感がないけれど、ハートブレイクした心象風景を黒い湖面に映す〈Black Lake〉、Antonyとデェエットした5拍子の〈Atom Dance〉など、次第に傷ついた心を鎮める内省的な世界へ降りて行く。興味を惹くのは「ヴァルニキュラ」(Vulnicura)というタイトルと彼女の胸の亀裂がヴァギナ(vagina)を想わせること。破局した元夫マシュー・バーニー(Matthew Barney)風の性的コスプレ・アートになっているところも逆説的で面白い。

  • ◎ SOMETIMES I SIT AND THINK, AND SOMETIMES ...*(Milk!)Courtney Barnett
  • 白地に青と緑のチェック柄の絨毯と肘掛け椅子が描かれた安西水丸風のアルバム・カヴァ。「時々は椅子に座って考えたり、何も考えないで座っているだけだったり」‥‥という長いアルバム・タイトル。豪タスマニア生まれの女性SSWはストラトキャスターを左指で弾く。ギター2、ベース、ドラムスというオーソドックスな編成(ライヴではトリオ)で、ライオット・ガルーなインディ・ロックやNirvana風のグランジを演奏。〈Elevator Operator〉や〈Dead Fox〉など、ポップな曲の中にあって、〈Kim's Caravan〉の気怠いヴォイスとノイズ・ギターは強烈な印象を残す。Kim Gordonへのオマージュなのかどうか半信半疑だったが、2015年5月に地元の豪メルボルンで行なわれたライヴ・パフォーマンス映像(Live in Melbourne)を視て嬉しくなった。Courtney BarnettがSonic YouthのTシャツ(レイモンド・ペティボンが描いた有名なアルバム・カヴァ)を着ているではないか!

  • ◎ CARRIE & LOWELL*(Ashmatic Kitty)Sufjan Stevens
  • Sufjan Stevensの7thアルバムはドラムレスのフォーク・ソング集。アクースティック・ギターやバンジョー、ピアノ、キーボードなどの弾き語りによるギミックのないシンプルな伴奏で、母親の死(2012)に触発された少年時代の記憶や継父への思いが歌われる。母キャリー(Carrie)はSufjanが1歳の時に家を出た。父親は再婚してミシガンへ移住する。継父ローウェル(Lowell)はキャリーの再婚相手である。熱心なレコード・コレクターだった継父はSufjanに色々な音楽を聴かせたという。オレゴンはSufjan少年(5〜8歳)がキャリー&ローウェルと3度の夏を過ごした思い出の場所だった。《The Age Of Adz》(2010)のようなサウンド面の目新しさはないけれど、繰り返し聴いているうちにジワジワと胸に沁みて来る。「We're all gonna die」とリフレインされる〈Fourth Of July〉は優しく柔らかなヴォイスとは裏腹に重く切なく響く(U2の「アメリカ独立記念日」も薄気味悪かった)。3拍子の〈John My Beloved〉も美しい。

  • ◎ PLATFORM*(4AD)Holly Herndon
  • Julia Holter、Laurel Halo、Jenny Hval‥‥Bjorkが切り拓いた前人未踏の荒野を女性たちが探検に出かける。米テネシー生まれの作曲家、ミュージシャン、音楽アーティストのHolly Herndon(灰色の瞳と赤毛の三つ編みヘアがトレードマーク)も女性探検隊の1人である。2ndアルバム《Platform》のエレクトロ〜エクスペリメンタル系のサウンドには気味悪さと心地良さが奇妙に混在している。耳触りが良くて、脳内もゾワゾワしちゃう?‥‥谷口暁彦(Akihiko Taniguchi)のPVで注目された〈Chorus〉、悪名高いNSA(アメリカ国家安全保障局)のことを歌った〈Home〉、未知の惑星を探査する〈Morning Sun〉、彼女が親しげに語りかける〈Lonely At The Top〉は「世界の上位1パーセントの富裕層に向けて書かれたクリティカル・ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)(ele-king インタヴュー)だという。ちなみにThe Wireの年間ベスト・アルバム「2015 Rewind」の6位に選ばれています。

  • ◎ SIMPLE SONGS*(Drag City)Jim O'Rourke
  • Sonic Youthから離脱したJim O'Rourkeは2006年、活動拠点をNYから日本(新宿界隈)へ移す。《Insignificance》(2001)以来、実に13年半振りの歌入り(SSW)アルバムである。石橋英子(ピアノ、オルガン)、須藤俊明(ベース)、山本達久(ドラムス)、波多野敦子(ストリングス)という日本人のバンドで完璧な欧米ロックを創出する。親日派の外国人が陥るジャパネスクや変な東洋趣味は微塵もない。6拍子で始まり、7拍子〜6拍子となる〈That Weekend〉、ギター〜ピアノ弾き語りの〈Hotel Blue〉、ギター弾き語りフォークの〈These Hands〉、変拍プログレ風の〈Last Year〉、ピアノ弾き語りバラードの〈End Of The Road〉‥‥繊細なヴォーカルはサウンドの中に溶け込み、「シンプル・ソングス」というアルバム・タイトルに反して楽曲は丹念に作り込まれている。アルバム・カヴァが友沢ミミヨ画伯の「キモかわ」イラストでなかったのは残念ですが‥‥。

  • ◎ HAVE YOU IN MY WILDERNESS*(Domino)Julia Holter
  • 彼女に一体何が起こったのか?‥‥Julia Holterの4thアルバムは驚くほどポップで親しみやすい。《Ekstasis》(Rvng 2012)《Loud City Song》(Domino 2013)に引き続き、Cole Marsden Greif Neill(Ariel Pink、Nite Jewelの夫)との共同プロデュース。彼女のキーボードにベース、パーカッション、サックス、クラリネット、ヴァイオリン、チェロという編成はポスト・クラシカル風だが、ロックでもジャズでもクラシックでもない新しい音楽(アヴァンポップ)を切り拓く。拍子抜けするほどポップな〈Feel You〉、暗鬱で気怠い雰囲気を醸し出す〈How Long?〉、コレットの短篇「ホテルの部屋」の登場人物を題材にしたという〈Lucette Stranded On The Island〉、「私は泳げないのよ」と告白する〈Sea Calls Me Home〉、意表を衝くロカビリー調の〈Everytime Boots〉、メキシコの山賊チブルシオ・ヴァスケス(Tiburcio Vásquez)のことを歌った〈Vasquez〉‥‥浮世離れしたヴォイスは妖精のように可愛らしくドリーミーでリスナーを彼女の桃源郷へ誘う。

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    今年(2015)の年間ベスト・アルバムは前半で大方決まってしまった。そのまま上半期の〈BEST ALBUMS 2015(So Far)〉を挙げても差し支えない。しかもKendrick Lamar、Dupain、Chassol、Bjork、Courtney Barnett、Jlin、Sufjan Stevensなど、3月に注目作が相次いでリリースされた。この1カ月間だけで「ベスト10」が選べるのではないかと思うほど。選外は上記の3枚(Kendrick Lamar、Chassol、Jlin)に加えて、Rafael Dutra、Panda Bear、Jose Gonzalez、Jessica Pratt、Luciole、Natalia Lafourcade、Speedy Ortiz、Waxahatchee、Lucio Mantel、Jenny Hval、Wolf Alice、Jamie xx、Colleen、Tame Impala、Wilco、Ought、Metz、Beach House、U.S. Girls、Joanna Newsom、Arca、Lou Doillon‥‥まだ聴き切れてないアルバムも多数残っている。2015年は「喪失」の年だった。夫(Matthew Barney)との破局や母親(Carrie)の死をテーマにした2枚は胸の奥に沁み入る。個人的な辛い体験を作品に昇華出来るのは羨ましくもある。

                        *
    • 個人的な年間ベスト・アルバム10枚を1年ずつ遡って行く〔rewind〕シリーズです

    • Holly Herndonのレヴューは〈スニーズ・ラブ 7〉からの転載(一部改稿・加筆)

    • SYNC4 「interview Sufjan Stevens」を参照しました

    • 輸入盤のリリース順(国内・流通盤が出ているアルバムには *マークを付けました)
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    Carrie & Lowell

    Carrie & Lowell

    • Artist: Sufjan Stevens
    • Label: Asthmatic Kitty
    • Date: 2015/03/31
    • Media: Audio CD
    • Songs: Death With Dignity / Should Have Known Better / All Of Me Wants All Of You / Drawn To The Blood / Eugene / Fourth Of July / The Only Thing / Carrie & Lowell / John My Beloved / No Shade In The Shadow Of The Cross / Blue Bucket Of Gold


    No Cities to LoveViet CongSorga




    Un Vaso De AguaVulnicuraSometimes I Sit & Think & Sometimes I Just Sit




    PlatformSimple SongsHave You In My Wilderness

    S K N Y S ー S C R A P S 2 0 1 6

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  • S C R A P S 2 0 1 615141312111009080706




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    ネコ・ログ #40

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  • 私の母親は当初、あまり猫が好きではなかった。/「猫なで声で甘えているくせに、背中を向けると舌を出している」/ と言って、猫に冷たかった。/ 私が小学生低学年のころ、二代目か三代目のコゾが深夜、二階の寝室の枕許に来て鳴いた。いつもとちがう鳴き声に目を覚ました私は、ふと異臭を嗅いだ。コゾは階段の上に行って、さらに鳴いた。コゾに引かれる形で階段の下り口に行った私は愕然とした。階下が烟っている。私は咄嗟に火事だと叫んで、両親や家族を叩き起こすと、階下に駆け下りた。/ 炬燵から朦々と煙を発しており、母は竃の上に水のあんばいをしてといであった米入りの釜を取って来て、米ごと炬燵にかけた。発見が早かったので、小火のうちに消し止められた。最後の訪問客の煙草の火が炬燵布団に残っていて、くすぶり始めたらしい。危ないところをコゾによって救われたのである。/ それ以後、母親のコゾに対する態度は一変した。大の猫嫌いであった母が、コゾを目に入れても痛くないような、文字通りの猫っ可愛がりをするようになった。
    森村 誠一 「運命の猫」


  • #352│ラス│飼い猫 ── 錆は決して眠らない(ニール・ニャング)
    ニール・ニャングの「錆は決して眠らない」(1979)はパンク・ムーヴメントに触発されたライヴ・アルバムである。「錆つくよりは燃え尽きたい」(It's better to burn out than it is to rust)という歌詞の一節が自殺したキャット・コバーン(ニャルバーナ)に遺書に引用されていたことでも知られる。類は友を呼ぶのか、黒と茶色のサビ模様のネコが錆びて変色した鉄柱に纏わりついていた。まるで昆虫の擬態や保護色のように鉄柱と同化している。錆と一体化するだけでなく、錆びた鉄の固まりを舐める。苦くないのか、それとも鉄分の補給なのか?‥‥ネコの行動は驚きと謎に満ちている。◯◯銀座商店街の道端。タバコ屋さんの看板ネコらしくて、通りがかったオバさんがネコの名前を呼ぶ。錆と同化したカメレオン・キャットのラスちゃんがニール・ニャングやキャット・コバーンのように「錆つくよりは燃え尽きたい」と思っているかどうかは分からない。

    #353│リン│ノラ猫 ── 不思議な眼差し
    「ふるさとのねこ」(渋谷ヒカリエ 2015)は青森県津軽のリンゴ農家で飼われているコトラと5匹の子ネコたちの1年間を撮った写真展。春・夏・秋・冬‥‥鮮やかに移り変わる東北の四季の中で成長する子ネコたち(リッキー、ハナ、オフク、シマ、吾輩はネコ)が生き生きと捉えられている。最終コーナーに展示されていたネコの表情が忘れられない。身籠ったハナの不思議な眼差し‥‥カメラを見つめて何かを岩合さんに伝えようとしているかのようだ。もしネコが人語を話せるのならば、もしヒトが猫語を解せるのならば何と言ったのか分かるのだが‥‥。I袋駅前公園のリンちゃんも一段高い植え込み縁に座って、不思議な眼差しでカメラを見つめる。左前脚を懐手にした変形箱座り。背景が綺麗にボケるのは一眼レフ(ミラーレス)で撮っているからです。

    #354│ミス│飼い猫 ── 三毛スコちゃんとの遭遇
    沿線の細い道から民家の建ち並ぶ路地に入ると茶色いネコがいた。黒目の大きな可愛いネコだったが、すぐに家と家の隙間の奥へ逃げてしまう。何気なく視線を手前に移すと、民家の前の鉢植えの陰に1匹の三毛ネコが隠れていた。警戒心と好奇心が相半ばした目で互いに見つめ合う。両耳が折れたスコティッシュ・フォールドの三毛だった。この写真のように初対面の時は近寄れなかったけれど、2度目からは打ち解けて仲良くなった。この種族は天然ではないかと思うくらい人懐っこく、無防備な性格なのだ。姿は見えなくても猫語で呼びかけると、どこからともなく魔法のように現われる。先日、そのミステリアスな現象が解明された。鉢植えのある家のネコではなく、斜め向かいの家の飼いネコだったのだ。飼い家の玄関ドアにはネコ専用の出入口が付いている。屋内で呼び声を聞いたミスちゃんがキャット・スルーから音もなく出て来ていたのだ。鉢植えのある家の飼い猫だと思い込んでいたので、ジバニャンのように不意に現われたように錯覚していたのである。

    #355│レイ│飼い猫 ── 真正面キャット
    ネコは真正面から見られることを極度に嫌う。人見知りとか、対人恐怖症というわけではなく、視界を遮られるのが嫌なのだろう。正面からネコの写真を撮ろうとしてカメラを構えると、「あっち向いてホイ」みたいにプイと横を向く。左右に回り込んで対峙すると再び顔を逸らす。この繰り返しに悩まされる撮影者も少なくない。ネコが真正面から対象を見つめているのは初対面の相手に興味を持っている時(敵か、味方か、人畜無害か、品定めをしている)、あるいは遠くの方を見ている時である。「証明写真」のように目を瞠ったレイちゃんも至近距離のカメラではなく、視線の先にある何かを遠い目で見ている。意地悪してネコの視線を遮ると、姿勢を変えて遠くの対象物を凝視し続ける。これもパトロール行動の一貫なのか、テリトリ内に異変がないかどうかの確認を怠らない。

    #356│マープル│飼い猫 ── 駐車場の三毛にゃん
    レイが追い回すのでマープルは逃げる。常に追われる立場の彼女は2階のヴェランダの上に退避して、手招きしても下に降りて来ない。暫くレイちゃんの写真を撮っていると、用心深く遠巻きに近寄って来る。飼主の家の横にあった駐車場は先代のトミーやサビたちにとっては絶好の遊び場だったが、数年前に低層マンションが建ってしまった。その代わりにというか、狭い車道を隔てた向かい側が広い駐車場になった。駐車中の赤いクルマの前で腹這いになって寛ぐマープルさん。今日は幸いレイの姿が見えないのでリラックスしているのか、それとも機嫌が良いのか、三毛特有の柔らかい毛並みを撫でても嫌がらないし、逃げ去ったりもしない。気紛れキャットの彼女にしては珍しいことである。久々のシャッター・チャンス到来にゃん。

    #357│ロン│ノラ猫 ── 猫のアート
    名画の中に描かれた人物をネコに置き替えた「CAT ART 美術館」(西武池袋本店)に行って来た。カンヴァスにアクリルで描かれた原画は大きくて迫力がある。「ごあいさつ」の中でシュー・ヤマモト氏が引用している名言‥‥《人生の辛さから逃れる手段が2つある‥‥それは「音楽」と「猫」である》も胸に沁みた。内藤陳似のネコ・ウォッチャーが奥さんの亡くなった次の日に公園のネコたちを見に来たという不可解な行動も頷ける。長毛種のロンちゃんも「絵」(アート)になる。ソランやレイやミスなど‥‥顔馴染みのネコたちと同じく、姿は見えなくても猫語で呼びかけると駆け寄って来る。逆に呼んでも来ない時は、どこかで眠っているのか、声の届かない遠くにいるのか?‥‥と思うことにしているけれど、少し不安も過る。2週間以上見かけないと心配になってしまう。それだけに久し振りにロンと出会って、元気な姿を見ると嬉しくなるのだ。

    #358│マロ│ノラ猫 ── 白い妖精
    「白い恋人たち」はグルノーブル冬季五輪(1968)の記録映画、「白い妖精」はモントリオール五輪(1976)で3つの金メダルを獲得したナディア・コマネチの愛称、「白い婚礼」(1989)はヴァネッサ・パラディ主演の映画‥‥血統書付きの純血種は兎も角、野良(雑種)で真っ白いネコは珍しい。黒ネコは時々見かけるのに、白ネコには滅多に出遭わない。I袋駅前公園のマロちゃんは左頬の怪我も癒えて、表情も大人っぽくなった。鷹揚で高貴なイメージもある。人間ならば由緒正しい名家の子息・令嬢。今は零落しているけれど、生まれや育ちの良さは隠せない。貧乏から一代で成り上がって億万長者になっても、貧相な顔は一生拭えない。二代目、三代目にならなければ裕福な上流階級とはいえない。幼少期〜子供時代の生活が顔に刻まれれるのだ。ネコはヒトほど育った環境が露骨に顔に出ないところが良い。「金の亡者」と化していないからかもしれない。

    #359│タマ│飼い猫? ── 冬への扉?
    『夏への扉』のピートはジンジャー・エールが大好きなネコだった。真冬になっても夏へ通じる扉があると信じて、飼主のダン・デイヴィスに家のドアを開けるように促す。駐車場に停車しているクルマの下の空間は外ネコにとって絶好の隠れ場所だが、危険と隣り合わせでもある。眠っている間にクルマが発進しないとも限らないからだ。そうでなくても都会のネコは常に交通事故のリスクに晒されている(常日頃から注意している人間でさえ交通事故に遭って命を落とす)。目の前をクルマが通過すると、ネコは一体何者なのだと目を瞠る。悲しいかなネコはクルマという危険な存在、「走る凶器」を100年経っても理解出来ない。タマの好物は何なのか?‥‥クルマの下に身を隠しているネコを撮っていると、駐車中のクルマがデロリアン(タイムマシン)に見えて来る。タマちゃんがタイムワープした未来は「猫の惑星」になっていたりして?

    #360│アナ│ノラ猫 ── 駐車場のニャンコ
    記事のトップを飾るネコ写真は「月3枚」という暗黙のルールに則っている。3カ月経って9枚になると「ネコ・ログ」に纏めて、モデルになったネコたちのプロフィールやエピソードなどを紹介して来た。今回で連載第40回を迎えて、ネコ写真も360枚(常連ネコも含めて延べ360匹)となったが、諸般の事情で2015年11月は2枚しかアップ出来なかった(2015年7月が2枚になったのは6月に4枚アップしたから)。急遽の処置として、毎月26日に纏めてアップしている〈スニーズ・ラブ 10〉にネコ写真を載せることにした(マウスで画像に触れると「れなぴょん聖誕祭」に変わる趣向)。アナちゃんも駐車場を根城にしている外ネコで、黒やトラ縞の仲間と一緒にいる。みんな良く似た顔立ちなので、親子兄弟姉妹なのかもしれない。アナたちもクルマの下に隠れていることが多いので、駐車場を使用しているドライヴァーには注意を促したい。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第40集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ360匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第40集の常連ネコはレイ、マープル、ロンちゃん。姿は見えなくても、猫語で呼びかけると挨拶に来ます。『猫は迷探偵』(竹書房 2015)は『猫は魔術師』(2008)、『猫は音楽を奏でる』(2013)を再編集。「猫新聞」に寄稿された11篇を新たに加えた文庫本。恩田陸、長田弘、内田春菊、金井美恵子、斉藤由貴、赤瀬川原平、池田理代子、森村誠一、横尾忠則、小松左京、車谷長吉、浅田次郎、髙村薫、山田洋次、養老孟司、福原義春(資生堂名誉会長)など‥‥著名人51人の猫エッセイを収録。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にリサイズしています
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    猫は迷探偵

    猫は迷探偵

    • 監修:月刊『猫新聞』
    • 出版社:竹書房
    • 発売日:2015/11/02
    • メディア:文庫
    • 目次:猫占い 恩田陸 / 猫という故郷 酒井順子 / 神社の猫 木内昇 / “さささっ”の猫 藤田宜永 / 吾輩は猫である。まだ、なめられてはいない 北村薫 / アメリカの小さな町の猫 長田弘 / 連れてゆきたい 浅生ハルミン / 今は猫がいません 内田春菊 / 猫のいない生活の良さについて 金井美恵子 / 愛しあっていたジョンとミケ 里中満智子 / 猫との春秋 佐野眞一 / ...


    ふるさとのねこ(岩合光昭写真展)

    ふるさとのねこ(岩合光昭写真展)

    • 会場:渋谷ヒカリエ
    • 会期:2015/07/25~08/31
    • メディア:写真
    • 構成:春 / 夏 / 秋 / 冬
    • 内容:世界を舞台に活躍する動物写真家・岩合光昭。彼が各国で撮影を続ける中で、見つめ続けている対象があります。それは私たち日本人の心の中の「ふるさと」です。四季それぞれの美しさが際立つ日本。春夏秋冬を通じて日本の原風景に出会う時、私たちはそこに「ふるさと」を感じるのではないでしょうか。青森県津軽地方。花咲く春、夏の祭り、リンゴ実る秋、そして深く長い冬。岩合はこの地に日本の原風景を見、1年をかけて子...ネコと人との暮らしを撮影しました。津軽の四季、そこに生きる子ネコたちの物語。それは私たちにどこか懐かしい「ふるさと」を感じさせてくれます。


    CAT ART 美術館

    CAT ART 美術館

    • 会場:西武池袋本店 7階 (南)=催事場
    • 会期:2015/12/27~2016/01/05
    • メディア:絵画
    • 構成:古代・中世 / ルネッサンス(ニャネッサンス)/ バロック / 新古典主義(ニャオクラシック)とロマン主義 / 写実主義 / 印象派とその時代 / 20世紀美術 / 日本の美術
    • 展示作品:真珠のイヤリングをした少女猫 / アオルフィニ猫夫妻の結婚 / モニャ・リザ / 猫ビーナス誕生 / 天文学者 / グランド・オダリスク / またたび拾い / 着物を着たミャネ婦猫 / 耳に包帯をした自画像 / スター〈舞台の踊子〉/ 叫び / キャッス / ゲルニキャット / 泣く猫 / 記憶の個室 / 赤黄青のコンポジション / 七五三子猫寶合 / 猫街道三拾三次


    夏への扉

    夏への扉

    • 著者:ロバート・A・ハインライン(Robert A. Heinlein)/ 福島 正実(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2010/01/25
    • メディア:文庫
    • 目次:夏への扉 / 訳者あとがき / 21世紀のハインライン・高橋 良平

    スニーズ・ラブ 12

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  • ♭ CAT ART 美術館(2016-01-02)
  • 名画の中の人物をネコに変えた猫パロディ画集『CAT ART』(求龍堂 2012)でネコ愛好家を驚喜させたシュー・ヤマモト氏。都内で初の本格的な展覧会「CAT ART 美術館」(西武池袋本店 7階)が開催されている。古今東西の名画約70点を「古代・中世」「ルネッサンス(ニャネッサンス)」「バロック」「新古典主義(ニャオクラシック)とロマン主義」「写実主義」「印象派とその時代」「20世紀美術」「日本の美術」の8つブースに分けて展示。最終コーナーには猫浮世絵師・歌川猫重の『猫街道三拾三次』も数点ある。レオニャルド・ニャ・ヴィンチ、三毛ランジェロ、フェルネーコ、ニャンブラント、ニャングル、ゴニャ、ドラネコワ、ドラ、ネコアール、ニャッホ、ニャンク、ピキャット、クニャムト、ダリダッケ、ニャンドリアン‥‥カンヴァスにアクリルで描かれた原画は画集から想像するよりも大きいので迫力が違う。「キャット・アート」が間近で見られるのは至福の一時。エントランスで本人がヴィデオ出演して自己紹介。「ごあいさつ」の末尾で引用している名言も胸を打つ。

  • ♭ クリアランス 2016(2016-01-09)
  • 新年恒例の「渋谷タワレコ・クリアランスセール」。8F(SpaceHACHIKAI)へ会場を移してから2回目の開催だが、1年中ワゴン・セールを行なっていたためか、昨年よりも小規模になってしまった。最終日も設定されず、「1/2〜商品なくなり次第終了!」。入口手前に「ROCK」、奥に「CLASSICAL」‥‥復活した「WORLD MUSIC」も6Fに常置されていた赤いワゴンと大差ない。黄色いカゴに一杯に略奪したCDの品定めをしている薄汚い風景(スマホで商品価値を調べている輩もいる)だけは毎年変わらないけれど‥‥まあ、開場前から並んでいるセドリ男に目星いCDを全部抜かれるよりは、1年中セールを行なっていた方が一般の音楽愛好家にとっては喜ばしいことなのかもしれない。今年はThe Feeliesの再結成アルバムやMutual Benefitのデビュー・アルバムなど、5枚を厳選入手。おみ籤に喩えれば「小吉」という感じ。掘り出し物はジャケ買いした《Vitaphone》(Underdog 2013)でしょうか。

  • ♭ ヘルノー・キティ(2016-01-16)
  • 「新宿タワレコ・クリアランスセール」のワゴンを漁っていて、思わぬアルバムを2枚発掘した。「ALICE IN WONDERLAND」のTシャツを来た女性が「SEX SHOP」の前で佇んでいるモノクロ・カヴァ。プリントされたピンクの腰巻きにアーティストとタイトルが書いてあるAnaisの《Hellno Kitty》(Reft 2014)。オープニング曲のタイトルは〈What Would We Have Done Without Joni Mitchell〉。「ヘルノーキティ」というグランピー・キャットが公式に認知されているのかどうか知らないけれど、セックスとアリスとキティちゃんの取り合わせは人目を惹く(「猫ジャケ」でなかったのは残念ですが)。少女時代のポートレイトをアルバム・カヴァに使ったNolwenn Leroyの《Bretonne》(Mercury 2012)にもビックリ!‥‥このEU盤は15曲入りで、渋谷タワレコ・クリアランスのUS盤《Nolwenn》(Decca 2013)とはカヴァ、タイトル、曲目、曲数(全12曲)も異なるのだ。

  • ♭ 東京の看板猫たち(2016-01-23)
  • 『吾輩は看板猫である』(文藝春秋 2011)は喫茶店、宝くじ売場、工具店、クリーニング店、青果店、洋品店、ディスプレイ用品店、煎餅屋、唐辛子店、相撲小物店、ふとん屋、焼き鳥屋、飴屋、神佛仏具店、民芸品店、おもちゃ屋。電気店、蕎麦屋、文具店、化粧品店、理髪店、眼鏡店、駄菓子店、民族衣装店、銭湯、タバコ店、中華料理店、薬局、中古レコード店、酒屋、仏壇店、休憩茶屋‥‥都内(千代田区、中央区、台東区、墨田区、江東区、葛飾区、荒川区、足立区、豊島区、北区、練馬区、杉並区)、東京近郊(神奈川県川崎市)の看板猫たち49匹を紹介したフォト・ブック。健気に店番するネコたちがカラー写真で収録されている。文庫版(2015)には「近況報告」(2015年3月現在)を併記。チャー、ボン、ショウ、テツヤ、ナツキチ、タマ、マロ、ピー、ベル、みーあ‥‥この4年間に亡くなってしまった看板ネコも少なくない。合掌。商店だけでなく、美術館や図書館などの公共施設にもモナちゃんやデューイのような看板ネコがいると良いのにね。

  • ♭ エル・スールの猫(2016-01-30)
  • 玲奈ぴょん(loop)の月一ライヴを池袋で観た後、閉店間近(~1/24)の「El SUR」へ行く。店内のCD・レコードは新譜を除き「ALL30%OFF」のセール中。前回訪れた時に目星をつけていたネコードを探索。白ネコの後ろ姿が水色に映えるJane Dubocの《Languidez》(Jam Music 2003)は右奥の「MPB」の棚にあったのに、Hindi Zahraの《Homeland》(Parlophone 2015)が見つからない。売れ切れてしまったのかと落胆して、他のコーナーを物色していたら「Morocco」で発見!‥‥いつの間にか「France」から世界ネコ歩きしていたのだ。前者はデビュー・アルバム(1980)のリイシューCDで、スリップ・ケースを抜くと、白いソファ・クッションに凭れかかった白いドレス姿のジャニ・ドゥボッキと白ネコちゃんの2ショット「オリジナル・カヴァ」が現われる趣向。後者は半壊した家屋の前でインディ・ザーラが白っぽいネコを両手で大切そうに抱いている。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの一覧集(2016-01)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん

    • 写真は閉店前日の「EL SUR RECORDS」の店主(原田尊志さん)です^^;
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    Hellno Kitty

    Hellno Kitty

    • Artist: Anais
    • Label: Reft
    • Date: 2014/11/10
    • Media: Audio CD
    • Songs: What Would We Have Done Without Joni Mitchell / DRH (Radio Edit) / Slam Collectif / J'attends mon Joe / Une petite fuite / L'autotune / Oublie moi / C'est quand / DRH (Acoustic) / Slam Collectif (R-Ash Remix)


    Bretonne

    Bretonne

    • Artist: Nolwenn Leroy
    • Label: Imports
    • Date: 2012/01/24
    • Media: Audio CD
    • Songs: Tri Martolod / La Jument De Michao / Suite Sudarmoricaine / Greensleeves / Brest / Siuil A Ruin / Bro Gozh Va Zadoù / Mna Na H-Eireann / Ma Bretagne Quand Elle Pleut / Je Ne Serai Jamais Ta Parisienne / Karantez Vro / Le Bagad De Lann-Bihoué / Dans Les ...Prisons De Nantes / Scarborough Fair / Rentrer En Bretagne


    Languidez

    Languidez

    • Artist: Jane Duboc
    • Date: 2004/06/23
    • Label: Ward Records
    • Media: Audio CD
    • Songs: Que Outro Dia Amanheça / Cachoeira / Menino / Manuel O Audaz / Estrela Do Mar / Meu Homem / Languidez / Pára-Raio / Saudade / Avesso Do Avesso / Bonita / Paisagem Latina


    Homeland

    Homeland

    • Artist: Hindi Zahra
    • Label: Parlophone
    • Date: 2015/04/21
    • Media: Audio CD
    • Songs: To The Forces / Silence / Any Story / Un Jour / Can We Dance / La Luna / The Blues / Broken Ones / Dream / Cabo Verde / The Moon Is Full

    クリアランスセール 2 0 1 6

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  • ◎ Bretonne(Mercury 2012)Nolwenn Leroy
  • 「ブルターニュ人」というアルバム・タイトルから想像がつくように、ノルウェン・ルロワの4thアルバムは彼女の出自に根差した異色カヴァ集。仏ブルターニュや英ケルトのトラディショナルとブルターニュ出身のSSW(Alan Stivell、Miossec)のカヴァなどで構成されている。ハープ、フルート、ヴァイオリン、アコーディオン、ブズーキ、バグパイプなど、ケルト・ミュージック色が濃いのはブルターニュ人が4〜6世紀に英国から移住したケルト系民族だったから。しかもノルウェンは仏語ではなく、ブルトン語(Breton)で歌っている。これだけでは海外のポピュラー音楽ファンに取っつき難いと思ったのか、〈Greensleeves〉〈Scarborough Fair〉のカヴァ(英語詞)も収録されている。オリジナル仏盤(2010)は全13曲、インターナショナル盤(2012)は全15曲。アルバム・カヴァは彼女の少女時代のポートレイトを使用。USヴァージョンの《Nolwenn》(Decca 2013)は全12曲で、アルバム・カヴァ、タイトル、曲目も異なる。

  • ◎ Ladilafe(Salut 2012)Tryo
  • Tryoは1995年に結成されたフランスのレゲエ・バンド。Guizmo(ヴォーカル、ギター)、Christophe Mali(ヴォーカル、ギター、ピアノ)、Manu Eveno(ヴォーカル、ギター、タブラ、ベース、ウード、バンジョー、ハーモニカ)、Daniel Ito(パーカッション)の4人組(カルテットなのにトリオ?)。5thアルバムは2012年2月に亡くなった友人(Patricia Bonnetaud)に捧げられている。耳に優しいサウンド、心地良いハーモニーなので、攻撃的なMassilia Sound Systemと較べると牧歌的な感じもするけれど、環境に配慮しているように見せかけた商品を売る企業の欺瞞性と強欲な消費者を批判した〈Greenwashing〉、ジャマイカで最初にゲイであることを公表した活動家〈Brian Williamson〉や極右政党の女性党首Marine Le Penのことを歌った〈Marine est là〉など‥‥仏語の歌詞は辛辣である。約3分の無音時間後のシークレット・トラック〈Du Cinema〉を含めて全16曲・57分。ハードカヴァ仕様で、歌詞・写真ブックレット(28頁)が綴じ込まれている。

  • ◎ Busco Paraiso(Petit Indie 2012)Pascuala Ilabaca Y Fauna
  • Pascuala Ilabacaは南米チリ・バルパライソ生まれのSSW。彼女の弾くアコーディオン、ピアノに、Christian Pastana Retamal(ギター)、Miguel Razzouk(クラリネット、サックス)、Jaime Frez (ドラムス、パーカッション)、Christian Chino Chiang(ベース、フルート)という編成で、クンビア(Cumbia)、トローテ(Trote)、クエカ(Cueca)などのフォルクローレにロックやジャズ、ポップスの要素を交えてアップデートする。Janis JoplinやAlvaro Pena(パンク勃発前の70年代にJoe Strummerとパブ・ロック・バンドThe 101'ersを結成していたチリのピアニスト)から影響を受けたという彼女のヴォーカルはエモーショナルで可愛く、Faunaと共に大草原を疾走。ラストで郭公の鳴き声を披露する〈Rezos En Montegrande〉、スライド・ギターやサックスが炸裂するプログレ風の〈Es Difícil〉‥‥全12曲、64分。未知のワールド・ミュージックを発掘するのも、クリアランス・セールの醍醐味の1つである。

  • ◎ El Poder Oculto(Marder 2014)Lucy Patane & Marina Fages
  • Lucy Patane(ルーシー・パタネ) とMarina Fages(マリナ・ファヘス)のアルゼンチン女性デュオのアルバム。2人のヴォーカル、チャランゴ(Charango)、ギター、パーカッション、バンジョー、クラリネット、ボンボ(Bombo)、ピンキーリョ(Pinkullo)、カリンバなどによるエクスペリメンタル・フォルクローレ集。Lucyのハミングが聴ける〈José de San Martin〉、Marinaがファナ・モリーナ風に歌う〈La Combi A Clorinda〉‥‥。仲の良い少女たちが幽閑なる森の中で開いた秘密の音楽会のように無邪気でシュール。アルバム・カヴァに写っている2人のメタボ体型の女性はLucyとMarinaの母親だという(娘たちの写真は裏面にある)。もしアルバム・カヴァの表・裏が逆だったらば、クリアランス・セールに出ていなかったかもしれない。

  • ◎ Here Before(Bar/None 2011)The Feelies
  • 1976年、米ニュー・ジャージー州ハレドンで結成されたThe Feeliesはデビュー・アルバム《Crazy Rhythms》(Stiff 1980)を含めて4枚のアルバムをリリースして1992年に解散したが、2008年に再結成した。20年振りの5thアルバムはオリジナル・メンバーのGlenn Mercer(ギター、ヴォーカル、キーボード)、Bill Million(ギター、バッキング・ヴォーカル)と後期メンバーのStanley Demeski(ドラムス)、Brenda Sauter(ベース、ヴァイオリン、バッキング・ヴォーカル)、Dave Weckerman(パーカッション)の5人で録音している(初代ドラマーのAnton Fierは不参加!)。内省的な脱力系ヴォーカルと2本のギター・サウンドがR.E.M.などの80年代のUSインディ・ロックに与えた影響は小さくない。アルバム・カヴァ(鬱蒼とした池に映った雲の写真)と5人のメンバーがベンチに座っているインナー・フォトは年月を経た現在を感じさせて感慨深い。

  • ◎ Deep Fantasy(Domino 2014)White Lung
  • 2006年、カナダ・ヴァンクーヴァーで結成されたパンク・ロック・バンドの3rdアルバム。Mish Way(ヴォーカル)、Anne-Marie Vassiliou(ドラムス)、Kenneth William(ギター、ベース)という3人組(女2男1)。全10曲・22分という潔さで、インディ・ロック街道を爆走する。ライオット・ガルー系のパンク / ハードコア・サウンドで、ドラムスは高速で突進、ノイジーでヘヴィなギターはメロディアスで繊細、金髪女性のヴォーカルも舌っ足らずで可愛かったりする。アルバム録音時は初代のベーシストが離脱したことでトリオ編成だったが、2015年にLindsey Troy(ベース)が加入して4人組(女3男1)となっている。ベッドで眠っている女性に白いトイプードルと右手と黒いバッグ(?)をコラージュしたスリップ・ケースにCD(厚手の紙ケース入り)と四つ折り歌詞カードを封入。Pitchforkの「BEST NEW MUSIC」(8.6)に選出されました。

  • ◎ Vitaphone(Underdog 2013)Nanna B.
  • Nanna B.はデンマーク・オーフス生まれのソウル歌手、女性SSW。彼女は6歳の時からアフリカン・ドラムを手にしていたというくらい音楽に囲まれて育った。少女時代に影響を受けた音楽はThe Beatles、Carole King、Bob Dylan、デンマークの80年代音楽など。学生時代は西アフリカの伝統音楽やアフロ・キューバン・ミュージック、ファンクに興味を持って、自ら作曲して歌うようになる。大人に成長した90年代にはポップスやヒップホップの影響を受けた。1997年、D'Angelosのデビュー・アルバム《Brown Sugar》(EMI 1995)を初めて聴いた彼女はR&Bとソウル・ミュージックに心を奪われたという。デビュー・アルバムはMassive Attack〜Soul II Soul風の低音ビートにNanna B.のコケティッシュなヴォイスが浮游する。「Vita-phone」という造語(Life-Soundという意味)はジャン=ミシェル・バスキアの絵画にインスパイアされた。クリアランスで「ジャケ買い」した見開き3面紙ジャケ仕様のアルバムです。

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    新年恒例の「渋谷タワレコ・クリアランスセール」。8F(SpaceHACHIKAI)へ会場を移してから2回目の開催だが、1年中ワゴン・セールを行なっていたためか、昨年よりも小規模になってしまった。最終日も設定されず、「1/2〜商品なくなり次第終了!」。入口手前に「ROCK」、奥に「CLASSICAL」‥‥復活した「WORLD MUSIC」も6Fに常置されていた赤いワゴンと大差ない。黄色いカゴに一杯に略奪したCDの品定めをしている薄汚い風景だけは毎年変わらないけれど‥‥まあ、開場前から並んでいるセドリ風情に目星いCDを全部抜かれるよりは、1年中セールを行なっていた方が一般の音楽愛好家にとっては嬉しいことなのかもしれない。今年はThe Feeliesの再結成アルバムやMutual Benefitのデビュー・アルバムなど、5枚を厳選入手。これだけでは枚数が足らないので、昨年夏以降に各店舗のクリアランスで入手したアルバムも数枚加えました。

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    Bretonne

    Bretonne

    • Artist: Nolwenn Leroy
    • Label: Mercury
    • Date: 2012/01/24
    • Media: Audio CD
    • Songs: Tri Martolod / La Jument De Michao / Suite Sudarmoricaine / Greensleeves / Brest / Siuil A Ruin / Bro Gozh Va Zadoù / Mna Na H-Eireann / Ma Bretagne Quand Elle Pleut / Je Ne Serai Jamais Ta Parisienne / Karantez Vro / Le Bagad De Lann-Bihoué / Dans Les ...Prisons De Nantes / Scarborough Fair / Rentrer En Bretagne


    Ladilafe

    Ladilafe

    • Artist: Tryo
    • Label: Columbia Europe
    • Date: 2012/09/04
    • Media: Audio CD
    • Songs: Greenwashing / Ladilafé / Nous génération / Brian Williamson / Pas banal / Printemps arabe / Un jugement sans appel / Marine est là / Boulawa / C'est un vent / Quand la nuit devient blanche / Mourir la mort / Joe le trader / J'ai décidé d'écrire des D / Les anciens / Du Cin...


    Busco Paraiso

    Busco Paraiso

    • Artist: Pascuala Ilabaca Y Fauna
    • Label: Petit Inde
    • Date: 2015/03/30
    • Media: Audio CD
    • Songs: Busco Paraíso / Rezos en Montegrande / Es Difícil / En el Tren a Kanyakumari / Pecado Original / No Es Nuez / Sueño del Pelícano / Carnaval de San Lorenzo de Tarapacá / Isla / Canción de Noche / Pájaro Niño / La Luna Llena


    El Poder Oculto

    El Poder Oculto

    • Artist: Lucy Patané & Marina Fages
    • Label: Concepto Cero
    • Date: 2015/02/24
    • Media: MP3
    • Songs: Botánico / José de San Martin / Como Piedras / Cucu / Mercado 4 / La Sangre en la Boca del Lobo / Menta & Circulo / La Isla de Alberdi / Jacarandá / La Combi a Clorinda / K / Ae / La Canción del Estanque


    Here Before

    Here Before

    • Artist: The Feelies
    • Label: Bar/None Records
    • Date: 2011/04/12
    • Media: Audio CD
    • Songs: Nobody Knows / Should Be Gone / Again Today / When You Know / Later On / Way Down / Morning Comes / Change Your Mind / Here Before / Time Is Right / Bluer Skies / On And On / So Far


    Deep Fantasy

    Deep Fantasy

    • Artist: White Lung
    • Label: Hostess Entertainment
    • Date: 2014/06/17
    • Media: Audio CD
    • Songs: Drown With The Monster / Down It Goes / Snake Jaw / Face Down / I Believe You / Wrong Star / Just For You / Sycophant / Lucky One / In Your Home


    Vitaphone

    Vitaphone

    • Artist: Nanna B.
    • Label: Underdog
    • Date: 2013/05/13/17
    • Media: Audio CD
    • Songs: My Groove / Sum O'sometimes / Fresh New Thing / Utopian Love / Keep On Moving / Follow Me Thru (feat. Nappion) / It All Comes Out of Something / Sunday High / Mind Reader (feat. Diverse) / Falling / People / Arrows

    C O M M E N T E D A R T I C L E S 2 0 1 6

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  • A R T I C L E S 2 0 1 61514131211100908

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    • コメントした記事のリンク一覧(2016)です。リンクが流れちゃうのは勿体ないよね

    • ブログ内(sknys)、ソネ風呂内(sonet)、ソネ風呂外(guest)で色分けしました

    • 写真は「タワレコ・クリアランスセール」で購入したCD‥‥右下のTryoから時計回りに、Nanna B.、White Lung、Emiliana Torrini、The Feelies、Lucy Patane & Marina Fages、Pascuala Ilabaca Y Fauna、Massilia Sound System、Mutual Benefit、Nolwenn Leroy(中央)。背景は2016年1月29日付朝日新聞(朝刊1面)
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